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◆タイ地域コミュニティの牧畜とローカル・コモンズ
1.【地球温暖化】【熱帯林減少】【生物多様性】【国際協力】【人口問題】を現地調査も踏まえて研究します。
2.タイ王国の農村から、持続可能な開発を考えます。
3.タイ東北地方(イーサン)の2010年人口は2130万人、面積は12万平方キロ(日本の30%)、域内一人当たり生産額は全国平均の半分程度の国内最貧困地域です。
4.タイ地域コミュニティの牧畜とローカル・コモンズを、2001年、2003年撮影の写真をもとに解説します。
5.他の写真は、貴州省のバイオマスエネルギー貴州省の持続可能な農業福建省のお茶生産四川省チベット族のバイオマス利用とソーラークッキング等を参照してください。

タイ東北地方点描

Agriculture of Thailand

 
 













タイの東北地域

 ภาคอีสาน

 

家
 タイ東北地方に位置するチャイヤプーン県の田植え。田植えをする「農民」の中で,この水田の持ち主(自作農家)は1人のみ。後は,田植え作業に雇われた農民(農業労働者)。具体的には、雇用農業労働者とは、農村に住む土地なし労働者や零細農家の家族員のこと。日当は当時100バーツ(350円)だった。 農村の共同作業ではなるが、賃金労働に近いので,このような農民を農業労働者あるいは土地なし労働者という。

田植え
 チャイヤプーン県の水田の農民女性が、1?の田植えに,5人が雇われた。
タイ東北地方に位置するチャイヤプーン県苗代(なわしろ、なえしろ)。苗代とは、発芽した稲を成育させる水田のことで、イネの種子である種籾を播き発芽させる水田。稲が田植えができるように、20センチは育ったあとで、稲を抜き取り、束にして別の水田に田植えをする。

 地域コミュニティLocal community)では農作業や屋根の吹き替え等の労働交換以外にも,相互扶助として灌漑や教育・文化施設などのインフラ管理や祭・行事についても役務や拠出金の提供が求められ,これらは共同体の慣習とされる。しかし,労働交換を行っても農家が利用できる総労働力は地域コミュニティLocal community)の農家の総労働力に制約され,平均すると一農家の利用できる労働力は当該農家の保有する労働力以上にはならない。また,他人の農地で労働しても自分の所得は増えず,労働インセンティブは低い。つまり,相手方との契約で努力を約束したにも関わらず,その約束を遵守しなくなるモラル・ハザードが発生しやすい。そこで,労働交換は次第に雇用労働力に代替される傾向にある。
タイ東北地方チャイヤプーンを地図で見る
1998年以来,毎年のようにタイ東北部の農家のブンソン・カイ夫妻宅に宿泊させていただき,付近の農家や農地を自転車でまわり,聞き取り・実測調査をしている。
チャイヤプーン県の牧畜

transplanting

牧畜
タイ東北地方に位置するチャイヤプーン県の牧畜。タイ産瘤牛は、インドなど南アジアの瘤牛に似ている。
 牧草地は,コモンズとして認識された道路脇際,畦道,学校敷地の周囲など。遊休地の草も,誰もが利用できるローカルコモンズ(共有自然資源)で、この無償資源を牛に食べさせて,放牧する。ただし,牛が農地に入り込まないように牛飼いは牛を見張っている。
  ローカル・コモンズとは、共有自然資源であり,無償利用は可能。しかし、それへのアクセスが、地域コミュニティのメンバーに限定されていたり、現地住民が相互利益に配慮しながら管理してたりしている誰でも自由に使えるとはいっても,現地住民限定のクラブ財となっている。
牧畜
牧畜は、道路脇や遊休地の牧草も,同様に,囲い込んでの利用は見られない。水田周囲の小さな林や樹木から薪を採取する場合も,枝や倒木を集め,木を根元から伐採することはしない。タイの淡水漁業にあっても,竹製の仕掛け,仕掛け網,投網,釣りなどの漁法があるが,水路やため池は開放されており,個人が排他的に利用することはない。
 したがって,農村のワーク・シェアリングは,地域コミュニティのメンバーの相互利益に配慮し,収奪的利用・過当競争を避ける傾向がある。つまり,意図したわけではなくとも結果として環境保全に寄与しているのである。
女子うし hspace=10
 牧畜のためには飼料が必要だが、人工飼料ではなく、自然に生えている草を食ませることもできす。道すがら脇にある草を無料で食ませるのである。この道脇の草が、ローカルコモンズである。
農家の相互扶助といっても、公的な農業共済あるいは農業協同組合の組織ばかりではない。共有資源の利用も地域コミュニティの特徴である。
女うし
 チャイヤプーン県Chaiyaphum Province)の水田では、あぜ道脇の草を食ませて牧畜がおこなわれている。
農道
タイ農村では農地周辺の道は舗装されていない。しかし、未舗装の農であるからこそ、道のわきに生えている草を牛のエサとして利用できる。放牧後、夕方に棒を持って牛を負い帰宅するところ。

◆国際協力の分野では、1980年代以降開発途上国の女性の地位向上に着目した「開発と女性(WID)」、「ジェンダーと開発(GAD)」というアプローチがある。

WIDは、女子を家事・育児以外にも、生産活動における役割を重視するもので、従来の女子の生産活動が過小評価され、女子が開発プロジェクトから疎外されてきたとした。そこで、女子を単なる受益者として一方的に捉えるのではなく、人的資源として活用するために、開発に統合すべきであるとした。

◆「ジェンダーと開発GAD」は、ジェンダー不平等の要因を、女性と男性の関係と社会構造の中で把握し、役割固定化と役割分担、ジェンダー格差を生み出す仕組みを変えることを目指す。換言すれば、GADは、ジェンダー不平等を解消するうえでの男性の役割に注目し、社会・経済的に不利な立場におかれた女子のエンパワーメントを促進する政策である。  
除草
タイ東北地方に位置するチャイヤプーン県における放牧。除草していない農道わきの草を食ませながら舗装された地域コミュニティ幹線道路に出てきた。
牛
 非農業分野にあっても,乗り合い自動車運送業には指定路線ごとに組合があり,ターミナルで順番に定員一杯になるまで発車しない。そこで,乗客1人当たりエネルギー消費は,時間制の運送よりも遥かに少ない。このように,開発途上国のコミュニティでは,ワーク・シェアリングを基盤にしてメンバー(現地住民)の利益に配慮した資源の適正管理,参入制限,過当競争制限が行われ,資源の収奪,エネルギー浪費が回避される傾向がある。換言すれば,意図せざる草の根の環境保全が行われているとみなすことができる。 男正面
タイ東北地方の除草されていない農道を通って、放牧された牛の行列が移動している。
男横牛草
 タイ東北地方(イ−サーン)チャヤンプーン県における牧畜
男牛
放牧されていた白い肉牛が、農道を移動し、草をはみながら帰ってきた。チャイヤプーン県の農村
 


種牛
牛飼育農家の庭先の広い空間を与えられている種牛。
東北地方の繊維作物

Beijing


稲わら
萱(カヤ)のような水辺の繊維作物「ポー」の収穫作業。牧畜は、道路脇や遊休地の牧草も,同様に,囲い込んでの利用は見られない。水田周囲の小さな林や樹木から薪を採取する場合も,枝や倒木を集め,木を根元から伐採することはしない。タイの淡水漁業にあっても,竹製の仕掛け,仕掛け網,投網,釣りなどの漁法があるが,水路やため池は開放されており,個人が排他的に利用することはない。
 したがって,農村のワーク・シェアリングは,地域コミュニティのメンバーの相互利益に配慮し,収奪的利用・過当競争を避ける傾向がある。つまり,意図したわけではなくとも結果として環境保全に寄与しているのである。
ポー
 萱(カヤ)のような水辺の繊維作物「ポー」の収穫作業。
ポー
 萱(カヤ)のような水辺の繊維作物「ポー」の収穫作業。
ポー
 萱(カヤ)のような水辺の繊維作物「ポー」の収穫作業。右端では、茎から繊維を剥がしている。
ポー
 萱(カヤ)のような水辺の繊維作物「ポー」の収穫作業。水につけて置いたポーの束を岸辺に引き上げてから、繊維を剥がす。
ポー
 萱(カヤ)のような繊維作物「ポー」を水辺に引き上げて、1本ずつ繊維を剥がす。
ポー
 萱(カヤ)のような繊維作物「ポー」の皮を束ねて肩にかけている。
ポー
 萱(カヤ)のような繊維作物「ポー」を水辺に引き上げて、1本ずつ繊維を剥がす。それを束ねて集めている。
ポー
 萱(カヤ)のような繊維作物「ポー」の皮を束ねて肩にかけている。皮の表面には、腐った表皮や汚れがあるので、水の中でこの繊維の束を激しくゆすって洗浄する。
ポー
 萱(カヤ)のような繊維作物「ポー」の皮を引き揚げている。これから皮の表面には、腐った表皮や汚れがあるので、水の中でこの繊維の束を激しくゆすって洗浄する。 ポー
 萱(カヤ)のような繊維作物「ポー」の皮を束ねて肩にかけている。皮の表面には、腐った表皮や汚れがあるので、水の中でこの繊維の束を激しくゆすって洗浄する。
ポー
 萱(カヤ)のような繊維作物「ポー」の皮を束ねて肩にかけている。皮の表面には、腐った表皮や汚れがあるので、水の中でこの繊維の束を激しくゆすって洗浄する。
ポー
 洗浄した繊維作物「ポー」の皮を束ねて肩にかけている。皮の表面には、腐った表皮や汚れがあるので、水の中でこの繊維の束を激しくゆすって洗浄した。 。
東北地方の内陸水産業

Beijing


つり
農業用水路での魚釣り。農業用水路は、道路脇や遊休地の牧草も,同様に,囲い込んでの利用は見られない。農業用の水は農業従事者の利用になるが、水路の魚は自然共有資源として、漁獲したものが独占利用できる。水路の水も、食器洗浄や洗濯などに利用できる。
  つり
農業用水路での魚釣り。みんなが農業用水路から利益を得ているので、農業用類路の管理は地域コミュニティがになっていることになる。そこの生物多様性も持続可能な形で利用されているので、意図したわけではなくとも結果として環境保全に寄与しているのである。

うき
農業用水路に魚とり用の刺し網を仕掛ける。廃タイヤのチューブを利用した浮き輪を使っている。農業用水路は、道路脇や遊休地の牧草も,同様に,囲い込んでの利用は見られない。農業用水は農業従事者の利用になるが、水路の魚は自然共有資源として、漁獲したものが独占利用できる。水路の水も、食器洗浄や洗濯などに利用できる。
  うき
農業用水路での内陸漁業。農業用水路に魚とり用の刺し網を仕掛ける。廃タイヤのチューブを利用した浮き輪を使っている。みんなが農業用水路から利益を得ているので、農業用類路の管理は地域コミュニティがになっていることになる。そこの生物多様性も持続可能な形で利用されているので、意図したわけではなくとも結果として環境保全に寄与しているのである。
大学

 University

 
鳥飼
タイには1年以上滞在したが、その間にも、次男も生まれ、北部農村、山岳少数民族の集落から南部ムスリム農村まで農家に泊めていただきながら、現地を自転車で回って調査をした。

<ワーク・シェアリングによるリスク分散>

収穫の一定比率を報酬としたり,作柄を実ながら雇う農業労働者の数を決めたりすることは,農家が雇用労働者へ支払いをする場合,不作で収穫が少なければ支払いも少なく,豊作で収穫が多ければ支払いも多いのであって,リスク負担は小さくなる。また,同じ年であっても,土地条件の違いから,各農家の収穫には大きな差が生まれる。降水量が少なく水の得にくい土地が不作であっても,水が得やすい低地の収穫は豊作かもしれず,またこの逆もありうる。

 このように,同じ地域コミュニティ内の農家にあっても個々の収穫は不確実であるため,個々の農家が自分の土地の収穫にのみ所得を依存していれば,毎年の所得は大きく変動する。しかし,地域コミュニティの全農家について収穫の平均値は,個々の農家の収穫よりも安定している。つまり,収穫の不確実性に大数の法則が成立すれば,相互雇用によって多くの農家の下で少しずつ収穫を分けてもらうことで,毎年の所得の変動は小さくなる。換言すれば,収穫の不確実性の下で,相互雇用は所得安定化の機能を持っており,そのために地域コミュニティの慣習となっていると考えられる。

 こうした所得安定化は課税や生活保護手当の支給等による生活保障と同じく事後的な所得再分配によっても達成できる。しかし,地域コミュニティがこのような再分配政策を実施するには権力の正統性がなく困難である。また,再分配を合意した地域コミュニティのメンバーには,高い収穫を得た後,自家労働の投入の多さ,経営管理の良さなどを理由に,低収穫の農家への再分配を拒否するかも知れない。また所得再分配が実施されるのであれば,他の農家の収穫を当てにでき,怠けていても損はしないのであり,地域コミュニティにおける労働インセンティブは低下する。このように事後救済がとられることを見越して怠惰になるモラル・ハザードの存在のために,地域コミュニティにおいても事後的な所得再分配の実施は困難である。

 しかし,相互雇用は事後的な所得再分配ではなく,報酬を伴う雇用によって労働インセンティブを維持し,モラル・ハザードを抑制している。

 したがって,農家の雇用労働依存はインカム・シェアリングというよりも,雇用労働を地域コミュニティのメンバーに分与している点を強調してワーク・シェアリングと呼ぶほうが適切である。相互扶助,住民参加,情報交換,社会的制裁を通じて,住民相互の信頼関係が醸造されている地域コミュニティにあっては,低い取引費用でワーク・シェアリングが実施でき,所得安定化,生活保障の利益が生まれる。 

 農家が土地なし労働者に農作業を依存するのは,貧困者に所得を無償分与するよりは労働力の有効活用につながるうえに,土地喪失や失業のリスクを軽減できるという利点が指摘できる。小作農家には土地を地主から取り上げられるリスクがあり,自作農家でも家族員を含め,病気や災害によって土地を失ったり,家族員の雇用機会がなくなったりする。そうであれば万が一の場合でも、誰かに土地なし労働者として雇ってもらえるように,自分も日頃から土地なし労働者を雇用する, すなわち仕事の分与というワーク・シェアリングを行うはずである。
 

<草の根民活>

 従来まで,開発には民間大企業,国営企業,外資,政府の役割が強調され、個人経営体,家族無償労働,女子,地域コミュニティ,都市インフォーマル部門は、社会的弱者として,ソーシャルセイフティネットの対象として改善の対象とみなされてきた。しかし、開発の担い手に,中間所得層を当てるために,彼らを新たに持続可能な開発に参加する主体として認識すべきであろう。

 つまり,開発途上国にあっては,個人経営体,個人経営体に雇用される民間雇用者,家族無償労働が広範に存在しており,農業はもちろん,製造業やサービス業という産業部門にあっても重要な役割を担っている。そこで,企業やその下で雇用される民間雇用者(勤労者)だけではなく,彼らも開発と環境保全の担い手としての役割を認めるのである。

スラム (Slum) とは、交通・エネルギー・衛生・教育などのインフラが不十分で、都市貧困層の暮らす居住区である。しかし、外見にもかかわらず、そこは、生半可な知識や偏見を抱いた識者が言うように「公共サービスが受けられない」のではないし、「荒廃状態にある状況」とは言い難い。開発途上国の大都市には、どこでもスラム街といっていい地区があるが、そこは貧しいけれども、住民が必死に苦労して生きている場所であり、草の根の民間活力の感じられる場所である。

開発途上国の人口増加と都市化の進展に伴って、スラム人口 (Slum population)人口は増加傾向にあり、2007年時点で、10億人はスラム居住者であると推測され、国別では、中国1.7億人、インド1.1億人、パキスタン2750万人、インドネシア2680万人、フィリピン2390万人、ブラジル4570万人、メキシコ1180万人、ナイジェリア4530万人、スーダン1550万人などされる。

スラムの特徴として高失業率があげられるが、これは正確な表現ではない。なぜならスラム住民で、正規の工場労働者、サラリーマンはきわめて少なく、多くは自らが仕事を作り出している状況にあるからである。


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東海大学教養学部人間環境学科社会環境課程 鳥飼 行博
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