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◆フィリピン山村の鉈づくり鍛冶屋:Blacksmith
鍛冶屋主 1.コルディリェラ行政地方カリンガ州には家内工業としてタイガーグラス製の箒作りと鍛冶屋があります。
2.2009年のフィリピンの地域別一人当たり所得(1985年基準価格)をみると、全国平均は1万5528ペソに対して、メトロマニラ(Metro Manila:マニラ市と周辺市区)は4万838ペソと全国平均の2.6倍の高水準にあり、コルディリェラ行政地方(Cordillera Administrative Region:CAR)の一人当たり所得は、全国平均をやや上回る1万9007ペソである。それに対してミンダナオ島南部のムスリム自治区は3572ペソ(全国平均の23%)、ルソン島南部のビコール地方は7650ペソ(同49%)、中部ルソン地方は1万1636ペソ(75%)と半分程度の低い水準にとどまっている。
3.当室では2011年3月から2013年8月に、合計1カ月滞在し調査をしたコルディリェラ行政地方カリンガ(Kalinga)州山村には大規模製造業による労働需要が存在しない。その中で、屑鉄を原材料とした鉈(ブッシュナイフ)の鍛造は、労働集約的技術labor-intensive technology)を体化した農村家内工業として健在です。ブッシュナイフは、海外市場(外需)ではなく、局地的市場(ローカル・マーケット)、地産地消に向けて生産されていたが、近年、フェアトレードFair trade)や輸出も始まっています。
4.写真解説一覧ブツブツの鍛冶屋柴刈り・薪採取とバイオマススモーキーマウンテン箒作り家内工業2014年廃棄物処分場ゼミ研修2015年マニラのスラム街ゼミ研修も参照。

フィリピン北部カリンガ州

Kalinga Province

 
 

















フィリピンカリンガ州

Cordillera Administrative Region


ウマの棚田
フィリピン共和国コルディリェラ行政地域(Cordillera Administrative Region (CAR))には、アブラ州/アパヤオ州/ベンゲット州/イフガオ州/カリンガ州/マウンテン州の6州がある。2010年人口センサスによると、CAR人口は1,616,867人。

1995年にUNESCO世界遺産に登録されたイフガオ州の棚田は、標高700から1500メートルに広がっている。イフガオ州の79%、面積にして19万8246ヘクタールが、山岳コミュニティに属し、棚田は面積1万7138ヘクタールである。渓谷の上から下まで階段状に広がる棚田は、壮大な景観であるが、近世の政治権力者が資金を投じて、住民を動員して行った大規模な開墾の結果できたものではなく、歴史的に中世あるいは古代からの歴史を持つという。 水田
コルディリェラ行政地方カリンガ州ルブアガン町ウマ。タイガーグラス(Tiger Grass)箒を作る家内工業世帯のある集落。2013年3月撮影。
家屋 hspace=10
コルディリェラ行政地域(Cordillera Administrative Region (CAR))カリンガ州山村ウマ カリンガ州ウマ
ルソン島北部のコルディリェラ行政地方は、言語、文化の点でフィリピン独自の地位が認められている。地方政府として、独自の議会、条例が認められている。

フィリピンコルディリェラ行政地方Cordillera Administrative Regionの中心都市バギオ(Baguio)から、カリンガ(Kalinga)州の州都タブクまで、国道で結ばれているが、山岳地では未舗装の国道も残っている。
コルディリェラ行政地方カリンガ(Kalinga)州は面積3,231.25 km²、人口密度は 62.4人/km²。

カリンガ州

Kalinga Province


ウマのボロ
コルディリェラ行政地方(Cordillera Administrative Region (CAR))カリンガ州山村ウマでは、ナタ(ボロ)鍛造(たんぞう)している。このほか、タイガーグラスを材料にして箒を作り、タブック市などに売り現金収入を得ている。
カリンガ州山村で、ブッシュナイフ(鉈)を炉で加熱し鍛造する鍛冶屋は労働集約的技術を用いる農村家内工業である。 カリンガ州ウマのボロ
カリンガ(Kalinga)州山村ウマでは、鍛冶屋があって、柴刈りをするときに使うようなナタ(ボロ)鍛造(たんぞう)している。平地が少ないが、棚田で米作が行われている。チコ川上流には、世界遺産バナウェ・ライステラスがある。
ウマの集落

Uma, Kalinga Province



家1
フィリピン共和国ルソン島北部コルディリェラ行政地方カリンガ(Kalinga)州ルブアガン町ウマの木造家屋。2013年8月。傾斜地では箒の材料のタイガーグラスが栽培され、棚田の田植えが段落した農閑期の3月、タイガーグラス(Tiger Grass)刈取り、収穫の作業が行われている。

コルディリェラ行政地方の一人当たり所得は、全国平均を若干上回っていて、一見すると山岳地とはいっても貧困地域ではないようにみえる。しかし、2010年のコルディリェラ行政地方の産業別域内生産は、製造業の比率が42.2%と全国平均の21.0%よりも遥かに高く、金、銅、銀といった鉱業の比率も3.2%と全国平均の1.5%よりも高い。つまり、産業部門構成比から見て、労働生産性の高い部門の比率が高く、地域の一人当たり所得が押し上げられている。 家鍛冶屋
コルディリェラ行政地域(Cordillera Administrative Region (CAR))カリンガ州山村ウマでは、木造家屋が主流。屋根は、GIと呼ばれるトタン板で、茅葺屋根はほとんど姿を消している。産業としては、棚田での稲作、ホウキの材料のタイガーグラス(Tiger Grass:Thysanolaena maxima)栽培、そして農器具製造の鍛冶屋の家内工業がある。
鍛冶屋の家1
コルディリェラ行政地方(Cordillera Administrative Region (CAR)) カリンガ(Kalinga)州ルブアガン町ウマで見かけた農器具製造の鍛冶屋(Blacksmith)家内工業。このバランガイの主要産業は、棚田の稲作、タイガーグラス(Tiger Grass:Thysanolaena maxima)材料の箒作りの家内工業もある。

フィリピン山村の箒作り家内工業の写真解説を見る。

鍛冶屋

 Blacksmith

 
鍛冶屋
コルディリェラ行政地域(Cordillera Administrative Region (CAR))カリンガ州山村で、自動車道でのコミュニケーションができない辺地には、金属製ナタ(ボロ)を主に製造する鍛冶屋(Blacksmith)がある。金属加熱には、炭(ウリン)を使う。また、木炭原料の薪を集める柴刈り作業は、子供から大人、老人まで、男女別なく行われる。ルブアガン町では、小学校教育、稲作、箒作りについても、聞き取り調査を行った。2013年3月撮影。 鍛冶屋
コルディリェラ行政地域(Cordillera Administrative Region (CAR))カリンガ州山村ウマの棚田に囲まれた集落には、鍛冶屋(Blacksmith)がある。この周囲には、里山があり、そこで家庭調理用の薪、鍛冶屋で使用する木炭の原料を集めていると思われる。柴刈りに使うナタ(ボロ),ブッシュナイフ(鉈)は鍛造される。
 鍛造(Forging)とは、金属素材をハンマーで叩いて圧力を加え金属内部の空隙(くうげき)をつぶし、結晶を微細化し、結晶の方向を整えて強度を高める、さらに成形すること。古代から刃物や武具、農具の製造は鍛造だった。
鍛冶屋主 hspace=10
コルディリェラ行政地域(Cordillera Administrative Region (CAR))のカリンガ州チコ川渓谷にあるルブアガン町ウマの鍛冶屋(black smith)が金属製ナタ(ボロ)の握り手(木製)を作っている。鍛冶屋の作業でも、みなゴム草履をはいている。

 鍛冶屋(Blacksmith)は労働集約的技術を用いる農村家内工業である。 鍛冶屋主
ルブアガン町の鍛冶屋(Blacksmith)では、主にナタを生産している。鍛冶屋は労働集約的技術を用いる農村家内工業である。

 ナタは、フィリピン語で「ボロ」といい、これで直径2-3センチの枝や小木、柴刈りをする。斧、マサカリ、木挽き(のこぎり)などを用いる樹木伐採とは異なり、柴刈りは、樹齢10年以上の大きな樹木を根元から伐採することはまずない。小枝や倒木、枯れ木などの木質バイオマスを集めている。
 バイオマスエネルギー(Biomass Enrgy)(特に柴刈り、薪採取)の現場を実際に目にすることは容易ではない。森林の中は視界が狭く、山道しかないため、里山のどこで柴刈りが行われているのかが分からないからである。子供が柴刈りをしている場合、集落からすぐ近くことが多い。2013年3月撮影。
鍛冶屋主 hspace=10
コルディリェラ行政地域(Cordillera Administrative Region (CAR))カリンガ州山村ウマの鍛冶屋(black smith)の主。道路沿いは電化されているが、奥の集落には送電されていない。そのような場所に鍛冶屋(Blacksmith)がある。調理には、薪炭など木質バイオマスをエネルギーとすることが多い。この薪集めをするとき、ナタは必需品である。

鍛冶屋の主

firewood collection areas


鍛冶屋主
カリンガ州ルブアガン町ウマでは、鍛冶屋(Blacksmith)があり、ナタなど農具を作っている。鍛冶屋の作業でも、みなゴム草履をはいている。2013年3月撮影。
 コルディリェラ行政地方はルソン島山岳地域で海に面していない内陸地。棚田、タイガーグラス栽培が生業で貧しい地域であり、電気、ガスなどエネルギー関連インフラは未整備。ウマは、傾斜地が多く、棚田の稲作、箒の材料のタイガーグラス栽培が行われている。 鍛冶屋主
ルソン島北部コルディリェラ行政地方(Cordillera Administrative Region (CAR))カリンガ州ルブアガン町山村ウマの鍛冶屋(Blacksmith)。ここの主要産業は棚田の稲作だが、里山での薪用木材(firewood)柴刈りもさかん。
鍛冶屋主
コルディリェラ行政地域(Cordillera Administrative Region (CAR))ルブアガン町の鍛冶屋(Blacksmith)は、ブッシュナイフ(鉈)の柄(つか)を木で作製する。農村家内工業の中で、鍛冶屋は、労働集約的技術に依拠して金属を加工する製造業である。  鍛冶屋主
コルディリェラ行政地方鍛冶屋(Blacksmith)は、ブッシュナイフ(鉈)の柄(つか)を木で作製する。鍛冶屋の作業でも、みなゴム草履をはいている。
ルソン島山岳地域で海に面していない内陸地で、主要なエネルギーは木質バイオマス(薪や柴)。薪用木材(firewood)を集める柴刈りをしている。

フィリピンでは、国土面積約3000万ヘクタール(日本の8割)の34%、1020万ヘクタールが農地とされるが、実際には1410万ヘクタールが充てられ、100万ヘクタールが農業経営上不利な限界農地とされている。この限界農地のコルディリェラ行政地方の代表事例が、棚田である。棚田での稲作では、伝統的に多品種が栽培されており、標高1300メートルを超える棚田でも、日当たり、水供給など条件の整った場所では、二期作も行われている。畑作は、水の得にくい土地、棚田と棚田を結ぶ急傾斜地、家の周囲に開かれており、インゲン豆など豆類、タロイモ・サツマイモ(カモテ)などイモ類、トウモロコシなどを栽培している。
ボロの柄(つか)作り

Firewood Collection

のこ
コルディリェラ行政地方カリンガ(Kalinga)州ルブアガン町山村ウマの鍛冶屋(Blacksmith)はブッシュナイフ(鉈)の柄(つか)を木を削って作製する。渓谷の斜面にあり、水田・畑地は少ないが、森林が広がっているために、薪用木材(firewood)集めの柴刈りは近くの里山で行うことができる。タイガーグラス(Tiger Grass)を栽培しての箒生産も行われている。
のこ
コルディリェラ(Cordillera)行政地方カリンガ(Kalinga)州ルブアガン町の山村ウマ在住の鍛冶屋が労働集約的技術を使い片刃サヤ鉈の柄を木材で加工している。鍛冶屋(Blacksmith)のご主人。2013年3月撮影。 のこ
カリンガ(Kalinga)州ルブアガン町ウマは、山林の中にある集落で、ボロと呼ばれる片刃サヤ鉈の柄を鍛冶屋(Blacksmith)が製造している。「ブラックスミス」とは黒金(くろがね)、すなわち鉄を加工する職人で、金加工職人は「ゴールドスミス」。薪用木材(fire woods)、建築資材など木材資源にめぐまれているが、里山での柴刈りで集めた固形バイオマス(solid biomass)を山林から集落まで運搬するのは、体力が必要である。
とって
カリンガ(Kalinga)州山村ウマ、ボロと呼ばれる片刃サヤ鉈の柄を作っている鍛冶屋(ブラックスミス)。鍛冶屋は労働集約的技術labor-intensive industry)を用いる農村家内工業であり、農機具の他、里山での柴刈り薪用木材(firewood)集めをするブッシュナイフも重要な商品である。
鍛冶屋主
コルディリェラ行政地域(Cordillera Administrative Region (CAR))ルブアガン町の鍛冶屋(Blacksmith)の金床(手前の杭)。すでに何十年も前から使っていると。
鍛冶屋は力仕事なので、高齢者はいないが、労働集約的技術labor-intensive industry)を用いる農村家内工業で、雇用吸収力は、少ない資本ではあっても高い。 とって
コルディリェラ(Cordillera)行政地方カリンガ州ルブアガン町の山村ウマ。ブッシュナイフ(鉈)の柄(つか)を木を削って作製する鍛冶屋の主人。里山での柴刈り薪用木材(firewood)集めをするには、ブッシュナイフが不可欠。2013年8月撮影。

このような鍛冶屋は、農村家内工業工場制手工業など封建制度から資本主義が形成されるまで過渡期に生まれた資本主義、すなわち初期資本主義(early capitalism)の状況を髣髴とさせる。そこで見られる労働集約的産業は、労働生産性が低く、労働者の賃金も低く「遅れている」技術しかないと批判されることが多い。しかし、現代の日本で大学生の就職先がサービス業に限定され、ものづくり・製造業の現場での雇用がほとんどない現状に思い至れば、このような発想が単純すぎることがわかる。技術は、簡単化すれば、資本=労働比率(労働の資本装備率)で表すことができ、それは資本レンタル=賃金比率という要素相対価格で決まってくる。高賃金国では、資本節約的技術(労働節約的技術)が、低賃金国では労働集約的技術(資本節約的技術)が採用される傾向がある。 鋸とって
カリンガ州ルブアガン町ウマの鍛冶屋(Blacksmith)が、ブッシュナイフ(鉈)の木製柄(つか)を鋸で削って作製する。
里山での柴刈り薪用木材(fire woods)を採取するのにナタが普及している。ウマに居住する世帯で、ナタを保有していない家はないであろう。
鍛冶屋は労働集約的技術を用いる農村家内工業である。 とって
カリンガ(Kalinga)州山村で、鍛冶屋(Blacksmith)がブッシュナイフ(鉈)の木製柄(つか)を鋸で削って作製する。刃の本体は、木炭(ウリン)を燃料に鉄を鍛えてつくる。ブッシュナイフ(鉈)など刃物の木製の握り部分は、柄(つか)という。 

刃の金属加工

Blacksmith


ヤスリ1
コルディリェラ行政地方カリンガ(Kalinga)州ルブアガン町ウマの鍛冶屋(Blacksmith)が、ブッシュナイフ(鉈)の金属製の片刃を電動ヤスリ電動サンダー)で削って作製する。このバランガイは、渓谷の斜面にあり、平坦な土地は少なく、貧困地域であり、フィリピンの社会福祉、老人年金も整っておらず、生活維持のためには、高齢者でもできる仕事を果たすしかない。しかし、鍛冶屋は力仕事なので、高齢者はいない。 ヤスリ2ウマの鍛冶屋(Blacksmith)
カリンガ(Kalinga)州ルブアガン町ウマの鍛冶屋の若い男性が、ブッシュナイフ(鉈)の金属製の片刃を電動ヤスリ電動サンダー)で削って作製する。鍛冶屋の作業でも、ゴム草履をはいている。
 鍛冶屋に老人はいないが、老人でも40キロ以上の薪用木材(fire woods:焚き木)を担いで、運ぶ。薪運びの作業では、運動靴を履いている人は少なく、ゴム草履、ゴムの長靴、あるいは裸足が普通。
ヤスリ火花
コルディリェラ行政地方 カリンガ(Kalinga)州ルブアガン町ウマの鍛冶屋(Blacksmith)がナタ(ボロ)を作る。この地域は、7−9月は雨季で、山道は滑りやすいが、森林における薪採取柴刈りは、一年を通して行わなければならないが、この作業にナタは不可欠。傾斜地では、タイガーグラスが栽培されているが、その収穫作業は、3-4月までの乾季に行われ、これにもナタが用いられる。
ヤスリ火花
コルディリェラ行政地方カリンガ(Kalinga)州ルブアガン町ウマで、ブッシュナイフ(鉈)の金属製の片刃をブッシュナイフ(鉈)の金属製の片刃を電動ヤスリ電動サンダー)で削って作製する。で削って作製する。このバランガイでは、木炭利用の鍛冶屋(Blacksmith)が2軒ある。薪採取柴刈りは、通年にわたって行われるが、これにボロを使う。
ヤスリ火花
コルディリェラ行政地方 カリンガ州カリンガ(Kalinga)州ルブアガン町ウマの鍛冶屋。ブッシュナイフ(鉈)の金属製の片刃を電動ヤスリ電動サンダー)で削って作製する。金属を熱する燃料は、バイオマスエネルギー(Biomass Enrgy)薪用木材(firewood)を使用する。

 大規模製造業による労働需要が存在しない地方にあって、現地の屑鉄を原材料とした鉈(ブッシュナイフ)の製造は、労働集約的技術labor-intensive technology)を体化した農村家内工業である。鍛造されたボロ(鉈)は、海外市場(外需)ではなく、局地的市場(ローカル・マーケット)、地産地消に向けて生産されていたが、近年、フェアトレードFair trade)や輸出も始まっている。 ヤスリ火花
カリンガ(Kalinga)州ルブアガン町ウマの鍛冶屋(Blacksmith)は、ブッシュナイフ(鉈)の金属製の片刃を電動ヤスリで削って作製する。金属を熱するのに薪用木材(firewood)から作った木炭を用いている。

小さいけれど本物。ミニ沼田鉈には次のようにある。
“趣味のミニ鉈”沼田市は城下町として栄えてきた町です。古くより刀鍛冶、野鍛冶が多く優れた製品を作り出してきました。特に大正の時代より特殊な工法で作られた鉈は、その優れた切れ味と耐久力で、全国の山林業務に従事する人々に好評をいただき現在に至っております。今回はその鉈のミニチュアを観光地等の土産品に、また各種記念品に製作しました。本格的な切れ味を是非お楽しみ下さい。
ヤスリ火花3
カリンガ(Kalinga)州ルブアガン町ウマ鍛冶屋(Blacksmith)は、ブッシュナイフ(鉈)の金属製の片刃を電動ヤスリで削って作製する。刃の金属本体は、木材(woods)から作った木炭を熱源に使用し鍛造する。

鍛冶職人(泊鉈)大久保中秋さん宅訪問 には、次のようにある。
大久保中秋(82)さんは最後の泊鉈職人だそうです。   大久保さんは、鍛冶屋歴67年目になる朝日町で唯一の鍛冶屋です。大久保さんは、ちょうど終戦(昭和20年8月15日)から3日経った昭和20年8月18日に泊の鍛冶屋に弟子入りをしました。そして、4年という短い修業期間で技術を体得し、19歳で独り立ちをしたそうです。
泊鉈の特徴は
 ?トンビの嘴(くちばし)のような突起が、鉈の上部についていること
 トンビがあるおかげで、木の根元を切断する際、刃先を保護する効果が得られます。土中には、石が混在しているのでトンビがないと刃先が欠けてしまうのです。また、先端部分にトンビがあるので、鉈を振り下ろす際に重さが加わり、威力が増します。そして、トンビを使って遠くの枝を引さ寄せたり、伐採した木をまとめてくくる際の強く締め上げる為の道具として使われます。
 ?鉄を7対3に割り、そこに鋼を入れること
 泊鉈を作るには、蒲鉾の底板のような形をした鉄の板を使います。その鉄の板の側面部分を7対3に割り、鋼を入れます。その結果、泊鉈の表と裏に出る鋼の表面積が違ってきます。この様な製作をすることが、長期間にわたる刃先の研磨を可能にしたのです。例えば、泊鉈に使われている鋼を割り入れせずに裏打ちをすると、地鉄と鋼の間に溝が出来やすく、そこからひびが入ってしまいます。溝が出来ないように薄い鋼を使うと、刃先が欠けやすくなります。また、地鉄の裏に厚みのある鋼を全面に裏打ちすれば、鉈1つの値段が高くなってしまうのです。
 ?鉈の形態が緩やかな曲線を描き、刃先があまり鋭くない
 鉈の刃先は、強い力がかかります。泊鉈は、その力に耐える刃先にする為に鋼を厚くするだけではありません。刃の根元から先端にかけての断面は、トンビの嘴のような曲線を描いています。また、泊鉈の使用方法は、肩を軸に、上前方から下後方へ移動するように切断します。その為、手に持った鉈は、大きな円孤を描くような動きをします。その結果、木の切断面は、美しい楕円形となります。
やすり火花
コルディリェラ行政地方カリンガ州山村の鍛冶屋が、ブッシュナイフ(鉈)の金属製の片刃を電動ヤスリ電動サンダー)で削って作製する。2013年3月撮影。
ブッシュナイフを屑鉄から鍛造する鍛冶屋は、労働集約的技術labor-intensive technology)を体化した農村家内工業である。作られた鉈(ナタ)は、海外市場(外需)ではなく、局地的市場(ローカル・マーケット)、地産地消されている。 やすり
山村ウマでは鍛冶屋が作ったナタ(ボロ)で、薪用木材(firewood)の柴刈りをする。使うのは、片手に持つナタ(フィリピン語ボロ)で、チェーンソー(電動のこぎり)はもちろん、斧やマサカリも使用しない。

ヤスリ加工

Blacksmith


やすり hspace=10
カリンガ(Kalinga)州ルブアガン町の鍛冶屋(Blacksmith)は、電動ヤスリを用いて、ブッシュナイフ(鉈)の金属製の片刃を削っている。鍛冶屋では、ボロ(bolo)を鍛造している。
鍛冶屋は力仕事で、かつ労働集約的技術labor-intensive industry)を用いる農村家内工業であり、雇用吸収力は強い。 やすり hspace=10
コルディリェラ行政地方カリンガ州ルブアガン町の鍛冶屋(Blacksmith)が、ナタ(ボロ)を作るために電動ヤスリを掛けている。これは労働集約的産業といえる箒作りは、フィリピン山村では農村家内工業である。
やすり hspace=10
カリンガ(Kalinga)州ルブアガン町ウマでは、鍛冶屋がいて、電動ヤスリを用いて、ブッシュナイフ(鉈)の金属製の片刃を削っている労働集約的作業ナタ(ボロ)金属本体は、鍛造(たんぞう)される。このバランガイは、渓谷の斜面にあり、平坦な土地は少ないため、固形バイオマス(solid biomass)である木材(wood)の運搬はすべて人力で行う。
やすり hspace=10
コルディリェラ行政地方カリンガ(Kalinga)州山村ルブアガン町ウマでは、ナタ(ボロ)鍛造(たんぞう)し、ヤスリを掛けている。

 農村の鍛冶屋は、旺盛な労働者需要を有する労働集約的技術labor-intensive technology)をもった農村家内工業Manufacture)である。作業工程が手作業であり、機械化していないことをもって「遅れている技術」とする見解は、豊富な低賃金の労働供給がある開発途上国の労働市場を無視しており、非合理的であるだけでなく、ビジネス感覚が欠如している。 やすり hspace=10
ナタ(ボロ)鍛造(たんぞう)し、電動ヤスリを掛けて、刃を研いでいる。
鍛冶屋は労働集約的技術を用いる農村家内工業で、旺盛な労働需要が特徴である。 やすり
コルディリェラ行政地方カリンガ州ルブアガン町ウマ、鍛冶屋ナタ(ボロ)鍛造(たんぞう)し、ヤスリで刃をを研いでいる。2013年3月撮影。
 鍛冶屋は力仕事なので、高齢者はいないが、労働集約的技術labor-intensive industry)を用いる農村家内工業で、雇用吸収力は、少ない資本ではあっても大きい。
ヤスリ掛け

Carrying Firewood

とってヤスリ hspace=10
コルディリェラ行政地方カリンガ(Kalinga)州ルブアガン町の山村ウマでは、ヤスリを用いて、ブッシュナイフ(鉈)の木製柄(つか)を削っている。
 鋳金/鋳物(いもの)は、溶かした金属を鋳型(いがた)に流し込み成型する加工法。他方、鍛鉄(たんてつ)は、ハンマーなどで金属を叩いて成形する加工法。ここでは、タイガーグラス(Tiger Grass)を栽培しての箒生産も行われている。
とってヤスリ hspace=10
コルディリェラ行政地方カリンガ(Kalinga)州ルブアガン町の山村ウマ、鍛冶屋ナタ(ボロ)鍛造(たんぞう)し、木製の柄をヤスリ掛けしている。2013年3月撮影。
とってヤスリコルディリェラ行政地方カリンガ(Kalinga)州ルブアガン町ウマ、鍛冶屋ナタ(ボロ)鍛造(たんぞう)し、木製の柄にヤスリを掛けている。2013年3月撮影。
 カール・マルクスKarl Marx:1818-1883)『資本論』では、資本主義の本質は、「資本(capital)が無限に自己増殖する価値運動である」とし労働価値説に基づき、資本家は労働者から剰余価値搾取して、資本蓄積をすすめるとの論理を展開した。カリンガ州の農村家内工業に、資本の論理が成立しているであろうか? とってヤスリ
カリンガ(Kalinga)州ルブアガン町ウマでは、ヤスリを用いて、ブッシュナイフ(鉈)の木製柄(つか)を削っている。
山林の中にあるウマ集落では、薪用木材(fire woods)、建築資材など木材資源にめぐまれている。 とってヤスリ hspace=10
コルディリェラ行政地方カリンガ(Kalinga)州山村ウマでは鍛冶屋が作ったナタで薪用木材(firewood)柴刈りをする。使うのは、片手にもつナタ(フィリピン語ボロ)で、チェーンソー(電動のこぎり)はもちろん、斧やマサカリも使用しない。
炭火 コルディリェラ行政地方ルブアガン町の鍛冶屋が金属を加熱する炉。木炭で熱をとる。

 ブッシュナイフの原材料は、廃スプリングなどを収集・購入した鋼(はがね)。鋼(はがね)とは、文字通り刃金(はがね)であり、鉄Feと炭素Cの合金で、炭素量が約2%以下の炭素鋼である。炭素が多いと鉄は硬くなるが、粘り強さ・靱性・弾力性が低下する。つまり、炭素の含有量によって、鋼(はがね)の硬度と靱性・弾力性のバランスが決まってくるといえる。 とってやすりコルディリェラ行政地方カリンガ(Kalinga)州ルブアガン町の鍛冶屋(Blacksmith)p/tools/gardening/axe.html">がボロの柄をヤスリがけで仕上げる。
鍛冶屋は労働集約的技術を用いる農村家内工業である。
注文聞き

Blacksmith

とってやすり仕上げコルディリェラ行政地方カリンガ(Kalinga)州ルブアガン町の鍛冶職人ブラックスミスが、ナタ(ブッシュナイフ)を注文した顧客と相談しながら柄の部分を作っている。2013年3月撮影。
 1867年カール・マルクスKarl Marx:1818-1883)『資本論』では、投下労働量に応じて商品価値が決まるとする労働価値説(labour theory of value)を提唱した。そして、資本家は労働者から剰余価値搾取を搾取して、資本蓄積を永遠に続けるという資本の論理論を展開した。カリンガ州の農村家内工業に、搾取されているワーキングプア(失業者ではなく働く貧困層)がいるであろうか? とってやすりコルディリェラ行政地方カリンガ(Kalinga)州ルブアガン町に鍛冶職人ブラックスミスナタ(ブッシュナイフ)を注文した顧客と相談しながら柄の部分を作っている。
 鍛冶屋の作業は、資本節約的技術capital-saving technology)で、男女が従事できる仕事として、山村の重要な雇用機会となっている。他方、労働集約的技術は、労働生産性が低く、労働者の賃金も低く「遅れている」技術であると「安易な文明論」は批判している。しかし、開発途上国の就業構造やや日本で大学生の就職先を考えてみれば、雇用吸収力や雇用機会を度外視したこのような安易な発想が誤りであるとがわかる。 とってやすりコルディリェラ行政地方カリンガ(Kalinga)州ルブアガン町の鍛冶職人ブラックスミスは、ナタ(ブッシュナイフ)を注文した顧客と相談しながら柄の部分を仕上げる。
 山村の鍛冶屋も仕事は、農村家内工業工場制手工業など封建制度から資本主義が形成されるまで過渡期に生まれた資本主義、すなわち初期資本主義(early capitalism)の状況を髣髴とさせる。そこで見られる労働集約的産業は、労働生産性が低く、労働者の賃金も低く「遅れている」技術しかないと批判されることが多い。しかし、現代の日本で大学生の就職先がサービス業に限定され、ものづくり・製造業の現場での雇用がほとんどない現状に思い至れば、このような発想が単純すぎることがわかる。技術は、簡単化すれば、資本=労働比率(労働の資本装備率)で表すことができ、それは資本レンタル=賃金比率という要素相対価格で決まってくる。高賃金国では、資本節約的技術(労働節約的技術)が、低賃金国では労働集約的技術(資本節約的技術)が採用される傾向がある。 とってやすりコルディリェラ行政地方カリンガ(Kalinga)州ルブアガン町に鍛冶職人が、ボロの握り手を仕上げている。
 鍛造作業は、資本節約的技術capital-saving technology)で男の力仕事といえ、重要な雇用機会を提供している。
ドヤアスの鍛冶屋

Blacksmith

メラボロ
ルディリェラ行政地方カリンガ(Kalinga)州ルブアガン町の山村ウマの鍛冶屋(Blacksmith)が作成したナタ(ブッシュナイフ)。ボロは、薪割り薪用木材(firewood)を集め、柴刈りに必要不可欠な道具である。
メラボロ hspace=10
コルディリェラ行政地方カリンガ(Kalinga)州ルブアガン町の山村ウマの鍛冶屋が作成したナタ(ブッシュナイフ)。薪割りに使われる。2013年8月撮影。鍛冶屋は資本節約的技術capital-saving technology)のため、鉄を熱いうちに鍛える鍛造には、男の力仕事として需要がある。 ドヤアス
コルディリェラ行政地方カリンガ(Kalinga)州ルブアガン町の山村ウマの住居。この前で、ボロの仕上げ作業をしていたが、フイゴや炉は、別の家にある。2013年8月撮影。
大規模製造業による労働需要が存在しない地方にあって、現地の鍛冶屋は、労働集約的技術labor-intensive technology)を体化した農村家内工業である。ブッシュナイフは、海外市場(外需)ではなく、局地的市場(ローカル・マーケット)、地産地消に向けて生産されていたが、近年、フェアトレードFair trade)や輸出も始まっている。
ボロの用途

Cutting Firewood


ドヤアス薪割り
カリンガ州ルブアガン町ウマ。薪用木材(firewood:焚き木)を乾燥しやすくするために鉈(ナタ:フィリピン語ボロ、英語ブッシュナイフ)で細く加工している。
ドヤアス薪割り
カリンガ州ルブアガン町ウマ。 里山での柴刈りで集めた薪用木材(firewood:焚き木)を乾燥させ、燃えやすいように鉈(ナタ:フィリピン語ボロ、英語ブッシュナイフ)で細く加工している。
薪割りの作業。これには、
?樹皮をはいだり、細くして乾燥させやすくする、
?小型にして室内で扱いやすくする、
?少量ずつくくべる火力を調節しやすくする、
といった目的がある。 ドヤアス薪割り
カリンガ州ルブアガン町ウマ。箒の材料となるタイガーグラスをボロで刈る。 ドヤアス薪割り
カリンガ州ルブアガン町ウマ。タイガーグラスを刈り取るのに、腰に佩用したボロ(Bolo:鉈)を使用した。

 ブッシュナイフの原材料は、廃スプリングなどを収集・購入した鋼(はがね)。鋼(はがね)とは、文字通り刃金(はがね)であり、鉄Feと炭素Cの合金で、炭素量が約2%以下の炭素鋼である。炭素が多いと鉄は硬くなるが、粘り強さ・靱性・弾力性が低下する。つまり、炭素の含有量によって、鋼(はがね)の硬度と靱性・弾力性のバランスが決まってくるといえる。

ティンラヤン町の鍛冶屋

Blacksmith at Tinglayan

ブツブツ
コルディリェラ行政地方カリンガ州ティンラヤン町の鍛冶屋では、ボロ(bolo)を鍛造している。
 カール・マルクスKarl Marx:1818-1883)『資本論』では、資本主義の本質は、「資本(capital)が無限に自己増殖する価値運動である」とし労働価値説に基づき、資本家は労働者から剰余価値搾取して、資本蓄積をすすめるとの論理を展開した。カリンガ州の鍛冶屋のような農村家内工業に、このような資本の論理が成立しているでしょうか? 鍛冶5
カリンガ(Kalinga)州鍛冶屋では、ボロ(bolo)を鍛造している。
 鍛造(たんぞう)とは、金属素材をハンマーで叩いて圧力を加え金属結晶を微細化し、結晶の方向を整えて強度・靱性を高めるながら成形すること。古代から刃物や武具、農具の製造は鍛造だった。


大規模製造業による労働需要が存在しない地方にあって、鍛冶屋は、労働集約的技術labor-intensive technology)を体化した農村家内工業である。ボロ(ブッシュナイフ)は、海外市場(外需)ではなく、局地的市場(ローカル・マーケット)、地産地消に向けて生産されていたが、近年、フェアトレードFair trade)や輸出も始まっている。 ひばな加工
コルディリェラ行政地方ティンラヤン町山村の鍛冶屋では、ボロを鍛造している。金属素材を打撃・加圧することで、目的の形状を造る鍛造(たんぞう)されている金属は、赤く高温である。
 ブッシュナイフの原材料は、廃スプリングなどを収集・購入した鋼(はがね)。鋼(はがね)とは、文字通り刃金(はがね)であり、鉄Feと炭素Cの合金で、炭素量が約2%以下の炭素鋼である。炭素が多いと鉄は硬くなるが、粘り強さ・靱性・弾力性が低下する。つまり、炭素の含有量によって、鋼(はがね)の硬度と靱性・弾力性のバランスが決まってくるといえる。 トンカチ加工
コルディリェラ行政地方ティンラヤン町山村の鍛冶屋では、ボロを鍛造している。鉈は、柴刈り、薪割り(Wood Splitting)で使用される。これは、ボロ(bolo)で小枝の樹皮を剥いだり、枝を細く割ったりする地道な作業である。  はさみ加工
コルディリェラ行政地方カリンガ(Kalinga)州ティンラヤン町ティンラヤン町の鍛冶屋(black smith)
 鍛冶屋は労働集約的技術を用いる農村家内工業である。
  囲炉裏では、煮炊きの主燃料として薪が利用されている。 ハンマー1
コルディリェラ行政地方カリンガ州ティンラヤン町の鍛冶屋(black smith)
 鍛冶屋は力仕事で、かつ労働集約的技術labor-intensive industry)を用いる農村家内工業であり、雇用吸収力は強い。 すわりハンマー1
コルディリェラ行政地方カリンガ州ティンラヤン町の鍛冶屋(black smith)。住民キッチンでは、ナタで柴刈りし集めた再生可能エネルギーが多用されている。 大槌3人1
コルディリェラ行政地方カリンガ州ティンラヤン町の鍛冶屋(black smith)

農村家内工業工場制手工業など初期資本主義とされる労働集約的産業として、カリンガ州には鍛冶屋が健在である。
東海大学教養学部

Tokai University


鳥飼 
フィリピン共和国ルソン島北部コルディリェラ行政地方カリンガ州の鍛冶屋Blacksmithでは、ボロを鍛造している。その様子を、鍛冶屋(Blacksmith)の主、そこで働く労働者に伺った。このほか、棚田の稲作、採取、柴刈り、箒作りに勤しむ世帯にも聞き取り調査をした。

 大規模製造業による労働需要が存在しない地方にあって、現地の鉄屑を原材料とした鉈(ナタ)の製造は、l労働集約的技術labor-intensive technology)を体化した農村家内工業である。鍛造されたブッシュナイフは、海外市場(外需)ではなく、局地的市場(ローカル・マーケット)、地産地消に向けて生産されていたが、近年、フェアトレードFair trade)や輸出も始まっている。
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鳥飼 行博 TORIKAI Yukihiro
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