◆スモーキーマウンテンの生活とリサイクル：鳥飼ゼミ海外研修
１．2010年のフィリピン共和国の面積は30万平方キロ（日本の80％）、
人口 9900万人、
GDP 2000億ドルで、工業部門がGDPの30％以上を占めます。
1人当たりGDP は2,100ドルと日本の５％で、マニラ首都圏（
人口 1100万人）は国内では豊かな地域ですが、貧困問題もあります。
２．2013年８月、東海大社会環境課程鳥飼ゼミのフィリピン研修で、マニラ市スモーキーマウンテン（
Smokey Mountain ）のリサイクル、炭焼き、農業、水供給など生活を学生が調査しました。
３．スモーキーマウンテンは立ち入り禁止で、無断侵入は犯罪です。wikipediaフィリピン語の
Smokey Mountain の項目がないことからも立ち入り許可がされない理由が推測できます。
４．
写真解説一覧 も参照。
〇東海大学
新教養学部 の文系と理系を融合した新人間環境学科では、社会環境課程が廃止され、鳥飼ゼミの海外研修・フィールド調査・国際社会ゼミナールの授業はありません。
マニラ首都圏ケソン市 Recycle
トンドは庶民の町で、周辺にはお店もたくさんあって不便しない。
スモーキーマウンテン
Smokey Mountain 2013
Smokey Mountain ）のごみ山。コンクリで覆われており、立ち入り禁止となっている。許可申請の出し方が分かっても、危険な場所であり、まず立ち入り許可は得ることはできない。だからと言って、無断侵入、不法侵入は犯罪であり、すべきではない。
Smokey Mountain ）で草刈りをする人がいた。
Smokey Mountain ）で刈り取られた草。
都市貧困地区 スモーキーマウンテン には、次のようにある。マニラ首都圏 （Metro Manila ）中央部のスモーキーマウンテン（Smokey Mountain ）のごみの山は台地状に整備されている。
マニラ市 （Manila City ）トンドから見たスモーキーマウンテン（左の丘陵）（Smokey Mountain ）の様子。Smokey Mountain ）の今。鳥飼行博ゼミ の学生が、ごみを回収するスカベンジャーやごみを掘り出す家族にインタビューした。
マニラ首都圏 （Metro Manila ）マニラ市トンドのスモーキーマウンテンすぐ脇に集められた廃材。ごみではなく木質バイオマスとして、燃料となる。ケソン市 （人口220万人）パヤタス（Payatas ）に移転した。鳥飼行博ゼミ は、このスラムを見学し、住民に聞き取り調査を行った。スモーキーマウンテンでは、荷物を担いで下山する人たちに出会った。イモ(kamote) や木炭 を生産しているので、それを売りに行く。
ケソン市 （Quezon City ）より東部にあるマニラ市のスモーキーマウンテン（Smokey Mountain ）の様子。大規模な廃棄物最終処分場の跡地で、周囲にはスラム街もある。二十年前は、ここのあたりはトタン板に囲まれた小屋やジャンクショップ（屑屋）が並んでいたはずだ。
スモーキーマウンテン の上には、スクオッター （squatter ：不法占拠者）。
「＜LOOB＞スモーキーマウンテン [2010年03月27日」 には、次のようにある。 生産物運搬人 Transporter
マニラ首都圏 マニラ市のスモーキーマウンテン。有価物を再回収したのか、木炭 を作って売りに行くのか、それともカモテやレモングラスを栽培して売りに行くのか。現在、最終処分場はパヤタス（Payatas ）に移転しており、廃棄物がスモーキーマウンテンに持ち込まれることはない。 ここにはジープニー など交通手段も完備している。
木炭 が生産されている。炭焼きから木炭を買い取って、下の町まで担いで行く。ごみ最終処分場は、ケソン市パヤタス に移転してしまったので、いまは新たに大量のごみが搬入されることはない。スモーキーマウンテン を荷物を背負って下る。ごみ山の上には、スクオッター （squatter ：不法占拠者）の人たちが暮らしている。マニラ首都圏 マニラ市のスモーキーマウンテンでは、買い付け人が、このようなネットにカモテ(kamote)を入れて運搬する。
炭焼き
Uling（Charcoal) Making
スモーキーマウンテン の元廃棄物最終処分場では、現在、炭焼き小屋 が数件ある。そこでは、廃材を使って木炭が焼かれている。社会保障 も生活保護 も不十分なため、自ら仕事を生み出す「起業」が当たり前で、これが草の根民活といわれる所以である。
スモーキーマウンテン での炭焼き。穴を掘って廃材を入れ、その上にトタンを掛けて土地を盛る。ただし、排気用の煙突は不可欠。このよう簡易式手作り炭焼き釜 は、農村での炭焼きに使われるが、都市中心部でも、ここスモーキーマウンテンで使用されている。スモーキーマウンテン の炭焼き釜 。2012年８月撮影。社会保障給付費 も受け取れず、生活保護支給 もない状況で、スラムバラック が拡大する。
スモーキーマウンテン で炭焼き釜 による木炭づくり。2012年８月撮影。フィリピン スモーキーマウンテンからの移住者の炭焼きによる仕事作り には、次のようにある。
Kiva Japan フィリピン には、次のようにある。ジープニー （Jeepney ）が通っているので、便利な場所にある。 ここからパヤタス（Payatas ）の診療所の近くまでジプニーが出る。これは、たくさんの住民が暮らしているため。
パヤタス スモーキーマウンテンのバラック小屋は、身近にある廃材を材料にして作られている。鳥飼行博ゼミ の学生たちが一軒ずつ回ってインタビューした。
社会保障 も生活保護 も不十分であれば、貧しい住民の中には、やむを得ず不法占拠者となる場合もある。
パヤタス の上では、一部にごみが露頭、散乱しているが、あとは畑と果樹が植えられて、農業が営まれている。木の実を採取している。ごみ山に住む家族
Family
スモーキーマウンテン に住む家族。コミュニティ・ヘルスセンター（Community Health Centre ）のような公共施設が、ごみ山の上にあるはずもない。
バラック で、家族の暮らしがある。若いお婆さんの抱いている赤ちゃんは、ティーンの娘さんが出産した。アクセス：共生社会をめざす には、次のようにある。バラック家屋 では、雨水を利用して洗濯をしている。地域医療センター （コミュニティ・ヘルスセンター：Community Health Centre ）では、婦人、子供が多い。これは、妊産婦検診が主要な仕事のためである。スラム は、スモーキーマウンテンの上にもできている。
マニラ首都圏 マニラ市のスモーキーマウンテンで、トランプをして楽しむ家族。
「スクオッターの生活実践 ―― マニラの貧困世界のダイナミズム 石岡丈昇」 には、次のようにある。室内 House
スモーキーマウンテン のバラック室内。有価物回収作業、カモテ（イモ）栽培者が多い低所得層居住区がある。広い農地のあるスラムバラック は、廃棄物最終処分場の上に位置する。スモーキーマウンテン で聞き取り調査をしている東海大学教養学部鳥飼ゼミの学生たち。スモーキーマウンテン のスクオッター （squatter ：不法占拠者）に聞き取りをした。ざいだん模様情報 ：２０年ぶりのマニラ紀行(下) その後のスモーキー・マウンテン には次のようにある。スモーキーマウンテン 。スクオッター （squatter ：不法占拠者）がスラムバラックをたてて住んでいる。ざいだん模様情報 ：２０年ぶりのマニラ紀行(下) その後のスモーキー・マウンテン には次のようにある。
スモーキーマウンテン のスクオッター に聞き取り調査。スモーキーマウンテン のスクオッター の人たちからお話を伺った。
「私の夢は大人になるまで生きたい」人権コラム（平成２３年１１月１１日号）
には、次のようにある。
農作物 Products 2013
スモーキーマウンテン 。鳥飼行博ゼミ は、元のごみ山の上にできた農地を見学させていただき、聞き取りを行った。ここは、生ごみのたい肥化場所ではないが、ごみを覆うために土が被せられている。生活保護 も不十分であるからこそ、スラム ではリサイクル小規模事業＝草の根民活の動きがある。スモーキーマウンテン で栽培されているガビ 。gabiは、タガログ語/ビコール語で、タロ芋あるいは里芋のこと。
スモーキーマウンテン の上にあるカモテ畑。第二のスモーキーマウンテンが、ケソン市パヤタス にできたが、その周囲にはスラム街 が広まっている。ただし、自治組織バランガイが組織されており、その運営になるリサイクル施設がある。ラックを保有して、分別した有価物を工場に運搬、売却して利益を上げている。
スモーキーマウンテン にあるサツマイモ（Kamote ）畑。スモーキーマウンテン の上にあるバラックとカモテ（Kamote ）畑。スラムバラック の家具・調度品の多くは、ごみとして捨てられたものを回収したリサイクル品。
スモーキーマウンテン 。奥は、マニラ北港 は内貿貨物および旅客の基地となっており、水深5m〜8m、長さ220m〜250m、幅80m〜100mの9つの桟橋により構成される櫛形港湾（岸壁総延長1,200m）である。主として国内コンテナの取り扱いに利用されている。マニラ北港 。手前は、スモーキーマウンテンの上で栽培されているたカモテ、カモテカホイ (キャッサバ)、レモングラス。マニラ北港 の先に、ごみ埋め立て地にもあるが、より大規模な最終処分場は、ケソン市パヤタス にある。
スモーキーマウンテン にあった廃棄物最終処分場は、パヤタス に移転した。スモーキーマウンテン で栽培されているカモテ（サツマイモ）、バナナ 、レモングラス の畑。
スモーキーマウンテン の上で栽培されているレモングラス 。若いレモングラスが植えられている。
スモーキーマウンテン の居住者たちは、カモテ、レモングラスを販売用に栽培し、バナナ を自家消費用に栽培する。
スモーキーマウンテン で栽培されているバナナ。スラム でも農業が行われている。スモーキーマウンテン 。パヤタス のスラム でもカモテ（イモ類）のガーデニングをしている。昔のスモーキーマウンテン1978 Garbage-dump 1978
トンド のスモーキーマウンテン （Smokey Mountain )と思われる。A group of poor boys in Manila collecting useable articles at a city garbage-dump. 1978 Manila, Philippines Photo # 149478、United Nations Photo引用。
スカベンジャー 。遠方にマニラ湾が見えるので、マニラ市トンド のスモーキーマウンテン（Smokey Mountain )と思われる。A young boy looking for treasures in a garbage-dump in Manila. 1978 Manila, Philippines Photo # 149479、United Nations Photo引用。
Maynila のごみ捨て場のスカベンジャー 。A young boy collecting useable items at a garbage-dump in Manila. 1978 Manila, Philippines Photo # 149498、United Nations Photo引用。
生活保護支給額 もゼロであるからこそ、スラム に草の根民活が発達する。
ダンピングサイト Payatas Dumping Site
パヤタス ごみ集積場の入り口：ここからダンプカーでゴミを搬入する。スカベンジャーもここから入ってくる場合が多い。ごみ運搬ダンプカー 出入り口には、空き缶 をごみ運搬トラック やダンプカーでつぶしてもらうように置いてある。打ち捨ててあるのではなく、空き缶を集めたスカベンジャーの占有物である。2002年2月、パヤタス 最終処分場ゲート近くで、ごみとして出された廃棄物から、空き缶 などの有価物を収集してたスカベンジャー。これからジャンクショップに売りに行く。
パヤタス 廃棄物最終処分場のごみ運搬者ゲート。パヤタス 廃棄物最終処分場ゲート付近。処分場に無断で立ち入ることのできないように、周囲は壁、フェンスで囲われている。入るには、複数個所あるゲートで、入場証を提示する必要がある。
パヤタス の廃棄物最終処分場のスカベンジャー用のゲートまで来た鳥飼行博ゼミの学生たち。周囲をフェンスで囲われているために、ごみ処分場に無断で立ち入ることのできないが、複数個所あるゲートで、入場証を提示すれば入場可能。
スモーキーマウンテン Children Dreaming
水溜り 。パヤタス では、水溜りのあった巨大な窪地にスラムが形成されている。スモーキーマウンテン にできた水溜り であそぶこどもたち。ごみで汚染されており、ポリオ が心配だ。生活保護 も不十分であっても、家族が病気になっても、治療が受けられない。
パヤタスのスラム街の住居 housing
スモーキーマウンテン の上にあるスラム地区。もともと、廃棄物の山で住民はいなかったが、畑作を営む不法占拠者がここに住居を建築した。それが恒常的な居住地となり、住居も次第に増え、構造的にもしっかりしたものに変化した。
都市貧困地区 スモーキーマウンテン には、次のようにある。
トンド では、裏通りいっぱいに家ができている。鳥飼行博ゼミ の学生たち。スラムに限らないが、トタン屋根 （Corrugated iron roof )は吹き飛ばされやすいので、古タイヤなど使えそうな物を載せておくことが多い。
スラム バラック。屋根は、袋やトタンで覆っている。壁は、ベニヤ、トタン板、幕屋を張った構造である。フィリピン スモーキーマウンテンからの移住者の炭焼きによる仕事作り 試作１日目（子供たちの洗礼、材料集め）には、次のようにある。 スラム からスモーキーマウンテンに上り、そこにバラックを建てて住んでいる人たちに聞き取り調査をした。スラムバラック を見て回って、近所の家によらせていただき、お話を伺った。焜炉（こんろ） 、調理用ストーブを使うのがふつう。燃料は薪炭。スラム街 では、炭をまとめ買いし、それを小さな袋に分けて売る木炭 販売世帯がある。パヤタスの調理では焜炉（こんろ） 、調理用ストーブ が主流。燃料は薪炭。
マニラ貧困地区のお店 Market, Smokey Mountain
バラック でサリサリストアを手伝う女の子。
お店 。露店も都市インフォーマル部門（urban informal sector ）の生業である。会社に雇用されていなければ、お金を稼ぐために都市インフォーマル部門 （urban informal sector ）に雇用機会を見出すしかない。
スモーキーマウンテンの上にある商店 で鳥飼行博ゼミ 学生たちは買い物をした。 お店の前に小さな都市インフォーマル部門 （urban informal sector ）もある。路上での販売が規制されていようとも都市インフォーマル部門 （urban informal sector ）の労働集約的産業が住民の生活の糧となっている。マニラ首都圏 の商業地区の横断歩道で、カラマンシ（レモン）を袋に入れて売っている「立ち売り」もいる。政府による社会保障給付費 も受け取れず、生活保護支給 もないからこそ、草の根民活の都市インフォーマル部門が興隆する。マニラ首都圏ケソン市パヤタスからジプニーで10分のリテックにも貧困者が多いが、ジプニーやトラックが行き交っているので、公共交通機関には不自由しない。
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東海大学 社会環境課程HK 鳥飼 行博 TORIKAI Yukihiro 東海大鳥飼研への行き方 |How to go
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〒259-1292 神奈川県
◆大学での講義「開発経済学」「環境協力論」「環境政策I」「環境政策II」は、持続可能な開発を、開発途上国、地域コミュニティの視点も含めて、分析する授業です。俗説とは異なる議論も展開しています。持続可能な開発、特に、熱帯林減少、森林適正管理、バイオマスエネルギーについて専門的に知りたい場合は次の著作を参考にしてください。
『アジア地域コミュニティ経済学 フィリピンの棚田とローカルコモンズ』
『社会開発と環境保全―開発途上国の地域コミュニティを対象とした人間環境論』
『開発と環境の経済学―人間開発論の視点から』
『環境ネットワークの再構築−環境経済学の新展開』
『地球環境政策』
『ポスト福祉国家の総合政策−経済・福祉・環境への対応』
『学習漫画 サリバン先生』
『写真ポスターから学ぶ戦争の百年−二十世紀初頭から現在』
『写真ポスターから見るナチス宣伝術−ワイマール共和国からヒトラー第三帝国』
