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◆企業的フロンティア開発に起因する熱帯林破壊

画像(上):世界の土地利用:エコロジカル・フットプリント:
Image of the Day for March 3, 2003
The Human Footprint is a quantitative analysis of human influence across the globe. In this map, human impact is rated on a scale of 0 (minimum) to 100 (maximum) for each terrestrial biome. A score of 1 indicates the least human influence in the given biome. However, because each biome has its own independent scale, a score of 1 in a tropical rainforest might reflect a different level of human activity than in a broadleaf forest.
写真はMap of the Human Footprint Image courtesy Center for International Earth Science Information Network 引用。


画像(上):2001年,アマゾンの熱帯林と農地:
写真はEarth Observatory World of Change: Amazon Deforestation引用。


画像(上):2013年,アマゾンの熱帯林減少と農地の拡大:
2001年と比較して、熱帯林が幾何学的に切り開かれ、農場が計画的に拡張されている。これは、貧困者が財産権を持たずに勝手に焼畑をして開拓したのか、企業的なフロンティア開発として企業が開発権を購入してアグリビジネスを実施しているのか。
写真はEarth Observatory World of Change: Amazon Deforestation引用。


画像(上):2000年,アマゾンの熱帯林と農地:
写真はEarth Observatory World of Change: Amazon Deforestation引用。


画像(上):2012年,アマゾンの熱帯林減少と農地の拡大:
2001年と比較して、熱帯林が幾何学的に切り開かれ、農場が計画的に拡張されている。これは、貧困者が財産権を持たずに勝手に焼畑をして開拓したのか、企業的なフロンティア開発として企業が開発権を購入してアグリビジネスを実施しているのか。
写真はEarth Observatory World of Change: Amazon Deforestation引用。

Tracking Amazon Deforestation from Above 2001-2013年,ブラジル、ボリビアなどのアマゾンの人工衛星から観測された熱帯林の変容
:Making Sense of Amazon Deforestation Patterns.


Virtual Lecture Series鳥飼行博研究室写真館やVirtual Classバーチャルクラス掲示もご覧ください。


「森林破壊」講義コンテンツ

Environmental Cooperation



プランテーション・ウォッチ「責任ある原料調達を目指す」は、「熱帯プランテーションとは」において、アマゾン脅かすブラジル大統領(The Economist)」と題した記事で次のように述べて「環境保護策をブラジルと貿易する条件にすべき」であると主張している。

プランテーションとは、熱帯・亜熱帯地域で単一作物の栽培を行う大規模農園のことです。栽培する作物としては、古くから代表的なものとしてサトウキビ、バナナ、カカオ、コーヒー、茶、天然ゴム、綿などが、また、近年ではパーム油の原料となるアブラヤシや紙パルプ原料としてのアカシア、ユーカリなどがあります。

プランテーションの特徴は、熱帯・亜熱帯の気候と生産性の高さを活かして、広大な農地に大量の資本を投下し、安価な労働力を用いて換金作物を集約的に生産することであり、土地と労働力の確保、国際市場へのアクセスなどが必要となります。プランテーション型の農園経営は、植民地時代に効率的な生産を進めるために西欧諸国から持ち込まれました。つまり帝国主義下での奴隷労働や土地収奪と深く結びついた経営手法と言えます。現代では東南アジアの植民地は独立し、奴隷制もありませんが、プランテーション型経営は資本力を持つ民間企業や政府系開発機関を中心的な担い手として今も続いており、途上国経済を支える主要産業として政府によっても保護・推進されています。

プランテーションは輸出向け作物を低コストで大量生産することで、生産国の経済を支えるという一面を持っています。しかし、生産地では大規模な土地転換による森林減少や、単一作物の大規模栽培のための農薬・化学肥料使用に伴う水質汚染、土壌侵食などの環境問題、さらには多国籍企業等への土地の集中、自作農の減少や小作農・土地なし農民の増加、移住労働者等の労働問題など、様々な問題を生み出しています。

アブラヤシは収穫後24時間以内の搾油が必要であり、広大な農地と搾油工場が求められるため、その農園面積は数千から数万ヘクタールと大規模になるという特徴があります。また主にインドネシアで拡大している紙パルプ向けアカシア・ユーカリなどのプランテーションも、効率化のために広大な土地を植林地に転換しています。 これらの急速かつ大規模なプランテーション開発は熱帯林の消失と結びついています。インドネシアやマレーシアの熱帯林は、オランウータンやスマトラトラを含む絶滅危惧種の生息地であり、世界有数の生物多様性の宝庫ですが、プランテーション開発が貴重な動植物の絶滅・生物多様性の喪失を招いています。

また、熱帯には膨大な量の温室効果ガスを貯蔵している泥炭湿地林と呼ばれる森があります。低地の湿地帯にあるこうした森林には、枯死した樹木や落ち葉などが水中に堆積したまま分解されずに泥炭として蓄積しているためその開発は大量の二酸化炭素・メタンガスを放出し、気候変動を加速させるうえ、開発によって乾燥した泥炭は深刻な森林火災をも招く可能性があります。インドネシアの温室効果ガス排出量は世界15位とされていましたが、森林減少・劣化および泥炭地の分解による排出量を含むと、中国・米国に次ぐ世界第3位の排出国になることを、2010年にインドネシア政府自らが認めています。また、プランテーションでは農薬や化学肥料を多用するため、水質・土壌汚染の問題が生じることが多く、製紙・搾油工場からの排水による河川の生態系への影響も報告されています。(プランテーション・ウォッチ/引用終わり)

開発途上国政府は、保有する公有林において、用材生産をし、土地を改編して農地を拡大している。林道を拡張し、新たに入植した大企業は、大規模経営の農地、プランテーションによって、バイオ燃料となる大豆生産、パーム油の生産、牧畜による肉牛生産を始めるが、これは輸出にも繋がるアグリビジネスである。熱帯林の繁る土地を、経済的に収益を上げることのできる農地に改変して、アグリビジネスを展開しているのである。これは、熱帯林を市場に内部化し、商品として販売すること同じ意味を持っている。

地球市民が、森林の持つ重要な意義を理解していても、その外部経済のフリーライダーである以上、森林の持ち主や利用者が、熱帯林を市場化し商業取引の対象にしたり、経済的に利用したりするのは、当然であるといえる。

森林の多面的機能は、木材生産機能や土地利用によるビジネス以外、外部経済あるいは公共財的性格であり、森林保有者になんら金銭収益をもたらすわけではない。多くのビジネスマンも地球市民も、外部経済のフリーライダーであるという環境意識を欠いている。そこで、ブラジル、マレーシア、インドネシアのような開発途上国政府は、先進工業国の企業とも提携し、外資も導入して広大な熱帯林を企業的フロンティア開発の対象としているのである。これは、先進工業国の政府開発援助(ODA)や都市銀行の融資を受けて展開される国際的な巨大ビジネスでもある。

国連農業機関(FAO:Food and Agriculture Organization)の公表している統計データからみれば、開発途上国における用材生産は、薪炭生産よりも少ないとして、貧困者の薪炭生産が熱帯林を破壊していると批判されている。同様に、貧困者が農地を確保しようとして熱帯林を燃やして焼畑をしている、これが宇宙から観測されるので、焼畑が熱帯林減少の要因であるとされている。

地域コミュニティに住む貧困者は、森林が持つ外部経済、公共財の特徴を重視しており、これは人類が有史以来利用してきた伝統的エネルギーであるバイオマスをはじめ、現代のグリーン経済とも関係している環境調和型の森林利用である。森にすむ貧困者は、薪炭などバイオマスエネルギーに依存する調理を行っているのであり、彼らが、熱帯林を伐採しつくしたり、燃やし尽くしてしまうことはない。

貧困者は、焼畑をしているとしても、森林伐採の権利、土地利用・保有に関する権利を有しているわけではない。開発独裁の傾向の強い新興国や経済成長を重視する開発途上国政府は、貧困者のために、国有地、州有地など公有地の森林を無償提供するようなことはしない。公有林の森林伐採権、資源採掘権、土地利用権、営農の権利を外資を含む大企業に売却して、収益を上げる、すなわち熱帯林を市場化することに関心がある。貧困者のために農地を提供することはあっても、それは選挙や国際世論向けのプロパガンダである場合が多いと思われる。

熱帯林の所有権、農地の利用権を議論することなしに、企業的フロンティア開発による熱帯林減少の問題を理解することはできない。宇宙からの上から目線で熱帯林の減少を分析するだけでは、現地の実態を把握できないと思われる。

鳥飼行博研究室の左バナー・ボタン公開論文の中ほど国立情報学研究所 鳥飼行博 掲載論文一覧「熱帯林減少とその適正管理--地域コミュニティによる住民参加型の森林保全」を熟読し、貧困者による違法な焼畑や開墾よりも、用材生産や企業的フロンティア開発などカネ・モノ・ヒト・ワザが森林伐採に大きな影響を与えている実態を再検討してもらいたい。

「森林破壊」課題サンプル

Report writing

<レポート課題サンプル>

講義コンテンツと鳥飼行博研究室の左側にある研究業績の『開発と環境の経済学―人間開発論の視点から』「第9章 地球環境問題」を引用しながら、焼畑や農地拡大が森林伐採にどのように繋がるかを考察しなさい。その際、貧困者と大企業を対比させ、財産権に注目して、鳥飼研究室左バナー「アジア写真集」所蔵の
(中段)熱帯林の衛星映像 Deforestation
にリンクし、掲載の写真から判読できる点にも言及すること。(先週の課題)
また、鳥飼行博研究室の左バナー・ボタン研究業績の中ほど紀要論文「熱帯林減少とその適正管理--地域コミュニティによる住民参加型の森林保全」を引用しながら、熱帯林の減少の要因とその保全の方法をまとめなさい。
1)先週・今週と来週の課題のまとめレポートをワード(Word)で作成、添付ファイルとしてレポート提出機能で送信。
2)文字数は、1200文字以上3200文字以下の予定。他サイトの引用は不可。
3)まとめレポート本文には,ふさわしい題名,学番,学生氏名を明記。
上記は課題サンプルなので提出には及びません。

東海大学教養学部人間環境学科社会環境課程

TorikaiLab, Tokai University

大学での講義「環境政策I/II」「開発経済学」「環境協力論」は、持続可能な開発を、開発途上国、地域コミュニティの視点も含めて、経済学的に分析する授業です。俗説とは異なる議論を展開し、批判的検討能力を身につけます。

当研究室へのご訪問ありがとうございます。論文,データ,写真等を引用する際は,URLなど出所を記載してください。ご意見,ご質問をお寄せ下さる時には,ご氏名,ご所属,ご連絡先を明記してくださいますようお願い申し上げます。

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東海大学教養学部人間環境学科社会環境課程
鳥飼 行博 TORIKAI Yukihiro
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