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◆焼畑/農地拡大に起因する熱帯林破壊

画像(上):世界の森林減少:潜在的に森林に覆われていた面積(みどり)と森林減少面積(きいろ)
Global tree density - now and what could be (current forests are green, potential forests are yellow)
写真はData from: Towards a worldwide wood economics spectrum File:Deforestation in Borneo.jpg 引用。


画像(上):200年と2017年,インドネシア・マレーシアにまたがるカリマンタン島(ボルネオ島)の熱帯林面積の比較:
Borneo - When people talk about deforestation in Indonesia and Malaysia, palm oil often gets the blame. Demand for the versatile vegetable oil is high worldwide, and the two Asian countries together produce 87% of global supply.
New maps of Borneo reveals expansion of industrial oil palm and pulpwood plantations (black) and forest loss (green to another color) every year since year 2000 until 2017. Green to white= forest loss, green to black= forest cleared and converted to plantations in the same year, green to blue= forest permanently flooded by hydropower dams (see in the state of Sarawak, Malaysia).
写真は Is deforestation in Borneo slowing down?:New maps reveal the truth about plantations File:Operação Onda Verde, 2014 (29310847581).jpg引用。

Tracking Amazon Deforestation from Above 2001ー2019 年,ブラジル、ボリビアなどのアマゾンの人工衛星から観測された熱帯林の変容
:Making Sense of Amazon Deforestation Patterns.


Virtual Lecture Series鳥飼行博研究室写真館やVirtual Classバーチャルクラス掲示もご覧ください。


「森林破壊」講義コンテンツ

Environmental Cooperation



森林には、次のような多面的機能がある。
1)木材生産機能
2)生物多様性保全機能
3)CO2貯蔵による地球温暖化抑制機能
4)保水機能・土壌保全機能
5)無償の再生可能エネルギー供給・生物・林産物の供給機能

日本経済新聞は、「Tracking Amazon Deforestation from Aboveアマゾン脅かすブラジル大統領(The Economist)」と題した記事で次のように述べて「環境保護策をブラジルと貿易する条件にすべき」であると主張している。

人類揺籃(ようらん)の地は樹木もまばらなアフリカの草原地帯サバンナだったが、ヒトは長い間森林から食料や燃料、木材から崇高な霊感までも得てきた。今も森林は世界の15億人にとって生活の糧であり、大小の生態系を維持している。それ以外の62億人にとっては脆弱で軋んでいるとはいえ、気候変動から自分たちを守ってくれるバッファー的存在だ。

だが干ばつや森林火災、人間が引き起こした様々な変化が伐採によるダメージに追い打ちをかけている。世界の森林バイオマスの半分を占める熱帯地域では、樹木被覆地の減少するスピードが2015年以降60%加速している。熱帯雨林のこの減少分を一つの国にたとえると、二酸化炭素排出量で中国と米国に次ぐ世界3位となる。

アマゾンは、水資源の多くが循環している点で他の森林と異なる。熱帯雨林が縮小すれば再生、循環する水も減る。そのためどこかの段階で、つまり今後何十年かで、その水を再生する力が弱まれば、森林は一層縮小していくという悪循環に陥ることになる。

気候変動で森林の気温は上昇しており、臨界点は年々近づいている。ボルソナロ氏は、事態を限界へと押しやっている。悲観主義者らは熱帯雨林がさらに3〜8%消滅すれば(同氏の下では近いうちに起こり得る)、制御不可能な森林破壊のサイクルが始まると恐れている。彼らが正しいかもしれないと示す兆候がある。アマゾンは過去15年で3度の深刻な干ばつに見舞われ、森林火災も増えている。

こうした理由から、世界はボルソナロ氏の破壊行為を許容しないと明確に伝える必要がある。消費者の圧力を受ける食品企業は2000年代半ばにしたように、違法伐採されたアマゾンの土地で生産された大豆や牛肉を拒絶すべきだし、ブラジルの貿易相手は同国の環境保護対策を協定の条件にすべきだ。6月にブラジルを最大のメンバーとする南米4カ国が加盟する関税同盟、南部共同市場(メルコスル)がEU(欧州連合)と政治合意した自由貿易協定(FTA)には熱帯雨林の保護に関する条項が含まれている。この条項の履行は双方にとり極めて大きな利益となる。

もしボルソナロ氏の熱帯雨林破壊作戦にいい面があるとすれば、それはもはやアマゾンの窮状を無視できなくしたことだろう。それは外部の人間にとってだけではない。ブラジルの農相は同氏にパリ協定に留まるよう求めている。野放しの森林破壊が外国によるブラジルの農産品のボイコットにつながれば、最終的に被害を受けるのは同国の農家だ。一般市民も大統領に方針転換するよう圧力をかけるべきだ。 (2019 The Economist Newspaper Limited. August 3, 2019 )https://www.nikkei.com/article/DGXMZO48215810V00C19A8TCR000/引用終わり。

しかし、アマゾンにある熱帯林の持つ多面的機能を理解している先進工業国の市民は、その保全のために何もしていないフリーライダーである。森林の多面的機能は、木材生産機能以外の2)以降の機能は外部経済あるいは公共財的性格であり、森林保有者になんら金銭収益をもたらすわけではない。多くのビジネスマンは、外部経済のフリーライダーであるという環境意識を欠いている。そこで、ブラジル政府は、保有する熱帯林で用材生産をして外貨を稼いだり、農地化してバイオ燃料となる大豆生産を開始したりして、熱帯林の繁る土地を経済的に活用する動きを示しているのである。森林に勝手に農地を快諾できるなら、貧困者が焼畑を始めるのかもしれない。 地球市民が、森林の持つ重要な意義を理解していても、その外部経済のフリーライダーである以上、森林の持ち主や利用者が、熱帯林を市場化し商業取引の対象にしたり、経済的に利用したりするのは、当然であるといえる。

木材伐採跡地でもよいが、熱帯林を伐採して農地にすることは、気候、降雨、土壌の条件を満たしている。樹木が成長するところ、農作物も栽培できるからである。

国連農業機関(FAO:Food and Agriculture Organization)の公表している統計データからみれば、開発途上国における用材生産は、薪炭生産よりも少ないとして、貧困者の薪炭生産が熱帯林を破壊していると批判されている。同様に、貧困者が農地を確保しようとして熱帯林を燃やして焼畑をしている、これが宇宙から観測されるので、焼畑が熱帯林減少の要因であるとされている。

1)森林が持つ外部経済、公共財の特徴は、実はローカルな視点で地域コミュニティの森林利用、地域コミュニティのグリーン経済と住民の関係が重要になる。森にすむ貧困者も、薪炭などバイオマスエネルギーに依存する調理を行っていると考えられる。彼らが、熱帯林を燃やし尽くしてしまうのであろうか。

2)貧困者は、焼畑をしているとしても、森林伐採の権利、土地利用・保有に関する権利を有しているわけではない。民主主義を重んじ、人権保護に配慮する開発途上国政府は、貧困者のために、彼らが国有地、州有地など公有地の森林を開拓し、農地にすることを自由に認めているのであろうか。

熱帯林の所有権、農地の利用権を議論することなしに、貧しい無学なものが勝手に焼畑をしているという科学者や経済学者は、現地の実態を把握しきれていない。宇宙からの上から目線に終始していては、焼畑の実態は理解できないのである。

鳥飼行博研究室の左バナー・ボタン公開論文の中ほど単著『開発と環境の経済学―人間開発論の視点から』東海大学出版会 「第9章 地球環境問題」を熟読し、焼畑や農地拡大が森林伐採にどのように繋がるかを再検討してもらいたい。

「森林破壊」課題サンプル

Report writing

<レポート課題サンプル>

講義コンテンツと鳥飼行博研究室の左側にある研究業績の『開発と環境の経済学―人間開発論の視点から』「第9章 地球環境問題」を引用しながら、焼畑や農地拡大が森林伐採にどのように繋がるかを再検討しなさい。その際、貧困者と大企業を対比させ、財産権に注目して、鳥飼研究室左バナー「アジア写真集」所蔵の
(中段)熱帯林の衛星映像 Deforestation
にリンクし、掲載の写真から判読できる点にも言及すること。

1)今週と次週以降の課題のまとめレポートをワード(Word)で作成、添付ファイルとしてmanabaレポート提出機能で送信。
2)文字数は、1000文字以上2500文字以下の予定。他サイトの引用は不可。
3)まとめレポート本文には,ふさわしい題名,学番,学生氏名を明記。
上記は課題サンプルなので提出には及びません。

東海大学教養学部人間環境学科社会環境課程

TorikaiLab, Tokai University

大学での講義「環境政策I/II」「開発経済学」「環境協力論」は、持続可能な開発を、開発途上国、地域コミュニティの視点も含めて、経済学的に分析する授業です。俗説とは異なる議論を展開し、批判的検討能力を身につけます。

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鳥飼 行博 TORIKAI Yukihiro
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