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I L O 駐 日 事 務 所(〒150−0001 東京都渋谷区神宮前5−53−70 国連大学本部ビル8階 )は、次のような見解を掲げている。

「児童労働」とは、以下のような子どもの労働のことです。
◆原則15歳未満の子どもが、大人のように働く労働
ILO138号条約 が定める就業最低年齢

最低年齢 15歳
・ 義務教育修了年齢を下回らない(原則)
・ 途上国は14歳とすることができる

軽易な労働 13歳
・ 途上国は12歳とすることできる

危険な労働 18歳
・ 健康・安全・道徳が保護され、適切な職業訓練を受ける場合は16歳

* 子どもたちの健全な成長を妨げる労働をさし、家や田畑での手伝い、小遣い稼ぎのアルバイトなどは含まれません。

◆18歳未満の子どもが行う最悪な形態の労働

ILO182号条約
人身取引、債務奴隷、強制的な子ども兵士、その他の強制労働
買春・ポルノ、麻薬の製造・密売などの不正な活動
子どもの健康・安全・道徳を害し、心身の健全な成長を妨げる危険で有害な労働

◆家族の元で行われる児童家事労働でも、教育に使用をきたすこともあるし、過酷なこともある。路上での物乞いや買い物袋の販売は小遣い稼ぎとて行われる。これが「児童労働」には含まれませんというのは、より過酷な状況の子供たち、「最悪な形態の労働」の救済・保護を優先しているからであって、放置しておいてよい問題ではない。

◆なぜ「児童労働」があるのですか?

一番の原因は <貧困> です。(1日1米ドル未満で暮らす人は10億人) しかし、その他にも...
・ 子どもの教育へのアクセスがない
・ 親の教育の欠如
・ 子どもの地位が低い価値観や社会慣行
・ 地域社会の労働慣行
・ 地方から都市への移住
・ 家庭の問題
・ 不適切な法律の施行

◆なぜ「児童労働」をなくさなくてはならないのですか?
・ 子どもの人権を侵害するから
・ 子どもが教育を受ける権利を侵害するから
→ 十分な教育を受けられまま大人になり、貧困の連鎖につながる
・ 子どもの心身の健全な発達を妨げるから

児童労働撤廃のコストは、途上国の軍事費の約2割と試算されています。
■中国
中国のバイオマスエネルギー:ローカルコモンズ里山での薪採取
貴州省の低地と山村
貴州省の持続可能な農業:肥やしと堆肥
雲南省の窯業:剣川県の農村家内工業の粘土瓦生産
雲南省のタバコ生産
雲南省の牧畜:ローカルコモンズ入会地
雲南省の白族定期市
雲南省の仏教:白族の祭礼
雲南省剣川県の古鎮
北京市街地:公衆トイレ/中日友好病院
北京の食品製造工場:燕京ビール/三元乳業
北京の地下鉄・河南省の寝台列車
中国河南省の農村と薪採取
河南省開封市の繁華街
四川省丹巴県甘孜蔵族の農業とバイオマス/堆肥
福建省南靖県お茶生産
福建省南靖の生活/農業
成都平原の三星堆遺跡:長江文明:四川青銅器文化

■フィリピン
カリンガ州棚田の田植え
Rice Terrace, Kalinga

カリンガ州棚田の稲刈り
Rice Terrace, Cordillera
カリンガ州山村の小学校
Elementary School at Kalinga

カガヤン州ツゲガラオの市場
Market of Tuguegarao, Cagayan

マニラのスモーキーマウンテン
Smokey Mountain, Manila

メトロマニラのスラム街:ケソン市リテック/パヤタス
マニラのパヤタス廃棄物処分場:スカベンジャー
セブ市のアルミ再生工場:サンドダイカスト
バタンガスの自動車工場:修理と廃車リサイクル
セブ島の造船所

■タイ王国
写真解説:タイ農村の米作
写真解説:タイの家内工業:養蚕とシルク反物
写真解説:タイの牧畜・繊維作物生産
論文「タイの家内工業とワークシェアリング」



再生トイレットペーパの製造工程

1)古紙回収(原料)
2)溶解
3)精選
4)脱墨
5)洗浄
6)減菌・漂白
7)抄紙
8)加工
9)製品保管  

ビール製造工程
1)製麦:大麦から麦芽へ
2)仕込み:麦芽から麦汁へ
3)発酵:麦汁からビールへ
4)貯酒:ビールの低温での熟成
5)濾過:おり、酵母を除去し生ビールへ
6)缶詰:容器に酸素が入らないように注入


再生トイレットペーパの製造工程

1)古紙回収(原料)
2)溶解
3)精選
4)脱墨
5)洗浄
6)減菌・漂白
7)抄紙
8)加工
9)製品保管  

ビール製造工程
1)製麦:大麦から麦芽へ
2)仕込み:麦芽から麦汁へ
3)発酵:麦汁からビールへ
4)貯酒:ビールの低温での熟成
5)濾過:おり、酵母を除去し生ビールへ
6)缶詰:容器に酸素が入らないように注入

ケソン市Quezon City)は人口200万人以上で、大規模な廃棄物最終処分場とスラム街がある。特に、パヤタス通りには、トタン板に囲まれたジャンクショップ(屑屋)が並んでいる。そのような場所にも、キリスト教会があるが、普通の家と変わらないバラック造りである。

キアポ市場の市場にある露店は、都市インフォーマル部門urban informal sector)の生業である。会社に雇用されていなければ、お金を稼ぐために都市インフォーマル部門urban informal sector)に雇用機会を見出すしかない。
 政府による社会保障生活保護も不十分であるからこそ、スラムではリサイクル小規模事業=草の根民活の動きがある。
マニラ首都圏に多い都市インフォーマル部門urban informal sector)は、イントラムロスではほとんど見かけない。

 マニラ市エルミタ地区から、デビソリア(Divisoria)行きジプニーで20分のところに、キアポ市場がある。キアポ地区は、16のバランガイ(Barangays:最小の行政単位)からなる人口2.5万人の地区。キリスト教徒のほか、イスラム教徒も住んでいる。

CEO:chief executive officer は、米国の法人における最高経営責任者、代表執行役であり、会社の理事会、取締役会の下で、会社の全業務を執行するマネジメントの最高責任者、トップマネジメントである。
 所有と経営が分離した株式会社では、所有者の大株主は取締役会に影響力を行使するが、会社経営の専門家・実務家ではないために、業務は執行役の最高責任者(CEO)に依頼する。つまり、取締役会が、任命し、監督するトップマネジメントがCEOである。

 CEOは、社長や会長とは本来異なるが、CEOを同一人物が兼ねることもある。この場合、CEOは企業の独占的支配権を得た形になり、思う存分能力、権限を発揮できる。そのため、マネジメントに成功すれば、それはCEOの功績であり、多大な報酬を得る。しかし、成果がなければ、かぶ取締役会によって解任させられる。株主総会にCEOの去就を図る必要はない。

◆2003年4月、商法改正によって、日本でも委員会等設置会社(2006年5月の会社法で「委員会設置会社」に名称変更)の導入が可能になり、「代表執行役」、「執行役」が設置される場合も出てきた.

free counters


◆中国貴州省・雲南省のバイオマスエネルギーとコモンズ
1.【地球温暖化】【地球観測】【熱帯林減少】【生物多様性】【廃棄物問題】【国際協力】【人口問題】などを研究しています。
2.中国貴州省の面積は18万平方キロで日本の半分、2010年人口は4000万人、省内生産(GDP)は4550億元(全国26位)、1人当たりGDPは1万2000元と全国最下位の31位です。
3.貴州省黎平県、雲南省剣川県における2006年、2004年の調査をもとに共有自然資源(コモンズ)を解説します。
4.他の写真は、貴州省有機農業福建省お茶生産四川省チベット族バイオマスフィリピン山村のバイオマスを参照。

地域コミュニティ

 Agricultural Communities in China

 
 

ローカルコモンズ

 Local Commons


ウシ中国南部雲南省剣川県では、農業、牧畜、窯業が盛んです。地域コミュニティの男性は、子守をよくします。ジェンダーの上からも興味深いです。そして、子守をしながら,牛の放牧しますが、牛は畦道の草を食べています。これが、ローカル・コモンズです。

 このページでは、森林破壊森林観測に関連して、昔話『桃太郎』冒頭の「おじいさんは、山にシバ刈りに、おばあさんは、川に洗濯に」を人間環境学の視点から考えてみましょう。
 浄水場、上水道、洗濯機がない昔の話です。貧しいお婆さんは、水のある川まで衣類を洗いに行ったのでしょう。では、お爺さんが刈った「シバ」とは何でしょう。山に「芝」が生えているなんて不思議だと思いませんか。
 「ゴルフ場の芝刈りや代官所庭園のシバ刈りにお爺さんが雇われていたんだ----」と思う人はいませんよね。おじいさんは,地主のもつ牧場の牧草刈りに駆り出されたのでしょうか。
 中華人民共和国南部に位置する貴州省は、一人あたりの所得が最下位の最貧省ですが、その中の山岳地域にある黎平県山村に10日間ですが滞在して調査しました。その調査を元にして、シバ刈りに関して、解説します。
 国連農業機関FAOの森林統計を利用して、熱帯林など世界の木材生産の70%が薪炭であり、環境学や開発経済学には素人の評論家だけでなく専門家ですら「地方の貧しい世帯が、薪を取るために森林を次々に伐採している」と主張しています。専門家ですら、日本昔話『桃太郎』冒頭にある「おじいさんは山にシバ刈りに、おばあさんは川に洗濯に」という箇所を理解できなくなっているのが現代社会です。

昔話「桃太郎」

 Momotarou

 
貴州省牛
昔話「桃太郎」冒頭で「おじいさんが山にシバ刈りに、おばあさんが川に洗濯に行きました。---」とあります。水道や洗濯機がない昔の貧しいお婆さん、水のある川まで衣類を洗いに行ったのでしょう。では、お爺さんが刈った「シバ」とは何でしょう。
おばさんたちは、手に棒を持って、牛を追いながら、段々畑,棚田を上ってゆきます。(⇒ 棚田学会)

貴州省黔東南ミャオ族トン族自治州の地図

牛飼い

Raising Cattle


貴州省牛
牛は,あぜ道や山の傾斜地で草を食べながら歩きます。牛追いは、餌の草を食べさせる目的で、自由に草を食べさせることのできるコモンズを求めて、里山に入ることです。
日本では、 パンプローナの牛追い祭 (サンフェルミン祭)のイメージよりも、世界の牛追いにも目を向けてください。

ジェンダー

 Gendar


貴州
昔話「桃太郎」冒頭で「おじいさんが山にシバ刈りに、おばあさんが川に洗濯に行きました。---」とあります。水道や洗濯機がない昔の貧しいお婆さん、水のある川まで衣類を洗いに行ったのでしょう。でも、お婆さんが柴刈りにいってもおかしくはないし、昔の日本でも、柴刈りは、おばさんや子供など、体力の劣る人でもできる仕事だったのです。男性と女性の社会的差異を「ジェンダー」といいます。お婆さんは、柴刈りにいってはおかしい---、というのはジェンダー不平等の考え方です。
牛追い

 Cowboy

 
貴州省牛
昔話「桃太郎」冒頭で「おじいさんが山にシバ刈りに」いったのですが、おじさんは手に棒を持って、牛を追って、段々畑を上っています。山・里山に行くにはいくつかの目的があります。通勤は会社に行って働くため,通学は学校に行って授業を受ける(?)ため、と単一目的を表に出してもおかしくありません。しかし、山に行くのは、牛追い、柴刈り、野良仕事、水路管理、堆肥の採取、さらに奥地山村の家族・友人の訪問、杉の皮(屋根を葺く瓦代用品)の採取、キノコ採取、鳥撃ち、イノシシ狩など様々な目的があります。里山で、子守りをしているお婆さんや子供だっているのです。里山のようなローカルコモンズは多角的な利用が行われているのです。
(→段々畑)
工芸品・民具

Handicrafts


貴州省
中国の鎌は日本でも普及しているようです。おばさんたちの腰には曲がったカゴがあり、そこに鎌が入っています。芸術的な工芸品のような「鎌入れカゴ」です。鎌の先で、怪我をしないことと,出し入れが簡単にできること、軽くて邪魔にならないことが条件になります。
それでは、おばさんが肩にしている棒は何に使うのでしょうか。槍のように、先が尖っていて、中には金属の穂先がついているものもあります。こうなると、まさに槍のようです。(そのように誤解している、都会人もいるのです!)。おばさんは「シバ」刈りに行くのですが-----。
コモンズ

 The mountains


牛やまとりつき
昔話「桃太郎」冒頭で「おじいさんが山にシバ刈りに、おばあさんが川に洗濯に行きました。---」とあります。
おばさんたちは、手に棒を持って、牛を追いながら、山の端につきました。声をかけながら、牛を山に追って行きます。
牧畜といえば、大草原というイメージで、世界の牧畜は把握できません。山村で個人の行う牧畜とは、資本不足、機械・飼育機材の未導入、飼料節約ですが、労力投入を惜しむことはありません。
放牧

Grazing


山牛離す
昔話「桃太郎」牛は、山の中で離すと、食べられる草や新芽の生えている灌木のある藪に入っていきます。放牧です
山口型放牧研究会でも、水田放牧などまさに途上国と似たような放牧を目指しています。
地域コミュニティ

 Community


柴
昔話「桃太郎」冒頭で「おじいさんが山にシバ刈りに」いったのは、このような柴刈り山でしょう。柴を刈りことのできる山が、「柴刈り山」です。
日本でも 柴刈り山もみなおされつつあります。地域コミュニティのメンバーに使用が限定されている入会があります。柴刈りをするのが、柴刈り山で里山とも同じ意味で用いられます。
里山

 Momotarou


柴
昔話「桃太郎」冒頭の「シバ」を、おばさんが集めているところは、山の傾斜地です。日本では、簡単に入り込める雑木林のイメージがありますが、貴州省山村では、藪に覆われた急傾斜地です。道もなく、滑り落ちるように、下の灌木のまばらな藪の中に入って,鎌で枝を落とします。

柴
「シバ」を集めるといっても、落ちている枝は少ないので,鎌で小枝を殺ぎ落として集めます。灌木の中に、柴を集めておいてから、再び上の山道に運びます。これが、伝統的なバイオマスエネルギーの利用方法です。
財産権

 Property


貴州
シバ刈り」が始まりました。小枝をナタで打って集めます。自由に木材を切ったり,薪を採取できたりする「自由な大地」は、もはや世界中ほとんどありません。地域コミュニティのメンバーが、一定の制約の下で利用できる入会はあります。この山村では、家族ごとに利用できる入会が決まっています。日本では、柴刈り代行サービスもやってます。これは、自己の財産権の及ぶ範囲での話です。実は,貴州省の山村でも、メンバーの財産権のある場所で柴刈りをしているのです。
無償労働

 Unpaid-work


牛やまとりつき
昔話「桃太郎」冒頭の「シバ」を、おばさんが集めています。もちろん、薪を集めたお礼として、賃金を受けたり、現金を支払ったりする主人や雇用主はいません。ただ働きです。しかし、電気もガスも利用できない世帯にとって、バイオマスエネルギーは毎日の煮炊きに不可欠なのです。
地産地消

 Produntion & Consumption


柴
は、日本では家具やカゴ作りの材料として有名です。フィリピン,ベトナム,インドネシアなどから輸入しています。しかし、おばさんが集め、柴の束を一まとめにするのにも、籐の仲間を使います。縛るヒモは、山に生えている細い枝やツタ、籐のような植物をヒモ代わりに使うのです。籐の魅力は、世界で様々です。
燃料の確保

 Momotarou


柴
昔話「桃太郎」冒頭の「シバ」を、おばさんが集めているところは、山の傾斜地です。道もない藪の中に入って,鎌で枝を打ちます。傾斜地の作業では大変です。バラのような棘のあるある枝や、ススキのような鋭い葉も茂っています。日本では、バイオマス発電が注目されています。しかし、伝統的なバイオマスエネルギーの利用方法は、燃料として直接燃焼することで獲得されてきました。再生可能エネルギーを発電に限定する必要はありません。
バイオマス・エネルギー

 Biomass Energy


牛やまとりつき
昔話「桃太郎」冒頭の「シバ」とは、おばさんが集めた木の枝のことです。「バイオマスエネルイー」というと、近年になって利用されるようになった再生可能エネルギーであるように思う人もあるかもしれませんが、大きな誤解です。古くから世界中で利用されていた「ローテクの伝統的エネルギー」なのです。
労働集約的な薪採取

Firewoods


柴
昔話「桃太郎」冒頭の「シバ」を、おばさんが集めました。傾斜地の作業では、落ち着ける場所に集めた柴を運ばなくてなりません。棘のついた枝もあるので、みんな手袋,長袖で作業をします。付いていった私は,ささや棘で皮膚を切ったり、服を引っ掛けたりしてしまいました。伝統的なバイオマスエネルギーを獲得するには、労力がかかるということです。
薪炭生産

 Firewoods


柴
昔話「桃太郎」冒頭の「シバ」を、おばさんが集めました。傾斜地の作業では、落ち着ける場所に集めた柴を運ばなくてなりません。広範に存在するバイオマスですが、それを集めるのに手間がかかります。労働集約的エネルギーといってもよいでしょう。
非木材林産物;柴

Resources


柴
「シバ」を山の上の身に地運び上げ、そこで束にします。枝を咲いて、柴を縛るためのヒモにします。
 ところで,女子による柴刈りが、家事以上の範囲で、バイオマスエネルギーの取得、森林の利用という開発と環境の問題にかかわってきています。そこで、男子と女子との社会的な格差というジェンダーに注目した開発/環境政策も考慮すべきでしょう。
 国際協力の分野では、開発途上国の女性の地位向上に着目した「開発と女性(WID)」、「ジェンダーと開発(GAD)」というアプローチが1980年代以降あります。WIDは、女子を家事・育児以外にも、生産活動における役割を重視するもので、従来の女子の生産活動が過小評価され、女子が開発プロジェクトから疎外されてきたとした。そこで、女子を単なる受益者として一方的に捉えるのではなく、人的資源として活用するために、開発に統合すべきであると考えました。
 GADは、ジェンダー不平等の要因を、女性と男性の関係と社会構造の中で把握し、役割固定化と役割分担、ジェンダー格差を生み出す仕組みを変革しようとするアプローチです。GADは、ジェンダー不平等を解消するうえでの男性の役割に注目し、社会・経済的に不利な立場におかれた女子のエンパワーメントを促進する政策です。
運搬方法

 Resources


柴
「シバ」を担いだり,抱えたりして、山の上に運んできました。ここで、柴の束をまとめます。バイオマスの運搬には、古くから人力が使われていたのです。 昔話「桃太郎」の柴刈りは、木材切り出しというより、高齢のおじいさん,おばさんでも運搬できるような枝のことです。おばさんが鎌でかっているのが柴です。柴刈りに、金太郎の持っているような斧、マサカリは必要ありません。バイオマスエネルギーは、手作業で集めることが可能です。世界人口のうち15-20%くらいが薪に依存した調理をしています

非木材林産物

 Resources


柴
昔話「桃太郎」冒頭の「シバ」を、おばさんが集め、山の上に運んできました。ここで、薪にする柴の束を一まとめにします。縛るヒモは、山に生えている細い枝やツタ、籐のような植物です。薪にする以外にも利用可能なバイオマスですが、燃焼することで材質をあまり問題にすることなく、有効利用が進みます。
柴の人力運搬

 Transportation


柴はこび
昔話「桃太郎」冒頭の「シバ」を、人力で運搬します。山道を下って30分から45分かけて自宅にまで運びます。分散したバイオマスエネルギーを収集し利用するには、労力が欠かせないということです。
バイオマスの運搬

 Labor-intensive Technology


マキ運び
薪、藁のようなバイオマスは、燃料や飼料として有効利用できますが、広い範囲に分散しているために、収集する手間がかかります。運搬するにも労力が必要です。バイオマス直接利用には、手を汚し、汗をかく作業が必要なのです。日本のクリーンエネルギーとしてのバイオマスとは異なった利用方法です。しかし、直接利用は、便器やガスにするときのエネルギー転換損失が小さく、効率的利用となります。
コモンズを利用した放牧

 Labor-intensive Technology


休耕田のウシ
放牧は、休耕地、畦道の草を束させながら行います。齢のおじいさん,おばさんでも牛追いをやっていて、老齢人口の雇用機会を提供しているのです。世界農業人口のうち30-40%くらいがコモンズに依存した放牧・家禽の飼育を行っているとみています。
雲南省の放牧

 Yunnann


ウシ
山に幾重にも囲まれているが,渓谷にある盆地は,耕地化され,周辺の傾斜地は牧草地として利用される。


ウシ
牛の放牧が中心だが,馬,ロバ,ヤギ,水牛の放牧も行われる。夕方16:00過ぎになると,牛を連れて放牧に出て行った人たちが,次々と村に帰っていく。住民の多くはベー族で,ほかにもリス族,ナシ族など少数民族も隣接して居住している。 ウシ
放牧では,道路脇や空き地,公有地の牧草を利用する。この牧草は,地域コミュニティの共有資源(コモンズ)として認識されている。
 道脇の草を食べさせている。地域コミュニティの共有資源,すなわちコモンズに依存した農業と言える。

◆里山・入会地は、無償で利用はできるが、アクセスが、地域コミュニティのメンバーに限定されていたり、現地住民が相互利益に配慮しながら管理してたりしている。つまり、里山は、「ローカル・コモンズ」の一種である。現地住民は、地域コミュニティの他のメンバーの利益に配慮して、ローカル・コモンズを利用する。そこで、フリーライダー、モラルハザードが抑制され、「コモンズの悲劇」は生じにくい。
 つまり、現地住民が利用する里山・入会は、自由にアクセスできる自由財ではなく、地域コミュニティのメンバーに限って利用できるローカル・コモンズであり、持続可能な利用がされてきた。

 ローカルコモンズは、世界各地に古くから存在してきた。そして、地域コミュニティの現地住民による利用と管理の下にあった。このようなローカル・コモンズとして里山や入会地が維持できるのであれば、フリーライダー、モラルハザードに起因する里山の崩壊、すなわち「コモンズの悲劇」は、起こらないであろう。

里山は、薪というバイオマスエネルギーを提供しており、再生可能エネルギーの供給源でもある。バイオマスエネルギーというと、現在の日本では、バイオ発電、バイオ液体燃料など間接利用が注目されているが、歴史的には、里山からの薪採取という形で、住民に再生可能エネルギーを供給していた。これは、草の根民活として、地域コミュニティの住民が、自主的に里山を管理していたことを示すものである。

 他方、日本の里山の再生が唱えられているが、NPOやボランティアのメンバーが、薪炭などを利用する現地住民でない場合、里山復活は困難な場合が多い。里山利用に伴う利益が、レジャーや自然観察に留まっているのであれば、 財政支援あるいは税制上の優遇措置が必要かもしれない。
以上のように、里山は、再生可能エネルギーの供給源として、利用され、保全されてきたのであり、持続可能な開発に大いに関連している。里山の議論を、自然と親しむとか、身近な緑を守るとか、狭い範囲に限定するのではなく、バイオマス利用の場として、世界に通用する視点で、持続可能な社会形成に役立てるべきであろう。 この意味で、日本に限らず、里山などローカルコモンズの利用と管理は、開発途上国の地域コミュニティに学ぶべき点が多いのである。


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◆大学での講義「開発経済学」「環境協力論」「環境政策I」「環境政策II」は、持続可能な開発を、開発途上国、地域コミュニティの視点も含めて、分析する授業です。俗説とは異なる議論も展開しています。持続可能な開発、特に、熱帯林減少、森林適正管理、バイオマスエネルギーについて専門的に知りたい場合は次の著作を参考にしてください。

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『アジア地域コミュニティ経済学 フィリピンの棚田とローカルコモンズ』(東海大学出版部2015年):政府開発援助、フィリピン財政、棚田の有機農業、バイオマスエネルギーを分析しました。
持続可能な開発、特に、熱帯林減少、森林適正管理、再生可能エネルギーについて専門的に知りたい場合は次の著作を参考にしてください。

『地域コミュニティの環境経済学−開発途上国の草の根民活論と持続可能な開発』(多賀出版2007年):少子高齢化・ジェンダー,再生可能エネルギー,熱帯林,廃棄物輸出を分析しました。

『社会開発と環境保全―開発途上国の地域コミュニティを対象とした人間環境論』(東海大学出版会2002年)と『CRUGE研究叢書 環境ネットワークの再構築 環境経済学の新展開』田中廣滋編(中央大学出版部2001年)は「草の根民活論」の嚆矢です。

『開発と環境の経済学―人間開発論の視点から』(東海大学出版会):「環境協力論」「開発経済学」「環境政策」のテキストで,難民,軍縮も扱っています。

『環境ネットワークの再構築−環境経済学の新展開』田中廣滋編(中央大学出版部)の一章を担当し、熱帯林減少の要因と森林保全の在り方を地域コミュニティを軸に論じています。

『地球環境政策』宇沢弘文・田中廣滋編著(中央大学出版部)の一章を担当し、南北格差を踏まえて、持続可能な開発に必要な環境政策を整理しました。

『ポスト福祉国家の総合政策−経済・福祉・環境への対応』丸尾直美編著(ミネルヴァ書房)の一章を担当し、熱帯林減少の要因と森林保全の在り方を地域コミュニティを軸に論じています。

『学習漫画 サリバン先生』(集英社2011年刊行)を監修し解説を書きました。アンの生い立ち、ヘレンケラーとのかかわりから、ノーマライゼーション提唱者としての先見性まで扱っています。

『写真ポスターから学ぶ戦争の百年−二十世紀初頭から現在』(青弓社2008年刊行)では、二十世紀の戦争を扱い大量破壊、大量殺戮からプロパガンダまで扱いました。

『写真ポスターから見るナチス宣伝術−ワイマール共和国からヒトラー第三帝国』(青弓社2011年刊行)では、暴力、テロによるナチ党政権奪取と戦争動員を解説しました。

文部科学省・科学研究費補助金の報告書

1.アジア太平洋の地域コミュニティにおけるコモンズ管理と草の根民活論(2011)基盤研究(C)2010-2011
2.アジア太平洋の地域コミュニティにおける個人経営体を重視した社会開発と環境保全(2005)基盤研究(C)2003-2005

3.開発途上国における個人経営体と草の根の環境ODA(2002)基盤研究(C)2001-2002

4.開発途上国における個人経営体に対する草の根の環境ODA(2003)基盤研究(C)1998

5.開発途上国の小規模産業における雇用吸収力と経済援助(1993)奨励研究(A)1993

6.開発途上国の小規模産業における個人経営体のもつ雇用吸収力と経済援助(1992)奨励研究(A)1992

7.開発途上国の諸産業における契約形態についての理論的・実証的研究(1989)東京大学・特別研究員PD



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  自然エネルギーの可能性と限界 風力・太陽光発電の実力と現実解

図解エネルギー・経済データの読み方入門

図解エネルギー・経済データの読み方入門



エネルギー維新 「フクシマ」後の戦略をデザインする



バイオエネルギーの技術と応用



資源・エネルギーと循環型社会



環境・自然エネルギー革命 食料・エネルギー・水の地域自給



風力エネルギー読本