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◆世界市場・国際貿易と工業化の繋がり;

産業革命(Industrial Revolution)とは、18世紀にイギリスで、インドからの綿花の輸入による綿工業が発達し、手工業から機械化が進み、動力源も水車・風車という自然エネルギーから、石炭火力による蒸気機関が発明、普及した。こうして、エネルギー革命に伴ない工業生産力が増大し、手工業に基づく綿工業のような軽工業だけでなく、工場制機械工業に基づく金属・機械など重工業も発展した。輸送機関も、蒸気船、鉄道が大量輸送が可能となる交通革命をもたらし、それが資源・流通・商品市場の興隆をもたらした。このような一連の工業化の進展が、産業革命である。

 そして、産業革命の下で、資本家と労働者という社会的階級・階層が生まれ、資本主義が興隆し、階層間・地域間・国家間の格差が顕在化するようになった。

「マクロ経済学」講義コンテンツ1

Commoditization



古代から対面取引がなされていた本源的市場の「いちば」では、コメ、果物、塩、砂糖、調理油など食料が扱われることが多い。そこで、工業化される以前の商品として、一次産品を考えてみよう。現代では、一次産品が金融商品化され、先物取引など投資家の投機対象ともなっているが、ここでは前段階として、一次産品が原料・材料として用いられ、工業製品とした新たな商品に生まれ変わる点を考察する。

一次産品の「一次」とは、自然にとれる・採掘できるもので、商品の材料・製品の原料になるような農業・工業関連の産品であり、製品とは異なる。具体的な一次産品とは、農産物、鉱産物、天然資源、原料、燃料など、加工されていない原材料で産出される「産品」である。鉱産物・天然資源には、石油、天然ガス、金・銀・銅、鉄鉱石、ボーキサイト、レアメタル、ダイヤモンド・ルビー・エメラルドのような宝石もある。農産物には、コメ。果実、パーム油、天然ゴム、コーヒー、綿花、麻(ジュート)、籐(とう)などがある。

例えば、先進工業国・成熟社会と開発途上国・途上社会を比較したが、この区別は国民一人当たり所得の高低、工業化の進展具合に関連している。現代のグローバル化、貿易・投資の拡張、労働市場の歪み、移民増加による労働市場の構造変化なども、この一次産品ンお製品化という工業化の過程を抜きに語ることはできない。そして、所得分配の不平等、国際的な独占資本、排外的な一国主義といった現象も、工業化が進展・変化する過程で生じてきた。20世紀末に盛り上がったグローバル化は、2018年末に環太平洋パートナーシップ協定(Trans-Pacific Partnership Agreement: TPP)の発効に結び付いたが、相手国が不公正な貿易を行っているといった貿易摩擦・貿易紛争が起き、これが普及しないままであるのも、工業化の問題であるといえるかもしれない。

市場には、フローの所得だけでなく、ストック資産(富)についても、分配が公正である保証されない。この点は、既に述べたが、工業化とは、毎年どれだけの製品を生む出すかというフローの問題と、製品を生み出すためにどれほどの設備・機械・用地、すなわち資本が備わっているかというストックの問題でもある。先進工業国が豊かな成熟社会にあるのは、所得や生産量・消費量だけではなく、国のストック、すなわち「国富」が蓄積されていることを意味する。しかし、この資本形成を可能にするには、どのような方策があるか、となればこれが工業化ということになる。

「経済学」講義コンテンツ2

Industrialization



市場を中核とする経済活動を謳歌する資本主義は、産業革命以来、現在まで続いている。この根幹にあるのが、市場を通じた工業化の進展である。そこで、どのようにしたら、一次産品だけの社会から、工業製品を生み出せるのか、工業化戦略を考えてみたい。

もしも、自国では一次産品しか産出できないとしても、外国から機械設備を購入して、工業化できるかもしれない。つまり、資本を輸入すればよいのだが、そのための支払いはどうするか。自国では一次産品しか生み出せないので、その通貨は国際通貨ではない。換言すれば、国際取引で自国の通貨は扱われないので、外国から資本を輸入するのに、自国通貨での支払いはできない。したがって、外国から資本を輸入するには、国際通貨、すなわち外貨が必要である。そこで、外貨を獲得するために、自国で産出する一次産品を外国に輸出し、国際通貨で支払いを受ければよい。これが、一次産品輸出による工業化である。

一次産品しか生み出せない国でも、富裕層は外国製工業製品を輸入し消費している。そこで、外国から工業製品を輸入禁止して、そのかわりに、国産の工業製品を購入させればよい。そのためには、国家が市場に介入して、自由貿易をやめて、輸入制限、高関税の措置を採用する保護貿易をすることであり、民間で資本が用意できない以上、国家が変わって資本を提供する国営企業を起こして、工業化するのである。これが、輸入代替工業化である。

輸入代替と反対に、先進工業国から工業を担っている企業に自国に来てもらい、工場を建ててもらって工業化することもできる。これは、外資(外国資本)を誘致して、資本形成をするもので、製造した商品は、自国内・自国国民向けに販売しても、国際通貨支払いができないから、外資としては、製品を輸出に向けることになる。ここで、外資を誘致するには、税金を軽減する、用地を無料提供する、電気・水から労働者まで提供するといった特典が必要である。しかし、外資を誘致すれば、外貨が入手でき、雇用も増加する。これが、輸出指向工業化である。

市場で売り手(供給者)と買い手(需要者)が取引をする市場が国際的になった時、それを貿易という。輸出・輸入も国内取引の延長線上にあるが、商品と貨幣が交換される際に、外貨という通貨の問題が出てくるのが面白い。そして、一次産品を製品化する工業化、産業革命は、市場とどのように関わってくるのかを考察してもらいたい。

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鳥飼担当「経済学」の課題

Report writing

<レポート課題サンプル>

講義コンテンツとテキスト『開発と環境の経済学―人間開発論の視点から』「第4章 工業化戦略」を引用しながら、一次産品輸出、輸入代替、輸出指向工業化という原材料を製品化する工業化戦略、産業革命の端緒について、その方法と問題点を説明しなさい。

1)「まとめレポート」をワード(word)で作成、ふさわしい題名,学番,学生氏名を明記。
2)まとめレポートの文字数は、1000文字以上、2400文字以下。他サイトの引用は不可。
3)このレポート課題はサンプルなので提出には及びません。実際の課題レポートは、授業支援システム(OpenLMS)に掲載。

東海大学教養学部人間環境学科社会環境課程

TorikaiLab, Tokai University

大学での講義「ミクロ経済学」「マクロ経済学」は、持続可能な開発を、グローバルとローカルの双方の視点で、成熟社会、開発途上国、地域コミュニティを、経済学的に分析する授業です。現実的な問題を扱いながら、経済理論とその論理的展開を可能にする能力、批判的検討能力を身につけるのが目標です。

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