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◆エシカル消費につながるフェアトレード

フェアトレード
写真(上)2016年8月、鳥飼ゼミのフィリピン/マニラ研修、ケソン市パやタスごみ処分場、スカベンジャー(ごみ拾い)、ジャンクショップ(屑屋・スクラップ屋)が多いが、非正規居住者「インフォーマルセトラー」の貧困者を支援する、女性エンパワーメントのNGOが活動し、フェアトレード(Fair Trade)を進めている。

スラムのNGO

Payatas 2012


図書館1
パヤタスのスラム街にある子ども図書館「わかば」。NGOのソルトパヤタスが設置した。図書館の本は、英語の百科辞典、英語の小説など中古本が主体だが、絵本や教育関係の図書も置いてある。

メトロマニラケソン市Quezon City)パヤタスのスラム街にある子ども図書館「わかば」。2010年9月にNGOソルト・パヤタスが設置したこどもセンターの図書室を訪問し、リカのメンバーにお話を伺ったりした鳥飼ゼミナールの学生たち。

メトロマニラのケソン市(Quezon City)のパヤタス、NGOソルト・パヤタスが設置した子ども図書館。NGOソルト・パヤタスは、学費がないために学校に行けない、生活が苦しいために中途退学せざるをえなくなった、貧しい家庭の子どもを対象に奨学金を支給する、子どもエンパワーメント事業を実施している。奨学生には、学校に行く交通費や軽食代(学校では給食がない)、子どもセンターで小遣いを渡す。これは、母親やソルトのスタッフによる奨学生の日常的な監視ができ、奨学生の様子から健康や家庭の問題などを察知できる体制を構築するためである。

子ども図書館<マニラ首都圏パヤタス廃棄物最終処分場のすぐ近くにある子ども図書館「わかば」の給食室。チューターの子弟、優秀な学生は、学校のお昼休みにここで給食を支給されている。

メトロマニラのケソン市(Quezon City)パヤタスにNPO法人ソルト・パヤタスが2009年に開設した子ども図書館「わかば」。NGOソルト・パヤタスの支援になる建物で、英語の古本・中古本もそろっているが、図書自体よりも、支援対象となった生徒への給食支援が有効に機能している。

マニラ首都圏ケソン市(人口220万人)パヤタス子ども図書館「わかば」。ここには、日本のNGOを仲介した日本人を引率するスタディーツアーが企画されている。そのスタディーツアー代金の一部が、子供図書館やリカへの支援金に充当される。

リカ縫製作業所

 LIKHA Enpowerment Center


ミシン1
メトロマニラのケソン市(Quezon City)にある大規模な廃棄物最終処分場とスラム街を訪問した鳥飼ゼミナールは、民間非営利組織NPOのリカ・エンパワーメントセンター(LIKAH Enpowerment Center)の支援するリカ縫製作業所を訪問し、リカメンバーである縫製工やスタッフにお話を伺った。

みしん2
ケソン市パヤタス低所得層住宅地にある民間非営利組織NPOリカの縫製作業所では、ミシンや針仕事によってスラムの女性が収入を確保し、自立できるように自助努力を行っている。スラムバラックが廃棄物最終処分場の周りにあるが、老人、女性、子供がたくさん住んでおり地域コミュニティが出来上がっている。

作品
メトロマニラのケソン市(Quezon City)のパヤタス、NGOのソルト・パヤタスが設置した子ども図書館に隣接した民間非営利組織NPOリカの縫製作業所を訪問した鳥飼ゼミナール。ここでは、ミシンや縫製によって、パスポートケースや小物入れなど刺繍入りの手工芸品を製造し、販売している。

ミシン3
民間非営利組織NPOのリカ・エンパワーメントセンター(LIKHA Enpowerment Center)の支援する民間非営利組織NPOのリカ(Likha Livelihood Payatas)縫製作業所を訪問し、リカメンバーである縫製工やスタッフにお話を伺った。ここでは、スカベンジャー(特定種類の有価物を袋(サック)に集めて、ジャンクショップに運搬して買い取ってもらう)だけではなく、新たな雇用を創出し、女性の自立を目指している。

裁縫品女子3

マニラ首都圏ケソン市パヤタス、民間非営利組織NPOのリカ(LIKHA)縫製作業所。ここでは、有価物のプラスチックや金属などを集めるスカベンジャー以外にもスラム住民が従事できる雇用を創出しようと、手工芸品の製造を行っている。日本では、アトリ・エリカと称して、リカメンバーなどの製造した刺繍や裁縫製品を販売している。アトリ・エリカの活動は、日本とフィリピンを結ぶフェアトレードに準じている。

裁縫品女子4

マニラ首都圏ケソン市パヤタス、民間非営利組織NPOリカ(Likha Livelihood Payatas)縫製作業所。ここでは、ミシンや針仕事によってスラムの女性が収入を確保し、自立できるように自助努力を行っている。リカメンバーである縫製工やスタッフにお話を伺った。政府による社会保障生活保護も不十分であれば、貧しい住民の中には、やむを得ず不法占拠者となる場合もある。

パヤタス、民間非営利組織NPOのリカ縫製作業所では、パスポートケースや小物入れなど刺繍入りなどをミシンや針仕事によって作成し、スラムの女性が収入を確保し、自立を図っている。
 政府による社会保障給付費も受け取れず、生活保護支給もない状況で、スラムバラックが拡大する。

裁縫4

パヤタススラムにある低所得層住宅地にある民間非営利組織NPOリカの縫製作業所では、ミシンや針仕事によって、パスポートケースや小物入れなど刺繍入りなどをミシンや針仕事によって作成し、スラムの女性が収入を得て自立できるように努めている。スラム街には、老人、女性、子供がたくさん住んでおり地域コミュニティが出来上がっている。

りか

日本の清掃員のバイトには、次のようにあるが、これはマニラの清掃員の仕事とはかなり異なる作業である。
「人とコミュニケーションを取るのが苦手な方には、一人で黙々と業務をこなす清掃スタッフのバイトが最適な仕事かもしれません。このバイトをするには、多くの場合、清掃会社にスタッフとして登録し、その清掃会社から、公園、企業、病院、スーパーマーケットやショッピングセンター、大型の商業施設などに定期的に出向して、ホール内の床清掃をはじめ、窓、洗面所、トイレなどを綺麗に掃除していきます。
 勤務時間は、1日4〜6時間程度のシフト勤務になっており、ダブルワークで働きたい方にはメリットの多い業種といえます。通常、1ヶ所に出向する人数は一人ではなく複数の場合が多いのですが、出向先に到着すれば、各自、担当場所を割り振られ、任された場所を責任持って掃除しなければなりません。
 要領がつかめず慣れないうちは、少々手間取り時間がかかりますが、慣れてくれば、効率の良い掃除方法が取得できます。若い年代の応募が少ないこの業界は、短時間勤務を希望する40代〜60代の方が中心になっております。 」

NGOソルト・パヤタスの支援になるリカは、わかば子ども図書館隣にある。ここでも作業担当表が張り出されている。マニラ首都圏ケソン市パヤタスのごみ集積場周囲の低所得層住宅地にある民間非営利組織NPOリカの縫製作業所。ミシンや針仕事によって収入を得て、自立できるように自助努力を行っているリカメンバーにお話を伺った。

裁縫商品2

ケソン市パヤタスは、廃棄物最終処分場で有価物を集めるスカベンジャーらが暮らすスラム街。しかし、民間非営利組織NPOのリカ縫製作業所では、ミシンや針仕事によってスラムの女性が収入を確保し、自立することを目指している。自助努力を行っているのは、政府による社会保障生活保護も不十分なためでもある。自ら仕事を生み出す「起業」が当たり前で、これが草の根民活といわれる所以である。

スラム街には、老人、女性、子供がたくさん住んでおり地域コミュニティが出来上がっている。スカベンジャーやジャンクショップ(リサイクルショップ)が住民の主な生業。住民は、スクオッターsquatter:不法占拠者)として、正規の雇用機会から排除されている場合が多い。

マニラ首都圏ケソン市パヤタスのごみ集積場周囲の低所得層住宅地にある民間非営利組織NPOのリカ縫製作業所。ここは、女性がミシンや針仕事によって収入を得て、自立できるように自助努力を行っている。スラム街には、老人、女性、子供がたくさん住んでおり地域コミュニティが出来上がっている。プラスチック、PETなどを分別、収集するスカベンジャーやジャンクショップ(リサイクルショップ)が住民の主な生業。住民は、スクオッターsquatter:不法占拠者)として、正規の雇用機会から排除されている場合が多い。

メトロマニラのケソン市(Quezon City)のパヤタス。廃棄物最終処分場で有名なスラム街の住民は、スカベンジャー(ごみ回収者)として、集めたごみから有価物を分別して、ジャンクショップに売り渡して収入を得ている。しかし、NGOのソルト・パヤタスが支援した民間団体リカの作業所では、ミシンや縫製によって、手工芸品を製造し、販売することで、スラム街の女性の自立を助けている。
わかば6

マニラ首都圏ケソン市パヤタス(Payatas)では、スカベンジャー(ゴミ拾い)が生業の大半である。しかし、NGOソルト・パヤタスが支援した民間非営利組織NPOリカ・エンパワーメントセンター(LIKAH Enpowerment Center)の支援する縫製作業所で働いている女性たちもいる。
「リカ」では、ミシン仕事や裁縫・縫製作業によって工芸品を販売し、入集を確保する起業が始まっている。

リサイクルしたPP(polypropylene)製サック(南京袋:woven polypropylene bags)をトライシクル(Tricycle)に積んで売却に行く。トライシクルに積んで売却に行くところを聞き取りした。

スラム住民への聞き取り・フィールド調査によって、生活の質(QOL)、ベーシックヒューマンニーズの充足、電気エネルギー、木質バイオマスエネルギーから「民活による循環型社会形成促進」の考察にまで、新しい発見と発想を得ることができると思われる。それとも、これは完全な誤解であり、ごみや廃棄物を再利用した暮らし、廃プラスチックの屋根、廃材のエネルギーなどを利用する貧困者を、循環型社会の一員と見なすのは、見当違いなのであろうか。

開発途上国、特にフィリピの都市インフォーマル部門におけるスラム、スカベンジャー、ジャンクショップなど草の根民活に依拠した循環型社会の一端は、鳥飼行博研究室右のアジア写真集の、廃棄物処理場、パヤタス、スモーキーマウンテンなどに掲載されている。
「消費者行動論」コンテンツ

Circular Society

 現代日本の視点では、循環型社会(Circular Society)を形成しようとして、容器包装リサイクル法、家電リサイクル法、建設リサイクル法、食品リサイクル法、自動車リサイクル法など多数のリサイクル関係法を整備しているが、これは循環型社会を規制型環境政策で構築しようという枠組みにとどまっている。豊かさを享受する人々が溢れている成熟社会では、市民の環境意識が改善され、環境倫理が認められているはずだが、やはり個人個人の自発的な環境活動だけでは、循環型社会は構築できない、環境より経済が重視されてしまうことなのであろうか。公的介入を伴う循環型社会が前提となっているのはやむを得ないであろう。

他方、開発途上国の国民は、環境意識が十分でなく、循環型社会に興味がないので、大量のごみが投棄されている、海洋廃棄物もマイクロプラスチックも開発途上国の無定見な廃棄物政策が原因であるとする開発途上国環境脅威論が唱えられている。

しかし、開発途上国のスラムや貧困者をよく調べてみると、先進工業国のような規制型環境政策ではなく、民間の自発的な経済活動が、創意工夫、危険な労働、児童労働を伴いながら、民間主体の循環型社会を形成している局面も観察できる。これは、もったいないという節約意識に基づき、廃棄物の中から使える物資を回収、再利用したり再生したりする都市インフォーマル部門を中心とした民間活動であり、草の根民活と呼称することができる。従来の開発経済学では、低所得の貧困者、社会的弱者、違法居住者の住む不衛生なスラムなど問題視されていたマイナス局面ではあるが、この発想を転換して、貧困者主体の草の根民活による循環型社会形成の可能性を見出そうとする研究である。

テキストの拙著『開発と環境の経済学―人間開発論の視点から』東海大学出版部「第5章 労働力移動と労働問題」の都市インフォーマル部門から、開発途上国の廃棄物問題を「もったいない」という節約のブリーン経済から考察し、貧困者のベーシックニューマンニーズ(Basic Human Needs)の充足と循環型社会の形成を同時に考察してみたい。これは開発途上国の貧困解消だけではなく、汎アジア型循環型社会の形成のために、日本も環境協力に参加すべきであることを示している。
 
日本は、アジア諸国を中心に古紙、廃プラスチック、廃家電・廃車、廃船など「再生資源」のようにして輸出している。しかし、日本で需要のないこれらの輸出品は、商品でではない。有価物であったとしても、保管料・輸送料・撤去料・取引手数料を考えれば、輸出して収益が上がるものではないのであり、これを「ごみ」という。廃棄物輸出には、厳格な規制があるが、商品にはないので、形式上「再生資源」「商品」の輸出として扱っているが、そのなかには事実上のごみ輸出が多数含まれている。
 
環境協力とは、環境リーダーシップをとって、国際社会で冠たる地位を得るために行うものであろうか。それとも、過去の一人当たり廃棄物、有害化学物質排出の多さから、環境債務を累積させてきたことに注目し、その環境債務返済のために行うものであろうか。汎アジア瞬間型社会形成促進のために、日本が環境協力を申し出るとすれば、それは環境債務の返済か、それとも環境リーダーとしての輝かしい一歩になるのか、どちらであろうか。

Virtual Lecture Series鳥飼行博研究室アジア写真集やVirtual Classバーチャルクラス掲示もご覧ください。

環境調和型価格体系の形成

Virtual lecture onLine

2017年の年間CO2排出量(フロー)は、世界第1位の中国92.5億トン(世界の28.2%)、第2位のアメリカ 47.6億トン(14.5%)、第3位インド 21.6億トン(6.6%)、第4位 ロシア 15.4億トン(4.7%)、第5位 日本 11.3億トン(3.4%)、第6位 ドイツ 0.7億トン(2.2%)と続いている。
大気中の温室効果ガスの濃度(ストック)二酸化炭素排出削減は、不可能である。そこで、次善の策として、フローの国民一人当たり排出量削減の方法を考察した。
 
第一に、エネルギー原単位(Energy/GDP)の引下げ、とくにそのための産業構造高度化を検討した。第二に、LCAで計測して温室効果ガス排出の少ないエネルギー(CO2/Energy)を開発・普及するというエネルギー選択を検討した。これは、フローのエネルギー消費当たりの二酸化炭素排出量(β)を削減することを意味する。

しかし、実は再生可能エネルギーの開発・普及だけでは、不可能である。化石燃料を従来どおり消費し続けていれば、いくら再生可能エネルギーの消費が増えても、CO2の排出は減少しない。再生可能エネルギーを開発して、それを化石燃料に置き換えるエネルギー代替が必要である。つまり、CO2排出削減のためには、石炭・石油・天然ガスという化石燃料の消費を減少させなくてはならないのである。

換言すれば、二酸化炭素排出の多い化石燃料など枯渇性エネルギーを、二酸化炭素排出が少ないエネルギーに変更・代替することが求められる。つまり、再生可能エネルギーの開発と並んで、化石燃料消費を減少させるようなエネルギー代替が必要である。

テキストの拙著『開発と環境の経済学―人間開発論の視点から』東海大学出版部「第10章 持続可能な開発のための環境政策」から、地球温暖化対策税の一環として、炭素税(Carbon Tax)を考えてみよう。これは、二酸化炭素排出(CO2)するエネルギーに対して、排出する炭素(CO2)に応じて税金を課する方式で、広義の環境税である。課税額は、化石燃料などエネルギー消費(Energy)によるので、石炭・石油・天然ガスにの順にCO2排出が多いので、税額もこの順に高くすればよい。

二酸化炭素の排出量に応じて、化石燃料にt%の課税をすると仮定しよう。すると、石炭に対しt%課税すれば、税抜き価格の石炭価格がPとすれば、税込みの石炭価格は(1+t)Pと課税分だけ高くなる。

他方、風力発電や太陽光発電など再生可能エネルギー発電のコストは、分散型の小型発電所のために、一般化できる輪でではないが、火力発電に比較して高額である。例えば、資源エネルギーの推計のように、石炭火力発電のコストを1kWh(キロワット時)当たり10円とするなら、風力発電・太陽光発電の発電コストは1kWh(キロワット時)当たり30円程度はかかるであろう。例えば、火力発電の価格(発電コスト)をp、再生可能エネルギー発電の価格(発電コスト)をqとすると、現在の市場の価格体系の下では、次の関係が成り立っている。

p<q

例えば、1kWh当たりの発電コストは、石炭・重油、液化天然ガス(LNG)を燃焼する火力発電では10円、風力発電など再生可能エネルギー発電では30円から45円という価格差があり、再生可能エネルギー発電は、「地球に優しい」という利点はあっても、経済合理的な活動のためには、選択されない。発電コストの安い火力発電は、開発途上国でも幅広く採用されているのである。つまり、グローバルな経済活動を踏まえれば、国際的にも環境負荷型価格体系が成立しており、その下での経済合理的活動によって、経費の割安な火力発電が普及しているのである。

つまり、環境負荷型価格体系が成立しているグローバルマーケットでは、環境負荷の大きな火力発電がコスト(p)が割安なために選択され、二酸化炭素を大量に排出しているといえる。風力発電、太陽光発電のような二酸化炭素排出の少ない再生可能エネルギー発電は、発電コスト(q)が高くなり、経済合理的な活動では選択されない傾向がある。企業や政府が、宣伝活動の一環、環境プロパガンダとして、再生可能エネルギー発電を導入することはあっても、それが経済活動を支えることはない。また、消費者も、政府・自治体の補助金や再生可能エネルギー買い取り制度がなければ、太陽光発電や風力発電を行うことは、コストの上から難しい。換言すれば、環境意識があっても、環境負荷型価格体系の下では、化石燃料から再生可能エネルギーへのエネルギー代替は進展しないといえる。

消費者・地球市民は意識改革を経て環境意識が高いが、節約意識も強く、発電コストの上で、経済合理的活動として、割安な火力発電が選択される。つまり、グローバル市場において、化石燃料の価格が安く、再生可能エネルギーの価格が高価であるという環境負荷型価格体系が存在している以上、資源エネルギーは環境負荷の大きな化石燃料が普及することになる。地球市民が育成されたとしても、環境意識だけでは、化石燃料から再生可能エネルギーへのエネルギー代替が行われず、「地球に優しい・環境調和型エネルギー」は普及するのが難しいといえる。

そこで、環境調和型エネルギーのほうが割安になるような環境調和型価格体系に変更するような環境政策が求められることになる。これは、経済インセンティブを活かすために、化石燃料を使う火力は発電の価格(p)を環境税・炭素税(t)を賦課して引上げ、再生可能エネルギー発電の価格(q)に環境補助金(s)を交付して相対的に低下させることである。つまり、炭素税tと環境補助金sを使って、価格体系を環境調和型に変更する「インセンティブ型環境政策」が有効であると考えられる。

(1+t)p>(1ーs)q

このような環境税を賦課した後の税込みの価格体系は、環境調和型エネルギーのほうが、環境負荷型エネルギーよりも割安になる。そこで、経済合理的に行動する消費者・生産者は、割安のエネルギーとして、再生可能エネルギー発電を採用するのである。

テキストの拙著『開発と環境の経済学―人間開発論の視点から』東海大学出版部「第10章 持続可能な開発のための環境政策」から、「環境調和型の価格体系」を形成し、消費者・企業の経済合理的な活動が、再生可能エネルギーの開発普及、枯渇性エネルギー消費抑制に結び付く環境税の有効性を理解してもらいたい。化石燃料から再生可能エネルギーへのエネルギー代替の手段としての炭素税に注目していただきたいのである。

そのうえで、鳥飼行博研究室左バナーボタンの公開論文、国立情報学研究所 鳥飼行博 掲載論文一覧「再生可能エネルギーの開発 : 地球温暖化対策の一環として」を熟読してもらいたい。
さらに、鳥飼行博研究室左バナーボタンの研究業績、紀要論文「再生可能エネルギーの開発 : 地球温暖化対策の一環として」を引用して、気候変動安定化のための環境税をまとめてもらいたい。

エシカル消費と投票

Report writing

テキスト「第1章 開発とは何か」「第5章 労働力移動と労働問題」「第10章 持続可能な開発のための環境政策」「第11章 平和・人権の問題」を読んで、消費者庁のいう「倫理的消費(エシカル消費)」を環境負荷・環境調和、貧困者、児童労働、ジェンダー差別、人種民族差別、内戦・紛争・戦争、軍事支出など福祉・平和人権の立場から見直すと新たな視点と希望が見えてくる。つまり、消費者行動論の「エシカル消費」が、環境保全に加えて、福祉から平和人権まで広範囲な生活の質(QOL)の向上と結びつくのであれば、循環型社会、持続可能な開発を進めるのに、エシカル消費が役に立つということだ。

TVやインターネット上では、ドラマから芸能・ニュースまで大量の情報が流れている。もちろん、報道番組だろうとドラマだろうと、それ自体がスポンサーや資本家にとって重要なのではない。(もう読んだり定期購読しなくなった)新聞もニュース配信が最大の関心ではなく、宣伝広告収入が重要だったのと同じ理屈だ。資本主義の下、情報社会での供給者・スポンサーの関心ごとは、宣伝・広告を通じた消費者行動への影響力だからである。

このようなコマーシャリズムは、成熟社会における堕落、退廃のように感じられることもあるが、実は持続可能な社会や民主主義の形成にとてつもなく大きな意味を持っている。

消費は、民主主義における投票のようなだ。市場における商品生産・企業経営でも、大実業家ですら、需要側の消費者を意識している。子供、老人だれでも消費市場に参入し、自社の財貨サービスを購入してくれる消費者は、大歓迎だ。これを「お客様は神様です」という。こうした成熟社会の資本主義における顧客重視の経営姿勢は、消費者行動が大きな影響力を持っていることの例証である。つまり、消費者行動が、総体として市場に影響し、そこから社会、政治にも及ぶ影響力を発揮しているのである。つまり、消費者が、将来の社会選択に影響を与えているといえる。

「わたしたち一人一人ができること」は、その意味で簡単で、子供でもできる消費である。つまり、消費は投票である。消費者行動は、持続可能な社会、民主主義の形成に大きな影響力を持っている投票行動である。

批判的検討のレポートサンプル

Report writing

Wikipediaには「公正取引(fair trade:フェアトレード)とは、発展途上国の原料や製品を適正な価格で継続的に購入することを通じ、立場の弱い途上国の生産者や労働者の生活改善と自立を目指す運動である。オルタナティブ・トレード(alternative trade)とも言う。連帯経済の一翼を担う活動でもある。「公正取引」という表現は政府との関係がある組織(例:公正取引委員会)にも使われているので、誤解対策のために「適正な報酬での取引」という交代表現も使われている。」とあるが、わかりにくい。「適正な価格」「立場の弱い」など意味が不明確な語句で定義をしているからダメなのである。低賃金で搾取され、貧困に貶められたままの労働者、障害や差別で人権侵害を受けている生産者に寄り添いたいという気持ち、商品生産の過程で少しでも環境負荷を低くしようと努力している生産者を支援したいという気持ち、これがエシカルな感情である。そして、売買取引の上で、労働者の福祉向上、環境保全・環境負荷低減に寄与できるような消費が、エシカル消費である。このエシカル消費を売買の上で、生産者・流通の工程も含めて定義したのが、フェアトレードである。

講義コンテンツと教科書拙著『開発と環境の経済学―人間開発論の視点から』「第10章 持続可能な開発のための環境政策」から、インセンティブ型環境政策として、環境税・炭素税があり、これはフェアトレード、エシカル消費を促進するにも有効な環境政策である。環境調和型価格体系を形成する重要性を、環境意識という感情だけではなく、売買取引や消費という勘定にも配慮して、SDGs、自毒可能な社会の形成、低炭素社会を考えてみたい。

さらに、鳥飼行博研究室左バナーボタンの公開論文、国立情報学研究所 鳥飼行博 掲載論文一覧「再生可能エネルギーの開発 : 地球温暖化対策の一環として」を引用して、気候変動安定化のための環境政策をまとめてもらいたい。

◆このレポートは、サンプルですので、実際の課題はLMS「課題レポート」を参照。

東海大学HK社会環境課程

TorikaiLab, Tokai University

大学での講義「環境協力論」「開発経済学」「消費者行動論」は、持続可能な開発を、開発途上国、地域コミュニティの視点も含めて、経済学的に分析する授業です。俗説とは異なる議論を展開し、批判的検討能力を身につけます。

当研究室へのご訪問ありがとうございます。論文,データ,写真等を引用する際は,URLなど出所を記載してください。ご意見,ご質問をお寄せ下さる時には,ご氏名,ご所属,ご連絡先を明記してくださいますようお願い申し上げます。 連絡先: torikai@tokai-u.jp
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