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◆「環境政策I」環境大臣の「刊行にあたって」:鳥飼行博研究室


2012年8月,フィリピン共和国ルソン島北部、カリンガ州山村の棚田での稲穂の刈り入れ作業:コルディリェラ行政地方(Cordillera Administrative Region:CAR)チコ川の流れる大渓谷の上部に棚田が広がる。棚田の収穫作業には、労働交換(ゆい)と賃金労働が混在する。穂先だけを刈り取るのは、運搬するときの重量を軽減するためと、棚田にバイオマスを残して、たい肥化するため。チコ川上流には、世界遺産のバナウェ・ライステラスがある。筆者撮影。


2012年8月,フィリピン共和国ルソン島北部、カリンガ州山村の棚田での稲穂の刈り入れ作業:コルディリェラ行政地方 カリンガ州ティンラヤン町山村ツルガオの棚田。竹ひごを歯で噛んで引っ張り、きつく稲束を縛る。この時、「きゅっきゅっ」と音がする。 大学生時代から、開発途上国を訪問し、汗だくになり、歩いて疲れたものの、泊めてくれた農家で質素だがおいしい食事を頂いて喜びながら、フィールド調査を行ってた。インパクトがあったため博士論文も「不確実性下の経済行動-フィリピン米作農村の事例研究」を選び、フィールド調査をして執筆した。筆者撮影。

雑談:環境白書巻頭言

University & Education

『環境白書』『経済白書』『通商白書』など昔からの白書、すなわち政府省庁別の公式刊行物を、ずらりと並べて読み比べてみると面白いです。20年前、10年前と皆さんが子供のころと現在と話を比較しただけでもいろいろなことがわかります。私が小学生だったころ、みんなは市立図書館・県立図書館に週何回も通って本を借りて読んでいました。学校の図書館は、それほど充実していなかったからです。大学時代には、大学図書館所蔵の白書を借りて、図書館で見たものです。分厚いB版の白書は、貸出禁止だったので、その場で斜め読みするのです。しかし、入手するに値すると思えば、生協で1割引きで購入します。買ったからには、全部読み通し関心のある個所は、マークしながら読むのです。場合によっては、ノートやカードで整理することもします。そして、この内容で大したことないななどと、仲間と粋がって批評するのが楽しいです。これは、本を書いたことのない人間が、レビューして★を付け、何故ならとーーーーと書いているのと同じかもしれません。しかし、このような議論、批判的検討が十分にできるようになることが、高等教育の醍醐味だと思います。

写本というのは、本を借りてきてそれを引き写すことです。高価な本を買うことができない書生が、印刷がない時代の僧侶が読みながら写本していたのでしょうか。丸写しにしないで、省略したり、書き換えたりと、古典には異本がつきものです。引き写しながら内容を理解し、自分で考えることができるのが写本です。また、勝海舟がしたように、同じ本を複数写本すれば、自分用に1冊取っておいて、残りを販売して、収入を得ることもできます。それで、写本の借り賃を賄うこともできるわけです。写本とは、経済活動で言えば、本を読む消費、引き写す生産、余剰の写本を販売する流通を担っているともいえます。また、読んで、書いて、書き換えてという活動は、見ることに加えて様々な感覚・動作を伴うので、物事の理解が進んだり、記憶に残りやすかったりするようです。その前段階として、本をレビューするのもいいかもしれません。

その後、図書館で無料で本を借りられるようになったことは、個人の能力開発に大きく貢献しました。現在では、図書館で本を借りたことのない人がいますが、別の情報ツールを使ってでも学びを進めなければ、中等教育もおぼつきません。インターネットを検索したら答えが出ているというのであれば、高校も大学もいらなくなるでしょう。講義も対面型授業も、双方型授業も不要になってしまうでしょう。けれども、今回、遠隔地授業がどのように展開できるか、まだ途上ですが、皆さんたちは貴重な経験をすることになるはずです。

白書はどのようにだれが原稿を書くのか、編集するのか、大学生の時に、省庁に行ったとき、書いたという何人かの先輩から話を聞きました。たくさんの若手が勉強しながら、過去の白書を読んで書き換え写本しながら書いている姿を想像しました。このようなことを考えると、まだ卒論も書きあがっていなかった大学生ですら、ものを書くことの面白さが感じられました。単に楽しむ消費するだけではなく、何かを作る人に何かを提供することへの興味が沸いてきました。

環境政策の一翼を担う環境省、その環境大臣が、自ら練って文書化し、自らデジタル入力して、自ら最終校正した文書は、最高責任者が環境政策の方針を示した白書の最も重要な個所だと思います。そこで、環境大臣がどのような内容を述べているのか、どのような環境政策を進めようとしているのか読み取ってほしいのです。そこには、日本の将来を左右する重要な環境政策が示されているはずです。分厚い白書の巻頭を飾る文章の中に、環境政策の基本方針をしっかり理解してもらいたいのです。しかし、そこに示されたいいたりなことで、十分なのでしょうか、言い足りないことはないでしょうか、もしかすると誤った方針を公言しているかもしれません。これが批判的検討です。

ウェッブのコピー貼付け(実際に写し書きするならいい少しはいいです)ばかりしていると、答えは誰かが描いたものを探して回答するものと思い込んで、批判的検討ができなくなってしまいます。大学とは高等教育であり、既にわかっていることを学ぶよりも、わかっていないこと、疑問のある通説を批判することが大切です。 田中正三でもグレタ・トゥンベリでも、大勢が決まったように見えるなか、更なる境地を目指すことができる人はすごいです。

スマートシティ(?)の鳥飼行博研究室や電脳掲示板(?)ブログ掲示もご覧ください。

「環境政策II」講義コンテンツ

Annual Report on Energy (Japan’s Energy White Paper)


以下は、授業の課題となるレポートを作成するための資料ですので、まず読んで、それから短冊作成に進んでください。

     環境白書(平成18年版)(PDF版)
 

「環境政策I」レポート課題サンプル

Report writing



「環境政策I/II」授業の短冊レポートの作成には、教科書拙著『開発と環境の経済学―人間開発論の視点から』東海大学出版部を入手していることが前提です。教科書ページを指定したレポートも課します。受講にテキスト必須です。入手しないと講義は理解できません。

この講義コンテンツを全て閲覧し、manabaレポートで開示される「レポート出題(ファイル送信)」で短冊(レポート)を作成し、manaba経由で送信してください。課題の内容・文字数・条件・提出締切りなどはmanaba期日等は「レポート出題(ファイル送信)」に掲載します。ここは、実際の「レポート課題」に近似した<短冊課題>で事前課題と考えて準備を進めてください。

<短冊課題サンプル>
正規の課題は、manabaの「レポート課題」を参照。

環境白書(平成18年版)(PDF版)https://www.env.go.jp/policy/hakusyo/h18/index.html
上記の環境白書(平成18年版)「環境白書の刊行に当たって」を熟読して、そこに示された環境政策の基本方針を説明し、さらなる課題を考察した批判的検討を加えなさい。

1)レポートは、ワード作成、添付ファイルでmanabaレポート提出機能で送信。
2)文字数は、1200文字以上2400文字以下。他サイトの引用は不可。
3)レポート本文には,ふさわしい題名,学番,学生氏名を明記。
4)manabaメール提出の件名「policy」に続け学生氏名を明記。
  例「policy 鈴木太郎」
条件を満たさないレポートは、未整理となる可能性があります。 誤送信、添付忘れ、誤字・脱字などあっても、1回だけの提出で、出し直しはできません。 不備な場合は、書き直し・再提出をしてもらうかもしれません。

東海大学教養学部人間環境学科社会環境課程

TorikaiLab, Tokai University

大学での講義「環境政策I」「環境政策II」「開発経済学」「環境協力論」は、持続可能な開発を、開発途上国、地域コミュニティの視点も含めて、分析する授業です。俗説とは異なる議論も展開しています。

当研究室へのご訪問ありがとうございます。論文,データ,写真等を引用する際は,URLなど出所を記載してください。ご意見,ご質問をお寄せ下さる時には,ご氏名,ご所属,ご連絡先を明記してくださいますようお願い申し上げます。 連絡先: torikai@tokai-u.jp
〒259-1292 神奈川県平塚市北金目4-1-1 
東海大学教養学部人間環境学科社会環境課程
鳥飼 行博 TORIKAI Yukihiro
HK,Toka University,4-1-1 Kitakaname,Hiratuka
Kanagawa,Japan259-1292
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