鳥飼ゼミ外国研修 Our Field Survey
東海大学湘南キャンパス Tokai University 2004
【開発経済学】 のテーマは、開発途上国 を対象とした経済問題を扱う。これは、?開発途上国
における貧困解消、?乳幼児死亡率 、平均寿命、成人識字率 など人間の厚生にかかわる指標(人間開発指標 )やベーシックヒューマンニーズの改善、すなわち社会開発 、?大気汚染 、温室効果ガスの排出、廃棄物処理 、生物多様性の減少 などの環境問題への対応、とい
った内容を含む。
一般に開発途上国とは、一人当たり所得水準 の低い諸国をさすが、この水準は日本の一
人当たり所得の10分の1程度の低さである。つまり、このような低所得国 の国民10人と日
本の国民一人が1年間に獲得する所得 が同程度という意味であり、開発途上国が貧困にあ
るということが実感できよう。しかも、このような日本人の10分の1に満たない低所得の
国民は48億人、世界人口 の80%にも達している。
開発経済学 の第一の課題は、なぜ開発途上国は貧しい人々が多いのか、を追及し、その原因を究明することである。そして、原因を理解した上で、貧困解消 のために効果的な方法を検討することが必要になる。
第二に、開発途上国の人々は経済的に貧しいだけでなく、高い乳幼児死亡率・妊婦死亡
率 、低い就学率 ・成人識字率 など、人間の厚生水準を示す人間開発指標 が、先進工業国 と比してはるかに劣っている。これは、人間の本来もっている能力を引き出すことなく、無為に放置していることを意味する。それでは、人々の厚生水準を高めるには、どのような政策が効果的であろうか。工業化、教育 、貿易 、投資などについて、幅広く検討する必要がありそうである。
第三に、環境問題 が深刻化するなかで、開発途上国の責任あるいは役割について、検討
することの重要性が指摘できる。熱帯林の伐採 は、開発途上国で急速に進行しているし、工業化 、モータリゼーション に伴う大気汚染 ・水質汚染 は、開発途上国の環境を悪化させ
ている。たしかに、現時点では、所得水準が高い先進工業国のほうが、温室効果ガス の排
出は多いが、今後は、開発途上国の排出が急増する。そこで、環境問題に対処するために
も、先進国だけでなく、開発途上国の環境政策 など、新たな観点から研究が進められている。
開発経済学の授業 では、以上の貧困解消、社会開発 、環境保全の観点を踏まえ、実証的・理論的に貧困・人口 ・農業・工業化・都市インフォーマル部門 ・貿易・投資 ・政府開発援助 、教育などを対象として、講義していきたい。
2013 年度 秋学期 東海大学教養学部 ・人間環境学科-社会環境課程
授業科目名 開発経済学
曜日 時限 金-3
テーマ 開発と環境の経済学
キーワード 開発途上国 持続可能性 貧困
東海大学湘南キャンパスの地図
東海大学教養学部 School of Humanities & Cultures
開発経済学は、大学で開発と環境にかかわる貧困問題 や国際協力 を学ぶための基礎力と応用力を初歩から学ぶために設定されている。このためには、以下の力をこの課目で育成する。
1.開発経済学 、国際協力 に関する学術用語を伝え、文書で読解し、表現するという学習力
2.講義を聞いて開発途上国における貧困解消 と国際協力のための政策・対策について考
察できる思考力
3.レポート・小論文など文章を作成するに際して、文献資料、新聞、インターネットな
ど活用して、より深く調べ自分で考察・検証する探求力
4.社会でどのような環境問題・貧困問題が生じているのかを、グローバル とローカルの双方の視点で具体的に認識できるようにする「認識力」に配慮することが、この科目の特徴となる。
開発経済学のテーマは、開発途上国を対象とした経済問題を扱う。これは、?開発途上国における貧困解消、?乳幼児死亡率、平均寿命 、初等教育就学率 、成人識字率 など人間の厚生にかかわる指標(人間開発指標)やベーシックヒューマンニーズ の改善、すなわち社会開発、?大気汚染、温室効果ガスの排出 、廃棄物処理、生物多様性の減少 などの環境問題への対応、といった内容を含む。
おばさんと息子が、子供の家族三代そろって、農作業 をする光景は、懐かしくもあり、家族団らん をうかがわせます。しかし,育児 などの家事と農作業という就労が分離できない状況を反映しています。現代日本では「仕事」と「家族」という概念が完全に分離してしまいました。しかし、金を稼ぐ労働・勤労と家族の仕事・家事労働 が同一の空間で行われる場合、「仕事」と「家庭」は両立しているといえます。開発途上国の社会開発を論じる場合、仕事、家族、家庭を総合してみるのことが重要な事なのです。
バイオマス の活用など有機農業 を進めるに際して、資本と労働力の観点が重要です。ここでみるような肥やしの利用 を、衛生的に機械化するのであれば、その工程に多大なエネルギー が必要になるでしょう。つまり、機械化されたバイオマスの利用は、資本、資金だけでなく、資源エネルギーの追加投入が必要です。つまり、往々にして、持続可能な農業とは相反するものとなるのです。エネルギー収支 を検討したうえで、サステイナビリティ (Sustainability )の評価をする必要があります。
人間環境学科 Department of Human Development
一般に開発途上国とは、一人当たり所得水準の低い諸国をさすが、この水準は日本の一人当たり所得の10分の1程度の低さである。つまり、このような低所得国 の国民10人と日本の国民一人が1年間に獲得する所得が同程度という意味であり、開発途上国が貧困にあるということが実感できよう。しかも、このような日本人の10分の1に満たない低所得の国民は48億人、世界人口 の80%にも達している。
東海大学での鳥飼行博担当専門科目「開発経済学 」では授業中に頻繁に実施する小レポートを重視し成績評価の70%とする。残り15%はレポート,15%は出席点とする。
東海大学湘南キャンパスの10号館は、1974年に建設された。その2階の10-303教室における鳥飼行博担当「開発経済学」の授業。
◆国際協力の分野では、1980年代以降開発途上国の女性の地位向上に着目した「開発と女性 (WID)」、「ジェンダーと開発 (GAD)」というアプローチがある。
◆WID は、女子を家事・育児以外にも、生産活動における役割を重視するもので、従来の女子の生産活動が過小評価され、女子が開発プロジェクトから疎外されてきたとした。そこで、女子を単なる受益者として一方的に捉えるのではなく、人的資源として活用するために、開発に統合すべきであるとした。
◆「ジェンダーと開発 (GAD 」は、ジェンダー不平等の要因を、女性と男性の関係と社会構造の中で把握し、役割固定化と役割分担、ジェンダー格差を生み出す仕組みを変えることを目指す。換言すれば、GAD は、ジェンダー不平等を解消するうえでの男性の役割に注目し、社会・経済的に不利な立場におかれた女子のエンパワーメント を促進する政策である。
開発経済学の授業 Development Economics
開発経済学 の第一の課題は、なぜ開発途上国は、貧しい人々 が多いのか、を追及し、その原因を究明することである。そして、原因を理解した上で、貧困解消のために効果的な方法を検討することが必要になる。
第二に、開発途上国の人々は経済的に貧しいだけでなく、高い乳幼児死亡率 ・妊婦死亡率、低い就学率 ・成人識字率 など、人間の厚生水準を示す人間開発指標が、先進工業国と比してはるかに劣っている。これは、人間の本来もっている能力を引き出すことなく、無為に放置していることを意味する。
それでは、人々の厚生水準 を高めるには、どのような政策が効果的であろうか。工業化、初等教育 、国際貿易 、直接投資 などについて、幅広く検討する必要がありそうである。
第三に、環境問題が深刻化するなかで、開発途上国の責任あるいは役割について、検討することの重要性が指摘できる。熱帯林の伐採 は、開発途上国で急速に進行しているし、工業化 、モータリゼーション に伴う大気汚染・水質汚染は、開発途上国の環境を悪化させている。たしかに、現時点では、高所得水準 の先進工業国のほうが、温室効果ガス の排出は多いが、今後は、開発途上国の排出が急増する。そこで、環境問題に対処するためにも、先進国だけでなく、開発途上国の環境政策など、新たな観点から研究が進められている。
開発途上国では、年配者でも地域コミュニティ では、家事労働と農作業という就労につくことができる。現代日本では「働く」という意味を、サラリーマンという外仕事の意味で使用しているが、このような範囲に限定すれば、老人は、労働力を提供しない「老齢従属人口 」として、扶養対象(従属人口) としてのみ認識されてしまう。
高齢者を「狭い範囲の労働」の概念で理解しようとすれば、老人は社会保障の問題 を引き起こす「厄介者 」」となる。
つまり、日本での「高齢者への認識」は、開発途上国も含まれるグローバルな少子高齢化 問題には応用できない場合が多いといえる。
開発途上国の零細農家 では、農産物栽培には、堆肥の運搬 、撒布が欠かせない。家畜の糞尿を有機肥料 として農地に投入するが、日本の「有機農業」には、衛生的側面と高級感を重視して汚い「糞尿 」は登場しない。 しかし、開発途上国の地域コミュニティ では、家事とバイオマス利用 は不可分の関係にある。男子と女子との社会的な格差というジェンダー に注目した開発/環境政策も考慮すべきであろう。
バイオマス・ニッポン総合戦略 は、地球温暖化防止、循環型社会形成 、戦略的産業育成、農山漁村活性化 等の観点から、農林水産省をはじめとした関係府省が協力して、バイオマスの利活用推進に関する具体的取組や行動計画として2002年(平成14年)12月に閣議決定された。バイオマス・ニッポン総合戦略 では、日本全国のバイオマスを有効活用することを提唱している。
東海大学のゼミ
Seminar, Development & Environment
農業廃棄物、山林の木質バイオマス などは、広い範囲に分散しており、これを収集、運搬するのは労力がかかりる。トラックや機械を使って集めるのであれば、バイオマス収集に要するエネルギー消費が大きくなってしまうため、地球にやさしい (Earth Friendly )農業ではない。なにをもって、有機農業 としているのかは、国・地域によって大いに異なるといえる。
「開発経済学 」の授業は、次のようなスケジュールで進行する。
1.ガイダンス :授業内容・成績評価方法などを公開する。
2.なぜ開発途上国は貧しい人々が多いのか、を追及し、その原因を究明する
3.貧困の原因 を、資本 ・資金・労働力・技術に注目して理解する
4.貧困解消 のために効果的な方法を検討する。
5.開発途上国の人々は、高い乳幼児死亡率 ・妊婦死亡率 、低い就学率・成人識字率など人間の厚生水準 を示す人間開発指標が、先進工業国と比してはるかに劣っている。このことを事例を持って検証し、その意味を問う。
6.貧困は、人間の本来もっている能力を引き出すことなく、無為に放置している。このような貧困の帰結 を理解する。
7.人間生活を捉える範疇はグローバリゼーション が進んでいる現在、拡張した。そ
こで、日本国内をはなれた視野も不可欠である。同じ地球に住むヒトとして、世界人口
の80%を占める開発途上国 の人々の生活向上を考え、人々の厚生水準を高めるには、ど
のような政策が効果的であろうか。これを考える。
8.開発途上国でも少子高齢化 が進展しており,世界のグローバル化 が,人口問題にも
影響していることを理解する。
10.開発途上国の工業化戦略 を投資,貿易、税制、補助金、教育、規制などと関連させてについて、具体的に検討する。
11.外資の導入,輸入代替工業化 、工業団地の造成 ,税制上の優遇措置 などの政策と工業化の関
連を考える。
12.外資導入 ,輸入代替 ,政府開発援助 (ODA),NGO(非政府組織)の援助などの実態とその新たな課題を検討
する。援助疲れに陥っている中,政府開発援助と民間の直接投資とが連携あるいは代替
することが求められ,収益性の高いインフラストラクチャー整備 は,民活導入 によって進
めるべきである。
13.人道援助,環境保全など,収益性の低い分野の援助は,草の根援助 も含めて,ODAを充
実すべきことを理解する。 14.今後は、開発途上国の温室効果ガス ,廃棄物など環境負荷物質の排出 が急増する。
そこで、環境問題に対処するためにも、先進国だけでなく、開発途上国の環境政策と環
境協力を検討する。
15.紛争と平和構築 やも,開発の前提条件として求められ,人権への配慮も必要であ
ることを示す。難民問題 や紛争の予防に、開発経済学が有効なことを示す。
教科書『開発と環境の経済学―人間開発論の視点から 』 鳥飼行博 東海大学出版会 2200円
参考文献『地域コミュニティの環境経済学―開発途上国の草の根民活論と持続可能な開発』 鳥飼行博 多賀出版 6510円
ゼミ用パソコン室
Torikai Laboratory
収穫の一定比率を報酬としたり,作柄を実ながら雇う農業労働者の数を決めたりすることは,農家が雇用労働者へ支払いをする場合,不作 で収穫が少なければ支払いも少なく,豊作で収穫が多ければ支払いも多いのであって,リスク負担は小さくなる。また,同じ年であっても,土地条件の違いから,各農家の収穫には大きな差が生まれる。降水量 が少なく水の得にくい土地が不作であっても,水が得やすい低地の収穫は豊作かもしれず,またこの逆もありうる。
卒論テーマは、「開発途上国の人口問題−人権に配慮した人口抑制」「途上国の子供たちとそれへの援助」「草の根援助−日本のNGOとボランティア」「貧困・環境問題とボランティア」「地球温暖化問題とその対策」「廃棄物問題とその対策」「生物多様性の保全−野生種の事例を中心に」「自然環境の保全−自然公園と生物多様性」「難民問題とその対策」。
このように,同じ地域コミュニティ 内の農家にあっても個々の収穫は不確実であるため,個々の農家が自分の土地の収穫にのみ所得を依存していれば,毎年の所得は大きく変動する。しかし,地域コミュニティ の全農家について収穫の平均値は,個々の農家の収穫よりも安定している。つまり,収穫の不確実性に大数の法則 が成立すれば,相互雇用によって多くの農家の下で少しずつ収穫を分けてもらうことで,毎年の所得の変動は小さくなる。換言すれば,収穫の不確実性の下で,相互雇用は所得安定化の機能を持っており,そのために地域コミュニティ の慣習となっていると考えられる。
こうした所得安定化は課税や生活保護手当の支給等による生活保障と同じく事後的な所得再分配 によっても達成できる。しかし,地域コミュニティがこのような再分配政策を実施するには権力の正統性がなく困難である。また,再分配を合意した地域コミュニティ のメンバーには,高い収穫を得た後,自家労働の投入の多さ,経営管理の良さなどを理由に,低収穫の農家への再分配を拒否するかも知れない。
所得再分配 が実施されるのであれば,他の農家の収穫を当てにでき,怠けていても損はしないのであり,地域コミュニティにおける労働インセンティブ は低下する。このように事後救済がとられることを見越して怠惰になるモラル・ハザード の存在のために,地域コミュニティ においても事後的な所得再分配 の実施は困難である。
しかし,相互雇用 は事後的な所得再分配ではなく,報酬を伴う雇用によって労働インセンティブを維持し,モラル・ハザード を抑制している。 したがって,農家の雇用労働依存はインカム・シェアリングというよりも,雇用労働を地域コミュニティのメンバーに分与している点を強調してワーク・シェアリング と呼ぶほうが適切である。相互扶助,住民参加,情報交換,社会的制裁を通じて,住民相互の信頼関係が醸造されている地域コミュニティにあっては,低い取引費用でワーク・シェアリング が実施でき,所得安定化、生活保障の利益 が生まれる。
農家が土地なし労働者 に農作業を依存するのは,貧困者に所得を無償分与するよりは労働力の有効活用につながるうえに,土地喪失 や失業のリスク を軽減できるという利点が指摘できる。
小作農家には土地を地主から取り上げられるリスクがあり,自作農家でも家族員を含め,病気や災害によって土地を失ったり,家族員の雇用機会がなくなったりする。そうであれば万が一の場合でも、誰かに,土地なし労働者 として雇ってもらえるように,自分も日頃から土地なし労働者を雇用する,
すなわち仕事の分与というワーク・シェアリング を行うはずである。
東海大学鳥飼ゼミには、2004年度に中国・台湾の留学生3名が在籍。そのうち4年生の2名が2004年9月に卒業した。
2002/2003年度の2年間,19名のゼミ卒業生について、就職進路は,日本マクドナルド,日本カラープリント,セノン施設警備,メガネスーパー,夢みつけ隊,NTT東日本,三井住友銀行,第一生命(2名),日動火災,山岳ガイド・スノボー指導者,日本料理職人,県警,大学院,専門学校(2名),豪州ワーキングホリデー,人材派遣会社(2名)。
2004年度内定者、9名のゼミ卒業予定者について、就職内定・合格をフランドル,メノガイア,トヨタ自動車販売,ナチュラルボディ,すみしん不動産,東京三菱銀行,三井生命,明治安田生命,アコム,エスパルスドリームプラザ(P),神奈川新聞社,保育系専門学校。
社会環境課程ゼミ室
Torikai Lab
鳥飼行博研究室で卒論作成にあたるゼミ生たち。 2001年度以前には,高等学校教諭,市役所,政府援助機関,放送局,証券会社,先物取引,デパート,結婚式場,製薬会社,医療機器メーカー,台湾企業などに進路を決めた卒業生もいる。就職氷河期と言われる昨今,学生たちは大健闘しているが,みな自ら切り開いたもの。「就職に有利だから,大学に進む」といった安易な選択ではなく,自らが大学での学習や経験から,学力・コミュニケーション能力を高め,高い目標をもつ意欲が大切だと感じる。
パソコン室で課題報告書を作成したり、卒論を執筆したりした。。
卒論の形式は,?A4判用紙1枚当たりに横40文字×30行(1200字),?ワープロ書き本文・図表30枚以上,?目次、図表一覧、参考文献一覧、注の完備。?参考文献12冊以上の引用、が最低基準です。鳥飼ゼミでは,自作の図表10個以上とし,参考資料や注の引用方法の正確さ,フッダ・ヘッダ・ページの完備、製本も求められる。
ゼミ室で卒論口述試験に向けた練習会を開催。鳥飼ゼミでは,全員パワーポイントを使用した発表で,画面20〜35枚,図表等も完備させる。厳しい基準ではあるが、卒論作成,口述試験準備を通じて,3〜4年のゼミの期間は,充実した日々を過ごすことができる。
卒論口述時間は15分で,卒論口述審査には、ゼミ指導教員以外の教員2名が当たる。
ゼミの方針
Torikai Seminar
3年生のHKゼミナールは、1週間1時間半2コマ、半年1学期30回の授業で4単位に過ぎませんが、これからの大学生活の中では、極めて重要な位置を占めています。まさに、これで自分の進路、就職が決まるといっても過言ではありません。
進路就職には、部活動、サークル、アルバイトなど大学時代に時間をかけた経験がものをいいますが、その主軸やベースとなるのは、大学で学んだ自分の専門分野です。これを欠いてしまえば、大学生あるいは大卒とは言えないからです。
学びには、地道な勉強や広く深い知識が求められますが、これはなかなか自分のものにはできません。なぜなら窮屈で退屈で楽しい時があまりないのが勉強だからです。ですが、これを乗り越えて、社会人や会社のスタッフよりも少しは勝っている、分かっている、ということが表現できれば、自信がついて、どんな分野の進路就職でもついてくるのです。なるほど、こんなことも知ってるとはしっかりしている、俺にもできないこんな経験をしてきたのか、といった具合に相手が感心してくれれば、自分の専門を認めさせることができます。相手が納得してくれれば、進路就職の道も大きくひらかれます。
そのためには、自分の専門とする分野で働く人たちに聞き取りをしたり、その現場を訪問・見学したりするフィールド調査が役に立ちます。鳥飼ゼミでは、ゼミナール1だけでも、環境保全施設(下水浄化場、清掃工場など)、環境配慮型工場(ゼロエミッション工業団地、メガソーラーなど)から被差別者の住む国立療養所など6-7カ所を毎年訪問、聞き取り調査をしています。また、夏季休業を利用して、4-5泊程度のフィリピン(あるいは中国、韓国)研修を実施し、スラム、地方自治体、診療所、保育園、NPO、環境保全施設、大学で住民、行政マン、大学生、農家に聞き取りをしています。このような経験は、一流の社会人でも滅多にできないことで、大学生のうちにフィールド調査の経験を積むことは、忘れられないインパクトを持って、皆さんのやる気や能力を引き出してくれます。
残念ながら、新たな挑戦を恐れ、日常のマンネリの中で居続ける学生も少なくありません。機会もあり、資力もあるのに「外」で出て「非日常」を経験するのを億劫がっているようです。こうして大学生活の4年間を無為に過ごすよりも、積極的な活動やインパクトのある経験を通じて、学びを進め、自分の思う通りの進路就職に巡り合う、というのが鳥飼ゼミナールの目標です。
東海大学教養学部
Torikai University
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連絡先:
torikai@tokai-u.jp
〒259-1292 神奈川県平塚市北金目4-1-1東海大学教養学部 人間環境学科 社会環境課程
鳥飼 行博 TORIKAI Yukihiro Department of Human Development,Toka University 4-1-1 Kitakaname, Hiratuka,Kanagawa, Japan 259-1292