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◆人間学1:第一次世界大戦における国家総動員と総力戦


第一次大戦のイギリス、動員された女子労働者:造船所でスクリューを取り付ける(左)。男が兵士として重用され,志願兵として応募していなくなったので,石炭運びも女性が担う(中央)。さらに,航空機整備にも女子が動員された。写真は、イギリス帝国戦争博物館(Imperial War Museum)引用。


第一次大戦のイギリス、動員された女子労働者:砲弾(Shell)製造工場でも,タイヤ工場でも女性が働く(左と中央)。女性の社会進出がはじまり,戦後の参政権獲得にいたる。兵員移動用の列車の清掃作業(右)写真は、イギリス帝国戦争博物館(Imperial War Museum)引用。


第一次大戦のイギリス、動員された女子労働者:病院では,看護,配膳,清掃などで,女性がもともと多かった。ガスマスクをつけた赤ちゃんの保育をする。こんな不便なマスクを大量生産して資源を消費したのか?普及したようにみせ,安心感を買うための政府の宣伝写真? また,家庭で部品作り(右)を請け負う女性もたくさんいた。写真は、イギリス帝国戦争博物館(Imperial War Museum)引用。


第一次大戦のイギリス、動員された女子労働者:牛乳配達。女性の仕事に向いていると思われるが,ガラス瓶入りの牛乳は重たい(WW2)。また,幼児への教育,保育も女性の仕事として当然と思われるかもしれない。しかし,育児は家庭で,女性は家内・専業主婦だった時代に、母親が子供を預けて、工場や事務所で働くことは、それが男性中心社会社会的に認知されただけでも大変なことだった。写真は、イギリス帝国戦争博物館(Imperial War Museum)引用。

◆ジェンダーとは、社会的な男女の役割の格差のことであるが、20世紀初頭、ジェンダー格差があり、女性が差別されていた時代だった。しかし、国家財政を動じた総力戦の下で、男性労働者が兵士として動員されたため、女性の社会進出が求められた。これが、女子の戦時動員である。

鳥飼担当 「人間学1」の課題

Word War Mobilization



BBC(1964) The Great War ザ・グレート・ウォー (日本語字幕) 1/26(2014/08/031公開)


高校時代に、世界史を習った学生なら第一次大戦なら、概ね習ったことがあろう。第一次戦争のきっかけが、オーストリア皇太子の暗殺事件だった、大戦に負けたドイツは、ヴェルサイユ条約の頸木の下に置かれなどいくつもトピックスを憶えているかもしれない。

NHK「映像の世紀デジタルリマスター版」 第2集「大量殺戮(りく)の完成」 を無料視聴すること。本バーチャルレクチャー埋め込みのその他の映像は、視聴したほうがいいが、できない状態になっていたとしても、特に問題ありません。

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「人間学1」必見視聴の動画映像:映像の世紀 デジタルリマスター版 第2集「大量殺戮(りく)の完成」

世界の5分の4を植民地としていたヨーロッパの強国たちの勢力争いが火を噴いた。「ロマンにあふれた遠足」⋯半世紀間戦いのなかった欧州で、若者たちは戦争に行けるのを喜んでいた!? 最初は誰もが数週間で終わると思っていたが、塹壕の兵士たちを待っていたのは⋯。若き日のヒトラーやマッカーサー、チャップリンの姿も。

高校時代に、世界史を習った学生なら第一次大戦なら、概ね習ったことがあろう。第一次戦争のきっかけが、オーストリア皇太子の暗殺事件だった、大戦に負けたドイツは、ヴェルサイユ条約の頸木の下に置かれなどいくつもトピックスを憶えているかもしれない。

しかし,財政学の授業で扱うのは、戦争の時系列経緯だけではなく、総力戦となった世界戦争が、最前線の兵士・戦闘員と後方の街や田舎に住む市民や労働者・農民とが、みな戦争に参加したことである。そのために国家財政の過半が投入され、国債が大量に発行され、借金漬けになった。大量の兵士たちが志願したが、それだけでは足りず、工場労働者も農民も兵士となることが要請された。商店や交通機関で働くサービス業に従事する人々も戦闘員として徴兵され、前線に送られた。長期戦になると、後方の工場、農場、商店、交通機関でも人手不足が深刻になり、それまで家庭にいた女性、母親、娘が工場労働者、農業従事者、サービス業で働くこととなった。さらに、火器、戦車、艦船から軍服、食料、燃料まで戦争に必要な物資、資源エネルギーは戦闘に投入されなければならず、市民の消費にまわされる物資、資源エネルギーは減少した。したがって、物資増産のために、食料、鉄鉱石、石炭、石油など大量に必要となった。それ運搬するための船舶も必要になった。


ナショナルジオグラフィック】黙示録:カラーで見る第一次世界大戦 (2020/06/05 公開)Apocalypse WWI / Part 2 of 5 "Fear"
「立ち込める暗雲 (原題: Fury) 」 「戦火の拡大 (原題: Fear) 」 「終わりなき地獄 (原題: Hell) 」「募る怒り (原題: Rage) 」 「悪夢からの解放 (原題: Deliverance) 」
「世界の多くの国が参戦した第一次世界大戦は本当に避けられなかったのか? 後に起こる第二次世界大戦との関係は? 本シリーズでは300時間を超える貴重な記録映像を手がかりにして、こうした疑問に答えを見いだしていく。映像に出てくるのは有名な政治家や戦場の兵士ばかりではない。市民も食料生産者として、女子も兵士に出征した男子の代わりの労働者として戦争に協力した

こうして、戦争が総力戦となると、そのための国家予算は膨張したが、シワ寄せは、戦争に直接かかわらない部分に及んでくる。学校では、男性教師が兵士となり、兵器工場に送られた。女性教師が増やされたが、子供たちへの教育よりも、戦争に国家予算が回された。老人や障害者は、戦争には役に立たない。それどころか、自立が困難な老人・障害者対する財政支出を賄うには、軍事予算を減らさなければならなくなる。まさに、老人も障害者も無駄飯ぐらいと同じく、戦争遂行制約になる。したがって、福祉予算が減らされた。戦争は、大量の人員(兵士、労働者)、物資、資源エネルギーを動員して、前線も後方もすべて戦争に巻き込まれることになった。そのため、国家財政は戦争を遂行するために膨張したが、教育や福祉など戦争にすぐには役に立たない分野への財政支出は削減された。


Apocalypse WWI / Part 3 of 5 "Hell" (2018/06/09 公開)
世界大戦は、国家財政を大規模に投入して開発・量産された大量の兵器、大動員された兵士、工場に働きに行くことを半ば強要された女子労働者など国家が持てる資源エネルギー、物資、人材、テクノロジーを総動員した国家的大事業として始められた。戦争には、モノ、カネ、ヒト、ワザが必要であり、財政負担なしに総力戦を戦うことはできないのである。

日本は、1894年の日清戦争、1904年の日露戦争、1914年の第一次世界大戦で勝利し、文明国・列国・一等国という大国意識を持ち始めた。戦争に勝利し勝ち組になった日本人は、大和民族が優秀であることを、優生学が科学的に示しているように錯覚した。広大で大人口を擁するインド植民地を支配する大英帝国イギリスを見習って、日本は、1889年(明治22年)にの大日本帝国憲法を発布し、「大日本帝国」という国名を使用するようになった。このような帝国主義の時代、個人や家族より国家を大切にし、国力を重視する富国強兵が人々の規範になった。こうして、帝国主義の下で、国家財政が、教育・世論形成、衛生・医療、国力・国防の分野に投下されて、
1)優生学に基づく優秀な人種・民族という驕り、
2)健康な国民(兵士・労働者)育成による富国強兵、
3)国力増強に役に立たない劣等人種・民族の排除・差別、
が助長されるようになった。

鳥飼行博研究室左バナーボタン「アジア写真集」左列中ほどにある website「日本優生学のハンセン病隔離 Hansen's disease」から、日本政府が、どのようにハンセン病患者と元患者を差別し、その人権を侵害し続けたのかを、差別の根拠となった1907年の癩予防に関する件、1929年の無癩県運動、1931年の癩予防法、1953年のらい予防法の流れの中で考えてきた。そして、このような差別政策と人権侵害が、国家財政に支えられて遂行されてきた背景に、帝国主義の下における似非科学優生学の興隆があったことを指摘した。

そして、優生学的発想が生まれてた時代背景に、20世紀初頭に膨張してきた帝国主義があり、それが国家間の植民地争奪戦、勢力圏の争いなど国際的対立を深刻にさせ、世界規模の大戦争にまで引き起こすことになった。鳥飼行博著『写真・ポスターから学ぶ戦争の百年―二十世紀初頭から現在まで』青弓社「第1章 二十世紀初頭の戦争」(pp.32-61)では、アフリカ分割、半植民地化された中国、アメリカの遠征軍派兵、満州・朝鮮半島における日本とロシアの対立などの帝国主義の植民地支配を引用しつつ、人種民族差別が始まった時代背景の帝国主義を考察したが、帝国主義を奉じて、国家財政を投入して富国強兵を進めてきた国家が相互に対立し、1914年には第一次世界戦争を引き起こしてしまったのである。

1914年に勃発した第一次世界戦争は、最前線の兵士と兵士の激突だけではなく、後方における資源エネルギー、兵器・食料など物資の生産の生産、流通・輸送、それに必要な兵士・労働者の調達など、国家総力戦として戦われた。国家は、もてる人材、資源エネルギー、物資、技術、世論を総動員して、世界大戦を戦った。

20世紀初めの国家総力戦となった第一次世界大戦を,拙著『写真・ポスターから学ぶ戦争の百年』「第2章 第一次世界大戦前半」(pp.62-80)を参照しながら、国家財政の役割を、20世紀初めの帝国主義、国家総力戦のより大きな枠組み(フレームワーク)の中で、考えてもらいたい。

Virtual Lecture Series鳥飼行博研究室アジア写真集やVirtual Classバーチャルクラス掲示もご覧ください。

鳥飼担当 「人間学1」課題サンプル

Report Writing

20世紀初頭に膨張してきた帝国主義は、国家間の植民地争奪戦、勢力圏の争いなど国際的対立を深刻化させた。そして、第一次世界大戦という人類史上最大級の戦争を引き起こしてしまった。鳥飼行博著『写真・ポスターから学ぶ戦争の百年―二十世紀初頭から現在まで』青弓社「第2章 第一次世界大戦前半」(pp.62-80)を参照しながら、第一次世界大戦が勃発する契機となったバルカン半島での国際対立から、大英帝国における兵士の動員、国家財政を投じて開発された兵器、女性の動員など、国家総力戦における動員について、具体的に考えなさい。

1)「課題レポート」をワード(word)で作成、ふさわしい題名,学番,学生氏名を明記。
2)レポートの文字数は、1000文字以上、2400文字以下。他サイトの引用は不可。
3)このレポート課題はサンプルなので提出には及びません。実際の課題レポートは、授業支援システム(OpenLMS)に掲載。

東海大学教養学部

TorikaiLab, Tokai University



教養学部の「人間学1」では、戦争を続けてきた20世紀をグローバルな北東アジア環境共生の観点から、多角的な視点で扱う授業です。

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東海大学教養学部人間環境学科社会環境課程
鳥飼 行博 TORIKAI Yukihiro
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