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◆中国雲南省タバコ煙草生産農家から持続可能な開発を考える
1.【地球温暖化】【熱帯林減少】【生物多様性】【国際協力】【人口問題】を、現地調査も踏まえて研究してきました。
2.中国雲南省(州都昆明市)の2010年のGDPは7220億元で全国24位、1人あたりGDPは1万5750元です。
3.雲南省でも都市1人当たり所得は平均1万5800元、農村1人当たり所得3750元と格差があります。そこで云南大理州剑川县の山村に、2004年9月に滞在調査した時の写真をもとに、コモンズ利用型放牧を解説します。

中国雲南省点描

 Agriculture of China

 
 











中国のタバコ生産地

 Tobacco field


タバコ畑
云南大理州剑川县の標高2000mの盆地に広がるタバコ畑。ここは、山に囲まれ,渓谷を中心にした盆地は,農地として利用されている。集落内には、漢民族もいるが,住民の多くは白族(ベーツー)で、ほかにもリス族,ナシ族など少数民族も隣接してすむ珍しい地域である  煙草花
タバコの花。世界最大の葉タバコ生産地は、中国で、世界の生産量1000万トンの4割を占める。二位には、アメリカ、インド、ブラジルで、それにトルコが続く。 煙草畑
 剣川県Jianchuan Countyの山に幾重にも囲まれる渓谷を広がるタバコ畑。剣川県(Jianchuan)にあるこの村は、2500-2800mの山に囲まれた盆地に位置していて、稲作のほかに、タバコ生産、牧畜が行われている。三階建てくらいの塔が点在しているが、これはタバコの葉を乾燥させる「ベーハ小屋」(煙草乾燥塔、たばこサイロ)。日本では、米国産の葉煙草を乾燥させる場所のために「米(べい)葉小屋」と呼ばれるようになった。 煙草
  剣川県煙草畑。

 <たばこのリスク
?たばこの煙にはニコチン、種々の発がん物質・発がん促進物質、一酸化炭素、その他多種類の有害物質が含まれている。
?喫煙により循環器系、呼吸器系などに対する急性影響
?喫煙によって、喉頭がん(35倍)肺がん(5倍)をはじめとがんが1.7倍に増加、虚血性心疾患、慢牲気管支炎、肺気腫などの閉塞性肺疾患、胃・十二指腸潰瘍などの消化器疾患、その他種々の疾患のリスクが増大する。
?妊婦の場合、喫煙によって、低体重児、早産、妊娠合併症の率が高くなります。
?受動喫煙により肺がん、虚血性心疾患、呼吸器疾患のリスクが増大する 牛
剣川県Jianchuan Countyの煙草畑と放牧。夕方16:00過ぎになると,牛を連れて放牧に出て行った人たちが,次々と村に帰ってくる。
遊休地、道の脇の草、傾斜地などローカルコモンズを利用した放牧は、資本(設備、機械)化石燃料の軽減になり、温暖化対策ともなっている。さらに、休耕田や耕作放棄地で小規模放牧を行うことにより耕地の維持も期待できる。

牧畜:家畜を飼育して乳製品や肉を生産する農業で、放牧、遊牧を含む。
放牧:牧畜の一局面あるいは一形態で、家畜を野外で放し飼いにして、牧草を食ませること。草原、傾斜地など自然牧草地(コモンズ)を利用することも、牧草地を柵で囲った牧場を利用することもある。日本の放牧は、主に夏に行われ、冬は家畜舎で飼育することが多い。
遊牧:牧草を求めて家畜と人間が長期間移動する放牧。


中国の雲南省剣川県の地図を見る

雲南省剣川県のタバコ農家

 Tobacco farmers


煙草
「 ベーハ小屋」(煙草乾燥塔、たばこサイロ)に隣接する農家でタバコの葉を,二枚一組にして,棒に吊るしている。

 世界銀行(2000)Curbing the epidemic(邦訳「たばこ流行の抑制」)によれば、葉タバコ栽培国は100カ国以上、生産量(600万トン)。世界一生産国は、中国で世界の3割、米国、インド、ブラジル、トルコを含む上位5カ国で世界総生産の7割を占める。ただし、中国の葉タバコは国内市場向けが多いが、他国は輸出向けが多い。中国国内の葉タバコ産地は、雲南省、貴州省、河南省、湖南省、四川省など南部諸州。 煙草農家
剑川县(白族の言葉でyit-dut)のタバコ農家。

 日本の農林水産省によれば、平成22年の煙草就業者は、1万1000人で、多いのは青森県、岩手県、福島県、熊本県、宮崎県、鹿児島県など、生産量は2.9万トンで熊本県、宮崎県、青森県、岩手県、福島県など。 煙草
タバコ農家における葉たばこ加工順序。
?煙草葉を葉肉と葉脈に分ける「除骨」
?貯蔵・熟成に適した水分に調整する煙草乾燥塔における「乾燥」
?熟成させるための「保管」
煙草
地域コミュニティにおけるタバコ加工の準備作業。

雲南省剣川県(Jianchuan)放牧
 剣川県(Jianchuan)の総人口は17.21万人,そのうち農業人口15.52万人,非農業人口1.69万人;白族人口が総人口の92﹪を占め,全国で白族人口比率が最高の県で“白族之郷”といわれる。 煙草
 タバコ農家では,収穫したタバコの葉を加工する準備中。

◆国際協力の分野では、1980年代以降開発途上国の女性の地位向上に着目した「開発と女性(WID)」、「ジェンダーと開発(GAD)」というアプローチがある。

WIDは、女子を家事・育児以外にも、生産活動における役割を重視するもので、従来の女子の生産活動が過小評価され、女子が開発プロジェクトから疎外されてきたとした。そこで、女子を単なる受益者として一方的に捉えるのではなく、人的資源として活用するために、開発に統合すべきであるとした。

◆「ジェンダーと開発GAD」は、ジェンダー不平等の要因を、女性と男性の関係と社会構造の中で把握し、役割固定化と役割分担、ジェンダー格差を生み出す仕組みを変えることを目指す。換言すれば、GADは、ジェンダー不平等を解消するうえでの男性の役割に注目し、社会・経済的に不利な立場におかれた女子のエンパワーメントを促進する政策である。 煙草
日本では、たばこ事業法によって、農家が生産した葉タバコはすべて日本たばこ産業(JT)に売却しなければならない。日本には2011年時点でタバコ農家は1万戸、1.2万ヘクタールある。
  煙草
2011年9月17日の産経ニュース「葉タバコ農家 廃作意向4割」によれば、「葉タバコを生産する全国38府県の農家のうち、約4割の4106戸が、平成24年以降の耕作をやめる意向であることが16日、全国たばこ耕作組合中央会(東京都港区)のまとめで分かった。日本たばこ産業(JT)の廃作の募集に応じたもので、耕作面積も、全体の3割強に当たる4412ヘクタールの減少となる方向だ」とある。 煙草
雲南省剣川県(Jianchuan)の、地域コミュニティにおけるタバコ生産。ここの住民の多くはベー族で,ほかにもリス族ナシ族など少数民族も隣接して居住している。

 雲南省剣川県の古鎮では、2004年9月、1週間民宿(客桟)に泊まって付近を調査した。 煙草
剑川县のタバコ農家。

 Whenever ONLINE「業界ウォッチング:〜中国タバコ業界〜」によれば、「中国はタバコの生産量、消費量が世界の3分の1を占めるといわれる。06年の販売量は前年同期比3.9%増の2兆352億本、売上高は同11.5%増の3,090億元にのぼった。82年に中国煙草公司が設立、専売制度が整って以降、大きな成長を続けている。主な生産地は雲南省、河南省、湖南省、四川省など。全国に数多くのメーカーが分散し、地方によって流通する銘柄が異なるのが特徴だ。同時に全国区の銘柄が少ないというのが業界の弱みでもある。特に世界貿易機関(WTO)加盟後は海外製品の輸入関税が引き下げられ、海外銘柄の流入が増加。これに対抗できる製品が不足している状況だ。 そのため、01年からは業界の再編が急ピッチで行われている」とある。 

タバコ乾燥塔のサイロ

 Tobacco drying

 
煙草
 雲南省の剣川県のタバコ農家には、たばこ葉を乾燥させる煙草乾燥塔がある。

 煙草乾燥塔は、日本ではアメリカ種タバコ葉という意味でべーハ(米葉)と呼ばれ、それを乾燥させる小屋を「ベーハ小屋」という。 煙草
雲南省のタバコ乾燥塔。日本では「ベーハ小屋」と呼ばれるが、タバコ葉を燻して加工する場所である。塔のようになっているのは、塔内にタバコ葉を並べて吊り下げ、下方で薪を焚いて燻(いぶす)すため。

讃岐のベーハ小屋」によれば、香川県には、越屋根(こしやね)を持つ、煙草の乾燥小屋が昭和20年代〜30年代に建てられ、今でも多数現存している。現在、香川県の生産者、就業者は全国最低水準だが、煙草栽培が盛んになったとき、香川県にベーハ小屋が多数建設され、今では「ベーハ小屋フォトギャラリー」にあるように、全国有数の保存状態が良い地域とも推測される。

 
煙草乾燥塔
タバコ葉を乾燥させるために,煙草乾燥塔内部に棒に揃えて吊るす作業。棒には紐が付いていて,それをタバコの葉の茎に引っ掛けて留める。4人で丸一に近かった。この後,葉をは燻す。  煙草乾燥塔
周囲(左)に棒に吊るしたタバコの葉が煙草乾燥塔の脇に置かれている。これから,梯子で塔の上に登って,タバコの葉を詰める。棒にかけられたタバコの葉が順々に,塔の中に吊るされていく。塔の脇には,薪を入れる炉がある。薪を焚いて葉を燻すと緑の葉は茶色になる。干し草を乳酸発酵させ保管するサイロのようなつくりになっている。

 サイロでは、干し草を発酵させサイレージとするが、現在、干し草ロールによってサイレージが作られるようになり、牧場にサイロは残っていても、本来の目的では使用されていない。

煙草乾燥塔の内部

 Tobacco leaves


煙草塔入口
剣川県の煙草乾燥塔の扉から内部を見るとタバコ葉が干されているのがわかった。

 世界銀行(2000)Curbing the epidemic(邦訳「たばこ流行の抑制」)では、1995年の15歳以上の男女の喫煙率について、世界で男性47%、女性12%、平均 29%とし、喫煙人口は 11億4200万人としている。東アジア太平洋地域の喫煙率は、男性 59%、女性 4%、平均 32% 4億人が喫煙者である。そして、貧困と教育において低位にある人々ほど喫煙率が相対的に高いと推測して、2000年に、たばこが原因で死亡した人々は400万人に達すると推計している。 煙草
タバコの葉は煙草乾燥塔の中で,燻されると茶色に変化する。タバコの塔の下の入り口から見ると,中にはタバコの葉がびっしりと吊り下げられている。 煙草

タバコを燻すのに使用する煙草乾燥塔下の薪の投入口。

 集落には農村家内工業労働者もいるが、地域コミュニティという地縁・血縁と雇用契約による賃金労働という就労が完全に分離しているわけではない。現代日本では「仕事」と「家族」という概念が完全に分離している。

煙草
乾燥させたタバコ葉を収集、保管する。

 2006年世界禁煙デー たばこ:どんな形や装いでも命取り
国立がんセンター(「喫煙と健康WHO指定研究協力センター)・たばこと健康問題NGO協議会・国立保健医療科学院(たばこ政策情報室)監訳
 「たばこへの依存は、障害、病気、生産力低下、死亡といった犠牲を最も強く受けている国々や地域をさらに荒廃させようとしている地球規模での流行病です。たばこ産業はいのちより利益を優先しています;将来の世代の健康より、自らの事業の拡大を優先しています;発展に向け苦悩している国々の持続可能な開発よりも、自らの経済的収入を優先しています。
 最近、たばこ会社は、20世紀によく用いられた「ライト」「マイルド」そして「低タール」たばこの、キャンペーンと新製品を作って拡大し続けています。最近、たばこ会社は、健康を心配している喫煙者を新製品は安全だというまぼろしを提供し、安心させようとしています。たばこ会社は、古くからの顧客、そして新たな顧客を、より健康そうな名前、フルーティな香り、あるいはより魅力的なパッケージで装った新製品を宣伝し、販売して、巧妙にごまかし続けています。」 煙草
乾燥させたタバコ葉を大事に扱う姿が印象的だった。煙草を勧められても吸わないので味はわからないが、キセル煙管で一服して、コミュニケーションを図るのには有用だろう。
 タバコは,乾燥させ,燻してた後,刻みタバコにする。刻みタバコは,計量して販売する。

2011年10月現在、剣川県委書記(县委书记)は、莽绍标氏、県委副書記(县委副书记)は、李劲松氏、赵喜旺氏、王跃氏。

 現代日本では「働く」という意味を、金を稼ぐ会社での勤労と同一視している。このような近視眼的な「仕事」や「労働」の概念では、開発途上国も含まれるグローバルな問題に対応できない。
 
 現代日本では「働く」という意味を、勤労サラリーマンという外仕事の意味で使用しているが、このような範囲に限定すれば、老人は、労働力を提供しない「老齢従属人口」として、扶養対象としてのみ認識されてしまう。高齢者を「狭い範囲の労働」の概念で理解しようとすれば、老人は「社会保障」の問題を引き起こす「厄介者」でしかない。日本での「高齢者への認識」は、開発途上国も含まれるグローバルな「少子高齢化問題」には応用できない場合が多い。
 例えば、柴刈りのようなバイオマスエネルギーの採取は立派な仕事で,家事労働の一環で行われている。    

村の伝統的生活

 Life


放牧
福建省南靖県のお茶の選別作業。半発酵茶の「青茶」は、日本でも普及しており、「烏龍茶」の総称で呼ばれている。しかし、烏龍茶とは本来は「烏龍」品種の茶樹から作られるお茶のこと。煙草もお茶も植物の葉を利用した農産物であるが、効能は大きく異なっている。 

市場
剣川県の古鎮の露店。週一回の市が立つが、その時は、普段は空いている公設市場もたくさんの店と客で溢れる。野菜、コメ、豚肉、雑貨が中心で、刻みタバコ葉販売しているしているところが一か所あったが、商業的生産目的のタバコ葉を売っているところはなかった。

 1867年カール・マルクスKarl Marx:1818-1883)『資本論』では、投下労働量に応じて商品価値が決まるとする労働価値説(labour theory of value)を提唱した。そして、資本家は労働者から剰余価値搾取を搾取して、資本蓄積を永遠に続けるという資本の論理論を展開した。福建省のお茶の農村家内工業に、搾取されているワーキングプア(失業者ではなく働く貧困層)がいるであろうか?

祭礼の時のたばこ
剣川県の古鎮の祭礼。右のおじさんのタバコは、タバコの葉を刻んで自分で紙に巻いたもの。小さなキセル(煙管パイプ)がテーブル端に置いてある。奥には、女性たちの持ち寄った願の札を代筆するおじさん。巻物に漢字で氏名を記帳している。ベー族の年配者には,自分の名前が漢字で書けない人も多い。インテリのおじさんが有料で代筆している。この巻物を例祭の最後に寺男が読み上げ,仏様に報告する。
東海大学

 Tokai University

祭礼
剣川県の古鎮の寺院の祭礼に出席した。この時、楼閣の二階(二楼)の長老席で,食事に預かった。既に、16時となり、このときには大半の参拝客は食事を早々に終えて,引き上げている。一番最後に偉い男性客に対して、食事が振舞われる。つまり,一番ゆっくり食事を頂けるのが,二楼の長老席である。2004年9月、剣川県農村に1週間滞在して、タバコ農家、牧畜、ローカルコモンズなど山村生活のフィールド調査を行った。

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東海大学教養学部人間環境学科社会環境課程
鳥飼 行博 TORIKAI Yukihiro
HK,Toka University,4-1-1 Kitakaname,Hiratuka
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