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◆スーパーマリン(Supermarine)ウォーラス(Walrus)水陸両用飛行艇
写真(上)1941年2月10-11日,オーストラリア東岸、シドニー港、オーストラリア海軍リアンダー級軽巡洋艦「シドニー」(HMAS Sydney)のカタパルト上に搭載されたスーパーマリン(Supermarine)ウォーラス(Walrus)水陸両用飛行艇
;軽巡「シドニー」は、満載排水量 7,270トン、全長 554 ft (169 m)、全幅 55 ft (17 m) 、最高速力32.5ノット、乗員:570名、兵装15.2 cm(50口径)連装砲4基8門、10.2 cm(45口径)単装高角砲4基4門、53.3 cm四連装魚雷発射管2基8門、射出用カタパルト:1基。 アメリカのシコルスキーS-38水陸両用飛行艇は、1928年5月25日に初飛行、ウォーラスと同クラスだが、民間機として100機量産された。
The Australian Leander class light cruiser HMAS Sydney coming alongside at Circular Quay in Sydney Harbour Date 10 February 1941 Source Image scanned from "Montgomery, Michael (1981). Who Sank The Sydney?, p. 123. The original photograph was first published in The Sydney Morning Herald on 10 or 11 February 1941
写真はWikimedia Commons, Category:Supermarine Walrus File:HMAS Sydney at Circular Quay.jpg引用。



写真(上)1938年頃,イギリス、水上滑走するニュージーランド海軍軽巡洋艦「リアンダー」(HMNZS Leander)艦載機のスーパーマリン(Supermarine)ウォーラス(Walrus)水陸両用飛行艇
;;起工 1930年9月8日、進水 1931年9月24日、就役 1933年3月24日、満載排水量 7,270トン、全長 554 ft (169 m)、全幅 55 ft (17 m) 、最高速力32.5ノット、乗員:570名、兵装15.2 cm(50口径)連装砲4基8門、10.2 cm(45口径)単装高角砲4基4門、53.3 cm四連装魚雷発射管2基8門、射出用カタパルト:1基。
Supermarine Walrus (serial K5783) from HMNZS Leander Date Taken in around 1938 (this plane was lost due to accident in July 1939) Source This image is available from the Our Collections of the State Library of Victoria under the Accession Number: H91.108/2374
写真はWikimedia Commons, Category:Supermarine Walrus  File:Supermarine Walrus SLV AllanGreen.jpg引用。



写真(上)2017年2月,イギリス南部、ロンドン(London)郊外ヘンドン(Hendon)、イギリス空軍博物館(RAF Museum )に保管されているイギリス海軍スーパーマリン(Supermarine)ウォーラス(Walrus)I 水陸両用飛行艇
;オーストラリア海軍巡洋艦「オーストラリア」(HMAS Australia)に搭載されていた機体。
Supermarine Seagull V (RAAF version of Walrus I) at the RAF Museum, Hendon, 09/80. This aircraft served on board HMAS Australia, HMAS Sydney and HMAS Perth (all cruisers). Scanned slide taken with a Canon AE-1 Program. Date 17 February 2017, 15:30 Source Supermarine Seagull V/Walrus I Author Hugh Llewelyn from Keynsham, UK
写真はWikimedia Commons, Category:Supermarine Walrus  File:Supermarine Seagull V Walrus I (32828725831).jpg引用。

1.イギリスのスーパーマリン(Supermarine)ウォーラス(Walrus)水陸両用飛行艇

スーパーマリン(Supermarine)ウォーラス(Walrus)Mark.I 飛行艇は、本来、冒険飛行用にカタパルトから射出可能な水陸両用飛行艇として設計され、当初はシーガル(Seagull)Vと呼ばれていた。

写真(右)1933-1939年頃、イギリス、イギリス海軍巡洋艦「ヨーク」(HMS York)搭載のスーパーマリン(Supermarine)ウォーラス(Walrus:セイウチ)水陸両用飛行艇(K8341);1933年6月21日初飛行。740機が生産された。
AWM caption : Richmond, NSW. c. 1938. Supermarine Seagull V (Walrus) amphibian aircraft of No. 5 (Fleet Cooperation) Squadron RAAF lined up for inspection on the tarmac in front of the Squadron's hangar at RAAF Base Richmond. Note the squadron pilots in front of the aircraft with maintenance personnel standing under the wings of the aircraft. Aircraft serial numbers A2-2 and A2-5 are at the far end of the line. Date circa 1938 Collection Database of the Australian War Memorial under the ID Number: 044441
写真はflicker, San Diego Air and Space Museum Archive >AL61A-419 Supermarine Walrus K8341 off HMS York引用。


スーパーマリン(Supermarine)シーガル(Seagull)Vの試作機(K4797)は、1933年6月21日に初飛行したが、これはオーストラリア政府が「シーガル(Seagull)V」の名称で発注したものである。オーストラリア空軍(RAAF)は1935年にシーガル(Seagull)V 飛行艇を制式した。その後、このシーガル(Seagull)V飛行艇は、イギリス海軍艦隊航空隊(FAA)、イギリス空軍(RAF)、ニュージーランド空軍(Royal New Zealand Air Force) 、ニュージーランド海軍(RNZN)が制式し、1936-1944年に740機が量産された。

オーストラリア空軍(RAAF)が1935年に制式したシーガル(Seagull)V 飛行艇を、イギリス海軍艦隊航空隊Fleet Air Arm:FAA)第702飛行隊が、40.6cm45口径三連装砲塔3基搭載のネルソン(Nelson)級戦艦の艦載機として試験的に使用した。その結果、イギリス空軍もシーガル(Seagull)V 飛行艇を1935年8月に制式した。


写真(右)1941-1940年以前,イギリス、水上滑走中のイギリス空軍スーパーマリン(Supermarine)ウォーラス(Walrus)水陸両用飛行艇
;アメリカのシコルスキーS-38水陸両用飛行艇は、1928年5月25日に初飛行、ウォーラスと同クラスだが、民間機として100機が量産された。
Supermarine Walrus fleet reconnaissance amphibious airplane, 1935 Photograph published in: Aircraft of the Fighting Powers, Vol. I Ed: H. J. Cooper, O. G. Thetford and D. A. Russell Harborough Publishing Co., Leicester, England 1940. Picture prepared for Wikipedia by Keith Edkins in April 2004.
写真はWikimedia Commons, Category:Supermarine Walrus File:HMAS Sydney at Circular Quay.jpg引用。


1935年5月にイギリス航空省は第1回契約として、12機のスーパーマリン(Supermarine)ウォーラス(Walrus)Mark.I水陸両用飛行艇を発注している。搭載した発動機はブリストル(Bristol)ペガサス(Pegasus)IIM2 空冷9気筒エンジン620 HP1基で、多くがイギリス海軍艦隊航空隊Fleet Air Arm :FAA)に配備された。


写真(右)1938年,オーストラリア東部、ニューサウスウェールズ(NSW)州、シドニー西郊外、リッチモンド(Richmond)、オーストラリア空軍第5飛行隊スーパーマリン(Supermarine)ウォーラス(Walrus)水陸両用飛行艇の戦列

AWM caption : Richmond, NSW. c. 1938. Supermarine Seagull V (Walrus) amphibian aircraft of No. 5 (Fleet Cooperation) Squadron RAAF lined up for inspection on the tarmac in front of the Squadron's hangar at RAAF Base Richmond. Note the squadron pilots in front of the aircraft with maintenance personnel standing under the wings of the aircraft. Aircraft serial numbers A2-2 and A2-5 are at the far end of the line. Date circa 1938.Collection Database of the Australian War Memorial under the ID Number: 044441
写真はWikimedia Commons, Category:Supermarine Walrus File:5 Squadron RAAF Seagulls at Richmond 1938 AWM 044441.jpg引用。


オーストラリアの発注したシーガルV飛行艇は、イギリス海軍でウォーラス(Walrus)飛行艇の名称で、1935年に戦艦「レナウン」「ネルソン」の艦載機、航空母艦「カレジアス」の艦上機として、第444飛行艇に配属され実用審査がなされた。1936年7月には、カタパルト射出のイギリス艦隊航空隊は700番台の飛行隊に再編成されたが、当時の艦載水上機主力は、Fairey Swordfish I)複葉雷撃機を双フロート(浮舟)化した水上機仕様だった。

フェアリー ソードフィッシュ IFairey Swordfish I)複葉雷撃機の試作初号機(K4190)は、1934年4月14日初飛行で、この水上機仕様は、1934年11月10日初飛行で、戦艦「レパルス」(HMS Repulse) でカタパルト射出試験を実施している。

イギリス海軍艦隊飛行隊(FAA)部隊が初めてフェアリー ソードフィッシュ IFairey Swordfish I)雷撃機を配備したのは、1936年7月の空母「グローリアス」 (HMS Glorious, 77)搭載の 第825飛行隊で、1939年9月の第二次世界大戦勃発時点では、イギリス海軍の空母「アークロイヤル」「グローリアス」など5隻に搭載されていた。

イギリス艦隊航空隊は700番台の飛行隊が再編成され、主力艦載機は、当初の水上機仕様ソードフィッシュ 次いでフェアリー シーフォックス(Fairey Seafox)水上機から、スーパーマリン(Supermarine)ウォーラス(Walrus)水陸両用飛行艇に改編された。その結果、1940年4月18日時点でのイギリス海軍艦隊飛行隊(FAA)第700番台飛行隊の艦載機65機のうち42機(64.6%)がウォーラス(Walrus)複葉飛行艇、12機がフェアリー・ソードフィッシュ(Fairey Swordfish)複葉水上機11機がフェアリー・シーフォックス(Fairey Seafox)複葉水上機だった。この1940年当時、艦載機の任務は、偵察・弾着観測、対潜哨戒で、海上救難は後に重視されるようになる。

折畳み主翼、複葉、単発、水陸両用という特徴を活かして、スーパーマリン(Supermarine)ウォーラス(Walrus)飛行艇は、第二次世界大戦直前に、イギリス海軍巡洋艦・戦艦の艦載機として偵察・弾着観測に使用され、航空母艦の艦上機として対潜哨戒に使用された。しかし、戦局が好転した1943年末からは、巡洋艦・戦艦のための艦載機の任務はなくなり、搭載されなくなった。変わって、陸上飛行場、一部は航空母艦の艦上機として、海上救難機としての任務について、第二次世界大戦終戦まで運用され続けている。

イギリス空軍(RAF)は、1941年末から、海上救難用にスーパーマリン(Supermarine)ウォーラス(Walrus)Mark.I水陸両用飛行艇をイギリス南東部バーチャム・ニュートン(Bircham Newton)基地の第276飛行隊に配備した。

写真(右)1937年7月17日、オーストラリア東岸、クイーンズランド(Queensland)州ブリスベーン(Brisbane)、オーストラリア海軍重巡洋艦「オーストラリア」(HMAS Australia, D84)のカタパルトに搭載されたスーパーマリン(Supermarine)ウォーラス(Walrus:セイウチ)水陸両用飛行艇
County-class heavy cruiser HMAS Australia (D84) in Brisbane, 17 July 1937 Date 17 July 1937 Source Item is held by John Oxley Library, State Library of Queensland. Author Contributor(s): Truth (Brisbane, Qld.)
写真はWikimedia Commons, Category:Supermarine Walrus >File:StateLibQld 1 106204 Australia (ship).jpg引用。


オーストラリア海軍重巡洋艦「オーストラリア」(HMAS Australia, D84) の諸元
起工 1925年8月26日
進水 1927年3月17日
就役 1928年4月24日
退役 1954年8月31日
基準排水量:9,850トン
全長:192.02m 全幅:20.8m
アームストロング Mark VIII 20.3cm(50口径)連装砲4基8門
アームストロング Mark V 10.2cm(45口径)単装高角砲4基4門
53.3cm水上魚雷発射管四連装2基
艦載機:スーパーマリン(Supermarine)ウォーラス(Walrus)Mark.I水陸両用飛行艇1機

写真(右)1936年、ニュージーランド北島、オークランド(Auckland)郊外、ホブソンビル(Hobsonville)空軍基地、ニュージーランド空軍(RNZAF)がイギリスから購入したた2機のスーパーマリン(Supermarine)ウォーラス(Walrus:セイウチ)水陸両用飛行艇;飛行艇だが、陸上運用できるようにゴム主輪の付いた引き込み脚を装備している。
Two Walrus seaplanes on the land, Hobsonville, Royal New Zealand Air Force air sales Date 1936 Ref WA-21557-G Description Photograph taken by Leo White
写真は Te Kāwanatanga, National Library New Zealand > WA-21557-G引用。


スーパーマリン(Supermarine)ウォーラス(Walrus)水陸両用飛行艇は、航空省が1935年5月に増加試作機12機を発注し、1936年以降に、スーパーマリン社で287機が生産された。その後、スーパーマリン社は、ウォーラス(Walrus)の生産を中止し、スピットファイア戦闘機の生産に集中したため、かわって、 イギリス海軍艦隊航空隊Fleet Air Arm :FAA)のほか、ソ連海軍、アルゼンチン海軍、オーストラリア空軍、カナダ海軍、ニュージーランド空軍(Royal New Zealand Air Force) 、アイルランド空軍、イギリス空軍でも使用された。

写真(右)1936年、ニュージーランド北島、オークランド(Auckland)近海を滑走するニュージーランド空軍(RNZAF)スーパーマリン(Supermarine)ウォーラス(Walrus:セイウチ)水陸両用飛行艇;陸上運用のゴム主輪の付いた引き込み脚を装備しているので、水陸両用飛行艇として、陸上基地で多用された。
Walrus seaplane landing on the sea, Hobsonville, Royal New Zealand Air Force air sales Date 1936 Ref WA-21556-G Description Photograph taken by Leo White
写真は Te Kāwanatanga, National Library New Zealand > WA-21556-G引用。


1936年、ニュージーランド王室海軍リアンダー級軽巡洋艦「アキリーズ」(HMNZ Achilles)のカタパルトをE-II-H型に換装して、オスプレー(Osprey)IV水上機に替わって、ウォーラス飛行艇を搭載した。オスプレー(Osprey)IV 水上機は、1930年夏初飛行のホーカー・ハート(Hawker Hart)複座軽爆撃機の水上機仕様で、1932年に導入され、1935年10月までに129機が引き渡された。

写真(右)1936-1940年頃、イギリス、イギリス空軍沿岸航空隊(Coastal Command Cooperation Flight)フェアリー ソードフィッシュ I(Fairey Swordfish Mk 1)複葉水上機(K8430);ソードフィッシュ Iの初飛行は1934年4月17日、就役は1936年から1945年のドイツ敗戦まで、生産機数2400機。
Fairey Manufacturer: Fairey Official Nickname: Swordfish Repository: San Diego Air and Space Museum Archive
写真はSmugMug+Flickr, San Diego Air and Space Museum Archive >Catalog #: 00078957引用。


フェアリー ソードフィッシュ IFairey Swordfish I)複葉雷撃機の試作初号機(K4190)は、1934年4月14日初飛行で、この水上機仕様は、1934年11月10日初飛行で、戦艦「レパルス」(HMS Repulse) でカタパルト射出試験を実施している。

イギリス海軍艦隊飛行隊(FAA)部隊が初めてフェアリー ソードフィッシュ IFairey Swordfish I)雷撃機を配備したのは、1936年7月の空母「グローリアス」 (HMS Glorious, 77)搭載の 第825飛行隊で、1939年9月の第二次世界大戦勃発時点では、イギリス海軍の空母「アークロイヤル」「グローリアス」など5隻に搭載されていた。

写真(右)1941年10月、イギリス、イギリス海軍クイーン・エリザベス級戦艦5番艦「マラヤ」(HMS Malaya) のカタパルトに引き上げられるイギリス海軍艦隊航空隊(FAA)フェアリー ソードフィッシュ I(Fairey Swordfish I)複葉水上機;1941年後半に、地中海方面のH部隊(Force H)旗艦としてジブラルタル港を拠点に、船団護衛に当たった。特に、イタリア軍とドイツ軍の北アフリカ補給航路上にあったイギリス領マルタ島への強行輸送作戦に活躍した。
English: A Fairey Swordfish being hoisted aboard HMS MALAYA, October 1941. A 5694 from the collections of the Imperial War Museums. Flag of the United Kingdom.svg Author Parnall, C H (Lt), Royal Navy official photographer
写真はWikimedia Commons, Supermarine Walrus >File:A Fairey Swordfish being hoisted aboard HMS MALAYA, October 1941. A5694.jpg引用。


HMS Malaya イギリス海軍クイーン・エリザベス級戦艦5番艦「マラヤ」(HMS Malaya)の諸元
起工 1913年10月20日、進水 1915年3月18日、就役 1916年2月1日
基準排水量 3万1,465t
全長 645 ft 9 in (195.3 m) 全幅 90 ft 6 in (27.6 m) 吃水 29 ft 10 in (9.1 m)
機関 2組4軸 75,000hp
最高速力 25ノット
航続距離 4,400マイル
乗員 1,124 - 1,300名
兵装: 38.1cm42口径MkI連装砲4基8門、15.2cm45口径MkII単装砲 12基、10.2cm45口径MkXVI連装高角砲 4基8門
2ポンド8連装ポンポン砲 2基、12.7?4連装機銃 4基
カタパルト 1基、艦載機 3機

写真(右)1936-1940年頃、イギリス、イギリス空軍沿岸航空隊(Coastal Command Cooperation Flight)フェアリー・シーフォックス(Fairey Seafox)複葉水上機(K4305);フェアリー・シーフォックスの初飛行は1936年5月27日、就役は1937年から1943年まで、生産機数66機。全長:10.82 m、全幅:12.2 m、全高:3.68 m、全備重量:2,455 kg、発動機:ネピア レイピア6 液冷エンジン395 hp1基、最高速力:200 km/h、実用上限高度:3,560 m、航続距離:710 km、兵装:7.7mm機銃1挺、乗員 2名。
Fairey Seafox K4305 Title: Fairey Seafox K4305 Year : 1936-1943 Collection: Miles Blaine Collection Repository : San Diego Air and Space Museum Archive
写真はSmugMug+Flickr, San Diego Air and Space Museum Archive >SDASM CATALOG #: Blaine_00330引用。


イギリス海軍艦隊航空隊(Fleet Air Arm : FAA)の艦載水上機部隊は700番台の飛行隊に再編成され、当初の水上機仕様ソードフィッシュ次いで、フェアリー・シーフォックスFairey Seafox)から、スーパーマリン(Supermarine)ウォーラス(Walrus)水陸両用飛行艇に改編された。その結果、1940年4月18日時点でのイギリス海軍艦隊飛行隊(FAA)第700番台飛行隊の艦載機65機のうち42機(64.6%)がウォーラス(Walrus)複葉飛行艇、12機がフェアリー・ソードフィッシュ(Fairey Swordfish)複葉水上機11機がフェアリー・シーフォックス(Fairey Seafox)複葉水上機だった。この1940年当時、艦載機の任務は、偵察・弾着観測、対潜哨戒で、海上救難は後に重視されるようになる。

写真(右)1936年、ニュージーランド北島、オークランド(Auckland)近郊を飛行するニュージーランド空軍(RNZAF)スーパーマリン(Supermarine)ウォーラス(Walrus:セイウチ)水陸両用飛行艇;飛行艇だが、陸上運用できるようにゴム主輪の付いた引き込み脚を装備している。
Walrus seaplane K5774, Hobsonville, Royal New Zealand Air Force air sales Date 1936 Ref WA-21558-G Description Photograph taken by Leo White
写真は Te Kāwanatanga, National Library New Zealand > WA-21558-G引用。


イギリス海軍リアンダー級軽巡洋艦「アキリーズ」(HMS Achilles)は、キャメルレアード社バーケンヘッド造船所で1931年6月11日に起工、1932年9月1日に進水、1933年10月10日に就役した。その後、イギリス連邦自治領ドミニオン用にリアンダー級軽巡洋艦、パース級軽巡洋艦が貸与されたが、ニュージーランド海軍には、リアンダー級軽巡洋艦1番艦「リアンダー 」(HMS Leander)と同級軽巡洋艦「アキリーズ」(HMS Achilles)の2隻が貸与され、ニュージーランド王室海軍(MNZ:Royal New Zealand Navy))艦艇として就役した。

写真(右)1936年、ニュージーランド北島、オークランド(Auckland)近郊(?)、ニュージーランド海軍軽巡洋艦「アキリーズ」(HMNZS Achilles) 搭載のスーパーマリン(Supermarine)ウォーラス(Walrus:セイウチ)水陸両用飛行艇(K5774);元イギリス海軍リアンダー級軽巡洋艦「アキリーズ」(HMS Achilles)がニュージーランドの大戦前に貸与された。ウォーラス飛行艇には、陸上でも使用できるようにゴム主輪の付いた引き込み脚が装備されている。
Supermarine Walrus seaplane from HMS Achilles Ref 1/4-028885-G Part of The Dominion :Negatives Format 1 b&w original negative(s), Negatives, Orientation: Horizontal image
写真は Te Kāwanatanga, National Library New Zealand > Ref 1/4-028885-G引用。


1939年9月3日、イギリスがドイツに宣戦布告し、第二次世界大戦が本格化すると、ニュージーランド海軍軽巡洋艦「アキリーズ」(HMNZS Achilles)は、南米チリ、サンチアゴ郊外バルパライソ港に配備された。そして、マゼラン海峡経由で、イギリス領フォークランド諸島ポート・スタンリーを基地とする南大西洋艦隊に配備され、1939年12月には、僚艦とともに、ウルグアイ沖ラプラタ川河口沖で、ドイツ海軍ポケット戦艦「シュペー」(Die Admiral Graf Spee)捕捉作戦に参加した。

写真(右)1938年8月、アメリカ西海岸、サンフランシスコ、イギリス海軍重巡洋艦「ヨーク」(HMS York)搭載のカタパルトに搭載されたスーパーマリン(Supermarine)ウォーラス(Walrus)水陸両用飛行艇;主翼を後方に折り畳んだ状態でカタパルトに搭載されている。飛行艇として、海面での離着水が可能で、かつゴム主輪式引込み式降着装置を備えているので陸上でも運用可能だった。
San Francisco August 1938. Note the top left wing bashed in by hitting the side of the ship while swinging back and forth on the crane. This was common on the pre-war catapult aircraft from retrieval at sea when the ship was rolling back and forth. Date 3 August 2010, 16:16 Source Supermarine Walrus K8341on the HMS York Author Bill Larkins
写真はWikimedia Commons, Category:Supermarine Walrus >File:Supermarine Walrus K8341on the HMS York (4926980540).jpg引用。


スーパーマリン(Supermarine)ウォーラス(Walrus)水陸両用飛行艇は、イギリス艦隊航空隊Fleet Air Arm : FAA)艦載機としても使用できるように、巡洋艦に搭載するのに便利なように、主翼を後方に後ろに折り畳むことができる。

イギリス海軍重巡洋艦「ヨーク」(HMS York)は、起工1927年5月18日、進水1928年7月17日、就役1930年5月1日、基準排水量8,250トン、全長575 ft (175.25 m)、全幅57 ft (17.58 m)最高速力32.25ノット、乗員623名。兵装は、主砲兵装 6インチ(20.3 cm)連装砲3基6門、4インチ (102 mm)単装速射砲4門(高角砲兼用)、21インチ(533 mm)魚雷発射管6門。 艦載機:スーパーマリン(Supermarine)ウォーラス(Walrus:セイウチ)1機。ただし、1939年に撤去。


写真(右)1933-1939年、イギリス、オーストラリア海軍軽巡洋艦「ホバート」(HMAS Hobart)のカタパルトに搭載されたスーパーマリン(Supermarine)ウォーラス(Walrus)水陸両用飛行艇

HMAS Hobart (incorrectly identified as HMAS Sydney) Date 1930s Source State Library of Victoria [1] (cropped, improved contrast, removed background noises) Author Allan C. Green 1878 - 1954 State Library of Victoria request acknowledgement of the work's creator and the source of the work (State Library of Victoria). Australian Copyright Council (ACC), ACC Information Sheet G023v17 (Duration of copyright) (August 2014).3.
写真はWikimedia Commons, Category:Supermarine Walrus File:HMAS Hobart SLV AllanGreen1.jpg引用。


ウォーラス(Walrus) イギリス空軍(RAF)及びイギリス海軍艦隊飛行隊(FAA)のスーパーマリン(Supermarine)ウォーラス(Walrus)水陸両用単発複葉飛行艇は、
1)後方に折り畳み可能な主翼
2)複葉による主翼面積確保と翼面荷重の減少
3)ブリストル(Bristol)ペガサス(Pegasus)IIM2 空冷9気筒エンジン620 HP1基装備による軽量化
4)飛行艇でありながら陸上用ゴム主輪引き込み脚装備による水陸両用性
という特徴があった。そのため、イギリス海軍艦隊飛行隊(FAA)の制式として、巡洋艦・戦艦の偵察用・弾着観測用の艦載機、航空母艦の艦上機として配備された。ただし、ウォーラス(Walrus)水陸両用単発複葉飛行艇の用途は、第二次世界大戦初期まで初期は偵察機・弾着観測機、対潜哨戒機だったが、1943年末からは艦載機としては使用されなくなった。そして、陸上飛行場や航空母艦で、海上救難機として活躍し、第二次世界大戦末期まで就役し続けた。

写真(右)1936-1939年頃、イギリス海軍ヨーク級重巡洋艦2番艦「エクゼター」(HMS Exeter)のカタパルトに搭載された2機のスーパーマリン(Supermarine)ウォーラス(Walrus:セイウチ)水陸両用飛行艇;主翼を後方に折り畳むことができるので、飛行艇でも狭い艦上でも運用することができた。
Royal Navy Supermarine Walrus flying boats aboard the heavy cruiser HMS Exeter (68), in the 1930s. Date 1930s Source Official U.S. Navy photo NH 60809 from the U.S. Navy Naval History and Heritage Command Author U.S. Navy
写真はWikimedia Commons, Category:Supermarine Walrus >File:Supermarine Walrus abaord HMS Exeter (68) in the 1930s.jpg引用。


イギリス海軍ヨーク級重巡洋艦2番艦「エクゼター」(HMS Exeter)の諸元
起工 1928年8月1日
進水 1929年7月18日
就役 1931年7月27日
撃沈 1942年3月1日スラバヤ沖海戦
基準排水量 :8,390トン、満載排水量:10,410トン
全長 175.25m(p/p:575ft)、水線長 164.6m(p/p:540 ft)
全幅 17.67m(58 ft)、吃水 6.17m(17 ft)
最高速力 32.5ノット
航続性能 14ノット/10,000マイル
乗員 620名
兵装 Mark VIII 20.3 cm(50口径)Mk.II 連装砲3基6門
Mk.V 10.2 cm(45口径)単装高角砲4基4門
53.3 cm(21インチ)三連装魚雷発射管2基6門
搭載機:スーパーマリン(Supermarine)ウォーラス(Walrus)Mark.I水陸両用飛行艇 2機、カタパルト2基

写真(右)1939年頃、イギリス海軍タウン級軽巡洋艦「シェフィールド」 (HMS Sheffield, C24) に接近する艦載機のスーパーマリン(Supermarine)ウォーラス(Walrus:セイウチ)水陸両用飛行艇
THE ROYAL NAVY DURING THE SECOND WORLD WAR: A Supermarine Walrus amphibious aircraft waits to be hoisted on board HMS SHEFFIELD after a flight. One of the crew members is sat on the top wing of the aircraft whilst another is hanging out of the side of the cockpit holding a rope that has been passed to them. Creator Beadell, S J (Lt) Royal Navy official photographerp
写真は, Imperial War Museums > IWM A 4053引用。


イギリス海軍タウン級軽巡洋艦「シェフィールド」 (HMS Sheffield, C24) の諸元
起工 1935年1月31日
進水 1936年7月23日
就役 1937年8月25日
建造所 ヴィッカース・アームストロング社
基準排水量 9,100 トン
満載排水量 1万1,350 トン
全長 558 ft (170 m)
全幅 61 ft 8 in (18.80 m)
最高速力 32ノット (59 km/h)
航続距離 5,500マイル (10,200 km)/15ノット(28km/h)
乗員 748 名
兵装 BL 6インチ(15.2cm) Mk XXIII三連装砲4基12門
QF 4インチ(10.2cm) Mk XVII連装高角砲 4基8門
QF 2ポンド (40mm) 四連装ポンポン速射砲2基8門
21インチ(53.3cm) 三連装水上魚雷発射管2基6門
搭載機 スーパーマリン(Supermarine)ウォーラス(Walrus)飛行艇 3機


写真(右)1940年,オーストラリア海軍リアンダー級軽巡洋艦「シドニー」(HMAS Sydney)のカタパルト上に搭載されたスーパーマリン(Supermarine)ウォーラス(Walrus)水陸両用飛行艇
;軽巡「シドニー」は、満載排水量 7,270トン、全長 554 ft (169 m)、全幅 55 ft (17 m) 、最高速力32.5ノット、乗員:570名、兵装15.2 cm(50口径)連装砲4基8門、10.2 cm(45口径)単装高角砲4基4門、53.3 cm四連装魚雷発射管2基8門、射出用カタパルト:1基。
AWM Caption: Aerial starboard bow view of the cruiser HMAS Sydney (II) (ex HMS Phaeton). Note the spar projecting forward of the bridge and single 4-inch AA guns amidships, which distinguished the Sydney from her two sisters. Her Seagull Amphibian is embarked. Date 1940 Collection Database of the Australian War Memorial under the ID Number: 301473
写真はWikimedia Commons, Category:Supermarine Walrus File:HMAS Sydney (AWM 301473).jpg引用。


オーストラリア海軍リアンダー級軽巡洋艦「シドニー」(HMAS Sydney)は、満載排水量 7,270トン、全長 554 ft (169 m)、全幅 55 ft (17 m) 、最高速力32.5ノット、乗員:570名、兵装15.2 cm(50口径)連装砲4基8門、10.2 cm(45口径)単装高角砲4基4門、53.3 cm四連装魚雷発射管2基8門、スーパーマリン(Supermarine)ウォーラス(Walrus)Mark.I 飛行艇射出用カタパルト:1基。

写真(右)1933-1939年頃、オーストラリア海軍軽巡洋艦「ホバート」(HMAS Hobart)のカタパルトに搭載されたスーパーマリン(Supermarine)ウォーラス(Walrus:セイウチ)水陸両用飛行艇(A2-7);飛行艇として、海面での離着水が可能でありながら、陸上運用できるようにゴム主輪式引込み式降着装置を備えた水陸両用性が特徴である。
A Supermarine Seagull V amphibian aircraft, serial number A2-7, of No. 9 (Fleet Cooperation) Squadron RAAF embarked on the modified Leander class cruiser HMAS Hobart of the RAN being positioned on the catapult fitted to the ship and used for launching the aircraft. 1939. Australian War Memorial under the ID Number: 044443
写真はWikimedia Commons, Category:Supermarine Walrus >File:9 Sqn (AWM 044443).jpg引用。


オーストラリア海軍軽巡洋艦「ホバート」(HMAS Hobart)は、起工1933年8月15日、進水1934年10月9日、就役1936年1月13日、基準排水量7,105トン、最高速力32.5ノット、乗員570名。兵装は、主砲兵装:6インチ(152 mm)連装砲4基8門、4インチ (102 mm)単装速射砲8門(高角砲兼用)、21インチ(533 mm)魚雷発射管8門。 艦載機:スーパーマリン(Supermarine)ウォーラス(Walrus)飛行艇1機。

写真(右)1939-1943年頃、イギリス海軍軽巡洋艦「モーリシャス」 (HMS Mauritius) のカタパルトから射出準備のなったイギリス海軍艦隊航空隊(FAA)のスーパーマリン(Supermarine)ウォーラス(Walrus:セイウチ)水陸両用飛行艇
English: The Royal Navy during the Second World War A Supermarine Walrus amphibious aircraft at the end of its catapult, about to be launched from HMS MAURITIUS. Date between 1939 and 1945 Part of Admiralty Official Collection Subjects Associated people and organisations Royal Navy, MAURITIUS (HMS)
写真はWikimedia Commons, Imperial War Museums >File:The Royal Navy during the Second World War A9272.jpg引用。


イギリス海軍軽巡洋艦「モーリシャス」 (HMS Mauritius)は、起工1938年3月31日、進水1939年7月19日、就役1941年1月4日、全長169.3 m (555.5 ft)、全幅18.9 m (62 ft)、基準排水量8,530トン、最高速力33ノット、乗員907名。兵装は、主砲兵装6インチ(152 mm)三装砲4基12門、4インチ (102 mm)単装速射砲4門(高角砲兼用)、21インチ(533 mm)魚雷発射管三連装9門。艦載機:スーパーマリン(Supermarine)ウォーラス(Walrus:セイウチ)飛行艇1機。ただし、1943年に撤去。

写真(右)1939年頃、イギリス海軍軽巡洋艦「モーリシャス」 (HMS Mauritius) のカタパルトに搭載されたスーパーマリン(Supermarine)ウォーラス(Walrus:セイウチ)水陸両用飛行艇
THE ROYAL NAVY DURING THE SECOND WORLD WAR: A Supermarine Walrus aircraft being catapulted from HMS MAURITIUS. Subjects Creator Mason, H A (Lt) Royal Navy official photograp
写真は, Imperial War Museums > IWM A 9271引用。


西アフリカ、イギリス植民地シエラレオネ(Sierra Leone)の首都フリータウン(Freetown)に配備されていたイギリス海軍艦隊航空隊Fleet Air Arm :FAA)第710飛行隊所属のウォーラス(Walrus)水陸両用飛行艇は、1939年9月に第2次世界大戦が勃発した直後から、ドイツ海軍の武装商船や潜水艦による通商破壊活動を捜索する哨戒任務に就いている。

写真(右)1939年頃、イギリス、イギリス海軍ネルソン級戦艦「ロドネー」(HMS Rodney) のカタパルトにデリックで搭載されるスーパーマリン(Supermarine)ウォーラス(Walrus:セイウチ)水陸両用飛行艇;後方には、戦艦の艦橋が見える。飛行艇には、搭乗員2名が主翼上に乗っているが、これはデリックの鍵をワイヤーに掛けるためである。デリックによって、海上から主砲塔上にあるカタパルトに移される。
From a fascinating set of World War II photos, mainly medium format transparencies and some negatives. See set description for more information. Source Supermarine Walrus being hoisted onto HMS RODNEY Author whatsthatpicture from Hanwell, London, UK
Author Coote, R G G (Lt), Royal Navy official photographer 写真はWikimedia Commons, Category:Supermarine Walrus >File:HMS Rodney Aircraft.jpg引用。


写真(右)1939年頃、イギリス、イギリス海軍ネルソン級戦艦「ロドネー」(HMS Rodney) のカタパルトにデリックで搭載されるスーパーマリン(Supermarine)ウォーラス(Walrus:セイウチ)水陸両用飛行艇;後方には、戦艦「ロドネー」艦橋が見える。前部甲板40.6cm45口径MkI三連装三番砲塔上にカタパルトが設置されている。
From a fascinating set of World War II photos, mainly medium format transparencies and some negatives. See set description for more information. Source Supermarine Walrus being hoisted onto HMS RODNEY Author whatsthatpicture from Hanwell, London, UK
写真はWikimedia Commons, Category:Supermarine Walrus >File:The Royal Navy during the Second World War A9272.jpg引用。


ウォーラス(Walrus)Mark.I 飛行艇は、1933年6月21日に試作機(K4797)が初飛行し、スーパーマリン(Supermarine)社製で、金属製胴体、橇式尾輪、巡洋艦・戦艦からカタパルト射出する艦載機として主に使用された。生産は1936-1940年に287機で、全機740機の39%を占める。

写真(右)1939年頃、イギリス、イギリス海軍ネルソン級戦艦「ロドネー」(HMS Rodney) の前部40.6cm45口径MkI三連装三番砲塔上カタパルトに搭載されたイギリス艦隊航空隊スーパーマリン(Supermarine)ウォーラス(Walrus)水陸両用飛行艇;後方には、戦艦の艦橋が前方が、主砲塔上にカタパルトが設置されている。
The Royal Navy during the Second World War "Clear lower deck" on board HMS RODNEY. As many of the ship's company as can leave their work to gather on the upper deck to listen to a special message from their captain. Among other things he is telling them that their ship has been adopted by the London Bankers. Note the Supermarine Walrus aircraft on top of one of the battleships 15 inch gun turrets. Date between 1939 and 1945 This is photograph A 15468 from the collections of the Imperial War Museums. Author Coote, R G G (Lt), Royal Navy official photographer
写真はWikimedia Commons, Category:Supermarine Walrus >File:The Royal Navy during the Second World War A15468.jpg引用。


イギリス海軍戦艦「ロドネー」(HMS RODNEY)は、起工1922年12月28日、進水1925年12月17日、就役1927年11月10日、全長710 ft (216.5 m)、全幅106 ft (32.3 m))、基準排水量3万3,950トン、最高速力23.8 ノット、乗員1,640名。兵装は、主砲兵装40.6cm45口径MkI三連装砲 3基、15.2cm50口径MkXXII連装砲 6基12門、10.2cm45口径MkXIV連装高角砲 4基8門。艦載機:スーパーマリン(Supermarine)ウォーラス(Walrus)1機。ただし、1943年に撤去。

写真(右)1941年5月、イギリス、イギリス海軍ケント級重巡洋艦「サフォーク」 (HMS Suffolk, 55) カタパルト甲板にデリックで引き揚げられている艦隊航空隊所属のスーパーマリン(Supermarine)ウォーラス(Walrus:セイウチ)水陸両用飛行艇;推進式4翅プロぺラが回転している。機首にある銃座とコックピット天井から搭乗員が上半身を出して作業を観察している。帰還した飛行艇が、缶の脇に着水して、艦上デリックによって、海上からカタパルト甲板に移されている。
THE ROYAL NAVY DURING THE SECOND WORLD WAR. The Supermarine Walrus aircraft of HMS SUFFOLK being lowered into the water during the chase of the German battleship BISMARCK, which SUFFOLK spotted and shadowed. One of the aircraft's crew can be seen stood in the hatch at its front whilst two others can be seen in the cockpit..
Creator: Coote, R G G (Lt) Royal Navy official photographer
写真は, Imperial War Museums > IWM A 4301引用。


写真(右)1941年5月、イギリス、イギリス海軍ケント級重巡洋艦「サフォーク」 (HMS Suffolk, 55)カタパルト甲板にある飛行機格納庫に収納された艦隊航空隊(FAA)所属のスーパーマリン(Supermarine)ウォーラス(Walrus:セイウチ)水陸両用飛行艇;帰還した飛行艇は、着水し艦のデリックによって、海上からカタパルト甲板に移される。主翼を後方に折り畳んだ状態で格納される。海面での離着水が可能な飛行艇だが、ゴム主輪式引込み脚を備えているので陸上でも運用可能だった。
THE ROYAL NAVY DURING THE SECOND WORLD WAR. Framed by the entrance of its hangar, the Supermarine Walrus amphibious aircraft of HMS SUFFOLK is out on the catapult deck receiving attention from the maintenance staff whilst the ship is on Arctic Patrol. This cruiser along with HMS NORFOLK played a crucial role in the shadowing the BISMARCK.
Creator: Coote, R G G (Lt) Royal Navy official photographer
写真は, Imperial War Museums >IWM A 4188引用。


イギリス海軍艦隊航空隊(FAA)スーパーマリン(Supermarine)ウォーラス(Walrus) 艦載飛行艇は、帰還したとき、着水し舷側に接近して、艦上のデリックによって、海上からカタパルト甲板に引き上げられる。複葉の主翼を後方に折り畳んでから、飛行格納庫に収容されるか、カタパルト上に据え付けられる。ウォーラスは、海面で離着水する飛行艇ではあるが、引込み式ゴム主輪降着装置を装備しており、陸上基地でも運用がなされた。

写真(右)1941年5月頃、イギリス、イギリス海軍キング・ジョージ5世級戦艦2番艦「プリンス・オブ・ウェールズ」(HMS Prince of Wales) カタパルト甲板にある飛行機格納庫に収納されたイギリス海軍航空隊所属のスーパーマリン(Supermarine)ウォーラス(Walrus)水陸両用飛行艇
THE ROYAL NAVY DURING THE SECOND WORLD WAR A view from inside the hangar of HMS PRINCE OF WALES showing a Supermarine Walrus aircraft on deck..
Creator: Coote, R G G (Lt) Royal Navy official photographer
写真は, Imperial War Museums > IWM A 3881引用。


写真(右)1941年5月頃、イギリス、イギリス海軍キング・ジョージ5世級戦艦2番艦「プリンス・オブ・ウェールズ」(HMS Prince of Wales) カタパルト甲板にある飛行機格納庫に引き上げられるイギリス海軍航空隊所属のスーパーマリン(Supermarine)ウォーラス(Walrus)水陸両用飛行艇;帰還した飛行艇は、着水し艦のデリックによって、海上からカタパルト甲板に移される。
HMS PRINCE OF WALES. APRIL 1941. Supermarine Walrus amphibious aircraft being hoisted from the catapult deck...
Creator: Coote, R G G (Lt) Royal Navy official photographer
写真は, Imperial War Museums >IWM A 3867引用。


1941年5月24日、イギリス海軍キング・ジョージ5世級戦艦2番艦「プリンス・オブ・ウェールズ」(HMS Prince of Wales) 巡洋戦艦「フッド 」(HMS Hood) は、ドイツ海軍新鋭戦艦「ビスマルク」 (Bismarck)、重巡洋艦「プリンツ・オイゲン」(Prinz Eugen) と、デンマーク海峡海戦を戦ったが、この時、イギリス側の艦載機は、スーパーマリン(Supermarine)ウォーラス(Walrus)飛行艇であった。

写真(右)1941年5月頃、北海、イギリス海軍キング・ジョージ5世級戦艦1番艦「キング・ジョージ5世」(HMS KING GEORGE V)にデリックでカタパルト甲板に引き上げられているイギリス海軍航空隊所属スーパーマリン(Supermarine)ウォーラス(Walrus)水陸両用飛行艇(Z);帰還した飛行艇は、艦脇に接近し艦上デリックによって、海上からカタパルト甲板に引き上げられる。
THE ROYAL NAVY DURING THE SECOND WORLD WAR Hoisting a Supermarine Walrus amphibious aircraft aboard the battleship KING GEORGE V after it had completed a patrol over Northern waters during convoy duty...Creator Davies, F A (Lt) Royal Navy officia
Creator Coote, R G G (Lt)
写真は, Imperial War Museums > IWM A 15442引用。


写真(右)1941年5月頃、イギリス、イギリス海軍キング・ジョージ5世級戦艦1番艦「キング・ジョージ5世」(HMS KING GEORGE V) カタパルト甲板に引き上げられたイギリス海軍航空隊所属のスーパーマリン(Supermarine)ウォーラス(Walrus)水陸両用飛行艇;帰還した飛行艇は、着水し艦のデリックによって、海上からカタパルト甲板に移される。
ON BOARD HMS KING GEORGE V. 1941. Ship's Supermarine Walrus aeroplane on deck...
Creator Coote, R G G (Lt)
写真は, Imperial War Museums > IWM A 3478引用。


写真(右)1942年8月、イギリス海軍キング・ジョージ5世級「ハウ」(HMS Howe, 32) の艦首を低空飛行するスーパーマリン(Supermarine)ウォーラス(Walrus:セイウチ)水陸両用飛行艇;前甲板に、35.6cm四連装砲塔、35.6cm連装砲塔が並んでいる。後甲板にも、主砲塔上にカタパルトが設置されている。1942年8月に公試が開始、11月に就役し、北極海でのソ連への軍事援助物資を運ぶ船団の護衛にあたった。1942年12月31日、バレンツ海海戦に参加。1943年5月、地中海方面へ転戦し、7月にシチリア島上陸作戦に参加。
HMS Howe. August 1942. A Supermarine Walrus from HMS Howe, 32. Date between 1939 and 1945 A 11758 from the collections of the Imperial War Museums. Author Coote, R G G (Lt)
写真はWikimedia Commons, Category:Supermarine Walrus >File:HMS Howe. August 1942. A11758.jpg引用。


キング・ジョージ5世 イギリス海軍キング・ジョージ5世級戦艦「ハウ」(HMS Howe, 32)の諸元
起工 1937年6月1日
進水 1940年4月9日
竣工 1941年3月31日
就役 1942年8月29日
基準排水量 39,150 トン
満載排水量 44,510 トン
全長 227.1 m (745 ft)、水線長 225.6 m (740 ft)
全幅 31.4 m (103 ft)
最高速力: 29.5ノット (54.6 km/h)
航続距離: 6,000マイル (11,000 km)/14ノット 兵装: 356mm Mk VII 四連装砲2基、356mm Mk VII 連装砲1基 合計10門
 133mm Mark I 高角砲(両用砲)連装砲塔8機16門

写真(右)1941年5月頃、イギリス、イギリス海軍クイーン・エリザベス級戦艦2番艦「ウォースパイト」(HMS Warspite) カタパルトから射出された瞬間のイギリス海軍航空隊所属のスーパーマリン(Supermarine)ウォーラス(Walrus)水陸両用飛行艇;飛行艇だが、カタパルト発進可能で、主翼を後方に折りたたむこともできたので、艦載機として1944年初頭まで使用された。
THE ROYAL NAVY DURING THE SECOND WORLD WAR The Supermarine Walrus amphibious aircraft from HMS WARSPITE is catapulted from the ship at the start of an anti-submarine patrol off the Seychelles. An aircraft carrier can be seen sailing in the background.
写真は, Imperial War Museums >IWM A 11027引用。


写真(右)1942年9月、イギリス、スコットランド、ノース・エアーシア(North Ayrshire)、アラン(Arran)島、オーストラリア海軍水上機母艦「ペガサス」(HMS Pegasus)のカタパルトから射出されたスーパーマリン(Supermarine)ウォーラス(Walrus:セイウチ)水陸両用飛行艇;ウォーラス飛行艇の射出速力は時速70マイルである。水上機母艦「ペガサス」は、第二線で、カタパルト射出と海上からの回収の訓練に主に使用された。
English: Catapult Training For Fleet Air Arm Pilots. HMS Pegasus, Originally Named HMS Ark Royal, Is Now USED As a Catapult Training Ship For Fleet Air Arm Personnel. Lamlash, Scotland, September 1942. A Supermarine Walrus being catapulted. It leaves the ship at about 70mph. Date between 1939 and 1945 Author Coote, R G G (Lt) IWM London Thumbnail.jpg This is photograph A 12032 from the collections of the Imperial War Museums.
写真はWikimedia Commons, Category:Supermarine Walrus >File:Catapult Training For Fleet Air Arm Pilots. HMS Pegasus, Originally Named HMS Ark Royal, Is Now USED As a Catapult Training Ship For Fleet Air Arm Personnel. Lamlash, Scotland, September 1942. A12027.jpg引用。


写真(右)1942年9月、イギリス、スコットランド、ノース・エアーシア(North Ayrshire)、アラン(Arran)島、オーストラリア海軍水上機母艦「ペガサス」(HMS Pegasus)に引き上げるため、デリックの鍵をワイヤーに引っ掛けたスーパーマリン(Supermarine)ウォーラス(Walrus:セイウチ)水陸両用飛行艇(A2-7);デリックで引き上げるために、海上でデリックと飛行艇を繋ぐ危険な作業がなされた。海上にある飛行艇の下に敷いて引き上げに使う回収ネットを装備している。
Catapult Training For Fleet Air Arm Pilots. HMS Pegasus, Originally Named HMS Ark Royal, Is Now USED As a Catapult Training Ship For Fleet Air Arm Personnel. Lamlash, Scotland, September 1942. Recovering the aircraft. The observer gives the sign that he has hooked on. Date between 1939 and 1945 IWMLondonThumbnail.jpg This is photograph A 12053 from the collections of the Imperial War Museums. Author Coote, R G G (Lt)
写真はWikimedia Commons, Category:Supermarine Walrus >File:Catapult Training For Fleet Air Arm Pilots. HMS Pegasus, Originally Named HMS Ark Royal, Is Now USED As a Catapult Training Ship For Fleet Air Arm Personnel. Lamlash, Scotland, September 1942. A12033.jpg引用。


スーパーマリン(Supermarine)は、1936年にウォーラス(Walrus)Mark.I 飛行艇の生産をはじめて287機製造したところで、生産を中止して代わりにサロ(Salo)社、すなわちサンダース・ロー(Saunders-Roe)社が、ウォーラス(Walrus)Mark.II 飛行艇を1944年1月に製造中止になるまで453機を生産した。このサロ(Salo)社製ウォーラス(Walrus)Mark.II 飛行艇の製造番号は、W2670ーW2689、W2700ーW2792、W2731ーW2760、W2766ーW2798、W3005ーW3053、W3062ーW3101、X1045ーX1046、X9460-X9484、X9498ーX9532、X9554ーX9593、Z1755ーZ1784、Z1804ーZ1823、HD804ーHD837、HD851ーHD897、HD899-HD966、である。

写真(右)1942年9月、イギリス、スコットランド、ノース・エアーシア(North Ayrshire)、アラン(Arran)島、オーストラリア海軍水上機母艦「ペガサス」(HMS Pegasus)のデリックのフック(鍵)に繋げられ、回収ネットの上に移動しているスーパーマリン(Supermarine)ウォーラス(Walrus:セイウチ)水陸両用飛行艇(A2-7);引き上げるためのデリックと、海上にある飛行艇の下に敷いて引き上げに使う回収ネットを装備しているのがわかる。上主翼に搭乗員が乗って、操縦士に位置を指示しているが、その後方には回転するプロペラがあり、波による動揺もあって、危険な作業である。
Catapult Training For Fleet Air Arm Pilots. HMS Pegasus, Originally Named HMS Ark Royal, Is Now USED As a Catapult Training Ship For Fleet Air Arm Personnel. Lamlash, Scotland, September 1942. A Supermarine Walrus towed into position for hoisting. Date between 1939 and 1945 IWMLondonThumbnail.jpg This is photograph A 12052 from the collections of the Imperial War Museums. Author Coote, R G G (Lt)
写真はWikimedia Commons, Category:Supermarine Walrus >File:Catapult Training For Fleet Air Arm Pilots. HMS Pegasus, Originally Named HMS Ark Royal, Is Now USED As a Catapult Training Ship For Fleet Air Arm Personnel. Lamlash, Scotland, September 1942. A12052.jpg引用。


スーパーマリン(Supermarine)社製ウォーラス(Walrus)Mark.I 飛行艇:試作機(K4797)1933年6月21日初飛行 金属製胴体 橇式尾輪 巡洋艦・戦艦。空母の艦載機 1936-1940年287機生産

サロ(Salo)社製ウォーラス(Walrus)Mark.II 飛行艇:試作機(X1045)1940年5月2日初飛行 木製胴体 カバー付き尾輪 陸上基地の海上救難機 1940-1944年1月453機生産

写真(右)1942年9月、イギリス、スコットランド、ノース・エアーシア(North Ayrshire)、アラン(Arran)島、オーストラリア海軍水上機母艦「ペガサス」(HMS Pegasus)に引き上げられようとするスーパーマリン(Supermarine)ウォーラス(Walrus:セイウチ)水陸両用飛行艇(A2-7);引き上げるためのデリックと、海上にある飛行艇の下に敷いて引き上げに使う回収ネットを装備しているのがわかる。戦局の好転により、旧式化していたために1944年2月に退役。
Catapult Training For Fleet Air Arm Pilots. HMS Pegasus, Originally Named HMS Ark Royal, Is Now USED As a Catapult Training Ship For Fleet Air Arm Personnel. Lamlash, Scotland, September 1942. A Supermarine Walrus being hoisted after letting the net go. Date between 1939 and 1945 IWMLondonThumbnail.jpg This is photograph A 12053 from the collections of the Imperial War Museums. Author Coote, R G G (Lt)
写真はWikimedia Commons, Category:Supermarine Walrus >File:Catapult Training For Fleet Air Arm Pilots. HMS Pegasus, Originally Named HMS Ark Royal, Is Now USED As a Catapult Training Ship For Fleet Air Arm Personnel. Lamlash, Scotland, September 1942. A12053.jpg引用。


1936年7月から、イギリス艦隊航空隊(FAA)は、スーパーマリン(Supermarine)社製ウォーラス(Walrus)Mark.I 水陸両用飛行艇をカタパルト射出の艦載機として、巡洋艦・戦艦に搭載し、それまで搭載していたフェアリー ソードフィッシュFairey Swordfish)、フェアリー シーフォックス(Fairey Seafox)複葉偵察機と置き換えていった。

写真(右)1942年9月、イギリス、スコットランド、ノース・エアーシア(North Ayrshire)、アラン(Arran)島、オーストラリア海軍水上機母艦「ペガサス」(HMS Pegasus)のデリックで艦上に引き上げ中のスーパーマリン(Supermarine)ウォーラス(Walrus)水陸両用飛行艇(製造番号:W2743);上主翼に1名、機首の銃座上に1名、左主操縦席に起立して1名、合計3名の搭乗員が写っている。
Catapult Training For Fleet Air Arm Pilots. HMS Pegasus, Originally Named HMS Ark Royal, Is Now USED As a Catapult Training Ship For Fleet Air Arm Personnel. Lamlash, Scotland, September 1942. Practising a towed recovery. Date between 1939 and 1945 IWM London Thumbnail.jpg This is photograph A 12035 from the collections of the Imperial War Museums. Author Coote, R G G (Lt)
写真はWikimedia Commons, Category:Supermarine Walrus >File:Catapult Training For Fleet Air Arm Pilots. HMS Pegasus, Originally Named HMS Ark Royal, Is Now USED As a Catapult Training Ship For Fleet Air Arm Personnel. Lamlash, Scotland, September 1942. A12035.jpg引用。


イギリス艦隊航空隊(FAA)は、1936年7月からスーパーマリン(Supermarine)社製ウォーラス(Walrus)Mark.I 飛行艇を巡洋艦以上の艦載機として制式したが、それ以前の艦載機と混合搭載だったケースも多々あった。例えば、第702飛行隊の第2戦艦飛行隊は、2機のソードフィッシュ(Fairey Swordfish)と1機のウォーラス飛行艇、第4巡洋飛行隊と第8巡洋飛行隊は、フェアリー シーフォックスFairey Seafox)とウォーラス飛行艇の混載だった。

写真(右)1942年9月、イギリス、スコットランド、ノース・エアーシア(North Ayrshire)、アラン(Arran)島、オーストラリア海軍水上機母艦「ペガサス」(HMS Pegasus)のデリックで艦上に引き上げ中のスーパーマリン(Supermarine)ウォーラス(Walrus:セイウチ)水陸両用飛行艇(A2-7);上主翼に1名、コックピット上面に2名、合計3名の搭乗員が全員写っている。
The Royal Navy during the Second World War A Supermarine Walrus amphibious aircraft practising a towed recovery during catapult training for Fleet Air Arm pilots at Lamlash, Scotland. Date between 1939 and 1945 IWMLondonThumbnail.jpg This is photograph A 12035 from the collections of the Imperial War Museums. Author Coote, R G G (Lt)
写真はWikimedia Commons, Category:Supermarine Walrus >File:The Royal Navy during the Second World War A12034.jpg引用。


イギリス艦隊航空隊(FAA)第700飛行隊から編成されたカタパルト射出の艦載機部隊は、1940年1月の時点で、ウォーラス(Walrus)飛行艇 42機、フェアリー シーフォックスFairey Seafox)複葉偵察機11機、フェアリー ソードフィッシュFairey Swordfish)12機を装備しており、全65機の艦載機中64.6%がウォーラス(Walrus)飛行艇 で占められていいた。

写真(右)1942年9月、イギリス、スコットランド、ノース・エアーシア(North Ayrshire)、アラン(Arran)島、オーストラリア海軍水上機母艦「ペガサス」(HMS Pegasus)のデリックで飛行甲板に引き上げ作業中のスーパーマリン(Supermarine)ウォーラス(Walrus)水陸両用飛行艇側面;左手前に、もう1機のウォーラス(Walrus:セイウチ)水陸両用飛行艇が搭載されている。水上機母艦「ペガサス」は、第二線で、カタパルト射出と海上からの回収の訓練に主に使用された。
Catapult Training For Fleet Air Arm Pilots. HMS Pegasus, Originally Named HMS Ark Royal, Is Now USED As a Catapult Training Ship For Fleet Air Arm Personnel. Lamlash, Scotland, September 1942. A Supermarine Walrus being hoisted after letting the net go. Date between 1939 and 1945 IWMLondonThumbnail.jpg This is photograph A 12030 from the collections of the Imperial War Museums. Author Coote, R G G (Lt)
写真はWikimedia Commons, Category:Supermarine Walrus >File:Catapult Training For Fleet Air Arm Pilots. HMS Pegasus, Originally Named HMS Ark Royal, Is Now USED As a Catapult Training Ship For Fleet Air Arm Personnel. Lamlash, Scotland, September 1942. A12030.jpg引用。


写真(右)1942年9月、イギリス、スコットランド、ノース・エアーシア(North Ayrshire)、アラン(Arran)島、オーストラリア海軍水上機母艦「ペガサス」(HMS Pegasus)のデリックで飛行甲板に引き上げられたスーパーマリン(Supermarine)ウォーラス(Walrus:セイウチ)水陸両用飛行艇;左手前に、もう1機のウォーラス(Walrus:セイウチ)水陸両用飛行艇が搭載されている。水上機母艦「ペガサス」は、第二線で、カタパルト射出と海上からの回収の訓練に主に使用された。
Catapult Training For Fleet Air Arm Pilots. HMS Pegasus, Originally Named HMS Ark Royal, Is Now USED As a Catapult Training Ship For Fleet Air Arm Personnel. Lamlash, Scotland, September 1942. A Supermarine Walrus being hoisted after letting the net go. Date between 1939 and 1945 IWMLondonThumbnail.jpg This is photograph A 12027 from the collections of the Imperial War Museums. Author Coote, R G G (Lt)
写真はWikimedia Commons, Category:Supermarine Walrus >File:Catapult Training For Fleet Air Arm Pilots. HMS Pegasus, Originally Named HMS Ark Royal, Is Now USED As a Catapult Training Ship For Fleet Air Arm Personnel. Lamlash, Scotland, September 1942. A12027.jpg引用。


オーストラリア海軍水上機母艦「ペガサス」」(HMS Pegasus)は、起工1913年11月7日、進水1914年9月5日、就役1914年12月の防護巡洋艦として完成したが1940年にカタパルトを設置し水上機母艦に改装された。基準排水量7,450トン、最高速力11ノット、乗員180名。兵装は、12ポンド砲4門。艦載機:スーパーマリン(Supermarine)ウォーラス(Walrus)1機。

写真(右)1942年1月-1943年4月、インド洋、イギリス海軍クイーン・エリザベス級戦艦2番艦「ウォースパイト」(HMS WARSPITE) に接近するイギリス海軍艦隊航空隊(FAA)スーパーマリン(Supermarine)ウォーラス(Walrus:セイウチ)水陸両用飛行艇;後方にはイラストリアス (HMS Illustrious)級空母3番艦「フォーミダブル」(HMS Formidable)あるいは4番艦「インドミタブル」(HMS Indomitable)。
The Royal Navy during the Second World War A Supermarine Walrus amphibious aircraft taxiing up to HMS WARSPITE after returning from a sweep in the Indian Ocean. A crew member is sitting on the top wing to the winch cable to the aircraft when it arrives alongside the battleship. An ILLUSTRIOUS class aircraft carrier can be seen moored in the background. Alongside her is another vessel, possibly a hospital ship, and HMS LUDLOW. A cruiser is moored aft of these vessels and a motor cutter is making its way from this group of ships towards the camera.Date between 1939 and 1945 Source IWM LondonThumbnail This is photograph A 10649 from the collections of the Imperial War Museums Author Oulds, D C (Lt), Royal Navy official photographer
写真はWikimedia Commons, Supermarine Walrus >File:The Royal Navy during the Second World War A10650.jpg引用。


写真(右)1942年1月-1943年4月、インド洋、イギリス海軍クイーン・エリザベス級戦艦2番艦「ウォースパイト」(HMS WARSPITE) に接近するイギリス海軍艦隊航空隊(FAA)スーパーマリン(Supermarine)ウォーラス(Walrus)水陸両用飛行艇;後方にはイラストリアス (HMS Illustrious)級空母3番艦「フォーミダブル」(HMS Formidable)あるいは4番艦「インドミタブル」(HMS Indomitable)
The Royal Navy during the Second World War A Supermarine Walrus amphibious aircraft taxiing up to HMS WARSPITE after returning from a sweep in the Indian Ocean. A crew member is sitting on the top wing to the winch cable to the aircraft when it arrives alongside the battleship. An ILLUSTRIOUS class aircraft carrier can be seen moored in the background. Alongside her is another vessel, possibly a hospital ship, and HMS LUDLOW. A cruiser is moored aft of these vessels and a motor cutter is making its way from this group of ships towards the camera.Date between 1939 and 1945 Source IWM LondonThumbnail This is photograph A 10649 from the collections of the Imperial War Museums Author Oulds, D C (Lt), Royal Navy official photographer
写真はWikimedia Commons, Supermarine Walrus >File:The Royal Navy during the Second World War A10650.jpg引用。


写真(右)1942年1月-1943年4月、インド洋、イギリス海軍クイーン・エリザベス級戦艦2番艦「ウォースパイト」(HMS WARSPITE) にデリックを使って回収されるイギリス海軍艦隊航空隊(FAA)スーパーマリン(Supermarine)ウォーラス(Walrus:セイウチ)水陸両用飛行艇;後方にはイラストリアス (HMS Illustrious)級空母3番艦「フォーミダブル」(HMS Formidable)あるいは4番艦「インドミタブル」(HMS Indomitable)
The Royal Navy during the Second World War A Supermarine Walrus amphibious aircraft being hoisted on board HMS WARSPITE after a sweep in the Indian Ocean. One of the aircraft's crew is standing on the top wing. An ILLUSTRIOUS class aircraft carrier can be seen moored in the background. Alongside her is another vessel, possibly a hospital ship, and HMS LUDLOW. A cruiser is moored aft of these vessels and a motor cutter is making its way from this group of ships towards the camera. Date between 1939 and 1945 Source IWM LondonThumbnail This is photograph A 10648 from the collections of the Imperial War Museums Author Oulds, D C (Lt), Royal Navy official photographer
写真はWikimedia Commons, Supermarine Walrus >File:The Royal Navy during the Second World War A10648.jpg引用。


クイーン・エリザベス級戦艦 イギリス海軍クイーン・エリザベス級戦艦2番艦「ウォースパイト」(HMS WARSPITE) は、起工1912年10月31日、進水 1913年11月26日、就役1915年3月8日、退役1945年2月1日、基準排水量 3万1,315 t、38.1cm42口径MkI連装砲 4基 15.2cm45口径MkVII単装砲 8基、10.2cm45口径MkXVI連装高角砲 4基搭載。イギリス艦隊航空隊Fleet Air Arm:FAA)所属の艦載機スーパーマリン ウォーラス飛行艇4機(1944年初期には艦載機撤去)。サー・ジェームズ・サマヴィル中将の指揮のもと、東洋艦隊旗艦となった。

イギリス東洋艦隊は、旧式戦艦4隻と空母「ハーミズ」だけではなく、1940年10月31日就役の空母「フォーミダブル」と1941年8月26日就役の「インドミタブル」という新鋭イラストリアス級航空母艦 も擁していた。

写真(右)1942-1943年末、イギリス、イギリス海軍キング・ジョージ5世級戦艦「アンソン」(HMS ANSON) にデリックを使って回収されるイギリス海軍艦隊航空隊(FAA)スーパーマリン(Supermarine)ウォーラス(Walrus:セイウチ)水陸両用飛行艇
The Royal Navy during the Second World War Some of the Ship's Company of HMS ANSON watch the arrival of their new aircraft, a Supermarine Walrus amphibious aircraft, as it reports for duty to Britain's latest battleship after arriving at the Fleet anchorage. One of the aircraft's crew is sitting on the top wing fixing the Walrus to the crane cable so it can be winched aboard. Date between 1939 and 1945 Source IWM LondonThumbnail This is photograph A 10137 from the collections of the Imperial War Museums Author Parnall, C H (Lt), Royal Navy official photographer
写真はWikimedia Commons, Supermarine Walrus >File:The Royal Navy during the Second World War A10137.jpg引用。


イギリス海軍キング・ジョージ5世級戦艦「アンソン」(HMS ANSON) は、起工1937年7月20日、進水1940年2月4日、竣工1942年6月22日、就役1942年4月14日、基準排水量 3万6,727 トン、Mk VII 356mm四連装砲2基、Mk VII 356mm連装砲1基、合計10門、Mark I 133mm連装両用砲8基16門搭載。イギリス艦隊航空隊Fleet Air Arm:FAA)所属の艦載機スーパーマリン(Supermarine)ウォーラス(Walrus:セイウチ)飛行艇4機。ただし、1944年初期には艦載機の搭載を廃止。

写真(右)1943年、イギリス、イギリス海軍フィジー級軽巡洋艦「バミューダ」(HMS BERMUDA) のカタパルトから射出されたイギリス海軍艦隊航空隊(FAA)スーパーマリン(Supermarine)ウォーラス(Walrus:セイウチ)水陸両用飛行艇
A Supermarine Walrus amphibian airplane being launched from the catapult deck of HMS BERMUDA. The aircraft has just left the catapult. Date 1943 Source IWM LondonThumbnail This is photograph A 15215 from the collections of the Imperial War Museums (collection no. 4700-01) Author Royal Navy official photographer William Berwick Reid
写真はWikimedia Commons, Supermarine Walrus >File:HMS Bermuda aircraft.jpg引用。


イギリス海軍フィジー級軽巡洋艦「バミューダ」(HMS BERMUDA)は、1939年11月30日起工、1941年9月11日進水、1942年8月21日就役、基準排水量8,530トン、152mm 50口径三連装砲塔4基12門、102mm 45口径連装高角砲4基8門、533mm魚雷三連装発射管2基6門を装備。1942年まで、第10巡洋艦戦隊の一艦艇としてトーチ作戦を含む北アフリカ戦線で戦った。

写真(右)1943年1月12-14日、北アフリカ、アルジェリア沖、メルス・エル・ケビール(Mers-el-Kébir)、白色塗装赤十字の病院船の近くを飛行するスーパーマリン(Supermarine)ウォーラス(Walrus:セイウチ)水陸両用飛行艇
North Africa - Fleet Air Arm Supermarine Walrus Keeps Watch Over Hospital Ship. Force H at Sea and in Harbour, 12 To 14 January 1943, at Sea and at Mers-el-kebir. A Supermarine Walrus taking off on patrol passing a hospital ship anchored off Mers-el-Kebir. Date between 1939 and 1945 Author Parnall, C H (Lt)
写真はWikimedia Commons, Supermarine Walrus >File:North Africa - Fleet Air Arm Supermarine Walrus Keeps Watch Over Hospital Ship. Force H at Sea and in Harbour, 12 To 14 January 1943, at Sea and at Mers-el-kebir. A14168.jpg引用。


写真(右)1943年1月20日、北アフリカ、アルジェリア沖、メルス・エル・ケビール(Mers-el-Kébir)、大型商船「エンプレッサ・オブ・オーストラリア」(RMS Empress of Australia (1919))の近くを飛行するスーパーマリン(Supermarine)ウォーラス(Walrus:セイウチ)水陸両用飛行艇;商船「エンプレッサ・オブ・オーストラリア」(RMS Empress of Australia)は、処女航海1919年12月、総トン数2万1,861トン、全長187.45m (615.0 ft)、全幅22.9 m (75 ft)、最高速力19 knots (35 km/h; 22 mph)。
A Supermarine Walrus Airplane Taking Off at Mers-el-kebir, With the Ss Empress of Australia in the Background. 20 January 1943, Mers-el-kebir. Date between 1939 and 1945 This is photograph A 14367 from the collections of the Imperial War Museums. Flag of the United Kingdom.svg Author Parnall, C H (Lt)Author Parnall, C H (Lt)
写真はWikimedia Commons, Supermarine Walrus >File:A Supermarine Walrus Airplane Taking Off at Mers-el-kebir, With the Ss Empress of Australia in the Background. 20 January 1943, Mers-el-kebir. A14367.jpg引用。


商船「エンプレッサ・オブ・オーストラリア」(RMS Empress of Australia)は、ドイツ商船として建造されたが、第一次大戦のドイツ敗戦で、イギリスが鹵獲した。イギリス商船として、第一次大戦大戦講和のベルサイユ条約締結直後、1919年12月に処女航海に出帆した。商船の総トン数は2万1,861トン、全長187.45m (615.0 ft)、全幅22.9 m (75 ft)、最高速力19 knots (35 km/h; 22 mph)、客室キャビンは、1等室(1st-class)400名、ツーリストクラス(Tourist-class)150名、3等室635名。老朽化した旧式船舶「エンプレッサ・オブ・オーストラリア」(RMS Empress of Australia)は、第二次大戦でも輸送船として活躍した。1952年に除籍。

写真(右)1933-1939年頃、ソビエト連邦、スーパーマリン(Supermarine)ウォーラス(Walrus:セイウチ)水陸両用飛行艇;複葉機のために、上下の主翼の中間にブリストル(Bristol)ペガサス(Pegasus)VI 空冷9気筒エンジン680 HP を搭載し、4翅木製プロペラを推進式に装備している。
Supermarine, Walrus Manufacturer: Supermarine Official Nickname: Walrus
写真はflicker, San Diego Air and Space Museum Archive >Catalog #: 01_00088710引用。


シュナイダー・トロフィーに出場したスーパーマリン水上機を制作したレジナルド・J・ミッチェル(Reginald Joseph Mitchell)は、スーパーマリン(Supermarine)ウォーラス(Walrus)水陸両用飛行艇を設計、1933年6月21日に初飛行させた。彼は、名機スーパーマリン(Supermarine)スピットファイア戦闘機の設計者となる。

写真(右)1942年6月-1945年、イギリス、イギリス国王ジョージ6世(King George VI)の検閲を受けるイギリス海軍艦隊航空隊(FAA)のスーパーマリン(Supermarine)ウォーラス(Walrus)水陸両用飛行艇と搭乗員
The Royal Navy during the Second World War HM King George VI, wearing the uniform of an Admiral of the Fleet, inspecting inspecting a Supermarine Walrus amphibious aircraft and its crew at the Royal Naval Air Station of Hatston during his four day visit to the Home Fleet at Scapa Flow. A Fairey Albacore can be seen in the background. Date between 1939 and 1945 Author Davies, F A (Lt), Royal Navy official photographer
写真はWikimedia Commons, Category:Supermarine Walrus >File:The Royal Navy during the Second World War A15128.jpg引用。


スーパーマリン(Supermarine)ウォーラス(Walrus)水陸両用飛行艇は、船体と両翼の浮舟フロートを使って、水上で離着水するが、陸上用の降着装置として、ゴム主輪も装備している。このウォーラス(Walrus)水陸両用飛行艇の主脚は、飛行中、水上での運用中には、主脚を引き上げて、主翼下面に半開放式でゴム主輪を格納する。

写真(右)1942年6月6日、イギリス、イギリス国王ジョージ6世(King George VI)の検閲を受けるイギリス海軍本国艦隊の重巡洋艦「マンチェスター」(HMS MANCHESTER)格納庫におさまったイギリス海軍艦隊航空隊のスーパーマリン(Supermarine)ウォーラス(Walrus)水陸両用飛行艇と搭乗員
The King Visits the Home Fleet. 6 June 1942, on Board Ships of the Home Fleet. HM The King inspecting Fleet Air Arm personnel on the hangar deck of HMS MANCHESTER. Date Taken on 6 June 1942 A 8754 from the collections of the Imperial War Museums.
写真はWikimedia Commons, Category:Supermarine Walrus >File:The King Visits the Home Fleet. 6 June 1942, on Board Ships of the Home Fleet. A8754.jpg引用。


写真(右)1940-1943年頃、イギリス、イギリス海軍空母「アーガス」 (HMS Argus, I49)と思われる空母飛行甲板に着艦したイギリス海軍艦隊飛行隊(FAA)のスーパーマリン(Supermarine)ウォーラス(Walrus)水陸両用飛行艇;後続はなく1機のみの着艦が終了したために、後方にはたくさんの甲板員が飛行甲板に出てきている。
AVIATION IN BRITAIN BEFORE THE FIRST WORLD WAR (incorrect) A Supermarine Walrus landing on the deck of an aircraft carrier.
写真はWikimedia Commons, Supermarine Walrus >IWM RAE-O 656引用。


スーパーマリン(Supermarine)ウォーラス(Walrus)水陸両用小型複葉飛行艇は、オーストラリア空軍の艦載水上機の開発要求を受けて、レジナルド・J・ミッチェル(Reginald Joseph Mitchell)が設計し、1933年6月21日に初飛行した。イギリス海軍の巡洋艦や戦艦の艦載機、航空母艦の艦上機として艦隊飛行隊(FAA)に、初期は偵察機・弾着観測機、対潜哨戒機として、後に海上救難機として配属された。

写真(右)1940年、イギリス、イギリス海軍空母「アーガス」 (HMS Argus, I49)飛行甲板に搭載されたスーパーマリン(Supermarine)ウォーラス(Walrus)の飛行甲板に着艦したスーパーマリン(Supermarine)ウォーラス(Walrus:セイウチ)水陸両用飛行艇;海上に不時着した飛行機搭乗員の救出ために、艦上機として発着艦の訓練に旧式小型空母を使用した。
THE BATTLE OF ATLANTIC, 1939-1945 Supermarine Walrus amphibious aircraft landing on the flight deck of HMS ARGUS after a patrol in the Atlantic, 1940. Ground staff wait in the nets at the side. On the right in the distance, the Flight Deck Officer is directing the pilot of the aircraft with signal bats. Creator Coote, R G G (Lt) (Photographer) Royal Navy official photographerProduction date 1940
写真は, Imperial War Museums >IWM A 1902引用。


ウェリントン スーパーマリン(Supermarine)ウォーラス(Walrus)水陸両用飛行艇は、第二次世界大戦当初は大西洋における船団輸送護衛という対潜哨戒機としての役割が期待されていたようだ。

その後、大戦中期、1942年のアメリカ参戦以降には、有力なロッキード・ハドソン(Lockheed Hudson)、ロッキード・ベンチュラPV-1(Lockheed Ventura)、ビッカース・ウェリントン(Vickers Wellington)のような双発対潜哨戒機が就役するようになると、海上救難の役割がより重視されるようになった。

写真(右)1940-1943年頃、イギリス、イギリス海軍空母「アーガス」 (HMS Argus, I49)飛行甲板に着艦訓練するイギリス海軍艦隊飛行隊(FAA)のスーパーマリン(Supermarine)シーファイア(Seafire)艦上戦闘機;シーファイアは、陸上機スピットファイア(Supermarine Spitfire)戦闘機の艦上戦闘機型。甲板最前部には、着艦した機体が駐機しているが、後方からは着艦する機体が飛行甲板に付こうとしている。
The Royal Navy during the Second World War HMS ARGUS operating off the North African coast during combined operations for the 'Torch' landings. Date between 1939 and 1945Coote, R G G (Lt), Royal Navy official photographer. A 12882 from the collections of the Imperial War Museums. Flag of the United Kingdom.svg Author Coote, R G G (Lt), Royal Navy official photographer
写真はWikimedia Commons, Supermarine Walrus >File:The Royal Navy during the Second World War A12882.jpg引用。


写真(右)1940年、イギリス、イギリス海軍空母「アーガス」 (HMS Argus, I49)飛行甲板に着艦して降機するスーパーマリン(Supermarine)ウォーラス(Walrus)水陸両用単発複葉飛行艇の搭乗員と機上に上がった整備士;対潜哨戒機として艦上機として発着艦の訓練に旧式小型空母を使用した。
ON BOARD THE AIRCRAFT CARRIER HMS ARGUS. 1940. The crew of a Supermarine Walrus disembarking. Creator Coote, R G G (Lt) (Photographer) Royal Navy official photographerProduction date 1940
写真は, Imperial War Museums > IWM A 1910引用。


スーパーマリン(Supermarine)ウォーラス(Walrus)水陸両用単発複葉飛行艇は、
1)折り畳み可能な主翼、
2)複葉による翼面荷重の減少、
3)単発エンジンによる軽量化、
4)飛行艇でありながらゴム主輪式陸上行為着想地の装備による水陸両用、
という特徴があった。そのため、イギリス海軍艦隊飛行隊(FAA)の制式として、巡洋艦・戦艦の偵察用・弾着観測用の艦載機、航空母艦の艦上機として配備された。ただし、ウォーラス(Walrus)水陸両用単発複葉飛行艇の用途は、第二次世界大戦初期まで初期は偵察機・弾着観測機、対潜哨戒機だったが、1943年末からは艦載機としては使用されなくなった。そして、陸上飛行場や航空母艦で、海上救難機として活躍し、第二次世界大戦末期まで就役し続けた。

写真(右)1940-1943年頃、イギリス、イギリス海軍空母「アーガス」 (HMS Argus, I49)飛行甲板で整備中のスーパーマリン(Supermarine)ウォーラス(Walrus)水陸両用飛行艇と指揮官と話す3名の搭乗員;コックピット操縦席には、海軍整備士が乗り込んで発進準備の点検をしている。艦載機として狭い甲板・格納庫を有効活用するために、主翼を後方に後ろに折り畳むことができる。
he Royal Navy during the Second World War The crew; pilot, observer, and air gunner, report to the Commanding Officer on getting out of their Supermarine Walrus aircraft on board the aircraft carrier HMS ARGUS. Note the member of the ship's crew in the cockpit..Date between 1939 and 1945 Author Davies, F A (Lt), Royal Navy official photographer
写真はWikimedia Commons, Supermarine Walrus >File:The Royal Navy during the Second World War A1867.jpg引用。


イギリス海軍航空母艦「アーガス」 (HMS Argus: I49)は、進水1917年12月2日、就役1918年9月16日の休止期間を改造した世界初の航空母艦である。第二次世界大戦勃発時には旧式化していたが、1942年まではシーハリケーンMk.IIB、フルマー、ソードフィッシュ、シーファイアMk.IIなど艦上機の変遷はあったが、12機程度艦載して対潜哨戒や船団護衛の任務に就いた。1943年5月の北アフリカ上陸「トーチ作戦」に参加後、練習任務に専念し、1944年9月まで母艦での発着艦訓練にあたった。

写真(右)1940-1944年、イギリス、イギリス海軍空母「アーガス」 (HMS Argus, I49)飛行甲板に搭載されたスーパーマリン(Supermarine)ウォーラス(Walrus)の飛行甲板に着艦したスーパーマリン(Supermarine)ウォーラス(Walrus:セイウチ)Mark I水陸両用飛行艇;尾橇を装備しているので、金属製胴体、スーパーマリン社製造のMark Iである。
THE ROYAL NAVY DURING THE SECOND WORLD WAR A Supermarine Walrus amphibious aircraft takes off at dawn from HMS ARGUS . The silhouetted figure with the flag on the left is the Flight Deck Officer, 'Wings', who signals pilots that they are clear to take off. Author Coote, R G G (Lt), Royal Navy official photographer
写真は, Imperial War Museums/A> >IWM A 1887引用。


排水量1万5,775トンの
航空母艦「アーガス」 (HMS Argus: I49)は、第一次世界大戦終盤の1918年9月16日就役した世界初の空母だが、海上に不時着した飛行機搭乗員の救出ために、艦上機として発着艦の訓練にも使用された。旧式空母「アーガス」 (HMS Argus: I49)は、第二次世界大戦終盤の1944年12月まで現役にあって、後方での訓練任務に従事した。

写真(右)1942年2月3日、イギリス、イギリス海軍イラストリアス級航空母艦2番艦「ビクトリアス」 (HMS VICTORIOUS, R38)の飛行甲板に着艦するイギリス海軍艦隊飛行隊(FAA)のスーパーマリン(Supermarine)ウォーラス(Walrus)水陸両用飛行艇
English: The Royal Navy during the Second World War A Supermarine Walrus flying boat about to land on the flight deck of HMS VICTORIOUS during a patrol off the coast of Iceland. photograph A 7541 from the collections of the Imperial War Museums. Flag of the United Kingdom.svg Author Parnall, C H (Lt), Royal Navy official photographer Date between 1939 and 1945 .
写真はWikimedia Commons, Supermarine Walrus >File:The Royal Navy during the Second World War A7541.jpg引用。


空母イラストリアス イギリス海軍イラストリアス級航空母艦2番艦「ビクトリアス」 (HMS VICTORIOUS, R38)の諸元
起工 1937年5月4日
進水 1939年9月14日
就役 1941年3月29日
排水量:29,500 トン
全長:225 m 全幅:29 m
最高速力: 30.5 ノット
航続距離 1万1,000マイル/14ノット
搭載機数: フルマー(Fulmar)/アルバコア(Albacore)雷撃機 36機

写真(右)1940-1943年頃、イギリス上空、イギリス海軍艦隊航空隊(FAA)第751飛行隊(squadron)所属のスーパーマリン(Supermarine)ウォーラス(Walrus)水陸両用飛行艇(AA4T, AA5R, AA4A)の密集4機編隊;第751飛行隊(squadron)は、第二線級の飛行隊で、訓練と実戦部隊の補充の任務に就いていた。
THE ROYAL NAVY DURING THE SECOND WORLD WAR. Fleet Air Arm Supermarine Walrus amphibious aircraft based at Arbroath, flying in close formation. Creator Creator Royal Navy official photographer
写真は, Imperial War Museums > IWM A 24215引用。


ウォーラス(Walrus)スーパーマリン(Supermarineウォーラス(Walrus)は、水陸両用飛行艇だが、湾内を利用した水上機基地・飛行艇基地よりも、陸上基地の飛行場滑走路から離着陸することが多かった。これは、海上救難任務に就役する場合、水上機基地に着水しても、救助した負傷者を海上から小舟に乗せて陸上まで搬送するには、手間と時間がかかったうえに、負傷者にとっても苦痛を伴うリスクが高かったためである。

ウォーラス(Walrus)水陸両用飛行艇は、海上救難活動後、負傷者を陸上基地に連れて着陸すれば、救急車など負傷者を、直ぐに医療施設に直接搬送できる。そこで、海上に浮く飛行艇でも、水陸両用飛行艇は、海難救助作業には、主に陸上基地を拠点に任務に従事したのである。

写真(右)1939年頃、イタリア北部西岸、トスカーナ州ピサ郊外、リボルノ (Livorno)、機雷捜索に出撃を準備中のイギリス空軍第飛行隊スーパーマリン(Supermarine)ウォーラス(Walrus)Mark.I 水陸両用飛行艇(M);ジェノバ沖の敵機雷源の捜索に当たる第12掃海部隊を支援する任務に就いている。
SRoyal Air Force- Italy, the Balkans and South East Europe, 1942-1945. Supermarine Walrus Mark Is of 'C' Flight No. 293 Squadron RAF Detachment, on the ground at Nettuno, Italy: X9506 ‘C’ is parked in front of R6547 ‘X’. In the foreground an American water bowser is sprinkling the surface of the landing ground in order to suppress the dust. Behind the Walruses, Supermarine Spitfire Mark IXs of No. 93 Squadron Detachment undergo repair and maintenance. Date between 1942 and 1945r
写真はWikimedia Commons, Category:Supermarine Walrus >File:The Royal Navy during the Second World War A9272.jpg引用。


イギリス空軍(RAF)は、1941年末から、海上救難用にスーパーマリン(Supermarine)ウォーラス(Walrus)Mark.I水陸両用飛行艇をイギリス南東部バーチャム・ニュートン(Bircham Newton)基地の第276飛行隊に配備した。

写真(右)1942-1943年、イギリス南西海岸、デボン(Devon)、イェルバートン(Yelverton)、イギリス空軍(RAF)第276飛行隊スーパーマリン(Supermarine)ウォーラス(Walrus)水陸両用飛行艇;アブロ(Avro)アンソン(Anson)小型輸送機,スピットファイア( Supermarine)戦闘機とともに、海難救助の任務に就いている。
Royal Air Force Fighter Command, 1939-1945. Personnel and aircraft of No. 276 Squadron RAF assembled at Harrowbeer, Devon, to show the resources needed to mount a single air-sea rescue sortie. The aircraft are, in front, an Avro Anson, a Supermarine Spitfire and, at the rear, a Supermarine Walrus. The Commanding Officer, Squadron Leader R F Hamlyn, formerly a fighter pilot with 13 confirmed aerial victories, stands in the foreground. Date between 1939 and 1945 CH 9017 from the collections of the Imperial War Museums. Author Rider-Rider (P/O), Royal Air Force official photographer
写真はWikimedia Commons, Category:Supermarine Walrus >File:Royal Air Force Fighter Command, 1939-1945. CH9017.jpg引用。


スーパーマリン(Supermarine)ウォーラス(Walrus)水陸両用飛行艇は、第二次世界大戦後半の主な任務は、海上救難だった。この海上救難任務に際して、ウォーラス(Walrus)水陸両用飛行艇が、水上機基地よりも陸上基地に離着陸することが多かったのは、救助した人員を、自動車にのせ道路で直ぐに医療施設に運搬することができるからである。海上に浮いた飛行艇から、負傷した人員を運搬するのは手間がかかる作業だったので、陸上基地を主に利用したのである。

写真(右)1943年、イギリス、スコットランド東部、アーブロース、スーパーマリン(Supermarine)ウォーラス(Walrus:セイウチ)水陸両用飛行艇のコックピット;操縦席、操縦桿、計器盤中央にコンパス羅針盤、足元にフットペダル、左にはスロットル・レバーが見える。
COCKPITS OF FLEET AIR ARM AIRCRAFT. SEPTEMBER 1943, ARBROATH... The cockpit of the Supermarine Walrus.s
写真は, Imperial War Museums >IWM A 19539引用。


ウォーラス(Walrus)水陸両用飛行艇は、小型飛行艇であるために、コックピットは並列座席になってはいるが、操縦席は左席のみで、右席は航法士の座席であり、複式並列操縦装置はついていない。

写真(右)1943年、イギリス、スコットランド東部、アーブロース、スーパーマリン(Supermarine)ウォーラス(Walrus:セイウチ)水陸両用飛行艇のコックピット;操縦席、操縦桿、計器盤中央にコンパス羅針盤、足元にフットペダル、左にはスロットル・レバーが見える。
COCKPITS OF FLEET AIR ARM AIRCRAFT. SEPTEMBER 1943, ARBROATH... The cockpit of the Supermarine Walrus.s
写真は, Imperial War Museums >IWM A 19543引用。


スーパーマリン(Supermarine)ウォーラス(Walrus)水陸両用飛行艇は、1944年1月に生産が終了となったが、総生産機数は741機である。このうち65%の453機は、ウォーラス(Walrus)Mark.IIで、サンダース・ロー(Saunders-Roe)社、すなわちサロ(Salo)社が生産している。

写真(右)1942-1943年、北アフリカ、チュニジア、地上滑走中のイギリス空軍第293飛行隊スーパーマリン(Supermarine)ウォーラス(Walrus:セイウチ)水陸両用飛行艇
Royal Air Force Operations in the Middle East and North Africa, 1939-1943. A Supermarine Walrus of No. 283 Squadron RAF unit taxies across a landing ground in Tunisia. Date between 1939 and 1943 CNA 754 from the collections of the Imperial War Museums. Flag of the United Kingdom.svg Author Lea T (Plt Off), Royal Air Force official photographer
写真はWikimedia Commons, Category:Supermarine Walrus >File:Royal Air Force Operations in the Middle East and North Africa, 1939-1943. CNA754.jpg引用。


つまり、三菱ゼロ戦の主な生産社は三菱飛行機ではなく中島飛行機だったのと同様、スーパーマリン(Supermarine)が開発したウォーラス(Walrus)水陸両用飛行艇は、総生産741機のうちスーパーマリン(Supermarine)の生産は288機39%に留まっている。これは、スーパーマリンではスピットファイア戦闘機の量産に資本、労働、資源を集中してたためである。

写真(右)1943年後半以降、イタリア、シシリー島(Sicily)東岸、シラクサ南15キロ、カッシビレ(Cassibile)、イギリス空軍(RAF)第 284飛行隊搭乗員とスーパーマリン(Supermarine)ウォーラス(Walrus)Mark I 水陸両用飛行艇(X9498 'B')
Royal Air Force- Italy, the Balkans and South-east Europe, 1942-1945. Supermarine Walrus, X9498 'B', of No. 284 Squadron RAF undergoing maintenance at Cassibile, Sicily. Hawker Hurricane Mark IIC, KW980, of the Mediterranean Air Command Communications Unit based at Maison Blanche, Algeria, can also be seen, parked in front of the medieval tower which served as the airfield control tower. Date between 1942 and 1945 CNA 1188 from the collections of the Imperial War Museums. Author Bridge B (Fg Off), Royal Air Force official photographer
写真はWikimedia Commons, Category:Supermarine Walrus >File:Royal Air Force- Italy, the Balkans and South-east Europe, 1942-1945. CNA1186.jpg引用。


写真(右)1943年後半以降、イタリア、シシリー島(Sicily)東岸、シラクサ南15キロ、カッシビレ(Cassibile)、イギリス空軍(RAF)第284飛行隊搭乗員とスーパーマリン(Supermarine)ウォーラス(Walrus)Mark I 水陸両用飛行艇(X9498 'B')
Royal Air Force- Italy, the Balkans and South-east Europe, 1942-1945. Supermarine Walrus, X9498 'B', of No. 284 Squadron RAF undergoing maintenance at Cassibile, Sicily. Parked behind them and partly obscured is Hawker Hurricane Mark IIC, KW980, of the Mediterranean Air Command Communications Unit based at Maison Blanche, Algeria, while in the background can be seen the medieval tower which served as the airfield control tower. Date between 1942 and 1945 CNA 1190 from the collections of the Imperial War Museums. Author Bridge B (Fg Off), Royal Air Force official photographerr
写真はWikimedia Commons, Category:Supermarine Walrus >File:Royal Air Force- Italy, the Balkans and South-east Europe, 1942-1945. CNA1190.jpg引用。


ウォーラス(Walrus)Mark.II 飛行艇は、1940年5月2日に試作機(X1045)が初飛行し、サロ(Saunders-Roe:Salo)社製で、木製胴体、カバー付き尾輪、海上救難機として主に陸上基地で運用された。生産は、1940-1944年1月に453機で、全機の61%を占める。

写真(右)1943年後半以降、イタリア、シシリー島(Sicily)東岸、シラクサ南15キロ、カッシビレ(Cassibile)、イギリス空軍第 284飛行隊搭乗員とスーパーマリン(Supermarine)ウォーラス(Walrus)Mark I 水陸両用飛行艇(X9506 'C')
Royal Air Force- Italy, the Balkans and South-east Europe, 1942-1945. Personnel of No. 284 Squadron RAF, an air/sea rescue unit, standing in front of one of their aircraft, Supermarine Walrus, X9506 'C', at Cassibile, Sicily. Aircrew in the front row are (left to right); Sergeant J D Lunn (pilot), Sergeant C S Taylor (wireless operator/air gunner), Warrant Officer N Pickles (w.op/ag), Flying Officer R Eccles (pilot), Flight Sergeant J W Bradley (w.op/ag) and Flight Sergeant E J Holmes (pilot): ground crew in the back row are (left to right); AC1 Radford, Flight Sergeant R C Glew, Corporal J Warrington, Leading Aircraftmen S Waight, J Price, J H Crowther and H Walker, and Corporal J E Newall. Date between 1942 and 1945 CNA 1186 from the collections of the Imperial War Museums. Author Bridge B (Fg Off), Royal Air Force official photographer
写真はWikimedia Commons, Supermarine Walrus >File:Royal Air Force- Italy, the Balkans and South-east Europe, 1942-1945. CNA1186.jpg引用。


1943年5月13日に、チュニジアの枢軸国軍が降伏、北アフリカを占領した西側連合国軍は、ハスキー作戦(Operation Husky)に従って、1943年7月10日に上陸した。1943年7月24日、ローマで開催されたファシズム大評議会で、ベニート・ムッソリーニBenito Mussolini)は首相を解任され、ピエトロ・バドリオ元帥が新政権を担った。8月17日には、西側連合国軍がシシリー島を占領した時期、バドリオ政権は、ローマの「無防備都市宣言」案を連合国側に伝達するなど、休戦交渉を始めていた。

1943年8月4日には密使がリスボンのイギリス大使館に派遣され、和平の方針を伝達した。9月7日、イタリアの降伏受諾を伝える西側連合国軍司令官ドワイト・D・アイゼンハワー将軍の放送が流され、バドリオも休戦を放送した。ドイツ軍のイタリア占領、イタリア軍武装解除が始まり、9月9日にバドリオ新政権は国王とともにローマから逃走し、連合国支配地域に脱出した。

写真(右)1944-1945年、イタリア北部西岸、トスカーナ州ピサ郊外、リボルノ (Livorno)、準備中のイギリス空軍第293飛行隊搭乗員とスーパーマリン(Supermarine)ウォーラス(Walrus:セイウチ)水陸両用飛行艇;乾燥地帯の埃っぽい飛行場に、アメリカ軍のマークを描いた散水トラックが水を撒いている。海上で使用する飛行艇が待機している。
Royal Air Force- Italy, the Balkans and South East Europe, 1942-1945. Supermarine Walrus Mark Is of 'C' Flight No. 293 Squadron RAF Detachment, on the ground at Nettuno, Italy: X9506 ‘C’ is parked in front of R6547 ‘X’. In the foreground an American water bowser is sprinkling the surface of the landing ground in order to suppress the dust. Behind the Walruses, Supermarine Spitfire Mark IXs of No. 93 Squadron Detachment undergo repair and maintenance. Date between 1942 and 1945 Author Davies, F A (Lt), Royal Navy official photographer
写真はWikimedia Commons, Category:Supermarine Walrus >File:Royal Air Force- Italy, the Balkans and South East Europe, 1942-1945. CNA4756.jpg引用。


1944年1月22日、西側連合国軍は兵3万6,000名をもって、ローマ南30キロのアンツィオAnzio)に上陸し、ネッツーノに穴の開いた鉄板を引き詰めた急造飛行場を建設し、航空支援を始めた。しかし、ドイツ軍の防衛線グスタフ・ラインモンテカッシーノを突破するには時間がかかり、ローマ解放を企図したのは、半年後の1944年6月と遅れた。


写真(上)1944年,イタリア中部西岸、ローマ南30キロ、アンツィオ(Anzio)郊外ネッツーノ(Nettuno)の急造飛行場、穴あき鉄板を敷き詰めた滑走路に待機するイギリス空軍スーパーマリン(Supermarine)ウォーラス(Walrus)水陸両用飛行艇
;西側連合国軍は、イタリアを占領したドイツ軍が険しい地形を利用した遅滞戦に手こずらされた。1944年1月22日、ローマ郊外のアンツィオに上陸した西側連合軍は、ここでも。そして、航空支援のために、ネッツーノに穴の開いた鉄板を引き詰めた急造飛行場を建設した。
Supermarine, Walrus Manufacturer: Supermarine Official Nickname: Walrus Repository: San Diego Air and Space Museum Archive
写真はflicker, SDASM Archives Catalog #: 01_00088709引用。


1943年9月9日、アメリカ、イギリスを中心にした西側連合軍がイタリア半島南部の9月7日、サレルノに上陸、同時期にイタリアは連合国に休戦条約を締結した。しかし、イタリア半島のドイツ軍は、降伏したイタリア軍を武装解除し、ベニート・ムッソリーニBenito Mussolini)傀儡政権を支えつつ、イタリア北部から中部を支配下に置き、連合軍との遅滞戦を戦った。

写真(右)1944年1月22日以降、イタリア中部西岸、ローマ南30キロ、アンツィオ(Anzio)郊外ネッツーノ(Nettuno)、準備中のイギリス空軍第293飛行隊搭乗員とスーパーマリン(Supermarine)ウォーラス(Walrus)Mark I 水陸両用飛行艇
Royal Air Force- Italy, the Balkans and South East Europe, 1942-1945. Supermarine Walrus Mark I, R6547 ‘X’, of 'C' Flight, No. 293 Squadron RAF Detachment, taxying to its dispersal at Nettuno, Italy, following a search and rescue sortie off Anzio. Behind it is parked a Supermarine Spitfire Mark IX of No. 93 Squadron RAF Detachment. Date between 1942 and 1945 CNA 4894 from the collections of the Imperial War Museums. Author Royal Air Force official photographer
写真はWikimedia Commons, Category:Supermarine Walrus >File:Royal Air Force- Italy, the Balkans and South East Europe, 1942-1945. CNA4756.jpg引用。


1944年1月22日、西側連合国軍は、情勢を打開するために、シングル作戦に従って、3万6,000名をもって、ローマ南30キロのアンツィオAnzio)に上陸した。そして、航空支援のために、ネッツーノに穴の開いた鉄板を引き詰めた急造飛行場を建設し、ドイツ軍の防衛線グスタフ・ライン、モンテカッシーノMonte Cassino)を突破して、ローマ解放を企図した。

しかし、アルベルト・ケッセルリンクAlbert Kesselring: 1881-1960)将軍の指揮するドイツ軍のグスタフ・ラインからのドイツ軍兵力の抽出、撤退はなく、モンテカッシーノMonte Cassino)の戦いが続いた。

写真(右)1944年1月22日以降、イタリア中部西岸、ローマ南30キロ、アンツィオ(Anzio)郊外ネッツーノ(Nettuno)、準備中のイギリス空軍第293飛行隊搭乗員とスーパーマリン(Supermarine)ウォーラス(Walrus)Mark I 水陸両用飛行艇;機首側面には、出撃回数らしいマーキングが描かれている。
Royal Air Force- Italy, the Balkans and South East Europe, 1942-1945.
Warrant Officer J R Berry (wireless operator) and Flight Sergeant E J Holmes (pilot), an experienced air-sea rescue crew, stand in front of their Supermarine Walrus Mark I, X9506 'C', of 'C' Flight, No. 293 Squadron RAF Detachment at Nettuno, Italy. Berry and Holmes were both recipients of the Distinguished Flying Medal for their work with No. 284 Squadron RAF, and flew several more successful rescue sorties after transferring with their aircraft to 293 Squadron in April 1944. The rescue tally on the X9506's nose shows 23 aircrew extricated from the waters around Italy.
Date between 1942 and 1945
CNA 4757 from the collections of the Imperial War Museums.
Author Royal Air Force official photographer
写真はWikimedia Commons, Category:Supermarine Walrus >File:Royal Air Force- Italy, the Balkans and South East Europe, 1942-1945. CNA4757.jpg引用。


イタリアの米英軍は、1944年1月22日に上陸したアンツィオAnzio)の橋頭堡から内陸に急進撃することはできず、アメリカ軍が、無防備都市のローマに到達したのは、半年後の1944年6月4日であり、アルベルト・ケッセルリンクAlbert Kesselring)のドイツ軍は、ローマの北に撤退した後だった。

写真(右)1944年6月、インド、イギリス海軍艦隊飛行隊(Fleet Air Arm)のスーパーマリン(Supermarine)ウォーラス(Walrus)水陸両用飛行艇を牽引するインド象;飛行艇の脇には、上半身裸のイギリス軍兵士が整備作業に当たっている。
An elephant pulling a Supermarine Walrus aircraft into position at a Fleet Air Arm station in India, June 1944. An elephant pulling a Supermarine Walrus aircraft into position at a Fleet Air Arm station. Date 1944. CNA 1190 from the collections of the Imperial War Museums. Author Bridge B (Fg Off), Royal Air Force official photographerr
写真はWikimedia Commons, Category:Supermarine Walrus >File:An elephant pulling a Supermarine Walrus aircraft into position at a Fleet Air Arm station in India, June 1944. A24291.jpg引用。


1944年3月8日、日本陸軍は、インド東端インパール攻略作戦を開始した。このインド侵攻作戦は 西側連合国が中国の蒋介石へ軍事援助をする補給路「援蒋ルート」遮断、イギリス植民地インドの反英反乱を企図した縁だなものだった。指揮官は、陸軍第15軍牟田口廉也中将率で、インド国民軍の兵士も参戦し、ビルマ西部からインド東部に侵攻した。

しかし、日本軍が1944年3月に開始したウ号作戦(インパール作戦)は、ジャングルや山岳地帯における補給兵站と兵力の不足から、インパール西方のコヒマ攻略には成功したものの、インパール攻略には失敗した。そして、撤退戦では、飢餓、疫病に苦しみながら敗走し、第31師団長・佐藤幸徳中将の抗命問題も発生、日本軍は戦死3万、病死2万人以上の大損害を被った。昭和19年(1944年)年5月31日付『写真週報』323号には、インパール作戦最後の記事が「皇軍勇戦 インパールの包囲圧縮」と題して掲載され、敵の「狂奔」にもかかわらず、インパール包囲作戦は大詰めを迎え「赫々たる戦果をおさめてゐる」と報じられた・しかし、実際には、1944年6月にはイギリス=インド軍に完全に敗北し、ビルマ撤退を強いられた。

写真(右)1944年1月14日、イギリス北部、スコットランド、オークニー諸島(Orkney)、イギリス海軍航空基地(RNAS)タワット(Twatt)に飛来したBBCコメディアン一行を乗せたイギリス海軍艦隊航空隊(FAA)スーパーマリン(Supermarine)ウォーラス(Walrus:セイウチ)水陸両用飛行艇;BBCコメディ"ITMA"担当の女優が、飛行艇のコックピット天井にある昇降口に座っている。前線部隊を慰問したのは、BBCラジオ放送の大物コメディアンである、トーマス・ハンドレー(Thomas Reginald Handley:1892-1949)とその"ITMA"一行である。"ITMA"とは、"It's That Man Again"の頭文字で、イギリスのタブロイド紙デイリー・エックスプレス(The Daily Express)のヘッドラインに登場し、第二次大戦勃発直前の1939年7月にスタートしたBBCラジオ・コメディー「またあの男だ」で、ハンドレーがヒトラーを揶揄した。対ドイツ戦争勃発でブレイクしたBBC人気番組"ITMA:It's That Man Again"の一行が、イギリス海軍基地を慰問したのである。男が大半の第一線基地の写真では"ITMA"女優が表に出てきている。
"ITMA" IN THE AIR; TOMMY HANDLEY & CO VISIT FLEET AIR ARM. 14 JANUARY 1944, Royal Naval Air Station TWATT. TOMMY HANDLEY AND THE MEMBERS OF HIS "ITMA" COMPANY HAVE MADE A SIX DAYS TOUR OF THE HOME FLEET AND NAVAL AIR STATIONS IN THE NORTH. Jean Capra (Poppy Poohpa) poses for the cameraman on a Supermarine Walrus aircraft. ADMIRALTY OFFICIAL COLLECTION
写真は, Imperial War Museums >IWM A 21446引用。


折畳み主翼、複葉、単発、水陸両用という特徴を活かして、スーパーマリン(Supermarine)ウォーラス(Walrus)飛行艇は、第二次世界大戦直前に、イギリス海軍巡洋艦・戦艦の艦載機として偵察・弾着観測に使用され、航空母艦の艦上機として対潜哨戒に使用された。しかし、戦局が好転した1943年末からは、巡洋艦・戦艦のための艦載機の任務はなくなり、搭載されなくなった。変わって、陸上飛行場、一部は航空母艦に搭載され、主に海上救難機としての任務について、第二次世界大戦終戦まで運用され続けている。


写真(右)1945年1月,イギリス、スコットランド、グラスゴー西40キロ、グリーノック(Greenock)沖、イギリス海軍護衛空母「ケディーブ」(HMS Khedive :D62)
;護衛空母「ケディーブ」は陸上滑走用のゴム主輪装備の水陸両用飛行艇として、当初ウォーラス(Walrus)飛行艇を、後にシーオッター(Sea Otter)飛行艇を搭載した。
The Royal Navy during the Second World War HMS KHEDIVE underway at Greenock under the command of Captain H J Haynes RN. Date between 1939 and 1945 Date 1 January 1945 A 22596 from the collections of the Imperial War Museums. Author Beadell, S J (Lt), Royal Navy official photographer
写真はWikimedia Commons, Category:Supermarine Walrus  File:HMS Khedive IWM A22596.jpg引用。


護衛空母「ケディーブ」HMS Khedive :D62)は、起工1942年12月30日、進水 1943年1月30日、 就役1943年8月25日、退役1946年7月19日で、満載排水量1万6,620トン、全長 495.66 ft (151.1 m)、全幅 69.5 ft (21.2 m)、最高速力18ノット、搭載機20機の小型低速空母である。


写真(右)1943−1945年,極東方面、イギリス海軍護衛空母「ケディーブ」(HMS Khedive :D62)から発艦したスーパーマリン(Supermarine)ウォーラス(Walrus)Mark II 水陸両用飛行艇
;護衛空母「ケディーブ」は陸上滑走用のゴム主輪装備、ゴム尾輪の水陸両用飛行艇として、当初ウォーラス(Walrus)飛行艇を配備した。その後、艦載機はシーオッター(Sea Otter)飛行艇に変更されている。
he Royal Navy during the Second World War A Supermarine Walrus amphibious aircraft takes off from HMS KHEDIVE in the Far East to rescue the crew of a ditched bomber spotted in their dinghy 30 miles away. The white patches on the wings of the aircraft are recognition panels designed to prevent friendly fire incidents. Date between 1939 and 1945 A 29251 from the collections of the Imperial War Museums. Flag of the United Kingdom.svg Author Royal Navy official photographer
写真はWikimedia Commons, Category:Supermarine Walrus  File:HMS Khedive IWM A22596.jpg引用。


シーオッター(Sea Otter)複葉飛行艇は、イギリス艦隊航空隊Fleet Air Arm:FAA)では、イギリス南岸ワイト島対岸リー・オン・ソレント(Lee-on-Solent)の第1700飛行隊に初めて6機が配備され、のちに護衛空母「ケディーブ」HMS Khedive :D62)に搭載されている。

写真(右)1944年6月21日あるいは10月19日、、インド洋東部、ニコバル諸島の日本軍を攻撃した時期に海上に不時着したヘルキャット艦上戦闘機パイロットを救助したイギリス海軍航空母艦の飛行甲板に着艦したスーパーマリン(Supermarine)ウォーラス(Walrus:セイウチ)水陸両用飛行艇;インド洋西部、ビルマ沖のニコバル諸島を空襲したときに、海上に不時着したFM2ワイルドキャット(Hellcat)艦上戦闘機のパイロットの海上救命活動に従事した。。原典の解説には1945年8月19日撮影のようにあるが、これは誤記か掲載日ではないか。
SUPERMARINE WALRUS DEFIES ENEMY GUNS TO SAVE NAVY PILOT. 19 AUGUST 1945, ON BOARD A CARRIER OPERATING OFF NICOBAR AND SUMATRA. ATTACKING ENEMY SHORE POSITIONS ON THE NICOBAR ISLANDS, A HELLCAT WAS SHOT DOWN NEAR THE SHORE. LIEUTENANT (A) S LAWRENCE, RNVR, OF STRATTON, CORNWALL, PILOTING A SUPERMARINE WALRUS SEAPLANE, LANDED ON THE SEA AND MADE A DARING RESCUE OF THE PILOT UNDER HEAVY FIRE BY JAPANESE MACHINE GUNNERS. HE SUCCEEDED IN HIS PURPOSE, BRINGING THE PILOT SAFELY TO HIS CARRIER. Lieut (A) S Lawrence landing his Supermarine Walrus safely on the carrier deck after his daring rescue.
写真は, Imperial War Museums >IWM A 29813引用。


第二次世界大戦の初期、日本軍は、ビルマ侵攻との関連で、シンガポールかえらラングーンへの海路に当たるアンダマン諸島(Andaman)に1942年3月20日に日本陸海軍部隊が上陸した。そして、アンダマン諸島(Andaman)南に連なるニコバル諸島にも上陸した。アンダマン・ニコバル諸島のイギリス=インド軍の大半はすでに撤退していたため、大きな戦闘なしに日本軍はこれらの諸島を占領し、反英のインド独立連盟の支援を受けてインド国民軍が組織された。

しかし、イギリス軍は、得意の謀略戦を仕掛け、アンダマン・ニコバル諸島にインド人スパイを配置したとの情報を流したため、空襲の被害を受けた日本軍は、1943年後半には、島のインド人をスパイ・反逆者として逮捕、殺害した。

写真(右)1944年6月21日あるいは10月19日、インド洋、日本軍と対峙したイギリス海軍航空母艦の飛行甲板に着艦したスーパーマリン(Supermarine)ウォーラス(Walrus:セイウチ)水陸両用飛行艇;インド洋西部、ビルマ沖のニコバル諸島を壕激したときに、海上に不時着したFM2ワイルドキャット(Hellcat)艦上戦闘機のパイロットの海上救命活動に従事した。これと一連のものらしい上記写真の原典には1945年8月19日撮影のように説明があるが、これは誤記か掲載日ではないか。
A Supermarine Walrus, piloted by Lieutenant (A) S Lawrence, lands the deck of a British aircraft carrier in the Indian Ocean. Lawrence had just rescued under fire the pilot of a Grumman Hellcat, which had been shot down while attacking Japanese positions on the Nicobar Islands. A 29814 from the collections of the Imperial War Museums
写真はWikimedia Commons, Supermarine Walrus >File:Walrus carrier landing.jpg引用。


1943年10月、インド独立連盟の自由インド仮政府スバス・チャンドラ・ボースの意向で、インド固有の領土としてニコバル諸島を1944年2月から自由インド仮政府の領土した。しかし、インド人に実権権はなく、日本軍の厳しい占領支配が敗戦まで続いた。

1943年10月、インド独立連盟の自由インド仮政府スバス・チャンドラ・ボースの意向で、インド固有の領土として、ニコバル諸島を1944年2月から自由インド仮政府の領土した。しかし、インド人に実権権はなく、日本軍の厳しい占領支配が敗戦まで続いた。

イギリス海軍は、1944年6月21日、ペダル作戦で空母「イラストリアス」の艦上機がアンダマン諸島ポートブレアを空襲した。1944年10月17-19日にも、ミレット作戦で空母「インドミタブル」「ビィクトリアス」の艦上機がニコバル諸島を空襲し、戦艦「レナウン」(HMS Renown)38.1cm42口径MkI連装砲塔3基6門、重巡洋艦「ロンドン」 (HMS London, 69) 20.3cm50口径連装砲塔4基8門他で艦砲射撃をした。

写真(右)1944年、ニュージーランド(?)、ニュージーランド空軍がイギリスから購入したスーパーマリン(Supermarine)ウォーラス(Walrus:セイウチ)水陸両用飛行艇(NZ151);陸地上空を飛行している飛行艇だが、ゴム主輪の付いた引き込み脚を装備しているので陸上飛行場に離着陸できる。
A Supermarine Walrus amphibious biplane, in flight Date 1944 Ref WA-00357-G Description Photograph taken by Leo White..
写真は Te Kāwanatanga, National Library New Zealand > WA-00357-G引用。


ニュージーランド海軍軽巡洋艦「アキリーズ」(HMNZS Achilles)は、1940年初めにニュージーランドに帰国したが、対日戦準備のために、イギリス東洋艦隊 (Eastern Fleet)に編入されたが、この時期、カタパルト1基を装備し、艦載機として、スーパーマリン(Supermarine)ウォーラス(Walrus)水陸両用飛行艇2機を搭載している。

1942年、ニュージーランド海軍軽巡洋艦「アキリーズ」(HMNZS Achilles)主に南太平洋、フィジーのスバ(Suva)港を基地として活動した。1943年初頭、ガダルカナル島南で、日本海軍機の空襲を受け損傷、修理のため1943年4月から1944年5月まで、イギリス南岸ポーツマスPortsmouth)で修理、改装を受けた。

写真(右)1944年、ニュージーランド、ニュージーランド空軍がイギリスから購入したスーパーマリン(Supermarine)ウォーラス(Walrus:セイウチ)水陸両用飛行艇(NZ151);陸地上空を飛行している飛行艇だが、ゴム主輪の付いた引き込み脚を装備しているので陸上飛行場に離着陸することが多かった。
A Supermarine Walrus amphibious biplane NZ151, in flight over an unidentified location Date 1944 Ref WA-00358-F Description Photograph taken by Leo White.
写真は Te Kāwanatanga, National Library New Zealand > WA-00358-F引用。


ニュージーランド海軍軽巡洋艦「アキリーズ」(HMNZS Achilles))は、イギリス南岸ポーツマスPortsmouth)で修理完了後、1945年5月までイギリス太平洋艦隊に配属された。ニュージーランド海軍軽巡洋艦「アキリーズ」(HMNZS Achilles)は旧式艦だったために、1946年9月17日にニュージランド海軍を除籍、イギリスに返還された後、1948年にインド海軍軽巡洋艦「デリー」(INS Delhi :C74)として貸与され、1978年に除籍、解体された。

写真(右)1944年、ニュージーランド、飛行するニュージーランド空軍スーパーマリン(Supermarine)ウォーラス(Walrus:セイウチ)水陸両用飛行艇(NZ151)
A Supermarine Walrus amphibious biplane, in flight over an unidentified location Date 1944 Ref WA-00360-F Description Aerial photograph taken by Whites Aviation. Quantity: 1 b&w original negative(s). Physical Description: Cellulosic film negative, 1/2 plate.
写真は Te Kāwanatanga, National Library New Zealand > WA-00360-F引用。


スーパーマリン(Supermarine)ウォーラス(Walrus:セイウチ)水陸両用飛行艇は、海上で離着水するために飛行艇の船体を採用しているが、主翼が海に浸からないように、左右下主翼の下面に浮舟フロートを装着している。また、飛行中は、陸上で使用する引込み式降着用ゴム車輪は下主翼の下面に格納されている。

図(右)イギリス空軍スーパーマリン(Supermarine)ウォーラス(Walrus)Mark I 水陸両用飛行艇の三面図
British single-engine amphibious biplane reconnaissance aircraft Supermarine Walrus
Русский: Британский разведывательный гидросамолёт
Supermarine Walrus
Date 7 August 2014
Source Own work Author Maxrossomachin
写真はWikimedia Commons, Category:Supermarine Walrus >File:Royal Air Force- Italy, the Balkans and South East Europe, 1942-1945. CNA4757.jpg引用。


スーパーマリン(Supermarine)ウォーラス(Walrus)水陸両用飛行艇の諸元
乗員:4名
全長:37 ft 7 in (11.46 m)
全幅:145 ft 10 in (13.97 m)
全高:15 ft 3 in (4.65 m)
主翼面積:610 sq ft (57 m2)
空虚重量:4,900 lb (2,223 kg)
離昇最大重量:7,200 lb (3,266 kg)
発動機:ブリストル(Bristol)ペガサス(Pegasus)VI 空冷9気筒エンジン750 HP

性能
最高速力: 135 mph (217 km/h, 117 kn)/高度4,750 ft (1,448 m)
巡行速力: 92 mph (148 km/h, 80 kn)
航続距離: 600 mi (970 km, 520 nmi)
上昇限度:18,500 ft (5,600 m)
上昇率:1,050 ft/min (5.3 m/s)
上昇時間:: 10,000 ft (3,000 m) /12.5分
翼面荷重:11.8 lb/sq ft (58 kg/m2)
兵装:.303 in (7.7 mm)ビッカース(Vickers)K 機関銃(VGO) 機首1挺、後方1挺
爆弾搭載量:6x 100 lb (45 kg) /2x 250 lb (110 kg)/2x 250 lb (110 kg) Mk.VIII爆雷
生産数:741機
運用開始:1935年
退役:1947年


2.戦後のスーパーマリン(Supermarine)ウォーラス(Walrus)複葉飛行艇

写真(右)1947年7月、ニュージーランド北島、ウェリントン(Wellington)北60キロ、パラパラウムビーチ(Paraparaumu Beach)に待機しているニュージーランド空軍のスーパーマリン(Supermarine)ウォーラス(Walrus:セイウチ)Mk I水陸両用飛行艇('K' NZ157)と僚機;右側面
Bristol Freighter Tour, view of two RNZAF Supermarine Walrus Mk I Seaplanes ('K' NZ157 in front) owned by J M Gould on a Paraparaumu Beach, North Wellington Region Date Jul 1947 Ref WA-08521-F Description Photograph taken by Whites Aviation..
写真は Te Kāwanatanga, National Library New Zealand > WA-08521-F引用。


イギリスのスーパーマリン(Supermarine)ウォーラス(Walrus)水陸両用飛行艇は、アメリカのシコルスキー(Sikorsky)S-38と同じく、胴体中央下面に引込み式ゴム輪を装備していたので、陸上での運行も可能だった。飛行中、着水・離水の時、水上滑走の時は、車輪を引上げした主翼の下にセットした。水陸両用飛行艇は汎用性が高かったが、飛行性能を低下させるというデメリットがあった。

写真(右)1947年7月、ニュージーランド北島、ウェリントン(Wellington)北60キロ、パラパラウムビーチ(Paraparaumu Beach)に待機しているニュージーランド空軍のスーパーマリン(Supermarine)ウォーラス(Walrus:セイウチ)Mk I水陸両用飛行艇('K' NZ157)と僚機;正面
Bristol Freighter Tour, view of two RNZAF Supermarine Walrus Mk I Seaplanes owned by J M Gould on a Paraparaumu Beach, North Wellington Region Date Jul 1947 Ref WA-08521-F Description Photograph taken by Whites Aviation..
写真は Te Kāwanatanga, National Library New Zealand > WA-08524-F引用。


スーパーマリン(Supermarine)ウォーラス(Walrus)Mark.I は、金属製胴体であるのに対して、ウォーラス(Walrus)Mark.IIは、木製胴体でサロ社が製造した。1936–1944年の間に、スーパーマリン(Supermarine)社は、ウォーラスMark.Iを288機、サロ(Salo)、すなわちサンダース・ローSaunders-Roe)社は、ウォーラスMark.IIを453機生産している。ウォーラス(Walrus)水陸両用飛行艇は、合計741機も量産されている。

写真(右)1948年3月19日、ニュージーランド北島、オークランド(Wellington)郊外、マヌカウ、主翼を伸ばして舗装滑走路脇に置かれているニュージーランド空軍スーパーマリン(Supermarine)ウォーラス(Walrus)水陸両用飛行艇;車輪カバーが掛けられている。
Ralph Exton's Supermarine Walrus aircraft at Mangere, Auckland Date 19 Mar 1948 Ref WA-12526-F Description Photograph taken by Whites Aviation. Quantity: 1 b&w original negative(s). Physical Description: Cellulosic film negative, ¼ plate..
写真は Te Kāwanatanga, National Library New Zealand > WA-19103-G引用。


写真(右)1948年12月、ニュージーランド北島、オークランド(Wellington)郊外、マヌカウ、主翼を後方に折り畳んで地上に置かれているニュージーランド空軍のスーパーマリン(Supermarine)ウォーラス(Walrus)水陸両用飛行艇;現在はここオークランド(Wellington)郊外、マヌカウに、オークランド国際空港がある。
Walrus amphibian aeroplane, Mangere, Auckland Date Dec 1948 Ref WA-19103-G Description Photograph taken by Whites Aviation. Quantity: 1 b&w original negative(s). Physical Description: Glass negative, 3.25 x 4.25 inches..
写真は Te Kāwanatanga, National Library New Zealand > WA-19103-G引用。


写真(右)1948年12月、ニュージーランド北島、オークランド(Wellington)郊外、マヌカウ、主翼を後方に折り畳んで地上に置かれたニュージーランド空軍のスーパーマリン(Supermarine)ウォーラス(Walrus)水陸両用飛行艇と主翼を伸ばしたままのウォーラス(Walrus)水陸両用飛行艇
Walrus amphibian aeroplane, Mangere, Auckland Date Dec 1948 Ref WA-19102-G Description Photograph taken by Whites Aviation. Quantity: 1 b&w original negative(s). Physical Description: Glass negative, 3.25 x 4.25 inches..
写真は Te Kāwanatanga, National Library New Zealand > WA-19102-G引用。


写真(右)1945年以降、イギリス、スーパーマリン(Supermarine)ウォーラス(Walrus:セイウチ)水陸両用飛行艇コックピット左前部側面;迷彩塗装を施している。視界を確保するために、コックピット周囲は大きな四角のガラス窓で覆われている。
Supermarine, Walrus Manufacturer: Supermarine Official Nickname: Walrus
写真はflicker, San Diego Air and Space Museum Archive >Catalog #: 01_00088732引用。


イギリス、スーパーマリン(Supermarine)ウォーラス(Walrus)水陸両用飛行艇の初飛行は、1933年6月21日だが、原型は、レジナルド・ジョセフ・ミッチェルReginald Joseph Mitchell)設計の民間機のスーパーマリン・シーガルV飛行艇である。使用用途は、巡洋艦以上の大型艦艇の艦載機とすることで、艦上に設置したカタパルトから射出可能な機体とするために、単発の軽量飛行艇として設計されている。

写真(右)1945年後半以降、格納庫で一般公開されたイギリス空軍スーパーマリン(Supermarine)ウォーラス(Walrus:セイウチ)水陸両用飛行艇;2翅2組で4翅プロペラとしているが、これは胴体とプロペラの間隔クリアランスを確保するためである。奥には、日本海軍の人間爆弾「桜花」1機が写っている。飛行機の主翼(補助翼)と水平尾翼(昇降舵)・垂直尾翼(方向舵)を多数の金属製桁で支え、飛行中の空気抵抗、飛行操縦操作するときの抗力・強度を維持している。
Supermarine, Walrus Manufacturer: Supermarine Official Nickname: Walrus Repository: San Diego Air and Space Museum Archive
写真はflicker, San Diego Air and Space Museum Archive >Catalog #: 01_00088712引用。


スーパーマリン(Supermarine)ウォーラス(Walrus)水陸両用飛行艇はエンジン1基で推進式プロペラを装備している。これは、胴体中央の複葉上下主翼の中間に設置されている。装備されたのは推進式プロペラで、2翅2組で4翅プロペラとしている。4翅プロペラの回転直径を縮小して、プロペラと胴体とクリアランス間隔を確保する目的があった。

写真(右)1945年以降、イギリス、スーパーマリン(Supermarine)ウォーラス(Walrus:セイウチ)水陸両用飛行艇コックピット上面左が主操縦士、右が副操縦士・偵察員の席である。;視界を確保するために、コックピット天井部は大きな四角のガラス窓で覆われている。
Supermarine, Walrus Manufacturer: Supermarine Official Nickname: Walrus
写真はflicker, San Diego Air and Space Museum Archive >Catalog #: 01_00088713引用。


イギリス、スーパーマリン(Supermarine)ウォーラス(Walrus)水陸両用飛行艇は、海上哨戒機、弾着観測機として、さらに飛行機海難時の搭乗員救助機としても使用された。水陸両用の飛行艇であり、陸上用降着装置の主脚は、主翼に格納することができる。また、密閉ガラス風防であるために、小型飛行艇ではあっても居住性は悪くなかった。

スーパーマリン(Supermarine)ウォーラス(Walrus)飛行艇は、実用性が高かったためか、イギリス艦隊航空隊Fleet Air Arm:FAA)のほかにも1935年にオーストラリア空軍(RAAF)もスーパーマリン(Supermarine)ウォーラス(Walrus)飛行艇を制式した。1936–1944年の間に、合計741機もが生産されている。


写真(右)1945年後半以降、スーパーマリン(Supermarine)ウォーラス(Walrus:セイウチ)水陸両用飛行艇のコックピット操縦席・航法士席の上面ガラス風防
;四角い大きなガラス風防で覆われているために、上方の視界は確保されている。左席の操縦席風防外にバックミラーが装着されている。
Supermarine, Walrus Manufacturer: Supermarine Official Nickname: Walrus Repository: San Diego Air and Space Museum Archive
写真はflicker, San Diego Air and Space Museum Archive >Catalog #: 01_00088724引用。


スーパーマリン(Supermarine)ウォーラス(Walrus)飛行艇のコックピットは、大きな四角ガラス風防で覆われており、周囲の視界は良好である。また、左側にある主操縦士の風防上には、バックミラーが装着されていて、後方視界を確認できる。イギリス空軍は、スピットファイアのような単発戦闘機にも風防上部にバックミラーを装備しており、若干の空気抵抗増加による最高速力の低下を覚悟で、後上方から接近する敵機による攻撃を警戒していた。

写真(右)1933-1945年以降、イギリス、市民に公開されたスーパーマリン(Supermarine)ウォーラス(Walrus:セイウチ)水陸両用飛行艇のコックピット操縦席上面;左席が操縦士席で、その風防外側にはバックミラーが装着されている。イギリス空軍は、スピットファイアのような単発戦闘機にも風防上部にバックミラーを装備していた。右席は航法士の席である。
Supermarine, Walrus Manufacturer: Supermarine Official Nickname: Walrus
写真はflicker, San Diego Air and Space Museum Archive >Catalog #: 01_00088719引用。


スーパーマリン(Supermarine)ウォーラス(Walrus)のガラス風防で周囲を覆ったコックピットは、天蓋部分もガラス風防で覆われているが、その天蓋部分だけを開放することも可能だった。これは、コックピットから周囲の視界を確保して、偵察や弾着観測に便宜を図るためである。このような開放式コックピットは、低速で低空を飛ぶ飛行機に限られ、高速化、高空化するにつれて、密閉式ガラス風防が一般的になる。

写真(右)1945年以降、イギリス、スーパーマリン(Supermarine)ウォーラス(Walrus)水陸両用飛行艇コックピット上面;視界を確保するために、コックピット天井部は大きな四角のガラス窓で覆われている。
Supermarine, Walrus Manufacturer: Supermarine Official Nickname: Walrus
写真はflicker, San Diego Air and Space Museum Archive >Catalog #: 01_00088716引用。


飛行機の操縦は、垂直尾翼とその後縁の方向舵、水平尾翼とその後縁の昇降舵という尾翼の操作翼を使用するが、これはコックピット操縦席の操縦桿と操縦ペダルによって操作される。

コックピットの左ラダー・ペダルを踏みこむと、方向舵は右に動き、重心より後方の尾部を左に、機首を右にふるモーメントが作用することによって、飛行機は右に旋回する。

写真(右)1945年以降、イギリス、市民に公開されたスーパーマリン(Supermarine)ウォーラス(Walrus)水陸両用飛行艇のコックピット操縦席/航法席の上面;左席が操縦士、右席は航法士の席である。
Supermarine, Walrus Manufacturer: Supermarine Official Nickname: Walrus
写真はflicker, San Diego Air and Space Museum Archive >Catalog #: 01_00088715引用。


コンピューターの普及によって、スロットル‐バルブ(throttle valveの開閉を自動制御する電子制御スロットルシステムが普及し、その後、GPS(Global Positioning System:地球測位システム)による航法も導入されたが、1930年代まで、スロットルの調整を調整しながら、3次元の空間を正しい位置を知りながら飛行するのは、とてつもなく熟練を要する操作だった。

写真(右)1945年以降、イギリス、市民に公開されたスーパーマリン(Supermarine)ウォーラス(Walrus)水陸両用飛行艇のコックピット操縦席左側面;左席の操縦士の操縦桿と座席クッションが写っている。側面にはトリムタブの調整装置、スロットルがついている。右席は副操縦士の席である。
Supermarine, Walrus Manufacturer: Supermarine Official Nickname: Walrus
写真はflicker, San Diego Air and Space Museum Archive >Catalog #: 01_00088724引用。


スロットル(throttle)は、エンジン制御システムで、エンジンをふかすスロットルバルブで、アクセルの役割を果たす。エンジンは、スロットルふかすと回転数が増加し、高出力を発揮する。また、スロットルを閉じれば、回転数が低下して出力が下がる。自動車のアクセルペダルの操作と同じように、スロットルバルブの開閉を行い、吸気量を調整し、出力を増減しているのである。

写真(右)1945年以降、イギリス、市民に公開されたスーパーマリン(Supermarine)ウォーラス(Walrus:セイウチ)水陸両用飛行艇のコックピット操縦席正面の計器盤;左席の主操縦士の操縦桿とコンパス(中央下)など各種メーターが写っている。右席は副操縦士の席である。
Supermarine, Walrus Manufacturer: Supermarine Official Nickname: Walrus
写真はflicker, San Diego Air and Space Museum Archive >Catalog #: 01_00088730引用。


飛行機の計器には、ピトー管を使った対気速度計、姿勢指示計、高度計、昇降計、羅針盤(方位計)、傾斜計、エンジン回転計などがある。

写真(右)1945年以降、イギリス、市民に公開されたスーパーマリン(Supermarine)ウォーラス(Walrus)水陸両用飛行艇のコックピット操縦席正面の羅針盤(コンパス)など計器盤
Supermarine, Walrus Manufacturer: Supermarine Official Nickname: Walrus
写真はflicker, San Diego Air and Space Museum Archive >Catalog #: 01_00088727引用。


羅針儀(コンパス)は、元来、海洋を航行する船舶の方位を知る道具として発達したが、12世紀の大航海時代に、磁針と地磁気の方向の関連性から、方位を示す道具として普及した。これが「磁気コンパス」である。しかし、20世紀になると、コマの高速回転させ、回転軸を子午線に合わせることで、南北を指示する「ジャイロコンパス」転輪羅針儀が発明され、飛行機にも搭載されるようになった。

写真(右)1945年以降、イギリス、市民に公開されたスーパーマリン(Supermarine)ウォーラス(Walrus:セイウチ)水陸両用飛行艇のコックピット操縦席下方の左右フットペダル;左席の主操縦士の操縦桿の下にある左右フットペダルである。
Supermarine, Walrus Manufacturer: Supermarine Official Nickname: Walrus
写真はflicker, San Diego Air and Space Museum Archive >Catalog #: 01_00088720引用。


飛行機足元のフットペダルはラダーペダル(Rudder Pedal)で、方向舵(Rudder)を操作して機首の左右の動きを制御する。右足を踏むと右に機首が向き、左を踏むと左に向く。

写真(右)1945年以降、イギリス、市民に公開されたスーパーマリン(Supermarine)ウォーラス(Walrus:セイウチ)水陸両用飛行艇のコックピット右側の副操縦席
Supermarine, Walrus Manufacturer: Supermarine Official Nickname: Walrus
写真はflicker, San Diego Air and Space Museum Archive >Catalog #: 01_00088718引用。


スーパーマリン(Supermarine)ウォーラス(Walrus)水陸両用飛行艇のコックピット右側の副操縦席(偵察席)は、簡易式の折り畳み座席で、側方は視界を確保するためにガラス風防となっている。床板は、滑らないように、また軽量で強度を保つために凹凸構造になっている。

写真(右)1945年以降、イギリス、市民に公開されたスーパーマリン(Supermarine)ウォーラス(Walrus:セイウチ)水陸両用飛行艇の胴体後方内部;後方に向かって、主翼のエルロン、尾翼の方向舵、水平舵をコックピット操縦席で操作するための操縦索(ワイヤー)が張られている。左席の主操縦士の操縦桿と足下にある左右フットペダルによってせ操作される。
Supermarine, Walrus Manufacturer: Supermarine Official Nickname: Walrus
写真はflicker, San Diego Air and Space Museum Archive >Catalog #: 01_00088725引用。


方向舵(ラダー:rudder)とは、機首を左右にふり、方向の姿勢を制御する操縦翼で、垂直尾翼の後縁に取り付けられている。方向舵の操作は,コックピット操縦席の方向ペダル(ラダー・ペダル)を踏むことで制御する。右ラダー・ペダルを踏みこむと、方向舵は左に操作され、右向き揚力が発生するので、重心を中心に、機首を左にふるモーメントが生まれ,飛行機は左に旋回する。

写真(右)1945年以降、イギリス、市民に公開されたスーパーマリン(Supermarine)ウォーラス(Walrus:セイウチ)水陸両用飛行艇の胴体後方内部;後方に向かって、ビッカース K 7.7 mm 機関銃1丁を装備し、銃手用の折り畳み式簡易座席がある。後上方を開放する扉の開閉レバーが天井に着いている。
Supermarine, Walrus Manufacturer: Supermarine Official Nickname: Walrus
写真はflicker, San Diego Air and Space Museum Archive >Catalog #: 01_00088717引用。


ヴィッカース・アームストロング社が開発したビッカース(Vickers)K 7.7 mm 機関銃(VGO)は、1932年にインド陸軍が制式したビッカーズ・ベルチェ(VB)軽機関銃の発展型で、ブレン軽機関銃と同様の尾栓を使用し、発射速度は毎分950から1,200発に調整が可能だった。これは、ドイツの陸戦用ラインメタルMG34機関銃よりも発射速度が速い。

ビッカース(Vickers)K 7.7 mm 機関銃(VGO)はイギリス陸軍制式となり、300発入り弾倉(マガジン)を装備して航空機銃としてテストされ、ブローニング.303よりも信頼性が高いと判断された。しかし、大型弾倉だったために、戦闘機の前方固定式の翼内収容はには制約があった。他方、ベルト給弾式のM1919ブローニング・303マークII機関銃がイギリス空軍(RAF)で制式されたことで、ビッカース(Vickers)K 7.7 mm 機関銃(VGO)は、イギリス空軍では歓迎されず、イギリス艦隊航空隊Fleet Air Arm:FAA)によって第二次大戦末期の1945年まで旋回機関銃として使用され続けた。

写真(右)1945年以降、イギリス、市民に公開されたスーパーマリン(Supermarine)ウォーラス(Walrus)水陸両用飛行艇の機首上面;機首銃座には:ビッカース(Vickers)K 7.7 mm 機関銃(VGO)1丁を搭載。
Supermarine, Walrus Manufacturer: Supermarine Official Nickname: Walrus
写真はflicker, San Diego Air and Space Museum Archive >Catalog #: 01_00088711引用。


スーパーマリン(Supermarine)ウォーラス(Walrus)水陸両用飛行艇の諸元
乗員:3-4名
全長:10.2 m
全幅:14.0 m
全高:4.6 m
主翼面積:56.7 m2
空虚重量:2,220 kg
運用時重量:3,265 kg
発動機:ブリストル(Bristol)ペガサス(Pegasus)VI 空冷9気筒エンジン680 HP
出力: 最高速力:215 km/h
航続距離:965 km
上昇限度:5,650 m
上昇率:360 m/分
翼面荷重:57.6 kg/m2
兵装:ビッカース(Vickers)K 7.7 mm 機関銃(VGO) 機首1挺、後方1挺
爆弾搭載量:345 kg
生産数:740機
運用開始:1935年
退役:1947年


3.保管・展示中のスーパーマリン(Supermarine)ウォーラス(Walrus)水陸両用飛行艇

カラー写真(右)1970年頃(?)、イギリス南部、ヨービルトン( Yeovilton)、王立海軍航空基地(RNAS ヨービルトン)(HMSヘロン)内部のイギリス艦隊航空隊博物館(Fleet Air Arm Museum:FAAM)に保管されているイギリス海軍スーパーマリン(Supermarine)ウォーラス(Walrus:セイウチ)水陸両用飛行艇(L2301);中央のブリストル(Bristol)ペガサス(Pegasus)VI 空冷9気筒エンジン775hpの外側から後方に上下主翼が折り畳まれている。尾翼に青白赤のフランス三色旗に酷似したマークがあるが、これはがユニオン・ジャックの青、白、赤を意味しており、胴体側面の同心円ラウンドマークと同じ意味を持っている。
Supermarine, Walrus Manufacturer: Supermarine Official Nickname: Walrus
写真はflicker, San Diego Air and Space Museum Archive >Catalog #: 01_00088707引用。


イギリス軍機の国籍マークは、赤、白、青の三食同心円ラウンドマークで、胴体後部側面と主翼上下に描いている。また、尾翼にも青白赤のフランス縦縞三色旗に酷似したマークをイギリス機のマークとして描くこともあった。

カラー写真(右)1970年頃(?)、イギリス南部、ヨービルトン( Yeovilton)、王立海軍航空基地(RNAS ヨービルトン)(HMSヘロン)内部のイギリス艦隊航空隊博物館(Fleet Air Arm Museum:FAAM)に保管されているイギリス海軍スーパーマリン(Supermarine)ウォーラス(Walrus:セイウチ)水陸両用飛行艇(L2301)の尾部と主翼後方;複葉主翼の中央に、ブリストル(Bristol)ペガサス(Pegasus)VI 空冷9気筒エンジン775hp1基が装備されている。右側の上下主翼は、後方に折り畳まれている。4翅木製プロペラを推進式に装備。
Supermarine, Walrus Manufacturer: Supermarine Official Nickname: Walrus
写真はflicker, San Diego Air and Space Museum Archive >Catalog #: 01_00088708引用。


カラー写真(右)2019年9月、イギリス南部、ヨービルトン( Yeovilton)、王立海軍航空基地(RNAS ヨービルトン)(HMSヘロン)内部のイギリス艦隊航空隊博物館(Fleet Air Arm Museum:FAAM)に保管されているイギリス海軍スーパーマリン(Supermarine)ウォーラス(Walrus:セイウチ)水陸両用飛行艇(L2301);中央のブリストル(Bristol)ペガサス(Pegasus)VI 空冷9気筒エンジン775hp1基を装備し、巡洋艦以上の艦載機としても使用された。
519 Date 17 September 2019, 11:25 Source 519 Author Michael Gaylard from Horsham, UK
写真はWikimedia Commons, the free media repository, Category:Supermarine Walrus museum aircraft >File:Fleet Air Arm Museum 519 (50381719238).jpg引用。


イギリス艦隊航空隊博物館Fleet Air Arm Museum:FAAM)に保管されているイギリス海軍スーパーマリン(Supermarine)ウォーラス(Walrus)水陸両用飛行艇(L2301)は、1939年にイギリス南岸、サザンプトン(Southampton)、ウールストン(Woolston)でイギリス海軍艦隊航空隊Fleet Air Arm :FAA)用に製造されたが、隣国アイルランド陸軍航空隊(Irish Army Air Corps)に送られ、'B'マークを付けて製造番号(Serial)N18を発行された。

1939年3月3日、スーパーマリン(Supermarine)ウォーラス(Walrus)水陸両用飛行艇(L2301)は、アイルランドのダブリン郊外バルドネル(Baldonnell)に他の2機のスーパーマリン(Supermarine)ウォーラス(Walrus)水陸両用飛行艇(L2302とL2303)とともに向かったが、海岸から陸上に乗り上げてしまった。主翼を破損した。その後,路上を陸上基地まで移送された。

1942年1月9日、4名のアイルランド人がスーパーマリン(Supermarine)ウォーラス(Walrus)水陸両用飛行艇(L2301)を盗み、フランス海岸シェルブール(Cherbourg)に飛行しドイツ空軍(Luftwaffe)に合流しようとした。しかし、イギリス空軍スピットファイア(Spitfire)戦闘機に護送されて、アイルランドに引き返した。1943年にはアイルランド陸軍航空隊でアイルランド西岸の沿岸哨戒飛行に従事した。

カラー写真(右)2014年8月、イギリス南部、ヨービルトン(Yeovilton)、王立海軍航空基地(RNAS)内部のイギリス艦隊航空隊博物館(Fleet Air Arm Museum:FAAM)に保管されているイギリス海軍スーパーマリン(Supermarine)ウォーラス(Walrus:セイウチ)水陸両用飛行艇(L2301)の機首先端;海上での水密性が重視されたので、多数の小型の鋲で蓋板が接合されている。
Fleet Air Museum Date 11 August 2014, 11:32 Source Fleet Air Museum Author Paul Hudson from United Kingdom
写真はWikimedia Commons, the free media repository, Category:Supermarine Walrus museum aircraft >File:Fleet Air Museum (14707748870).jpg引用。


アイルランド陸軍航空隊スーパーマリン(Supermarine)ウォーラス(Walrus)水陸両用飛行艇(L2301)は、1946年11月に、イギリス空軍将校が購入し、登録コードG-AIZGが付与された。1947年3月にダブリンからイギリス、ロンドン郊外ビギン・ヒル(Biggin Hill)に移送され、1948年に退役した。

1963年にスーパーマリン(Supermarine)ウォーラス(Walrus)水陸両用飛行艇(L2301)の復元作業がなされ、5ポンドでイギリス艦隊航空隊博物館Fleet Air Arm Museum:FAAM)に譲渡された。1966年6月にイギリス南部、ヨービルトン(Yeovilton)、王立海軍航空基地((RNAS Yeovilton)(HMSヘロン)内部に設置されたイギリス艦隊航空隊博物館(Fleet Air Arm Museum:FAAM)に到着した。

カラー写真(右)2006年12月、イギリス南部、ヨービルトン(Yeovilton)、王立海軍航空基地(RNAS ヨービルトン)(HMSヘロン)内部のイギリス艦隊航空隊博物館(Fleet Air Arm Museum:FAAM)に保管されているイギリス海軍スーパーマリン(Supermarine)ウォーラス(Walrus:セイウチ)水陸両用飛行艇(L2301);イギリス軍機の国籍マークは、赤、白、青の三食同心円ラウンドマークで、胴体後部側面と主翼上下に描いている。また、尾翼にも青白赤のフランス縦縞三色旗に酷似したマークをイギリス機のマークとして描くこともあった。
Photo ref; Nikon-D80-2013-DSC_1380 (Edited) Date 6 December 2006, 05:17 Source Supermarine Walrus cockpit detail, Fleet Air Arm Museum, RNAS Yeovilton. Author Roland Turner from Birmingham, Great Britain
写真はWikimedia Commons, the free media repository, Category:Supermarine Walrus museum aircraft >File:Supermarine Walrus cockpit detail, Fleet Air Arm Museum, RNAS Yeovilton. (11654941645).jpg引用。


スーパーマリン(Supermarine)ウォーラス(Walrus:セイウチ)水陸両用飛行艇は、当初から艦載機として利用することが想定されていたために、狭い艦上での運用や格納庫に収納するのが便利なように、左右複葉を後方に折り畳むことができる。艦上の格納庫やカタパルトの上でも強風や波浪を避けるのに主翼を後方に折り畳むことも多い。

カラー写真(右)2006年12月、イギリス南部、ヨービルトン( Yeovilton)、王立海軍航空基地(RNAS ヨービルトン)(HMSヘロン)内部のイギリス艦隊航空隊博物館(Fleet Air Arm Museum:FAAM)に保管されているイギリス海軍スーパーマリン(Supermarine)ウォーラス(Walrus)I 水陸両用飛行艇(N2301 (G-AIZG) )のコックピット操縦席右側面;海上での水密性が重視されたので、多数の小型の鋲で蓋板が接合されている。
Displayed in the '100 Years of Naval Aviation' exhibition. Also served with the Irish Air Corps. msn 6S/21840. FAA Museum Yeovilton. 15-6-2011 Date 15 June 2011, 09:08 Source Supermarine Walrus I 'N2301' (G-AIZG) Author Alan Wilson Blue pencil.svg wikidata:Q33132025
写真はWikimedia Commons, the free media repository, Category:Supermarine Walrus museum aircraft >File:Supermarine Walrus I N2301 (G-AIZG) (6858967069).jpg引用。


カラー写真(右)2019年6月、イギリス南部、ヨービルトン( Yeovilton)、王立海軍航空基地(RNAS ヨービルトン)(HMSヘロン)内部のイギリス艦隊航空隊博物館(Fleet Air Arm Museum:FAAM)に保管されているイギリス海軍スーパーマリン(Supermarine)ウォーラス(Walrus)I 水陸両用飛行艇(L2301)(G-AIZG)の前方左側;地上滑走用のゴム主輪は、海上や空中では引き上げて、下主翼下面に格納する。
c/n 6S/21840 Built 1939 for the Fleet Air Arm but diverted to the Irish Air Corps along with L2302 and L2303. On 9th January 1942 it was stolen by four Irish nationals who attempted to fly it to Cherbourg to join the Luftwaffe, until they were intercepted by Spitfires and escorted into St Eval. Aeroplane and ‘crew’ were later returned to Ireland under guard. Sold to Aer Lingus in August 1945, it was allocated the Irish civil registration EI-ACC but never entered service. During 1947 it was sold to Wing Commander R.G.Kellet of 615 (County of Surrey) sqn, Royal Auxiliary Air Force, and used by squadron members for bathing parties before being retired during 1948 and dumped. It was recovered in 1963 by the Historic Aircraft Preservation Society (HAPS) and donated to the Fleet Air Arm Museum. It was restored at RNEC Arbroath and arrived at Yeovilton for display in December 1966. Seen on display in Hall 1 as part of the ‘100 Years of Search and Rescue’ exhibiton. Fleet Air Arm Museum RNAS Yeovilton, Somerset, UK. 30th June 2019 Date 30 June 2019, 12:49 Supermarine Walrus I ‘L2301’ Author Alan Wilson from Peterborough, Cambs, UK
写真はhttps://commons.wikimedia.org/wiki/File:HD874_(16432339828).jpg#:~:text=From-,Wikimedia%20Commons,-%2C%20the%20free%20media, Category:Supermarine Walrus museum aircraft >File:Supermarine Walrus I ‘L2301’ (49924421827).jpg引用。


スーパーマリン(Supermarine)ウォーラス(Walrus:セイウチ)水陸両用飛行艇は、当初から艦載機として利用する前提で設計されており、狭い格納庫に収納するため、荒天の海上での強風・波浪による双んしょうを避けるために、左右主翼を後方に折り畳むことが可能である。

カラー写真(右)2013年2月、イギリス南部、ヨービルトン( Yeovilton)、王立海軍航空基地(RNAS ヨービルトン)(HMSヘロン)内部のイギリス艦隊航空隊博物館(Fleet Air Arm Museum:FAAM)に保管されているイギリス海軍スーパーマリン(Supermarine)ウォーラス(Walrus)I 水陸両用飛行艇(L2301)(G-AIZG)の右上方;主翼は上下一体で後方に折り畳まれている。
Supermarine Walrus (L2301) 1939 - built at Woolston, Southampton for the Fleet Air Arm to Specification 37/36, contract 5344422/36. Diverted prior to issue to Irish Army Air Corps 24/02/1939 - first flight wearing 'B' condition markings; Serial N18 applied 03/03/1939 - set off for Baldonnel, Dublin along with L2302 and L2303 still wearing 'B' markings, forced landed on water off Wexford coast, wings damaged, crew Lt Quinlan and Lt Higgins, put into Wexford and completed journey by road 09/01/1942 - four Irish nationals stole the aircraft and attempted to fly it to Cherbourg to join Luftwaffe, escorted into St Eval by RAF Spitfires, aircraft and its crew returned under guard to Ireland 1943 - noted wearing camouflage; Based at Rineanna (Shannon Airport) with 1 Sqdn IAAC on west coast patrols 02/08/1945 - sold to Aer Lingus 22/08/1945 - allocated EI-ACC, does not appear to have been used by Aer Lingus 1946 - up for sale 11/1946 - bought by Wing Cmdr RG Kellet for 615 (County of Surrey) Sqdn RAuxAF as a squadron hack for £150 12/12/1946 - registered as G-AIZG 03/1947 - Ferried Dublin to Biggin Hill via Croydon for customs by Flt/Lt FB Sowrey and Kellet, used for bathing parties along south coast by sqdn members 1948 - retired 1949 - noted on dump at Thame in Oxfordshire 1963 - recovered by Historic Aircraft Preservation Society, bought by two members (Snaddon and Fisher) for £5 and handed over to FAAM 01/1964 - to RNEC Arbroath for restoration 06/06/1966 - handed over to FAAM 06/12/1966 - arrived at FAAM Date 2 February 2013, 12:05 Source Fleet Air Arm Museum. RNAS Yeovilton. Somerset Uploaded by tm Author Ian Kirk from Broadstone, Dorset, UK
写真はhttps://commons.wikimedia.org/wiki/File:HD874_(16432339828).jpg#:~:text=From-,Wikimedia%20Commons,-%2C%20the%20free%20media, Category:Supermarine Walrus museum aircraft >File:Fleet Air Arm Museum. RNAS Yeovilton. Somerset (8437700885).jpg引用。


カラー写真(右)2019年9月、イギリス南部、ヨービルトン( Yeovilton)、王立海軍航空基地(RNAS ヨービルトン)(HMSヘロン)内部のイギリス艦隊航空隊博物館(Fleet Air Arm Museum:FAAM)に保管されているイギリス海軍スーパーマリン(Supermarine)ウォーラス(Walrus:セイウチ)水陸両用飛行艇(L2301)(G-AIZG);中央のブリストル(Bristol)ペガサス(Pegasus)VI 空冷9気筒エンジン775hp1基を装備し、巡洋艦以上の艦艇の艦載機としても使用された。
506 Date 17 September 2019, 11:09 Source 506 Author Michael Gaylard from Horsham, UK
写真はhttps://commons.wikimedia.org/wiki/File:HD874_(16432339828).jpg#:~:text=From-,Wikimedia%20Commons,-%2C%20the%20free%20media, Category:Supermarine Walrus museum aircraft >File:Fleet Air Arm Museum 506 (50382600737).jpg引用。


カラー写真(右)2019年9月、イギリス南部、ヨービルトン( Yeovilton)、王立海軍航空基地(RNAS ヨービルトン)(HMSヘロン)にあるイギリス艦隊航空隊博物館(Fleet Air Arm Museum:FAAM)に保管されているイギリス海軍スーパーマリン(Supermarine)ウォーラス(Walrus)水陸両用飛行艇(L2301)(G-AIZG);ウォーラス(Walrus)Mark.Iの胴体は金属製だが、ウォーラス(Walrus)Mark.IIの胴体は木製で、サロ(Salo)社でのみ生産された。。
Displayed in the '100 Years of Naval Aviation' exhibition. Also served with the Irish Air Corps. msn 6S/21840. FAA Museum Yeovilton. 15-6-2011 Date 15 June 2011, 09:13 Source Supermarine Walrus I 'N2301' (G-AIZG) Author Alan Wilson Blue pencil.svg wikidata:Q33132025
写真はhttps://commons.wikimedia.org/wiki/File:HD874_(16432339828).jpg#:~:text=From-,Wikimedia%20Commons,-%2C%20the%20free%20media, Category:Supermarine Walrus museum aircraft >File:Supermarine Walrus I N2301 (G-AIZG) (6858947311).jpg引用。


カラー写真(右)2019年9月、イギリス南部、ヨービルトン(Yeovilton)、王立海軍航空基地(RNAS ヨービルトン)(HMSヘロン)内部のイギリス艦隊航空隊博物館(Fleet Air Arm Museum:FAAM)に保管されているイギリス海軍スーパーマリン(Supermarine)ウォーラス(Walrus:セイウチ)水陸両用飛行艇(L2301)(G-AIZG)機首右前方;降着装置のゴム主輪は、主翼が展開されていれば、引き上げて下主翼下面の格納スペースに収めることができる。中央のブリストル(Bristol)ペガサス(Pegasus)VI 空冷9気筒エンジン775hpの後端は、空気抵抗を減少させるように流線形に整形されている。艦載機としても使用するために、主翼を後方に折り畳むことが可能である。
506 17 September 2019, 11:25 Source 521 Author Michael Gaylard from Horsham, UK
写真はhttps://commons.wikimedia.org/wiki/File:HD874_(16432339828).jpg#:~:text=From-,Wikimedia%20Commons,-%2C%20the%20free%20media, Category:Supermarine Walrus museum aircraft >File:Fleet Air Arm Museum 521 (50382422231).jpg引用。


スーパーマリン(Supermarine)ウォーラス(Walrus)Mark.I 水陸両用飛行艇は、金属製の胴体で、スーパーマリン(Supermarine)でのみ生産された。1936-1937年にイギリス航空省は、ウォーラス(Walrus)Mark.Iを204機を発注している。他方、スーパーマリン(Supermarine)ウォーラス(Walrus)Mark.II 水陸両用飛行艇は、木製胴体で、サロ(Salo)、すなわちサンダース・ローSaunders-Roe)社で生産された。

カラー写真(右)2008年8月、イギリス南部、ロンドン(London)、イギリス空軍博物館(RAF Museum )に保管されているイギリス海軍スーパーマリン(Supermarine)ウォーラス(Walrus)I 水陸両用飛行艇(A2-4/VH-ALB)のコックピット操縦席右側面;Mark.I飛行艇の胴体は金属製でスーパーマリン(Supermarine)で製造された。機首開放式銃座にはビッカース K 7.7ミリ機関銃が搭載されている。陸上で使用するゴム主輪の降着装置は、主脚が引き上げられると、下主翼下面にタイヤを格納することができる。
Supermarine Seagull V (Supermarine Walrus), A2-4/VH-ALB, on display in RAF markings at the RAF Museum in London. Date 18 August 2008, 12:38:33 Source Own work Author Oxyman
写真はWikimedia Commons, the free media repository, Category:Supermarine Walrus museum aircraft >File:SupermarineSeagullRAFMuseumLondonJan2007.jpg引用。


カラー写真(右)2007年1月、イギリス南部、ロンドン(London)、イギリス空軍博物館(RAF Museum)に保管されているイギリス海軍スーパーマリン(Supermarine)ウォーラス(Walrus)Mark.I 水陸両用飛行艇(A2-4/VH-ALB)のコックピット操縦席右側面; 機首開放式銃座にはビッカースK 7.7ミリ機関銃が搭載されている。陸上で使用するゴム主輪の降着装置は、主脚が引き上げられると、下主翼下面にタイヤを格納することができる。
Supermarine Seagull V (Supermarine Walrus), A2-4/VH-ALB, on display in RAF markings at the RAF Museum in London. Date January 2007 Source Wolcott Originally uploaded to EN Wikipedia as en: Image:CIMG0629.JPG by Wolcott 29 January 2007. Author Wolcott
写真はWikimedia Commons, the free media repository, Category:Supermarine Walrus museum aircraft >File:SupermarineSeagullRAFMuseumLondonJan2007.jpg引用。


カラー写真(右)2015年3月、イギリス南部、ロンドン(London)郊外ヘンドン(Hendon)、イギリス空軍博物館(RAF Museum )に保管されているイギリス海軍スーパーマリン(Supermarine)ウォーラス(Walrus)I 水陸両用飛行艇(A2-4/VH-ALB)のコックピット操縦席右側面:オーストラリア海軍巡洋艦「オーストラリア」(HMAS Australia)に搭載されていた機体。機首開放式銃座にはビッカースK 7.7ミリ機関銃が搭載されている。陸上で使用するゴム主輪の降着装置は、主脚が引き上げられると、下主翼下面にタイヤを格納することができる。イギリス軍機の国籍マークは、赤、白、青の三食同心円ラウンドマークで、胴体後部側面にある。また、尾翼にある青白赤のフランス縦縞三色旗に酷似したマークもイギリス機のマークである。
The Seagull was the name given to the 24 Walrus aircraft built specifically for Australian Navy service. This example first flew in 1935 and arrived in Australia in 1936. It then entered service as ‘A2-4’, carrying out fleet co-operation work with the Royal Australian Navy fleet. It remained in service until 1946 when it was sold off. It was then dismantled and put in to store. In 1951 it was allocated the civil registration ‘VH-ALB’ but remained in store. It finally flew in civil hands for the first time in 1960. It then flew commercially with various operators before being entered in a London – Sydney air race. It crashed during the outbound journey on 27th January 1970, due to a ‘fuel management’ issue. The hull, undercarriage, floats and one wing were damaged. It was dismantled and stored (again), although further damage was caused by vandals. It finally returned to the UK in 1973 after the RAF Museum exchanged it for Spitfire XVI ‘TE384’. Restored in 1975 by teams at Henlow and Cardington and returned to wartime RAAF markings. The completed aircraft arrived at Hendon in 1979 for permanent display in the Battle of Britain Hall. RAF Museum, Hendon, London, UK. 22-3-2015 Date 22 March 2015, 11:03 Source Supermarine Seagull V ‘A2-4’ (VH-ALB) Author Alan Wilson from Stilton, Peterborough, Cambs, UK
写真はWikimedia Commons, the free media repository, Category:Supermarine Walrus museum aircraft >File:Supermarine Seagull V ‘A2-4’ (VH-ALB) (16596697003).jpg引用。


スーパーマリン(Supermarine)ウォーラス(Walrus)Mark.I 水陸両用飛行艇は、搭乗員3-4名、機首先端上面の開放式銃座にビッカース(Vickers) K 7.7ミリ機関銃(VGO)機関銃1挺、胴体中部後上方の開放式銃座にビッカース(Vickers) K 7.7ミリ機関銃(VGO)1挺から2挺を装備できる。爆弾搭載量は、最大760ポンド(300kg)を主翼下面に懸架可能である。

カラー写真(右)2014年7月、イギリス南部、ロンドン(London)郊外ヘンドン(Hendon)、イギリス空軍博物館(RAF Museum)に保管されているイギリス海軍スーパーマリン(Supermarine)ウォーラス(Walrus)Mark.I 水陸両用飛行艇(A2-4/VH-ALB)のコックピット操縦席右側面;機首開放式銃座にはビッカースK 7.7ミリ機関銃が搭載されている。陸上で使用するゴム主輪の降着装置は、主脚が引き上げられると、下主翼下面にタイヤを格納することができる。
Pictures from WW2 hall at RAF Museum, Hendon Supermarine Seagull search-and-rescue aircraft Date 17 July 2014, 15:37:04 Source Own work Author User:The Land
写真はWikimedia Commons, the free media repository, Category:Supermarine Walrus museum aircraft >File:Supermarine Seagull V.JPG引用。


スーパーマリン(Supermarine)ウォーラス(Walrus)複葉飛行艇は、胴体中央のブリストル(Bristol)ペガサス(Pegasus)VI 空冷9気筒エンジン775hpを搭載し、推進式(通常の牽引式ではない)4翅プロペラを装備している。水陸両用機で、降着装置のゴム主輪は、引き上げて下主翼下面の格納スペースに収めることができる。艦載機としても使用するために、複葉主翼を後方に折り畳むことも可能である。

カラー写真(右)2014年11月、オ-ストラリア、オーストラリア空軍博物館 に保管されているオーストラリア空軍スーパーマリン(Supermarine)ウォーラス(Walrus)Mark.I水陸両用飛行艇(HD 874)
Supermarine Walrus II at the Royal Australian Air Force Museum, Point Cook, VIC.,Australia,23/11/14. Date 23 November 2014, 12:11 Source HD874 Author Alec Wilson from Khon Kaen, Thailand
写真はWikimedia Commons, Category:Supermarine Walrus at the RAAF Museum >File:HD874 (16432339828).jpg引用。


スーパーマリン(Supermarine)ウォーラス(Walrus)Mark.I飛行艇の胴体は、金属製である。それに対して、ウォーラス(Walrus)Mark.II 飛行艇の胴体は、木製でありサンダース・ローSaunders-Roe)社、すなわちサロ(Salo)社でのみ生産された。胴体中央のブリストル(Bristol)ペガサス(Pegasus)VI 空冷9気筒エンジン775hp1基を装備し、通常の牽引式ではない推進式の4翅プロペラを装備した。巡洋艦以上の艦載機としても使用された。

カラー写真(右)2010年6月、オ-ストラリア、オーストラリア空軍博物館に保管されているオーストラリア空軍スーパーマリン(Supermarine)ウォーラス(Walrus:セイウチ)水陸両用飛行艇(HD 874);中央のブリストル(Bristol)ペガサス(Pegasus)VI 空冷9気筒エンジン775hp1基を装備し、巡洋艦以上の艦艇の艦載機としても使用された。
Supermarine Walrus HD 874 on display at the RAAF Museum. Date Taken on 18 June 2010 Source Own work Author BidgeeAuthor Alec Wilson from Khon Kaen, Thailand
写真はWikimedia Commons, Category:Supermarine Walrus at the RAAF Museum >File:Supermarine Walrus HD 874 on display at the RAAF Museum.jpg引用。



4.スーパーマリン(Supermarine)シーオッター(Sea Otter)複葉飛行艇

写真(右)1939-1945年、舗装滑走路上に待機しているイギリス海軍艦隊飛行隊(FAA)所属のスーパーマリン(Supermarine)シーオッター(Sea Otter)Mark I. 水陸両用飛行艇;降着装置の引込み式ゴム主輪を降ろして陸上基地に待機しているが、車輪は、飛行中、水上では、支柱ごと引き上げて、車輪を下主翼下面の格納スペースに収めることができる。中央のブリストル(Bristol)マーキュリー(Mercury) XXX 空冷9気筒エンジン 805 hp (600 kW)1基に牽引式3翅プロペラを装備した。
The Royal Navy during the Second World War An aerodrome study of the Supermarine Sea Otter I. A 27228 from the collections of the Imperial War Museums.
写真はWikimedia Commons, Category:Supermarine Sea Otter >File:The Royal Navy during the Second World War A27228.jpg引用。


スーパーマリン(Supermarine)の開発したシーオッター(Sea Otter)複葉飛行艇は、ウォーラス(Walrus)飛行艇の後継機で、艦載機、海難救助などを目的とした単発飛行艇である。1940年代になっても前作ウォーラス同様に旧式な複葉機としたのは、カタパルト射出や短距離離着水に便利だからであろう。

スーパーマリン(Supermarine)ウォーラス(Walrus)飛行艇は、推進式4翅プッシュ・プロペラ装備だが、後継機シーオッター(Sea Otter)飛行艇は一般的な牽引式3翅トラクター・プロペラに変更されている。

シーオッター

スーパーマリン(Supermarine)シーオッター(Sea Otter)水陸両用飛行艇は水陸両用のため、陸上用降着装置と沿いてゴム車輪を装備している。このゴム車輪は、飛行中あるいは水上では、支柱ごと引き上げて、下主翼下面の円形スペースに車輪を格納する引込み式脚である。

スーパーマリン(Supermarine)の開発したシーオッター(Sea Otter)複葉飛行艇試1号機は、第二次世界大戦勃発1年前、1938年9月に初飛行した金属製胴体、羽布張り複葉、水陸両用飛行艇である。しかし、前作ウォーラス(Walrus)水陸両用飛行艇と同様の性能であり、シーオッター(Sea Otter)飛行艇の就役は、1943年以降と遅い。

スーパーマリン(Supermarine)シーオッター(Sea Otter)複葉飛行艇の生産は、スーパーマリン社ではなく、サンダース・ロー社(Saunders-Roe Limited)で行われ、 592機の発注がなされたものの、完成したのは第二次大戦後の1946年7月までに合計292機であった。

写真(右)1943年頃、イギリス艦隊飛行隊スーパーマリン(Supermarine)シーオッター(Sea Otter)水陸両用飛行艇の正面;降着装置のゴム主輪は、主翼が展開されていれば、引き上げて下主翼下面の格納スペースに収めることができる。中央のブリストル(Bristol)マーキュリー(Mercury) XXX 空冷9気筒エンジン 805 hp (600 kW)2基装備。1942–1945年に合計292機生産された。
The Royal Navy during the Second World War An aerodrome study of the Supermarine Sea Otter I. A 27225 from the collections of the Imperial War Museums. Flag of the United Kingdom.svg Author Royal Navy official photographer Associated themes Fleet Air Arm 1939-1945, Royal Navy 1939-1945 Associated keywords Reconnaissance, naval aviation
写真はWikimedia Commons, Category:Supermarine Sea Otter >File:The Royal Navy during the Second World War A27225.jpg引用。


スーパーマリン(Supermarine)シーオッター(Sea Otter)飛行艇は、イギリス空軍、イギリス海軍の双方で、1943年半ば海難救助機、海上哨戒機として部隊配備された。スーパーマリン(Supermarine)シーオッター(Sea Otter)複葉飛行艇は、大戦後半になって配備されたために、実戦での実績は前作ウォーラス(Walrus)飛行艇に及ばない。

写真(右)、スーパーマリン(Supermarine)シーオッター(Sea Otter)水陸両用飛行艇の三面図;降着装置のゴム主輪は、主翼が展開されていれば、引き上げて下主翼下面の格納スペースに収めることができる。1942-1945年に合計292機生産された。
Sea Otter line drawing Date 8 October 2016 Source Own work Author Kim Pirat
写真はWikimedia Commons, Category:Supermarine Sea Otter >File:Supermarine Sea Otter.jpg引用。


スーパーマリン(Supermarine)シーオッター(Sea Otter)飛行艇の諸元
乗員 3〜4名
全長: 39 ft 9 in (12.12 m)
全幅: 46 ft 0 in (14.02 m)
全高: 16 ft 2 in (4.93 m)
主翼面積: 610 sq ft (57 m2)
空虚重量: 6,805 lb (3,087 kg)
全備重量: 10,000 lb (4,536 kg)
燃料搭載量:206 imp gal (247 US gal; 940 L)
発動機:ブリストル(Bristol)・マーキュリー(Mercury)XXX 空冷9気筒 805 hp (600 kW)
プロペラ:ロートル(Rotol)3翅プロペラ 直径:11 ft 3 in (3.43 m)
性能
最高速力:163 mph (262 km/h, 142 kn)
巡行速力: 100 mph (160 km/h,87kn) /5,000 ft (1,524 m)
実用上限高度:4,880 m
航続距離: 565–725 マイル (909–1,167 km, 491–630 nmi)
フェリー距離(Ferry range): 920 mi (1,480 km, 800 nmi)
兵装 .303 in (7.7 mm) ビッカース(Vickers)K 機関銃2〜3挺
爆弾搭載量:250 ポンド (110 kg)

⇒写真集Album:シーオッター(Sea Otter)水陸両用行艇を見る。


5.アメリカのシコルスキー(Sikorsky)S-36双発飛行艇

写真(右)1927年10月頃,アメリカ東端、メイン州(Maine:ME)南西部、州都ポートランド(Portland)南10キロ、オールドオーチャード(Old Orchard)海岸に引き返してきた女性事業家フランシス・グレイソン(Frances Grayson)のシコルスキー(Sikorsky)S-36水陸両用飛行艇「曙」"The Dawn" (NX-1282; c/n 3) の稼働する右発動機:ライト (Wright)R-790ワールウィンド(Whirlwind)空冷星形9気筒エンジン 排気量90立方インチ(12.9 L) 200 hp (149 kW)2基装備だが、エンジンカウリングのない発動機(左)にはカバーが掛けられている。ブライス・ゴールドスボロース(Brice Goldsborough),女性事業家フランシス・グレイソン(1892-1927),オスカー・オムダル(Oskar Omdal)
Plane Dawn Lewiston, ME. Creator: Jones, Leslie, 1886-1967 (photographer) Aviation: Boardman, Earhart & Grayson Date: 1917-1934 (approximate) Publisher: Boston Public Library, Print Department Genre: Glass negative Extent: 4 x 5 in
写真はBoston Public Library , Leslie Jones: The Camera Man BPL Accession: 08_06_002096引用。


フランシス・グレイソン(Frances Grayson)は、シコルスキー(Sikorsky)S-36水陸両用飛行艇に、1927年12月23日、ニューヨーク州ロードアイランド島カーチス飛行場(Curtis Field: ルーズベルト飛行場)を出発し大西洋横断無着陸飛行を目指した。

しかし、シコルスキー(Sikorsky)S-36水陸両用飛行艇「曙」"The Dawn"は、初めの目的地カナダ東端ニューファウンドランド(Newfoundland)、ハーバーグレース(Harbor Grace)で燃料補給を予定していたが、到着せず、そのまま連絡を絶った。

シコルスキーSikorsky S-36の諸元
乗員Crew: 2名
乗客Capacity: 6名
全長Length: 34 ft 0 in (10.36 m)
全幅Wingspan: 62 ft 0 in (18.9 m)
総重量Gross weight: 6,000 lb (2,722 kg)
発動機Powerplant: ライト (Wright)R-790ワールウィンド(Whirlwind)空冷星形9気筒エンジン 排気量90立方インチ(12.9 L) 200 hp (149 kW) 2基
性能Performance
最高速力Maximum speed: 120 mph (193 km/h, 100 kn)

⇒写真集Album:シコルスキー(Sikorsky)S-36 水陸両用飛行艇を見る。


6.S-36改良型シコルスキー(Sikorsky)S-38水陸両用飛行艇

シコルスキー(Sikorsky)S-38水陸両用飛行艇は、全長12.3メートル、全幅21.8メートル、発動機はプラット・アンド・ホイットニー (Pratt & Whitney)R-1340 ワスプ(Wasp)空冷星型9気筒420 hp2基搭載、巡航速力は時速165キロ、航続距離960キロで、8-10名の乗客を乗せることができる。

写真(右)1935年11月以降,アメリカ、2基のプラット・アンド・ホイットニー(Pratt & Whitney)R-1340ワスプ(Wasp)空冷星型9気筒エンジン415馬力を駆動し飛行するパンアメリカン航空シコルスキー(Sikorsky)S-38双発旅客飛行艇
Sikorsky S-38 Manufacturer: Sikorsky Designation: S-38
写真はSikorsky Product History, SIKORSKY PRODUCT HISTORY Sikorsky S-38引用。


1928年5月25日初飛行のシコルスキー(Sikorsky)S-38水陸両用飛行艇は、乗客8名から10名を運ぶことができる全幅21.8m、全長12.3mの当時の大型飛行艇である。同時代のドイツのドルニエ(Dornier)Do-Jワール(鯨)飛行艇と同クラスの飛行艇をアメリカも国産化した。

⇒写真集Album:シコルスキー(Sikorsky)S-38水陸両用飛行艇を見る。



2011年7月刊行の『写真・ポスターに見るナチス宣伝術-ワイマール共和国からヒトラー第三帝国へ』青弓社(2000円)では、反ユダヤ主義、再軍備、ナチ党独裁、第二次世界大戦を扱いました。
 ここでは日本初公開のものも含め130点の写真・ポスターを使って、ヒトラーの生い立ち、第一次大戦からナチ党独裁、第二次大戦終了までを詳解しました。
バルカン侵攻、パルチザン掃討戦、東方生存圏、ソ連侵攻も解説しました。


◆毎日新聞「今週の本棚」に『写真・ポスターから学ぶ戦争の百年 二十世紀初頭から現在まで』(2008年8月25日,青弓社,368頁,2100円)が紹介されました。ここでは,第二次大戦,ユダヤ人虐殺・強制労働も分析しました。


ポーランド侵攻:Invasion of Poland;第二次大戦勃発
ワルシャワ・ゲットー写真解説:Warsaw Ghetto
ウッジ・ゲットー写真解説:Łódź Ghetto
ヴィシー政権・反共フランス義勇兵:Vichy France :フランス降伏
バルカン侵攻:Balkans Campaign;ユーゴスラビア・ギリシャのパルチザン
バルバロッサ作戦:Unternehmen Barbarossa;ソ連侵攻(1)
スターリングラード攻防戦;Battle of Stalingrad :ソ連侵攻(2)
ワルシャワゲットー蜂起:Warsaw Uprising
ドルニエ(Dornier)Do-X 飛行艇
ルフトハンザ航空ユンカース(Junkers)Ju90輸送機
ドイツ空軍ハインケル(Heinkel)He111爆撃機
ドイツ空軍ユンカース(Junkers)Ju-88爆撃機
ドイツ空軍ユンカース(Junkers)Ju-188爆撃機/Ju388高高度偵察機
ルフトハンザ航空フォッケウルフ(Focke-Wulf)Fw200コンドル輸送機
ドルニエ(Dornier)Do18飛行艇
ドルニエ(Dornier)Do24飛行艇
アラド(Arado)Ar-196艦載水上偵察機
ブロームウントフォッスBV138飛行艇
ブロームウントフォッスBV222飛行艇


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