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◆中国四川州省チベット族の山村生活から考える
1.【地球温暖化】【熱帯林減少】【生物多様性】【国際協力】【人口問題】を、現地調査も踏まえて研究してきました。
2.中国雲南省(州都昆明市)の2010年のGDPは7220億元で全国24位、1人あたりGDPは1万5750元です。
3.雲南省でも都市1人当たり所得は平均1万5800元、農村1人当たり所得3750元と格差があります。そこで云南大理州剑川县白族山村に、2004年9月に滞在調査した時の写真をもとに、その農業を解説します。
 

中国農業点描

 Agriculture of China

 
 




 

四川省丹巴県の山村

 Danba County

 
四川省家屋
昔話「桃太郎」冒頭で「おじいさんが山にシバ刈りに、おばあさんが川に洗濯に行きました。---」とあります。貧しいお婆さん、水のある川まで衣類を洗いに行ったのですが、お婆さんが柴刈り にいってもおかしくはないです。洗濯も柴刈りも、老人や子供など、体力の劣る人でもできる仕事だからです。男性と女性の社会的差異を「ジェンダー」といいます。男が洗濯をするのはおかしい---と思うのは、ジェンダーがあるからです。
チベット族の家屋

 Sustainability

 
家屋
後方に見える 段々畑は、観光用ではありません。山の上でも農地としなくては収入が得られないという事情があります。
農地の行き来

 Sustainability

 
家屋
段々畑に行き来するのは、水、収穫の出来具合の観察から、自家消費用の農作物の取得、柴刈り,堆肥運びなど様々です。友人や親類の家に出かけるついでに立ち寄っていくこともあります。とにかく、農地には、人の往来が盛んです。
チベット族の家族

 Family & Labor


四川省
家族みんなで野菜を収穫し、牧畜をして生活しています。家族三代そろって、農作業をする光景は、懐かしくもあり、家族団らんをうかがわせます。しかし、育児などの家事仕事と農作業という就労が分離できない状況を反映しています。現代日本では「仕事」と「家族」という概念が完全に分離してしまいました。

肥やし
しかし、金を稼ぐ労働・勤労と家族の仕事・家事労働が同一の空間で行われる場合、「仕事」と「家庭」は両立しています。開発途上国の社会開発を論じる場合、仕事、家族、家庭を総合してみることが重要です。
 2011年の家事労働者条約(第189号)では、労働・社会保障法の適用対象外になることが多い家事労働者を労働者と認定し、その労働条件改善を目指して初めて採択された国際基準です。家事労働者は他の労働者と同じ基本的な労働者の権利を有するべきとして、安全で健康的な作業環境の権利、一般の労働者と等しい労働時間、最低でも連続24時間の週休、現物払いの制限、雇用条件に関する情報の明示、結社の自由団体交渉権といった就労に係わる基本的な権利及び原則の尊重・促進・実現などを規定。家事労働を、一つもしくは複数の世帯においてまたは世帯のために遂行する業務と定義し、雇用関係の枠内で家事労働に従事する者を家事労働者とする、としています。
家族農業

 Family & Labor


貴州省
おばさんが飼育している牛の乳を搾っています。牛は慣れている人にはおとなしく乳を絞らせます。このような人力の搾乳作業は、日本ではもはや過去の物となりました。日本では搾乳ロボットが主流です。
家族農業

 Family & Labor


四川省牛
牛に食べさせるのは、人工飼料ではなく、ここの農作物、草、残飯食品残さ等利用飼料:エコフィード)などです。プラスチックのバケツにスープ状の餌を作ります。

貴州省
牛は黒と茶色で、一見すると肉牛ですが、ここでは肉用としてだけでなく、乳搾りもしますし、農耕や運搬などの労役に用いられる役畜(cattle)役畜にもなります。おばさんは、子供の世話もしながらの作業です。託児所・保育園は農村にほとんどありませんし、費用節約のために、利用する顧客は限定されています。現代日本では「働く」という意味を、金を稼ぐ会社での勤労と同一視しています。このような近視眼的な「仕事」や「労働」の概念では、開発途上国も含まれるグローバルな問題に対応できないのです。
 残飯利用のエコフィード(残飯飼料)作りも立派な仕事なはずです。
牛への餌やり

 Handicrafts


四川省
牛に食べさせるのは、「人工飼料:artificial diet」ではなく、ここの農作物、草、残飯などエコフィードです。プラスチックのバケツにスープ状の餌を作ります。右に積んであるのは、薪の束です。放牧に行った帰り際に、たくさんの薪を取ってきます。山村では、家事労働と農作業という就労につくことができます。
家族規模の養豚

 Old Man & Labor


貴州省
おばさんは、黒豚にも餌をあげます。このエサ入れはタイの山岳民族と同様で、丸太をくりぬいたものです。
現代日本では「働く」という意味を、勤労サラリーマンという外仕事の意味で使用していますが、このような範囲に限定すれば、老人は、労働力を提供しない「老齢従属人口」として、扶養対象としてのみ認識されてしまいます。高齢者を「狭い範囲の労働」の概念で理解しようとすれば、老人は「社会保障」の問題を引き起こす「厄介者」出しかありません。日本での「高齢者への認識」は、開発途上国も含まれるグローバルな「少子高齢化問題」には応用できない場合が多いのです。
例えば、柴刈りのようなバイオマスエネルギーの採取は立派な仕事ですが,家事労働の一環で行われているのです。
堆肥づくりと運搬

 Old Man & Labor


四川省
牛小屋の裏には、牛のふんが山積みになっています。これが糞尿(バイオマス)から作る堆肥です。出来上がった堆肥をおじさんが鍬でかい出し、籠に詰めます。 

肥やし
これを、背負いカゴに入れて、段々畑に人力運搬します。運搬してきた堆肥を撒布しました。家畜の糞尿(バイオマス)を「有機肥料」として農地に投入します。
日本の「有機農業」には、衛生的側面と高級感を重視して汚い「家畜の糞尿」は登場しません。バイオマス・ニッポン総合計画は、開発途上国には通用しません。「有機農業」としているのかは、国・地域によって大いに異なるということです。
堆肥(肥やし)づくり

 Old Man & Labor


四川省
編み籠を両肩にかけて山道を肥やし運びです。撒布するのは、簡単にみえますが、重くて汚れる堆肥を活用するには、労力が不可欠ということです。家畜の糞尿を「有機肥料」として農地に投入するといっても、人力輸送ですから、大変に手間がかかります。

四川省
 バイオマス・ニッポン総合計画では、ニッポンのバイオマスを有効活用することを提唱しています。しかし、農業廃棄物、山林の木質バイオマスなどは、広い範囲に分散しており、これを収集、運搬するのは労力がかかります。トラックや機械を使って集めるのであれば、バイオマス収集に要するエネルギー消費は大きくなってしまいます。
堆肥の投入

 Resources


肥やし
 家畜の糞尿を「肥やし」として、段々畑に撒布しています。「肥やし」を山の上の運び上げ、そこの畑に撒布します。撒布前に、畑の除草作業を1時間以上行いました。
 
バイオマスの活用

 Biomass


柴
家畜の糞尿「肥やし」の撒布。ところで,女子による堆肥の運搬・撒布は、家事以外の範囲で、バイオマスの利用という開発と環境の問題にかかわってきています。地域コミュニティでは、家事とバイオマス利用は不可分の関係にあります。男子と女子との社会的な格差というジェンダーに注目した開発/環境政策も考慮すべきでしょう。
 
堆肥の投入

 Resources


堆肥
家畜の糞尿を「肥やし」として、段々畑に撒布しています。家畜の糞尿を「肥やし」として活用するためには、家畜の糞尿を収集・保管し、堆肥を農地に運搬しなくてはなりません。山の上の段々畑に撒布するには、多大な労力がかかります。バイオマスを有効活用するには、手間が欠かせないのです。
堆肥の投入

 Resources


堆肥
バイオマスの活用など有機農業を進めるに際して、資本と労働力の観点が重要です。ここでみるような肥やしの利用を、衛生的に機械化するのであれば、その工程に多大なエネルギーが必要になるでしょう。

堆肥
つまり、機械化された堆肥バイオマスの利用は、資本、資金だけでなく、資源エネルギーの追加投入が必要です。つまり、往々にして、持続可能な農業とは相反するものとなるのです。エネルギー収支を検討したうえで、サステイナビリティの評価をする必要があります。
バイオマスの活用

 Resources


野菜収穫
 「肥やし」運搬、段々畑への散布が終わって、これから畑の野菜をもって家に帰る。

柴
中国でもネパールでも、肥しの運搬の主力は、女性の労働力である。

◆国際協力の分野では、1980年代以降開発途上国の女性の地位向上に着目した「開発と女性(WID)」、「ジェンダーと開発(GAD)」というアプローチがある。

WIDは、女子を家事・育児以外にも、生産活動における役割を重視するもので、従来の女子の生産活動が過小評価され、女子が開発プロジェクトから疎外されてきたとした。そこで、女子を単なる受益者として一方的に捉えるのではなく、人的資源として活用するために、開発に統合すべきであるとした。

◆「ジェンダーと開発GAD」は、ジェンダー不平等の要因を、女性と男性の関係と社会構造の中で把握し、役割固定化と役割分担、ジェンダー格差を生み出す仕組みを変えることを目指す。換言すれば、GADは、ジェンダー不平等を解消するうえでの男性の役割に注目し、社会・経済的に不利な立場におかれた女子のエンパワーメントを促進する政策である。  

野菜の収穫・運搬

 Biomass


野菜収穫
糞尿「肥やし」の撒布終了。段々畑の野菜を採取するのは楽しい作業です。

野菜収穫
糞尿「肥やし」から作った堆肥撒布終了。籠には段々畑の野菜を採取し担いで帰宅します。

野菜収穫
 堆肥を撒いた後、野菜を持ち帰り夕食の食材に。

四川省
重たく汚れる堆肥運びが終わったので、野菜の収穫を持ち帰るみんなに笑顔。
再生可能エネルギーの利用

 Solar Cooking


野菜収穫
段々畑から野菜を採取し籠にかついで帰宅した。左後ろに置いてあるのは、太陽熱を反射させ、鍋の湯沸し、調理をする太陽熱利用調理機材ソーラークッキング)が普及している。
野菜収穫
 ソーラークッキングは、反射鏡で集めた太陽光をヤカンや鍋に熱照射して調理すること。燃料が不要な自然エネルギー利用の調理法である。
野菜収穫
 太陽熱利用調理機材ソーラークッキング)によって、薪炭というバイオマスエネルギーを節約し、森林保全に寄与することもできる。


野菜収穫
木質バイオマスが調理をするエネルギーの主のなものだが、大型の閉鎖式コンロ(ストーブ)を使用することで、薪炭を効率よく燃焼させ、森林資源(ローカルコモンズ)を節約することができる。

野菜収穫
 太陽熱利用調理機材(ソーラークッキング)によって、お湯を沸かした。主要な食材は、ストーブで薪炭というバイオマスエネルギーを使用して調理する。ただし、質素な食事なので、エネルギー節約に寄与している。
丹巴県の宿泊先

 Boarding


四川省
 泊めていただいた四川省チベット族(蔵族)山村の部屋。色彩豊かな装飾、ベット兼ソファーを息子と二人で使用。食事も作っていただいた。

四川省
泊めていただいた家の四川省チベット族(蔵族)のおじさんは、荷役あるいは乗馬のできる馬も飼育している。息子は乗せてもらったが、急な山道なので、小さな馬はすぐに疲れてしまうようだ。

四川省丹巴県の交通

 Communication


四川省
丹巴県の県城の小学校。

四川省
丹巴県の県城。ここから小型バスが山村方面にたまに出ている。

四川省
丹巴県の県城から四川省州都成都まではバス便がある。

四川省
丹巴県の県城と四川省の州都成都の間の道路は、山岳路で、いたるところで工事や復旧作業をしていた。

四川省
丹巴県の県城と四川省の州都成都の間の山岳路工事。

四川省
丹巴県の県城と四川省の州都成都の間の山岳路で実施されている拡張工事。2008年5月12日、四川省大地震は、マグニチュード7.8の大地震となり、死者は6万人以上。
大学

 University


四川省
丹巴県の県城のチベット族の衣料品店。

大学での講義「開発経済学」「環境協力論」「環境政策?」「環境政策?」は、持続可能な開発を、開発途上国、地域コミュニティの視点も含めて、分析する授業です。俗説とは異なる議論も展開しています。

持続可能な農業、特に、アグロフォレストリー、柴刈り、森林適正管理、バイオマス利用について専門的に知りたい場合は、著作一覧(アジア途上国の開発と環境保全)紀伊國屋書店を参照してください。『地域コミュニティの環境経済学−開発途上国の草の根民活論と持続可能な開発』2007年、多賀出版では、熱帯林の減少と地域コミュニティによる適正管理の有効性を、ローカルコモンズの視点で検討しました。『社会開発と環境保全―開発途上国の地域コミュニティを対象とした人間環境論』2002年、東海大学出版会では、再生可能エネルギーの開発を論じたうえで、薪炭生産、用材生産、焼畑、企業的フロンティア開発という森林減少の要因を比較しました。
テキストの『開発と環境の経済学―人間開発論の視点から 』東海大学出版会は、これらの研究の端緒になった著作です。


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東海大への行き方|How to go
 

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