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◆雲南省の粘土瓦・煉瓦造り窯業から地域活性化を考える
1.【地球温暖化】【熱帯林減少】【生物多様性】【国際協力】【人口問題】を、現地調査も踏まえて研究してきました。
2.中国雲南省(州都昆明市)の2010年のGDPは7220億元で全国24位、1人あたりGDPは1万5750元です。
3.雲南省でも都市1人当たり所得は平均1万5800元、農村1人当たり所得3750元と格差があります。そこで云南大理州剑川县白族山村に、2004年9月に滞在調査した時の写真をもとに、その農業を解説します。

中国農業点描

 Agriculture of China

 
 




雲南省剣川県の窯業

Jianchuan County


窯
雲南省剣川県(Jianchuan)の瓦を焼いているだるま窯。草に覆われているのは、石積みの窯の周囲に土手を築いているため。
 剑川县は、山に囲まれ,渓谷を中心にした盆地は,農地として利用されている。集落内には、漢民族もいるが,住民の多くは白族(ベーツー)で、ほかにも,傈僳(リス)族納西(ナシ)族など少数民族も隣接してすむ珍しい地域である。 雲南窯
 剑川县(白族の言葉でyit-dut)窯元剣川県(Jianchuan)にあるこの村は、盆地に位置していて、稲作地、タバコ畑作地が広がっているが、窯業も盛んでこの古鎮の周辺にも8基の瓦を焼くだるま窯が現役で瓦やレンガを焼いている粘土で作った瓦を,庭先の窯で焼いているときは,窯から煙が上っている。 窯
中国南部の農村部では、このような積み石造りだるま窯で、瓦やレンガを焼いているのを何回も見かけた。乗合自動車で移動中このような窯を初めて見たのが、ここ雲南省剣川県の山村で、2004年9月のことだった。1週間泊まった民宿(客桟)から徒歩15分のところだったので、何回も訪れつつ、瓦造りについて聞き取り調査した。 窯
粘土瓦レンガを焼いているだるま窯は、出入り口が閉じられ、窯の上部から煙が上がっている。稼働中の窯の最上部には、土地が盛られているが、これは温度調節のためで、本来、窯の上部に換気孔があいている。
 周囲には、鼠色のレンガが山のように積まれている。

 元朝末年に創建された大理剣川県沙溪寺登街は、観光名所でもあり、“三坊一照壁”、“四合五天井壁”式の大理ペー族の伝統的民居がたくさんある。この屋根瓦を造っているのが、このような窯であり、地元の窯業である。


中国の雲南省剣川県の地図を見る
瓦の搬出作業

 ceramic industry

 
窯
雲南省剣川県(Jianchuan)瓦(かわら)煉瓦(レンガ)を焼く窯元(かまもと)。出来上がった「焼き瓦」を、だるま窯から運び出す労働者。剣川県(Jianchuan)の総人口は17.21万人,そのうち農業人口15.52万人,非農業人口1.69万人;白族人口が総人口の92﹪を占め,全国で白族人口比率が最高の県で“白族之郷”といわれる。

 集落内の窯で労働者として働く人々は、右下に座っている楊氏に雇われた農村家内工業労働者である。みんなが同じように労働集約的作業をする姿は、懐かしくもあり、仲間の団らんをうかがわせるように見えてしまう。これは、地域コミュニティという地縁・血縁と賃金労働という就労が分離できない状況を反映している。現代日本では「仕事」と「家族」という概念が完全に分離している。
瓦
 云南大理州剑川县で、だるま窯から、瓦が運び出されてくる。焼き粘土瓦は,庭先に積まれて山のようになっている。右に座っているのが,窯元の楊氏で,雇用されている人たちは臨時も含め,12人いる。女性労働者も一人いる。
窯
窯元の楊氏の下に,雇用されている労働者は12人いる。女性労働者は一人。石と粘土で作られた頑丈なだるま窯から,焼きあがった「粘土瓦」を運び出す。日当は15元(200円)で,三食付く。2006年9月当時、1元=14円で、 宿で一食頼めば(一人なら)5元。この食事で満腹になるが、家族の食費支出以外の出費も踏まえれば、十分な賃金とは言えず、貧困にあるといえる。

さらに、付近での牧畜、キノコの採取など副業も盛んに行われている。これらは、家庭で使う燃料の薪を集める柴刈りと同時に行われるものである。つまり、金を稼ぐ労働・勤労と家族の仕事・家事労働が同一の空間・時間で行われる。換言すれば、「仕事」と「家庭」は両立している。開発途上国の社会開発を論じる場合、仕事、家族、家庭を総合してみることが重要である。

山村の労働者

Roof tiles & Labor


瓦運搬
 剣川県の窯業。瓦が窯の内部に,きっちりと並べられている。上の瓦をとるには,下の積んである瓦の上に乗る。瓦窯の最上部の穴からのぞいた様子。

2011年10月現在、剣川県委書記(县委书记)は、莽绍标氏、県委副書記(县委副书记)は、李劲松氏、赵喜旺氏、王跃氏。
 現代日本では「働く」という意味を、金を稼ぐ会社での勤労と同一視している。このような近視眼的な「仕事」や「労働」の概念では、開発途上国も含まれるグローバルな問題に対応できない。
 残飯利用のエコフィード(残飯飼料)作りも立派な仕事なはず。
瓦運搬
剣川県瓦(かわら)煉瓦(レンガ)を焼く窯元。焼きあがった平瓦を窯から運び出す。石炭を燃料にして瓦を焼くので、瓦を運び出す労働者は、煤で真っ黒になってしまう。
瓦運搬雲南省
焼きあがった瓦を窯の出入り口から運び出す。煤が,瓦,壁,出入り口の所々についているので,服や手足が黒くなってしまう。

現代日本では「働く」という意味を、勤労サラリーマンという外仕事の意味で使用しているが、このような範囲に限定すれば、老人は、労働力を提供しない「老齢従属人口」として、扶養対象としてのみ認識されてしまう。高齢者を「狭い範囲の労働」の概念で理解しようとすれば、老人は「社会保障」の問題を引き起こす「厄介者」でしかない。日本での「高齢者への認識」は、開発途上国も含まれるグローバルな「少子高齢化問題」には応用できない場合が多い。
 例えば、柴刈りのようなバイオマスエネルギーの採取は立派な仕事で,家事労働の一環で行われている。
窯運び
剣川県粘土瓦製造業。焼きあがった粘土瓦を窯から外に運搬する。粘土瓦は、セメント瓦、スレート瓦、金属瓦に比べ、耐久性・断熱性に優れており、安価である。

 島根県商工政策課によれば、粘土瓦製造業は、平成16年の事業所数25、従業者数780人、出荷額123億円、付加価値額64億円である。「大田市から益田市にかけて広がる。石州瓦産地は全国2位の粘土瓦(釉薬瓦)産地であり、本県とりわけ石見地域の重要な地場産業」と位置付けている。そして、「粘土瓦は元来地域自給的な色彩が強く、古くは全国各地で生産されており、石見地方も良質な粘土層(都野津層)が存在していたことから、古くから粘土瓦が生産されていた。昭和26年に石州産地にトンネル窯が導入されるなど大量生産方式への移行に伴い、良質な粘土がある地域への集約が進み、石州瓦はわが国3大産地の一つといわれるほど発展してきた。その要因としては、石州瓦は粘土の特性から1200℃以上の高温での焼成が可能で、その結果として対凍害性、対酸性等に優れた瓦として高い評価を得てきた点があげられる。」三大産地とは三州瓦、石州瓦、淡路瓦である。

 日本の経済産業省「平成22年工業統計表」によると、国内の4人以上の従業員を有する事業所数からみて、日本の窯業は、生コンクリート3040カ所、道路用コンクリート製品1042カ所、砕石838カ所など出荷額6.2兆円で、前年比17%減である。
 「工業統計調査 品目編」によれば、平成18年の日本国内生産量は、耐熱煉瓦生産44万トン、販売50万枚、出荷額1065億円の市場規模である。
 粘土瓦の日本国内生産量は、平成15年の「工業統計調査 品目編」によれば、釉薬瓦7億6600万枚、素地瓦(素焼き瓦、いぶし瓦)2億1200万枚で、粘土瓦全体の生産量としては平成10年比21%減。瓦の需要は住宅着工戸数に依存する。
窯の内部

Furnace


窯業
 剣川県窯元(かまもと)。焼きあがった瓦をだるま窯から外に運搬する。
窯業
剣川県の窯業。焼きあがった瓦を窯から外に運搬する。

バイオマス・ニッポン総合計画では、日本の木質バイオマスを有効活用することを提唱しているが、ここでは窯の燃料は、石炭である。剣川県の農村なら農業廃棄物、山林の木質バイオマスなど、広い範囲のバイオマスを利用できそうだが、他の場所と同じく、使っていなかった。これは、熱量、窯の温度と関連しているためであろう。
肥やし
 云南大理州剑川县で窯の内部に山積みとなった焼きたてのを外に搬出する。

上から見る窯内部
剣川県の窯業
上から見る窯内部
だるま窯の内部から、焼きあがったレンガを運び出す労働者。
上から見る窯内部
 窯元である楊氏には、民宿(客桟)から何日か通って作業の様子を撮影したり、聞き取り調査を行ったりして、労働者のみなさんにも顔なじみになって、協力していただいた。
上から見る窯内部
 窯元に雇われ、窯の内部に山積みになった粘土瓦を搬出する労働者。瓦(かわら)煉瓦(レンガ)を焼くだるま窯の頂上にのぼり、天辺に空いている換気ようの孔から撮影した。

剣川県の窯業
剣川県の窯業。出来上がった瓦をだるま窯の中から運び出そうとする窯業労働者
窯の中
剣川県の窯業。出来上がった瓦をだるま窯の中から運び出す窯業労働者。この瓦は粘土瓦であるが、日本では石綿スレートをはじめとする粘土を使わないかわらが多くなった。瓦は、葺(ふ)かれる屋根の形状によって、日本瓦と洋瓦に二分できる。
粘土をこねる作業

Clay fine work


水牛の粘土捏ね
粘土瓦やレンガの材料となる水牛を使ってこねる作業。


 2013年4月18日、中国科学院地球環境研究所がこのほど発表した研究結果によると、中国のレンガ製造の歴史は5000年前まで遡ることが可能で、中国のレンガ製造の確かな歴史が証明された。同研究の関連成果はこのほど、世界的な学術誌「Archaeometry」(考古計測学)のウェブサイトに掲載された。人民日報が伝えた。

陝西省考古研究所は陝西省藍田県の仰韶文化の考古遺跡から、厳密な意味での焼きレンガを発見した。科学研究者は遺跡内の炭くず、骨格、鹿角などの材料に対して放射性炭素年代測定を実施した。その結果、中国のレンガ製造の歴史が少なくとも5000〜5300年前に遡ることが明らかになった。中国科学院地球環境研究所の于世永(ユー・シーヨン)研究員は、「今回発見された焼きレンガは、東アジアで現在までに発見されている、最も古い焼きレンガだ」と語った。
水牛の粘土捏ね
  水牛を歩かせ,・レンガの原料となる粘土を踏みつけて捏ねる。   水牛の粘土捏ね
剣川県の窯業

 陶磁器の場合、原料は長石の結晶体が風化分解したカオリンである。花崗岩の中の長石が風化し良質な粘土鉱物であるカオリンは粒子が細かく皮膜力が強く、白粉やパック、ベビーパウダーのような化粧品にも使われる。日本では、東海地方にカオリンの良質な粘土層があり、窯業が盛んになった。

 カオリンは、採掘地「高嶺(カオリン)」にちなんだものでchina clayともよばれる。中国の景徳鎮などで高品質の磁器として実用化されたが、その製法は18世紀まで西欧に伝わっていない。中国でもネパールでも、瓦や陶器づくりの窯業を調べたが、工芸品のように美しい作品が生み出されるまでの労働過程が興味深い。
粘土返し
剣川県の瓦(かわら)煉瓦(レンガ)を焼く窯元(かまもと)での粘土返しの作業。瓦や煉瓦の材料となる粘土を捏ねる。ここでは、水牛に踏みつけさせて粘土を捏ねているが、男性一人が,粘土をひっくり返して,水牛が踏みつけやすいようにする。
水牛の粘土捏ね
剣川県の瓦(かわら)煉瓦(レンガ)を焼く窯業。粘土瓦の材料となる粘土を、水牛を使役してこねる作業。 水牛帰る
水牛を使役しての粘土を捏ねる作業が終了。水牛は、粘土捏ね場から引き離され、近くの空き地の草を食む。

◆国際協力の分野では、1980年代以降開発途上国の女性の地位向上に着目した「開発と女性(WID)」、「ジェンダーと開発(GAD)」というアプローチがある。

WIDは、女子を家事・育児以外にも、生産活動における役割を重視するもので、従来の女子の生産活動が過小評価され、女子が開発プロジェクトから疎外されてきたとした。そこで、女子を単なる受益者として一方的に捉えるのではなく、人的資源として活用するために、開発に統合すべきであるとした。

◆「ジェンダーと開発GAD」は、ジェンダー不平等の要因を、女性と男性の関係と社会構造の中で把握し、役割固定化と役割分担、ジェンダー格差を生み出す仕組みを変えることを目指す。換言すれば、GADは、ジェンダー不平等を解消するうえでの男性の役割に注目し、社会・経済的に不利な立場におかれた女子のエンパワーメントを促進する政策である。
 
煉瓦づくり

Burn bricks


瓦
粘土を四角の木製枠に入れて形を整え、煉瓦(レンガ)を3個を一個ずつ糸ノコギリのような粘土切りで切り出している。
 鳥飼行博(1997)「工業化戦略の有効性:貿易と国際分業をふまえて」『東海大学紀要. 教養学部』 28輯,pp.155-174では、次のように論じています。
 工業化には「進んだ技術」が不可欠であり,開発途上国では技術力が低いために工業 化が遅れている, あるいは最近のアジアの成長は技術移転によって達成されたという議論を検 討しておこう。日本と中国が機械を生産するに当たって,生産要素の資本K と労働L をどのよ うに組み合わせるかの検討である。
 まず, 日本は資本が豊富, 労働は希少な高賃金の国とし,対照的に中国は資本が希少, 労働が豊富な低賃金の国とすれば, 資本の報酬率r は同一 としても, 労働の報酬率(賃金〉は日本より中国で低くなる。他方, 資本と労働が代替可能で, 様々 な資本=労働比率(資本装備率:K/L) の下で等量の機械を生産できるとすると, このKとL の組み合わせの軌跡は等量線となる。そして, 資本と賃金のコストが最小となる最適な資本一労働比率は等量線が最も下方の等費用線(同一コストで異なるK , L の組み合わせを示す)と接するところである。すなわち, 日申両国の企業が各々直面する要素価格比率(w /r ) に対応して, 同じ機械を生産する資本労働比率(K/L)は日本より中国で低くなる。
 つまり, 要素価格比率が高ければ資本集約的技術が, 要素価格比率が低ければ労働集約的技術が選択されるのであって, 同じ電子部品を作る場合でも, 日本ではロボットや高性能工作機械を使うが, 中国では多数の労働者を利用して手作業で行うことになる。しかし,手作業が選択された理由は「技術が遅れている」からではなく, 低賃金のために資本を使用するよりも低コストで生産できるからである。
煉瓦
剣川県の窯業。煉瓦(レンガ)の形を粘土でつくる型押し成形作業。煉瓦(レンガ)の漢字は、火と「束ねる」ることで、土を焼いた瓦(かわら)板を焼くことを示唆している。中国では、紀元前から多用されていて、現在でも煉瓦積みの家が沢山ある。
瓦
剣川県の窯業小屋の中で煉瓦(レンガ)づくりのための型押し成形煉瓦(レンガ)を3個まとめて型枠で成型している。
瓦
煉瓦(レンガ)づくりの型押し成形(凹形の型に粘土を手で押し圧縮して行う成形技法)。
轆轤(ろくろ)作業

 Turning the potter's wheel


ろくろ
剣川県の窯業。轆轤(ろくろ)を利用した原型づくり。小さな円筒を作り、二分して瓦を二枚作る。この瓦(かわら)原型円筒を作成するときに轆轤を回す。
ろくろ
剣川県の窯業。瓦づくり。円筒状の型のある轆轤(ろくろ)に,粘土板を一周回転させて,瓦二枚分の原型となる円筒を作る。 瓦円筒作成
円筒状の型のある轆轤(ろくろ)に,粘土板を一周回転させて,瓦(がわら)の原型(瓦二枚分の原型となる円筒)を作る。 瓦円筒作成
轆轤(ろくろ)を使って,瓦(かわら)二枚分の原型円筒をつくる。
粘土の保管

Custody of the Clay


粘土運び
剣川県の窯業。瓦づくり用の粘土(ねんど)を保管場所に運搬する。瓦(がわら)づくり用の粘土(ねんど)は、二酸化ケイ素(SiO2)を主原料とする。これは、ケイ素の酸化物で、地殻を形成する溶岩と同じ物質で、酸化アルミニウム(Al2O3)も含んでいる。ともに研磨剤、砥石の材料ともなる。
雲南省窯業粘土運び
剣川県の窯業。水牛が捏ねた粘土(ねんど)を,轆轤(ロクロ)のある小屋に運び,積んで保管する。左の筵(むしろ)をかけてあるところには、今、レンガ造りに使用している粘土が置かれている。


粘土保管所
剣川県の窯業。瓦(がわら)づくりにつかう粘土(ねんど)の保管場所。粘土が乾燥しないように、小屋の中の粘土に、大きなビニールシート、筵(むしろ)を被せていて、乾燥を防いでいる。
 瓦(がわら)の厚みと同じだけの粘土を針金で薄く切り裂いて,成形する。粘土を板状に切り剥がして円筒形に成形する。この婉曲した瓦は,円形筒型に成形し,焼きあがった後に,二つに割って二枚の瓦ができる。
全景粘土瓦
手前には、筵(むしろ)が敷かれ、昼食を入れた御飯を入れた櫃(ひつ)と食器。粘土煉瓦をつくる人、水牛を使役して粘土をこねる人、瓦(かわら)原型の天日干し。
天日乾燥作業

Drying


天日乾燥
剣川県の窯業で、瓦(かわら)二枚分の原型となる円筒を轆轤で成形してから天日乾燥するために外に並べる。

CNN2016.08.04によれば中国政府は、「万里の長城」でれんが窃盗などの人為的破壊が目に余るとしてこれを阻止する新たな対策に着手した。国営新華社通信が報じた。れんがなどは民家の建築用、農業目的や観光客への土産品として盗まれており、風、雨や砂嵐などによる風化被害をさらに悪化させるものとなっている。同通信によると、新たな対策には現場調査、定期点検や窃盗目撃などの住民が通報出来るホットライン開設が盛り込まれた。中国政府の国家文物局は今年、新たな対策の輪郭を発表していた。しかし、男1人が長城の壁を蹴り(け)つけるなどする破壊行為をとらえたビデオ映像がソーシャルメディア上に掲載されて注目を集め、問題への早急な取り組みが必要な状況にあることを浮き彫りにしていた。明王朝時代(1368〜1644年)に建設された長城の部分の約30%が既に消滅しており、保存状態が良いのは10%以下。万里の長城の保存は、巨大な構造物だけに保存や修復の作業はより困難な状況にある。
天日乾燥
剣川県の瓦(かわら)煉瓦(レンガ)を焼く窯元。焼く前の瓦円筒(瓦二枚分)を天日乾燥する。

日本では戦前までは、瓦屋根の場合、「土葺き工法」といって、瓦の下に葺き土を置いて瓦を設置していた。その理由は瓦には捻じれがあるので、そのままでは瓦と瓦を合わせるのに隙間ができて安定しない。そこで、瓦を連続して安定的に葺くために、土を瓦の下に敷く「土葺き工法」によって、瓦同士のガタつきを防いでいた。しかし、現在では大量生産規格化され、瓦の捻じれはなく真っ直ぐな形状のために瓦の下に土を敷く「土葺き工法」は必要はない。
並べ作業
茶馬古道で有名な剣川県(ひつ)瓦(かわら)煉瓦(レンガ)を焼く窯元。瓦円筒(瓦二枚分)を轆轤で成形し終わった後、焼く前に、天日乾燥のために外に並べる。
剣川県窯業
剣川県の窯元。2枚の瓦(かわら)の原型となる円筒を天日乾燥させている。ただし、窯で焼く「焼き煉瓦」なので、日干し煉瓦ではない。
かわら
成形した生の瓦(かわら)を並べて天日乾燥する。窯まで焼きあげた後で,円筒形を二つに割り,さらに半分にして瓦の形状にしする。
瓦円筒(瓦二枚分)を天日乾燥するために二段重ねている。奈良時代・平安時代の日本の寺院でも同じような方法で瓦(がわら)が焼かれていたと考えられている。
石炭をくべる

carrying coal


石炭
剣川県の瓦(かわら)煉瓦(レンガ)を焼く窯業。窯にくべる石炭を運ぶ。窯は,石炭を燃料にしており、石炭殻は,再利用する。
窯の炎
剣川県の瓦(かわら)煉瓦(レンガ)を焼く窯業。だるま窯に石炭をくべる。

戦前までは、日本でも手づくり、労働集約的技術によって煉瓦を製造していた。特に原土の採掘は、12月〜3月までの寒くて湿気の少ない時期に集中して行って、1年間の原料粘土を確保してた。
窯の温度調整

Temperature adjustment


窯の上
瓦(かわら)煉瓦(レンガ)を焼く窯の温度調節作業。

このような窯業は、農村家内工業工場制手工業など封建制度から資本主義が形成されるまで過渡期に生まれた資本主義、すなわち初期資本主義(early capitalism)の状況を髣髴とさせる。そこで見られる労働集約的産業は、労働生産性が低く、労働者の賃金も低く「遅れている」技術しかないと批判されることが多い。しかし、現代の日本で大学生の就職先がサービス業に限定され、ものづくり・製造業の現場での雇用がほとんどない現状に思い至れば、このような発想が単純すぎることがわかる。技術は、簡単化すれば、資本=労働比率(労働の資本装備率)で表すことができ、それは資本レンタル=賃金比率という要素相対価格で決まってくる。高賃金国では、資本節約的技術(労働節約的技術)が、低賃金国では労働集約的技術(資本節約的技術)が採用される傾向がある。 窯の上
剣川県の楊氏の瓦(かわら)づくりの窯業。だるま窯の温度調節作業は、だるま窯サミット(頂上)で行われている。
窯の上
温度を調整するために,だるま窯の最上部にホースで水を張る。この水が窯に染込んで窯の温度を下げる。 窯の上
瓦(かわら)煉瓦(レンガ)を焼く窯の頂上部に水溜りを作って、窯の内部温度を調節する。 窯の上
だるま窯の頂上部に水溜りを作り、鍬で土と水を混ぜて,窯への水の浸透具合で調節する。 窯の上
瓦(かわら)煉瓦(レンガ)を焼く窯の温度調整作業。土と水を巧みに使って一人で行うことができる。だるま窯に石炭をくべていたのと同一人物が、窯の温度調整作業を行っている。
窯業施設全景

Small-scale manufacturing


窯の全景
瓦(かわら)煉瓦(レンガ)を焼くだるま窯の頂上から見た窯業施設。 窯の全景
だるま窯(頂上)からみた楊氏の瓦(かわら)煉瓦(レンガ)を焼く窯業施設。

煉瓦(レンガ)煉瓦は身近な「土」を使って製造できるために、世界各地で古くから使われてきた建築用材料である。  煉瓦は、紀元前3000年頃以前から、古代エジプト、メソポタミア、中国では使用され、家屋や塔などの建造物が築かれていた。中国の万里の長城も煉瓦でできている。中国では煉瓦をタイル状のものも含めて「セン」と呼称したが、日干し煉瓦は「ゲキ」、焼成煉瓦は「ヘキ」あるいは「レイテキ」と区別した。日本でも煉瓦の歴史は古く、仏教伝来、寺院建築の技術とともに大陸から伝承されたと考えられる。
窯の全景
剣川県の窯業。だるま窯のサミット(頂上)から見た瓦(がわら)とレンガの成形場。奥に水牛による粘土捏ねの作業。右が轆轤のある小屋。これで敷地の半分。瓦窯は,石と粘土で頑丈な構造であるために,中空であっても頂上部に乗ることができる。

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鳥飼行博
2004年9月、剣川県農村に1週間滞在して、剣川県(Jianchuan)瓦(かわら)煉瓦(レンガ)を焼く窯業など山村生活のフィールド調査を行った。瓦(かわら)づくりの調査させていただいた楊氏のだるま窯のサミット(頂上)で撮影。


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