1941年12月7日の真珠湾攻撃の経緯 |
時間 |
0618
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空母部隊がウェーキ島方面の演習から帰還する途上、真珠湾西方215マイルの地点で、前方哨戒機を発進。150マイルまでの索敵をする。(日本艦隊はハワイの北方を航行)
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0630
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雑役補助船アンタレス(1万1100トン,訓練部隊所属,標的運搬)が小型潜水艦らしきものを発見。通報により哨戒中の駆逐艦ワォード(1400トン,4インチ砲4門装備,1918年竣工)が捜索。 |
0633
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海軍哨戒機が目標に2発の発煙弾を投下。 |
0645
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通報を受けた駆逐艦ワォードが2分間、目標に発砲。一番砲塔より1発,三番砲塔より1発発射。二弾目の三番砲塔の4インチ砲が,国籍不明潜水艦の艦橋に命中した模様。目標は,急速に沈没。哨戒機が爆雷投下。 |
0700 |
定期訓練に4機ののカタリナ飛行艇が発進。14p-1号が真珠湾口1マイル(1.852km)地点で敵潜水艦を撃沈。航空隊は4時間以内に72機を出動準備させることになった。このとき、滞空していた哨戒機は14機。
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0735 |
14P-1号機の電文を担当将校が解読。真珠湾口1マイルで敵潜水艦が撃沈されたことが分かる。 |
0745
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担当官が、他の哨戒機に警戒を出す。 小型水上機母艦アボセットが真珠湾内のフォード島飛行場で爆発を目撃。 駆逐艦タッカー(2100トン)は使用不能な3番3インチ砲塔以外の全砲火、機銃で航空機に応戦。 フォード島では航空機2機が格納庫内部、4機が格納庫の南、6機が誘導路にあったが、7機が炎上。パトロンが敵機2期を目撃、ライフル銃3丁で即座に応戦、格納庫南端に機銃2門を据付けて応戦。 カネオヘ海岸では、カタリナ飛行艇8機が完全に破壊される。 |
0750 |
戦艦カリフォルニアに士官が搭乗し出航準備。停泊中の戦艦オクラホマに魚雷3発命中。 軽巡洋艦ホノルル(9650トン)では、対空機銃の応戦準備ができ、30口径7.62ミリ機銃2,800発、50口径12.7ミリ機銃4,500発、25口径5インチ砲250発の弾丸が用意される。 |
0755 |
戦艦テネシー爆弾2発を受ける。戦艦オクラホマ転覆。戦艦カリフォルニア大破着底。戦艦ウェストヴァージニア大火災。 |
0758 |
航行中の戦艦ネヴァダに魚雷命中、爆弾1発命中。 ドックにいる戦艦ペンシルヴァニに爆弾投下。 |
0800 |
戦艦に誤認された標的艦ユタ転覆、魚雷5本命中の公算、爆弾命中なし、救出作業で32名を救助。 |
0810 |
戦艦カリフォルニア5インチ砲を急降下爆撃機に発砲。 |
0815 |
飛行中の航空機が日本機空襲に警戒せよの連絡を受ける。 |
0820 |
戦艦アリゾナに魚雷命中。戦艦カリフォルニアに魚雷命中。 駆逐艦レイド(2100トン)が38口径5インチ砲で高空の敵機に発砲。 雑役船(潜水艦母艦)サムナー出航準備完了。
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0830 |
戦艦ネヴァダに大型爆弾命中。 戦艦カリフォルニア対空砲で爆撃機に発砲、1機撃墜。 サムナー発砲開始。工作艦リゲル艦長帰艦。 |
0840 |
戦艦カリフォルニアに4発の至近弾。 水上機母艦カーチス、浮上した潜水艦が魚雷1発を駆逐艦に発射するのを目撃、発砲し司令塔に命中。
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0900 |
軽巡洋艦フェニックス(9500トン)が銀色の敵編隊11機(高度1000フィート)に5インチ砲で射撃。50発発砲するも効果なし。軽巡洋艦ホノルル(9600トン)に敵機が向かってくrのを他の艦とともに応戦し撃墜。 戦艦カリフォルニアに爆弾1発命中。1万2000-5000フィートの高空を飛ぶ敵機が、南からやってきて真珠湾を爆撃するのを目撃。 駆逐艦ラルフタルボット(2200トン)出航。5インチ砲150発、50口径12.7ミリ機銃1500発を発射。降下中の敵機2機のうち1機を撃墜。駆逐艦パターソン出航。
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0905 |
機雷敷設艦プレビールが30機の急降下爆撃機が双発機を爆撃し、多数の爆弾がドックに投下されるのを目撃。 |
0908
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ドックに入渠している戦艦ペンシルヴェニアが爆撃を受ける。15発芽ドックを外れ海面に投下。同じく入渠している駆逐艦ドーンズに大型爆弾命中。しかし、5機の敵機を撃墜し、そのうち2機は戦艦ペンシルヴァニアによる。
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0910
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駆逐艦母艦ドビンが3機の爆撃機の攻撃を受けるが、命中しなかったが、破片で3名死亡、2名重傷。 |
0915
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戦艦ネヴァダに6発以上の爆弾が命中。機雷敷設艦トレーシー(1100トン)に戦闘指揮艦が帰艦。太陽を背にして2機の急降下爆撃機が攻撃してくる。
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0920
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戦艦ペンシルヴァニアの入渠していた乾ドックに浸水。入渠中の駆逐艦2隻は大火災。
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0921 |
全部隊に宛て、敵艦は、胴体の底部分に赤い丸red
dot(日の丸)を描いてあるとの連絡。全艦艇に至急出航するように命令が下る。 |
0925 |
高速掃海艇ワスムスが敵第二波は西方から爆撃,雷撃をすると報告。1機を撃墜。戦艦アリゾナから白煙が上がる。 戦艦カリフォルニア搭載機がガソリン火災から引き離す作業中に転覆・沈没。 |
0928 |
駆逐艦マグフォード(2200トン)が急降下爆撃機が降下後引き起こす際、50口径12.7ミリ機銃で撃墜。 |
0930 |
敷設艦ギャンブル、高速機雷敷設艦ブリーズ、高速機雷敷設艦トレヴァー出航。 戦艦ウェスト・ヴァージニア炎上中。ウィットニーが第二波攻撃終了と報告。 戦艦ペンシルヴェニアが前方の浮きドック駆逐艦が爆発したと報告。 |
0945 |
駆逐艦デワイ(2300トン)が第三派攻撃が急降下爆撃機によって開始されたと報告。 |
0947 |
駆逐艦マグフォードが軽巡洋艦ホノルルが出航、南西から日本機来襲と報告。 |
0948 |
戦艦テネシーは技術部門の調査のために出航できず待機。 |
0950
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敵(日本)航空母艦2隻がバーバー岬南西30マイルを航行中と報告あり。 工作艦ベルタル座礁。駆逐艦ブルー(2200トン)が潜水艦音を捕捉、爆雷4発投下。再び聴音し、爆雷2発投下。油の流出と空気泡が海面に上がったことから撃沈確実。3回目の聴音で、潜水艦が高速で軽巡洋艦セントルイス(1万トン)に向かっているのを捕捉、爆雷2発投下、油が海面に浮かぶ。1隻撃沈確実、撃沈2席の可能性ありと報告。
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0954
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戦艦テネシーが戦艦メリーランドが火災にあることを観測。
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0958
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戦艦テネシーの火災鎮火。戦艦メリーランドで乗員4-5名が火災からクレーンによって脱出しようとしているのを目撃。
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1000
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駆逐艦母艦ウィトニーが、駆逐艦ライド(2100トン)、駆逐艦セルフリッジャー(2600トン)が出航すると報告。
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1003
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駆逐艦マグフォード、日本機が水道(狭い航路)に機雷を投下したと報告。
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1005
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機雷敷設艦ギャンブル、水道を掃海。複数の大型爆撃機日本機が大型爆弾らしきものを水道に投下したが爆発しなかった。これは機雷らしいと報告。 駆逐艦マグフォードが浮きドック入渠中の駆逐艦シャウが爆発したと報告。駆逐艦マグフォード、主機とボイラー2基で出航準備完了。
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1008
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戦艦テネシーが、戦艦ネヴァダ全体が火災に包まれたのを観測。
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1010
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駆逐艦ライド、ボイラー4基で出航。軽巡洋艦フェニックス出航。 潜水艦母艦サムナー、砲と機銃で対空射撃行うも効果なし。
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1015
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100-300海域で日本航空母艦捜索せよとの命令が出る。機雷敷設艦ギャンブル、射撃指揮所上に7.62ミリ対空機銃を移動。
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1018
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命令「真珠湾より困難を克服し最大限12機の偵察機で索敵せよ。オアフ北西の敵を見つけ、第5空母部隊はこれを迎撃せよ。敵の編成は不明。」 第8空母部隊より司令部に「緊急時にはフォード島飛行場を使用可能か」と質問。
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1020
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戦艦テネシーが戦艦アリゾナは着底した模様と報告。これ以上巡洋艦を海上に出すなとの命令。 敵航空母艦や兵力に関する報告多数あったバ-バー岬南30マイルに、1000ポンド爆弾を搭載した15機の攻撃隊を発進。敵に接触できず。空母攻撃隊は待機。
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1021
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掃海艦ギャンブル水道の掃海完了。爆雷8発搭載、真珠湾口を離れて潜水艦捜索。
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1028
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第八空母部隊の「緊急時にはフォード島飛行場を使用可能かと質問」に肯定の回答。
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1030
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戦艦ペンシルヴェニア、弾薬補給のため複数のモターランチを港に派遣。
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1033
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再度の空襲に備えろとの命令。第3、第8空母部隊より、バーバー岬10マイルに潜水艦ありと報告。
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1040
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タワーからの信号あるいは口頭命令によって出航せよの命令。南水道の磁気機雷、接触機雷を掃海せよの命令。
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1046
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全戦艦は、艦載機搭乗員、航空関係者全員を至急、フォード島へ移動させよの命令。
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1048
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戦艦テネシーより、戦艦テネシーの損害率30%、戦艦アリゾナ沈没の報告。
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1055
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第8空母部隊が偵察機6機、000-045海域を50マイル先まで索敵に発進。 駆逐艦マグフォード、真ん前の航空機に3インチ方2発発射。命中せず。全対空機銃発砲。
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1058
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駆逐艦マグフォード、北方より日本機攻撃中と報告(注意:これは友軍機と思われる)
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1100
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機雷敷設艦トレーシーが、日本軍は完全に撤退したと報告。小型機雷敷設艦シカード、水平爆撃を目撃。
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1115
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ノースザンプトンより搭載機2基を北方150マイルに索敵に発進。
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1135
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ノースザンプトン、カウアイ島西方15マイルで単発単座日本機に7回の攻撃を受ける。敵の速度は275マイル以上で黒煙を吐いて消え去った。この敵機を捜索中。サムナー、3インチ砲11発を敵爆撃機5機に発射。命中なし。機銃射撃も併用。
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1136
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駆逐艦マグフォード、フォード島より米国海軍機が離陸するのを観測。
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1140
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グアムが攻撃されたことを部署に伝達せよ。
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1143
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戦艦の搭載機につき、準備できる機数と準備状況を報告せよ。 戦艦カリフォルニアの搭載機2機は、フォード島にて発進準備の予定。アロハタワー4マイルの潜水艦を爆撃、油浮上。
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1146
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北岸に敵軍上陸。青い作業服に赤い徽章あり。
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1150
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バーバー岬に複数のパラシュート降下。
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1152
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3機の哨戒機が爆雷を搭載して指定地区を捜索中。
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1153
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カリフォルニア州サンジエゴ港で空母サラトガと護衛艦の出航準備が明日月曜日8日0900には完了すると連絡。
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1155
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全巡洋艦・駆逐艦は直ちに出航し、戦闘準備に入れ。
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1156
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戦艦テネシーが陸軍航空隊のB17を観測。水路には敵機と潜水艦が横たわっていると信じられていると。
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1200
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現時点での艦船(空母エンタープライズ、空母レキシントン、巡洋艦ミネアポリスなど)の所在と出動準備体制を通報。 機雷掃海艇ボーリンは、機雷掃海艇トルコとともに真珠湾を掃海せよの命令を受ける。
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1204
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ギャンブル、潜水艦音を探知、爆雷3発投下。
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1206
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マグフォード、給油中止。11.5万ガロン搭載完了。
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1210
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戦艦テネシーの報告:的輸送艦かバーバー岬40マイルにありパラシュート部隊が降下した(後に誤報と判明)。第四砲塔の30名の乗員を水上からの攻撃に備えて待機させた。
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1217
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航空部隊は300マイル遠方まで捜索せよ。
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1219
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戦艦ウェスタ・ヴァージニア周辺のが大火災のため、戦艦テネシー、戦艦メリーランドは消火用ボートを派遣せよ。 |
1228
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戦闘艦の被害: PENNSYLVANIA Dive bomb hit starboard
side frame 86 drydock now flooded. MARYLAND magazines flooded-
TENNESSEE fire in wardroom country. OKLAHOMA capsized. WEST
VIRGINIA sunk but upright. CALIFORNIA down by the head and
heavy list to port probably on bottom. ARIZONA sunk. NEVADA
beached off Hospital Point.
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1230
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水上機母艦カーチス、被害のため出撃不可能の連絡。ギャンブルが、ダイアモンドヘッドで爆雷攻撃をしている間に、バーバー岬4マイルの敵輸送艦を攻撃せよとの命令が出る。 ギャンブルは引き続き、爆雷攻撃を続けよ。潜水艦の積極が切れたときは、バーバー岬の輸送艦を攻撃せよ。輸送艦が発見できない場合は、より西方を捜索、攻撃せよ。
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1232
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敵輸送艦は、バーバー岬4マイルにあり。これを攻撃せよ。
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1246
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戦艦カリフォルニアが急速に沈下、全部の上部ハッチを閉鎖、砲塔に火災進入の恐れあり(実際は進入せず)。
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1800
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戦艦ペンシルヴェニア、弾薬をすべて移動移動完了。
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1823-38
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戦艦テネシー、航空機発見。友軍と思われる。
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1855
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戦艦テネシーより、空母エンタープライズの航空機、ホノルルに向け飛行中の連絡。
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2110
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掃海艇ヴィレオ(840トン)が対空射撃で攻撃してきたと思われた航空機1機を撃墜。救助したところ空母エンタープライズの艦載機で友軍機であった。 エンタープライズの艦載機が飛行中の戦況報告が送付される。
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出所)
敵(日本海軍)潜水艦を発見して、直ぐに軍艦と航空機が攻撃している(0645)。発砲の許可を軍司令部に問い合わせるのではなく、事前に攻撃許可を得ているからである。空襲のとき(0415)も、日本の戦記では日曜日で演習と勘違いしてのんびりしていた----、奇襲に驚いて反撃になかなか移れなかった--、と認識している場合が多い。しかし、空襲確認後、作戦行動をしている敵に容赦なく攻撃している意味で、騙まし討ちではあっても、すばやい反撃であった。
絶えざる空襲の中でも、潜水艦からの攻撃を警戒していたのは、すでに潜水艦出現が通知されていたためである。しかし、空襲されている最中に、見えない潜水艦を警戒していたのでは、空襲に対する反撃が不十分になってしまう。この最適な事例は、航空機の使用方法である。本来は、爆撃機、哨戒機で敵空母部隊を索敵すればよいが、半数以上の哨戒機を対潜水艦に使用している。湾内の軍艦も、潜水艦を警戒している。これは、日本海軍が二人乗りの特殊潜航艇「甲標的」を使用した成果である。5隻の潜航艇は、大型潜水艦の上部に固定され真珠湾口まで運ばれ、そこで乗員が乗り移ってから発進した。真珠湾で初めに反撃を受けたのも、この特殊潜航艇である。操縦も航法も難しかったはずであるが、厳重な警戒の真珠湾に潜入できた特殊潜航艇もあった。魚雷を2本搭載しているし、実際に発射もている(命中なし)。従来から全く戦果を上げていないとされてきたが、米軍に多大な警戒感を抱かせ、艦艇、航空機など貴重な戦力を捜索に使用させた点で、米軍に大きな負担を強いている。10名(戦死9名、捕虜1名)の挙げた功績である。
日本は真珠湾を占領する計画を立てたこともなかったらしい。日本から遠すぎて補給が困難な上に、米国海軍が壊滅しない限り、上陸はできないからである。米国海軍の壊滅が不確実であれば、二兎を追うとは困難であろう。この誤報によって、西方に撤退していた日本の機動部隊を捜索する艦船、航空機が減少したから、日本にとっては有利であった。
誤報が起きたのは、座礁した特殊潜航艇の乗員がいたこと、被弾した日本海軍機が不時着したり、損害を受けた日本の航空機からパラシュート降下、脱出した兵士がいたこと、が背景にある。
戦艦の砲撃戦を中核とする艦隊決戦を想定していた日米海軍だったが、真珠湾の空襲に対しては、米軍も空母部隊を反撃の主力として即座に採用した。つまり、真珠湾には使用可能な巡洋艦、駆逐艦が残っていたが、それらを空母部隊の反撃に向かわせることはなかった。真珠湾を出航させているのは、空襲の標的になるのを避けるため、敵潜水艦を捜索するため、んっぽんぐんが敷設した(らしい)機雷を掃海(除去)するためである。よく真珠湾攻撃簿に、米国も空母中心の艦隊運用をするようになったといわれるが、真珠湾攻撃の最中にそうなっているのである。