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◆HK財政学:第一次世界大戦における大量破壊・大量殺戮


写真(上):1917-1918年、第一次大戦中にドイツ陸軍が使用した40口径28センチ列車砲「ブルーノ」(28 cm SK L/40 "Bruno")
:Westfront, deutsches Eisenbahngeschütz
総重量156トン、全長:21.61 m、砲身長:10.4 m
砲口初速:740–785 m/s 、最大射程:20,050–27,500 m。
写真は、Bundesarchive:Bild 102-00218引用。



写真(右):1916-1918年、第一次世界大戦、ドイツ陸軍が西部戦線で使用した突撃戦車(Sturmpanzerwagen) A7V:Westfront, deutscher Panzer A7V, Soldaten
全長 8.00 m
車体長 7.34 m
全幅 3.1 m
全高 3.3 m
重量 33 t
兵装:57 ミリ砲、7.92ミリMG08重機関銃6丁
装甲:前面 30 mm、側面 20 mm
乗員:18名
20両以下しか生産されなかった戦車で、前線では活躍できなかった。
写真は、Bundesarchive:Bild 146-1974-050-12 引用。

写真(右):1916-1918年、第一次世界大戦、フランス陸軍がドイツ軍に対して投入したサン・シャモン突撃戦車(Char de rupture Saint Chamond):Französischer Panzer, Typ St. Chamond
: 全長 8.82 m
車体長 7.91 m
全幅 2.67 m
全高 2.34 m
重量 23 t
兵装:12口径75ミリ榴弾砲(TR Gun)、8ミリ ホチキス( Hotchkiss) 重機関銃4丁
装甲: 11 mmから19 mm
乗員: 8 名
生産 400輌。
1917年5月5日、フランス軍は16輌のサン・シャモン突撃戦車を実戦使用した。しかし、機動性が低かったために、攻撃中に行動不能に陥った。ドイツ軍の塹壕を超えて、陣地内部に侵入することができなかったのは、ノーズヘビーで構造的に重心が前方に偏り、超壕能力が低かったことが指摘される。サン・シャモン突撃戦車の生産は、1918年3月で総生産数377輌で終了し、その後は小型で機動性の高いルノーFT-17の量産に集中された。
写真は、Bundesarchive:Bild 103-204-015引用。

写真(右):1916-1918年、第一次世界大戦、イギリス空軍がドイツ軍に対して使用したハンドレページ O/400 重爆撃機(Handlay-Page O/400):Luftkrieg, britisches Flugzeug Handley Page O
乗員:4名
全長19.16m、 全幅30.48 m、全高6.71m
エンジン:ロールスロイス・イーグル8水冷V型12気筒360馬力2基
重量:6350kg
最高速力:156km/h
爆弾搭載量:800〜900kg。
1917年に初飛行したハンドレページO/400は、700機が生産されたた他、アメリカでもリバティエンジンを搭載し107機生産された。部隊配備は、1918年8月と大戦末期になってからで、ドイツ本土の工場地帯やを飛行場を夜間爆撃するのに投入されたが、爆弾命中率が悪かったために、ドイツの都市爆撃に投入された。
写真は、Bundesarchive:Bild 183-S29416引用。

鳥飼担当 HK「財政学」の課題

Word War Mobilization



【第一次世界大戦】 大量殺戮兵器/毒ガス、機関銃、飛行機、戦車 (2018/03/28公開)

世界大戦は、大量の兵器や軍関係の物資が生産されたが、これは製鉄から始まって、小銃、機関銃、火砲、輸送用トラック、戦車、戦艦、巡洋艦、護衛艦、潜水艦、商船、缶詰、軍服などあらゆる軍事物資が含まれる。それが、一部は国営工場で、一部は民間工場で、国家の軍事支出によって生産された。

1894年の日清戦争、1904年の日露戦争とは比較にならないほどの大兵力が激突した、1914年の第一次世界大戦では、文明国・列国・一等国が、大量破壊兵器を開発し量産し実戦使用した。個人や家族を超えたよりより大きな国という存在をかけた戦いだった。富国強兵を目指して、国力を増強してきた帝国主義国同士が戦ったのが、第一次世界大戦である。帝国主義の下で、国家財政が、教育・世論形成、衛生・医療、国力・国防の分野に投下されて、大量破壊兵器が作られ、大量殺戮が行われた。

総力戦となった第一世界戦争では、第一線の戦闘員だけではく、後方の一般社会の民間人も戦争に参加した。大量の兵士たちが志願した後、工場労働にも農業労働にも女子労働力が動員された。兵士としては忠誠心が疑わしい植民地の男性は、前線への物資輸送や炭鉱での過酷な労働に動員された。


【第一次世界大戦 】 大砲 (2019/05/04公開)
第一次世界大戦は、塹壕戦が繰り広げられた長期戦だった。大砲を大量配備し、長時間一斉射撃して、敵の塹壕、兵士、銃座を破壊し、そこに歩兵が突撃するという戦法だが、敵味方双方とも砲撃に耐えられる頑丈な塹壕やコンクリートの防御施設「トーチカ」を作ったため、突撃前の砲撃には大量の火砲と砲弾を準備しなければならなくなった。作戦の巧妙さが発揮できる機動戦ではなく、対峙して長期間戦い続ける陣地戦が続いたのである。

こうして、第一世界大戦は、国家総力戦となり、国家の統制の下に、物資、資源、燃料、食料、資金、技術、労働、技術が導入された。国家予算は増加し、国役割が大きくなったが、その最終目標は戦争に勝つことであり、敵を大量破壊し、大量殺戮することだった。

 戦争に直接かかわらない福祉や生活の質の向上は後回しになり、学校では、子供たちの教育よりも、兵士の教育・訓練が重視された。兵器工場に送られた女性労働者も多かったが、彼らの労働基本権や労働安全に配慮するより、物資増産が重視され、長時間労働、半強制労働、低賃金雇用が当たり前になった。戦争にお荷物となる老人介護や障害者保護の予算は、大幅に削減された。帝国主義の下で、植民地の資源、食料、労働者も宗主国のために動員された。植民地は収奪され、人々の生活も一層困窮した。
 国家財政は、戦争に勝つために使われた。


【第一次世界大戦 ?】 戦車の時代がやって来た (2014/08/031公開)

国家財政を大規模に投入して開発・量産された大量破壊兵器は、最新の技術と戦術の下に使用され、大量殺戮・大量破壊をもたらした。財政負担なしに、兵器の開発も量産も不可能であり、大戦争を戦うことはできないのである。

第一次世界大戦は、1914年から1918年まで4年間も続いた大戦争だったために、参戦国の国家財政は戦争に大半の予算を使うことになり、多額の借金を追うことになった。戦争下の財政、戦時財政こそ人々の生活の質(QOL)や福祉水準を大幅に退化させるものだった。大量破壊・大量殺戮のために国家財政を消耗しているのだから。

鳥飼行博研究室左バナーボタン「アジア写真集」左列中ほどにある website「日本優生学のハンセン病隔離 Hansen's disease」から、1907年の癩予防に関する件、1929年の無癩県運動、1931年の癩予防法、1953年のらい予防法が、国家財政に支えられた強固な差別政策と人権侵害を長期間続けることに繋がったこと、帝国主義の下における似非科学「優生学」の興隆がそれを正しいことと正当化したことを学んだ。

優生学的発想が生まれてきた時代背景に、20世紀初頭に膨張してきた帝国主義があり、それが国家間の植民地争奪戦、勢力圏の争いなど第一次大戦に繋がった。鳥飼行博著『写真・ポスターから学ぶ戦争の百年―二十世紀初頭から現在まで』青弓社「第1章 二十世紀初頭の戦争」(pp.32-61)では、アフリカ分割、半植民地化された中国、アメリカの遠征軍派兵、満州・朝鮮半島における日本とロシアの対立などの帝国主義の植民地支配を扱った。そして、1914年に始まった第一次世界戦争に移る。

1914年に勃発した第一次世界戦争は、最前線の兵士と兵士の激突だけではなく、後方における資源エネルギー、兵器・食料など物資の生産の生産、流通・輸送、ららにそれに必要な兵士・労働者の調達など、国家総力戦として戦われた。国家は、もてる人材、資源エネルギー、物資、技術、世論を総動員して、世界大戦を戦った。20世紀初めの国家総力戦となった第一次世界大戦を拙著『写真・ポスターから学ぶ戦争の百年』「第2章 第一次世界大戦前半」で、国家財政の役割を、20世紀初めの帝国主義、国家総力戦のより大きな枠組み(フレームワーク)の中で、考えた。

「第3章 第一次大戦後半」では、総力戦に世論の支持を得るために、敵を憎悪する宣伝「プロパガンダ」が行われ、アメリカを戦争に参加、参戦させるための情報戦「プロパガンダ」が展開された理由を考えてもらいたい。総力戦では、後方で労働者、食料調達をしなければならないが、そのためには国民の戦争への熱意を高めなくてはならない。そのために、自らは正義のために戦う、敵は悪であるとの戦争支持の世論を盛り上げなくてはならない。これが、プロパガンダである。

 そして、攻撃目標としても、塹壕にいる兵士を砲撃するのではなく、近北の工場に物資を運搬する船舶・商船を攻撃するために、水上艦や潜水艦が投入された。機雷による海上封鎖も行われた。これがシーレーン(海上交通網)を維持し、あるいは破壊しようとする戦いである。


Liberty Bonds parade in New York City; c. 1917.
(2014/04/13公開)British Pathé
政府の国債販売のための宣伝活動の一環で、自由公債を買うようにゾウに垂れ幕を付けて、ニューヨークの市内をパレードした。


Charlie Chaplin, Mary Pickford, and Marie Dressler at the Third Liberty Bond gathering.
(2013/06/24公開)CriticalPast
政府の宣伝活動/国債販売の一環で若いチャーリー・チャップリンが演壇で自由公債を買うように群衆にスピーチをしている。ドイツ軍はもうそこまで来ている。皆さんの買う自由公債が、アメリカの自由を守る戦いに必要なのであると熱烈に語っている。映画女優で「アメリカの恋人」と呼ばれたメアリー・ピックフォード(Mary Pickford:1892-1979)も自由公債の政府の販売宣伝に参加している。
CriticalPast is an archive of historic footage. The vintage footage in this video has been uploaded for research purposes, and is presented in unedited form. Some viewers may find some scenes or audio in this archival material to be unsettling or distressing. CriticalPast makes this media available for researchers and documentarians, and does not endorse or condone any behavior or message, implied or explicit, that is seen or heard in this video.
The Third Liberty Bond rally in Washington, D.C. features Charlie Chaplin and Mary Pickford. They entertain the crowd as they raise money for the U.S. effort during WWI. Charlie Chaplin speaks to the audience and then "conducts" the orchestra that is gathered. He then dances comically with Marie Dressler. Mary Pickford also addresses the gathered crowd.

 戦争資金を集めることも国家財政の維持の上で重要となり、国債を発行し、国民にあるいは外国人に国債を販売することも重要である。国債が売れれば、税金が不足しても、財政資金、戦争の予算を賄うことができるからである。アメリカでは、戦争資金を集める国債を「自由公債」と名付けて、チャップリンのような映画スターを使って国が自由公債販売促進運動を展開した。

鳥飼担当 HK「財政学」の課題

Report Writing

20世紀初頭に膨張してきた帝国主義は、国家間の植民地争奪戦、勢力圏の争いとして第一次世界大戦となり、人類史上最大級の大量破壊・大量殺戮をもたらしてしまった。鳥飼行博著『写真・ポスターから学ぶ戦争の百年―二十世紀初頭から現在まで』青弓社「第2章 第一次世界大戦前半」(pp.62-80)を参照しながら、第一次世界大戦が勃発する契機となったバルカン半島での国際対立から、大英帝国における兵士の動員、国家予算を投じて開発された兵器、女性の動員を、具体的に記述しなさい。そして、「第3章 第一次大戦後半」(pp.96-123)を参照しながら、海上交通網を巡る潜水艦戦争、アメリカでの自由公債販売、敵を憎むプロパガンダによる戦争支持の世論形成など、具体的に記述しなさい。記述に当たっては、国家総力戦のために、国家財政が大量破壊・大量殺戮に用いられた点を指摘すること。

1)「まとめレポート」をワード(word)で作成、ふさわしい題名,学番,学生氏名を明記。
2)まとめレポートの文字数は、1000文字以上、2400文字以下。他サイトの引用は不可。
3)このレポート課題はサンプルなので提出には及びません。実際の課題レポートは、授業支援システム(OpenLMS)に掲載。

東海大学教養学部人間環境学科社会環境課程

TorikaiLab, Tokai University



教養学部の講義HK「財政学」は、環境平和学と持続可能な開発を踏まえて、財政学を多様な視点で扱う授業です。

当研究室へのご訪問ありがとうございます。論文,データ,写真等を引用する際は,URLなど出所を記載してください。ご意見,ご質問をお寄せ下さる時には,ご氏名,ご所属,ご連絡先を明記してくださいますようお願い申し上げます。 連絡先: torikai@tokai-u.jp
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東海大学教養学部人間環境学科社会環境課程
鳥飼 行博 TORIKAI Yukihiro
HK,Toka University,4-1-1 Kitakaname,Hiratuka
Kanagawa,Japan259-1292
東海大への行き方|How to go
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