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◆HK財政学:福祉国家論; 生活の質・ウェル・ビーイング


写真(上)1930年4月,ドイツ共和国、ベルリン、新生児専用病院におけるナーシング :「大都市ベルリンの子供たちの楽園!ベルリン市の新生児病院でのケアでは数ヶ月の愛情のある養育下に置かれる。天気の良い日には、日光浴をする。庭で春の暖かな日差しに照らされている。シスターの愛情のこもったケアの下で昼食を取る!」(写真オリジナル解説):第一次大戦後のドイツ・ワイマール共和国の時代、社会民主党が政権に参画する時期が続き、福祉政策が重視された。
Kinder-Paradies in der Grosstadt Berlin! In dem Berliner städtischen Krankenhaus für Säuglingspflege werden die neugeborenen Grosstadtkinder unter der liebevollen Pflege von Schwestern über die ersten Wochen und Monate hinweggebracht. Bei schönem Wetter werden die kleinen Erdenbürger nach ärztlicher Anordnung im Garten des Heims den wärmenden Strahlen der Frühlingssonne ausgesetzt. Einnehmen der Mittagsmahlzeit unter liebevoller Betreuung der Schwestern. Dating:April 1930 Photographer:Pahl, Georg.
写真はドイツ連邦アーカイブBundesarchiv登録・Bild 102-01604A引用。

はじめに

写真(右):1935年12月,「これこそ社会主義だ。ベルリン·ウェディング保健局、主治医によるドイツ同胞の乳幼児の診断。健康で幸せな若々しい都市を形成する。日光浴は母親の心がけ。」:写真オリジナル解説):Sozialismus der Tat! Höhensonnebestrahlung für Kleinkinder minderbemittelter Volksgenossen im Gesundheitsamt Berlin-Wedding, um einen gesunden und frohen Großstadtnachwuchs heranwachsen zu lassen.Na wo fehlts denn! Der leitende Arzt des Gesundheitsamtes in Berlin-Wedding bei der Untersuchung der kleinen Großstadtkinder für die Höhensonnenbestrahlung unter Beisein der Mütter. Dating:Dezember 1935 Photographer:Pahl, Georg.
写真はドイツ連邦アーカイブBundesarchiv登録・Bild 102-17299引用。


写真(右):写真(右)1935年,「世界的に有名なベルリンのホルスト・ヴェッセル病院で治療する患者は「歓喜力行団」の訪問を喜んでいる。笑いは、みなさんを健康にする!」(写真オリジナル解説):「歓喜力行団」の道化師ミュージシャンが入院患者たちを慰問し楽しませている。ホルスト・ヴェッセルは、ベルリンの突撃隊SAで、ナチ党歌「旗を高く掲げよ」の作詞者。1930年に共産党員との戦いで死亡し、ナチ党は英雄扱いした。 写真は、 1945-1947年に連合軍賠償使節団の一員となったエドウィン・ウェンデル・ポーリー(Edwin W. Pauley :1928-1996)の撮影になる。
Die Weltberühmten drei Fratellinis geben eine "Kraft durch Freude" Vorstellung vor den Kranken im Horst-Wessel-Krankenhaus in Berlin.Lachen macht gesund! Kranke des Horst-Wessel-Krankenhauses während der Vorstellung der drei Fratellinis. Dating:August 1935 Photographer:Pahl, Georg.
写真はドイツ連邦アーカイブBundesarchiv登録・Bild 102-04671引用。


写真(右)1934年3月,「遺伝!遺伝的に健康な子孫について教育するために興味深い展示会がベルリンの公衆衛生サービス国家委員会で開催!精神病患者を養護すれば、恐ろしい遺伝病を蔓延させる」(写真のオリジナル解説):優生学を奉じる専門家や行政官は、遺伝性疾患子孫防止法によって遺伝的な病気の子孫の増加を防止することが図られ、これが福祉の充実につながると確信していた。第二次大戦が始まると直ちに、精神障害者を抹殺するT4作戦が発動された。健全なアーリア人が戦死しているのに、遺伝子汚染の源である障害者を養護することは許されないとされた。 Erbkrank! Eine interessante Ausstellung zur Aufklärung des Volkes über erbgesunden Nachwuchs wurde vom Reichsausschuss für Volksgesundheitsdienst in Berlin eröffnet!

写真はドイツ連邦アーカイブBundesarchiv登録Bild 102-15662引用。


雑談:いまどきの古い大学教授

University & Education

<日本の大学教員とは------?>
従来の大学では,教員が自分の専門を自分のやり方で教授し,学生はそれを好奇心と眠気を持って聞くというスタイルがありました。また,大学教員は,学生にわかりやすく教えるという教師というよりも,世界的な研究を推進する学者,学問ばかりで世間を知らない,あるいは象牙の塔に籠もって研究すると評価されてきました。また,大学生の学力が大幅に低下してどうしようもないと酷評されていますが,本当でしょうか。

確かに,大学・短大への進学率が,20%程度の時代,それも大変が男子学生で,女子の四年生大学進学率が10%未満の時代には,そのような教員(公立では「教官」)が多かったかもしれません。しかし,いまや女子も含め,進学率が48%にも高まり,女子の四年制大学への進学も当たり前になった時代です。

◆にもかかわらず, 「大学では研究が重視され,教員が教育に不熱心なために,授業をつまらなくなっている----」と一部有名大、一部の教授を引き合いに出した議論があります。しかし、この議論は、日本の大衆化した大学には当てはまりません。もちろん,従来の一部,そのような傾向が残っていることは確かです。学会あるいはメディア・社会で評価されている有名教授でも,授業が面白くない----と思っている学生諸君もいるでしょう。いい加減な授業,教え方の下手な授業,レベルの低い授業は,いつでも,どこにもあったのだと思います。すべての学生を満足させる授業など,いつの時代でも稀だったのではないでしょうか。

◆「象牙の塔」に籠もって大学で研究している大学教授も,研究熱心でかつ教育不熱心な大学教授,研究不熱心で教育熱心な大学教授を,私は一人も存じあげません。研究はするが教育しない大学,あるいは教育は施すが研究しない大学など,聞いたことも見たこともありません。。つまり,大多数の大学では,高等教育の大衆化の中で、研究重視の弊害が表面化するほど,大学教授は研究や教育の双方に不熱心ではありません。研究と教育は両輪のように並んでいるものであって,片方では,大学は前進できないのです。

◆大学の研究運営方針といっても,体系化し,専門化できるほど十分な予算とスタッフを揃える事は,大半の大学にはなかなかできないというのは本当です。また,大学スタッフの全てが研究と教育に重きを置いているわけではないのです。結論から言えば,世界大学大学競争を踏まえれば,研究も教育もどちらも世界市場で評価されなければ,大学の評価が高まらないと考えられるのです。研究と教育は一体ですから,どちらかに偏重するしているということは,まずないのです。授業がつまらない教授は,研究にも不熱心でしょう。研究していない教授の授業は,レベルの低いものと決まっています。いわゆる最高学府というからには,研究と教育の双方が備わっているはずで,どちらか一方だけが欠けているということはないのです。欠けているとすれば,研究も教育も双方がいい加減なのだと思います。重点の置き方は異なっても,研究か教育かという二者択一の大学はありえないと思います。

◆現在,私立短期大学や四年制大学でも,定員が集まらず,外国人を形式的に入学させたり,定員割れになって倒産・廃校になったりしているのが現状です。2004年10月19日、文部科学省による学校法人北九州学院解散命令もでました。文部科学省は、北九州短期大学を経営していた学校法人北九州学院(柿原博理事長)に対し、私立学校法に基づく解散命令を出しましかた、これは1978年以降、大学生が在籍せず、運営停止状態となっていたからです。多数の中国人留学生がアルバイト目的で集めた山形県の酒田短期大学を経営する瑞穂学園にも2004年7月、解散命令がでています。福岡市の東和大学も、学生募集を中止、在校生が卒業する2009年度で廃校になる可能性が出ています。

有名とはいえないような大学・特定の学部、短期大学では,入学希望や受験者が集まらない以上,大学経営は成り立ちませんから,学生集めを最優先することのにも十分に理由があることなのです。しかし,これは,教育も研究も双方を放棄する結果を生み出しました。人集めに狂奔する大学は,教育もいい加減なものだと思います。

◆新聞やTVに登場されるビジネスマンや評論家は,たくさんいらっしゃいます。その中には、有益な論も多いです。早稲田大学の改革など大きな成果を挙げた大学改革があるのも間違いないでしょう。教育改革かわら版は、大学受験を目指す高校生とその保護者向けに、国立大学法人化など大学改革に関する情報を提供して、公私の見解が広く掲載されています。大学競争など死語になったように見えますが、そこには、「平成19年度 全国主要公立高校の難関国立大学合格実績とその評価分析」として、旧帝国大学7校+東工大・一橋大+旧帝大以外の医学部医学科+国公立大合計合格者が誇らしげに掲載されています。これを見ると、世界最高峰の科学技術,文化を誇る日本ですが,研究や科学技術,教育の面から見て,世界に渡り合える「日本の最高学府」がたくさんあるように思えてきます。しかし,実は研究教育に関して,世界的に最高位の評価を受けている日本の大学は,それほど多くはありません。その証拠が,日本の大多数の大学では,入学希望者や定員の充足を気にせざるを得ない状況にあることです。少子化の影響だ,という人もいますが,これは短絡的です。世界の教育熱は高まっており,日本がすばらしい大学を擁しているのであれば,世界から優秀な留学生が勉強にやってくるはずです。日本語を学ぼうとする意欲的な学生が増えてくるはずです。

しかし,世界の学生,ビジネスマン,メディア関係者,留学生,研究者から一般市民まで,日本の大学に対する関心・興味は,それほど高くはないのが現状です。世界の大学ランキングからみても,日本の大学研究・大学教育の評価は,最高位のレベルにあるわけではありません。これは歴然としています。こうした状況で,研究重視で大学が成り立たないとか,大学教授が研究ばかりしているから,大学の授業がつまらないといったことは、ありえないのです。たぶん,教育も低位にあるから,世界評価が低いと考えられます。世界大学大学競争を踏まえれば,研究も教育もどちらも評価されていないので,大学の評価が高まりません。どちらかが評価されるのであれば,世界ランキングでは,最上位に大学名が登場してくることでしょう。


残念なことに,アジアの大学ランキングにも,日本の私学はほとんど出てこないのです。「今の日本の大学は------」といえば,日本の大学とその技術・教育が世界トップクラスの評価を受けていた,あるいはいると錯覚してしまいます。世界評価は,日本国内の内輪褒めとは違うのです。世界大学競争の時代では,国内外格差をを理解すべきです。多分,MBAをお持ちの識者や評論家の方々は,2006年ビジネススクール世界ランキングをご覧になって,自画自賛的な日本の大学評価はできないことをご存知だったので外国の大学でMBAを取得されたのでしょう。

国公私立大学を通じた大学教育改革の支援として、2007年度予算額:602億円(2006年度予算額:562億円)が投じられています。この大規模改革案では次の四点を重視しています。
1. 課程に応じた教育内容・方法の高度化・豊富化の充実
2. 現代的課題に対応できる人材養成と大学の多様な機能の展開
3. 社会の養成に応える専門職業人養成の推進
4. 国際競争力のある世界最高水準の研究教育拠点形成
つまり、 特色ある優れた取組みを支援するプロジェクトであり、選定された計画の大半は、有名大学のものなのです。有名大学ばかり見ていて、学力低下がはなはだしい大学生のいる大学は、恩恵を受けていません。しかし、大学生の大半が、このような大衆化した普通の大学に在籍しているのです。彼らを教育している大学教授が多いのです。大学内に格差もあるでしょうし、大学教授・大学生の格差はもっと大きいでしょう。そこで、大学上層部の手腕・能力と相まって、大学の経営・研究・教育方針は、異なってくるのです。しかし,すべての日本の大学は,グローバル化の中で,世界の大学と競争していことを定められているのです。世界大学競争のなかで,小手先の大学改革が,このような大競争時代にどこまで通用するかが問題です。

◆世界大学大学競争を踏まえれば,研究も教育もどちらも世界で評価されなければ,大学の評価が高まりません。少子化と高学歴化(大学の大衆化)のために,大多数の大学にとっては,魅力をアピール必要性は強まっています。そのために,スタッフ,施設,プログラムを準備することが求められています。

◆四年制大学への女子進学率は、1970年6.5%、1980年12.3%、1990年15.2%から2000年には31.5%へと大幅に上昇しています。大学教育の大衆化がすすめば、大学生は勉強のできるエリートだけではなく、勉強以外の興味から、進学してくる学生が多くなっています。そのなかで、高等教育を授けるべき大学が研究だけ重視していたのでは、学生の教育は進展しません。昔の旧制中学のような有能なエリートであれば、「教え方の下手な大学の授業」であっても、十分に知識をはぐくむことができたはずです。しかし、世界的に大学入試の大衆化が進行し、学生の大衆化の中で、学力の低下した入学者を対象に、大学が「下手な授業」を提供しても、全うな高等教育は不可能です。研究はいくらできても、教え方に魅力がなければ「興味ある授業」を行うことはできません。その意味で、「研究ばかりしている大学教授は、教員としては失格」という俗説は真実を含んでおり、下らない噂も、フィクション、間違いだけとは言い切れません。大学の教員は、研究と並んで教育に力を入れることが必要です。大学教授は、研究者兼教育者でもあるのですから、研究と教育の両輪を充実させることは、大衆化された大学では当然のことなのです。

大学改革の第一歩は、「興味ある授業」を展開できるような体制を作ることであり、それには、大学教授が研究を深めて自己研鑽を積み,その上で、教育にも十分配慮することが望まれます。十のことを知っていても,三のことしか教えることはできません。十のことを教えるには,三十のことを知っていることが求められます。世界大学競争のなかで,研究も教育のどちらか,できればどちらもできる大学教授がいてこそ,日本の大学評価が高まると考えられるのです。(以上は2008年の記述をそのまま掲載)

スマートシティの鳥飼行博研究室写真館や電脳掲示板ブログ掲示もご覧ください。

HK「財政学」コンテンツ

Key Issues in Public Finance



講義コンテンツを熟読してから短冊レポート作成に進んでください。

福祉財政のルーツは、先駆の経済学です。しかし、国家の学「財政学」は、経済学の生まれる前からありました。市場、需要供給なの概念を駆使した近代経済学が生まれる前から、富国強兵、一国の経済的繁栄、国家の繁栄を求める為政者のために財政学がありました。つまり、財政学は、経済学と通じる以前から、国家の学として古代からあったのです。ですから、国家の学としての財政学から見れば、福祉は国家のため、国力を増強するためのものであり、強い健康な兵士、勤勉で体力のある労働者を生み出すために、人々の健康を重視し、強国となるため、為政者への支持を得るために、臣民に福祉を与えるという「上から目線」の国家の学としての財政学が、最近までまかり通ていたのです。

しかし、平和・人権の確立が、そして環境保全が重視され、環境平和学が興隆した昨今、財政学は、福祉財政が重視され、それも国家のためというより、人間一人ひとり、国民の立場に立った福祉が求められています。そこで、生きた人々の基礎的必要性、すなわち衣食住、教育、衛生・医療は、ベーシックヒューマンニーズBasic Human Needs)ともいわれますが、これを充足して、人間開発Human Development)ができるように公的支援することが、財政の目的であると考えられるようになりました。


01 大口善?厚生労働副大臣挨拶【平成30年度 全国厚生労働関係部局長会議】(2019/02/03公開)
「大臣は、鉄道局において、予算編成で特に力を入れている点などを質問し、ホームドアやエレベーターなどの鉄道施設のバリアフリー予算の確保について説明を受けました。」交通バリアフリー・ユニバーサルデザイン化に充てる鉄道予算は、どこの省庁の財政予算かわかりますか。このような若手が、行政を担っています。


算担当職員を大臣、副大臣、大臣政務官が激励 (2019/02/03公開)
「平成31年1月18日(金)に開催された全国厚生労働関係部局長会議の動画です。」介護・医療について、厚生労働行政へのご協力を賜りたいと、壇上から訓示した。

現代文明では、国家・政府は財政政策によって、人間開発を進め、人権を保護すべき存在ですが、歴史的に見ると、国家の学の財政学が当然だった時期には、逆に人権抑圧、差別を蔓延させてしまったこともが多かったのです。国家の学としての財政は、人権侵害、差別から大量破壊・大量殺戮、戦争さえも推し進めてしまったのです。鳥飼行博担当 HK「財政学」では、狭義の財政学や財政制度ではなく、真の豊かさを目指す環境平和学環境平和学の視点で財政を見直します。


福祉国家といえば、スウェーデンやデンマークの福祉財政が有名で、日本でもこれを研究している人が多いですし、わたくしの恩師もそうでした。福祉国家とは、福祉財政が充実している国で、財政学の問題なのです。福祉財政をGDP 比で捉える,フランスも福祉国家なのですが、スウェーデンでは、サラリーマン所得税額の控除、障害者福祉と高齢者福祉の充実、失業手当の減少、財政支出の抑制など、福祉国家を効率的な財政の下で実施相として売るのが面白いところです。近年、ウェル・ビーイング指数世界1位のデンマークは、福祉財政・福祉国家を維持しながら、仕事(労働)と生活(消費)のバランス、経済活性化も達成しようとしている姿勢は興味深いです。


[シリーズ大使館] 世界一幸せな国「デンマーク」
「デンマーク王国はヨーロッパ北部に位置する、日本の9分の1ほどの“世界で最も小さな国”の一つですが、国別の幸福度調査では1位となっています。大使館訪問を通してその魅力を取材しました。」(2015/04/01 公開)

国家財政(中央政府の財政)には,様々な役割がありますが、国民のベーシックヒューマンニーズBasic Human Needs)を充足することは、国防・防衛と並んで、優先順位が高いです。そして、国家が国民に対する責務として、財政を駆使しているようです。

2000年から厚生労働省では、「21世紀における国民健康づくり運動(健康日本21)」を推進し、長寿化、生活の質(Quality Of Life:QOL)の向上を実現することを目的とし掲げました。東海大学でも、QOL(Quality Of Life)を標榜していますが、これは社会環境課程で言うウェル・ビーイング(welbeing)です。これは、福祉(welfare)とwell(良い)とfare(過ごす)を統合した造語で、社会に対してウェルフェアを充実することが、国家財政の一つも目的ということです。

 それでは、ウェル・ビーイング(welbeing)の基本は何かとなれば、衣食住、教育、衛生・医療という人間が生活するための基礎的欲求,すなわちベーシック・ニーズです。このように言い換えばかりするのは、学者やメディアの悪い癖です。本来,経済学、開発経済学では途上地域の貧困と福祉を扱ってきたなかで、ベーシック・ニーズの充足の必要性が、古くから主張されてきました。しかし、後学の国内福祉の学社やメディアが、勉強不足なのか、あるいは自分たちの遅れての参入を明らかにしたくないのか、「ウェル・ビーイング」とか「QOL」を標榜し始めたようにみえます。

法律学においても、例えば憲法では、基本的人権を保護するために、国家が,すべての人々の平等・自由の権利を保障し,ベーシック・ニーズ、すなわち福祉や健康に配慮するとし、現在と将来の世代のために持続可能な開発を目指すようになってきました。イデオロギーにおいては、民主主義の理念の下、男女・LGBTなどの性,皮膚の色・人種,言語・文化・宗教など民族,出身地・出身改装など出自などによる差別を禁じ、自由で平等な社会を目指しているのです。私の専門、開発経済学(30年前に環境経済学を学べる大学はごく少なかったのです)でも、世界中のさまざまな貧困、障害者、少子高齢化など多様な問題を古くから扱ってきたので、福祉財政の兄弟のような存在だと思っています。

  こうして、国家の学・財政学が、富国強兵、一国の経済的繁栄、国家の繁栄を第一に求める時代は、環境平和を求めるように変貌しつつあるといえるでしょう。

2011 年よりOECD が公表しているウェル・ビーイング指数は、次の分野を斟酌して計測し、国際比較している。
1)1人当たりの所得(フロー)と資産(ストック)
2)仕事(失業率、正規雇用など)
3)一人当たりの居住環境(部屋,設備)
4)QOL(生活の質):ワーク・ライフ・バランス(労働時間・余暇)、健康(平均余命、乳幼児死亡率など)、教育と技術、社会的連帯(地域・ボラティア)、ガバナンス(政治参加)、自然環境、人間の安全保障(犯罪・災害)
から国際比較している。日本は10位以内にはないが、トップ5に常にあるのがスウェーデンである。

藤岡純一(2015)「スウェーデンの福祉財政−生活権を基軸に」Welfare finance in Sweden - from the point of the living right(『関西福祉大学 社会福祉学部研究紀要』第18巻第1号pp.1-14)を読んで、OECDの定めたウェル・ビーイング指数をまとめると、経済大国日本の抱える問題点が分かり面白いです。また、より論文を読み込めば、ウェル・ビーイング指数は、ベーシック・ニーズよりも高度の精神的欲求を含んであり、そのような自己実現の要求を踏まえれば、ウェル・ビーイング指数の計測は、所得や経済計算以上に、はるかに難しいものです。

ウェル・ビーイング指数は、経済状況を前提を踏まえたベーシックヒューマンニーズの充足、人間開発から、どのような意味があるのでしょうか。福祉財政は、どんな人々からあるいは、どのような国で求められているのかを考えるのにも大変有益です。

鳥飼担当 HK「財政学」の課題

Report Writing



HK「財政学」授業は、参考書拙著『写真・ポスターから学ぶ戦争の百年―二十世紀初頭から現在まで』青弓社は、遠隔授業の準テキストですので、手元においてください。これがないと5月下旬からの「財政学」講義を理解し、レポートを作成するのは困難です。

HK「財政学」コンテンツは、このサイト全画面です。リンクも参照してください。 評価対象の下記レポートを作成し、提出してください。

学術論文 藤岡純一(2015)「スウェーデンの福祉財政−生活権を基軸に」Welfare finance in Sweden - from the point of the living right(『関西福祉大学 社会福祉学部研究紀要』第18巻第1号pp.1-14の本文(PDFファイル) (901.35KB)をダウンロード)を読んで、OECDの定めたウェル・ビーイング国際比較をまとめ、ウェル・ビーイングの計測の信憑性・妥当性などに計測の困難さに留意しながら、自分の立場で、日本のウェル・ビーイングについて、批判的検討をしなさい。
PDF、Word、EvcelのアプリはMicrosoftアカウントに学番メールでサインし、右上の虫眼鏡ロゴで「PDF」を検索、無料入手できます。

1)「まとめレポート」をワード(word)で作成、ふさわしい題名,学番,学生氏名を明記。
2)まとめレポートの文字数は、1000文字以上、2400文字以下。他サイトの引用は不可。
3)このレポート課題はサンプルなので提出には及びません。実際の課題レポートは、授業支援システム(OpenLMS)に掲載。

東海大学教養学部人間環境学科社会環境課程

TorikaiLab, Tokai University



教養学部の講義HK「財政学」は、環境平和学と持続可能な開発を踏まえて、財政学を多様な視点で扱う授業です。

当研究室へのご訪問ありがとうございます。論文,データ,写真等を引用する際は,URLなど出所を記載してください。ご意見,ご質問をお寄せ下さる時には,ご氏名,ご所属,ご連絡先を明記してくださいますようお願い申し上げます。 連絡先: torikai@tokai-u.jp
〒259-1292 神奈川県平塚市北金目4-1-1 
東海大学教養学部人間環境学科社会環境課程
鳥飼 行博 TORIKAI Yukihiro
HK,Toka University,4-1-1 Kitakaname,Hiratuka
Kanagawa,Japan259-1292
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