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◆「開発経済学」:農業の雇用吸収力と土地なし労働者



写真(上)2004年,中国南部、貴州省黎平県、傾斜地もつくられた畑における堆肥の散布。貴州省の面積は18万平方キロで日本の半分、2010年人口は4000万人、省内生産(GDP)は4550億元(全国26位)、1人当たりGDPは1万2000元と全国最下位の31位。筆者撮影。

傾斜地の小規模農業は、労働集約的技術(labor-intensive industry)を用いが、化学肥料、農薬など、灌漑用水路などほとんど使用されていない。肥料は、家畜や人間の糞をもちいたバイオ肥料である。日本では「コンポスト肥料」のような呼び方もあり、新しい有機農法のように喧伝されている。しかし、昔からあった伝統的農業では、バイオマスを肥料とするのは常識だった。


写真(右)中国貴州省黎平県、傾斜地に作られた段々畑における蕪(カブ)の採取。労働集約的作業であり、化学肥料や農薬の投入は少なく、灌漑用水路も未整備であれば、労働生産性は低い。温暖化で、降水量が減少すれば、収穫は大きく減ってしまう。収穫減少に対して、貧困者と富裕な農家の受ける被害額がたとえ大差ないとしても、貧困者への負担・被害は、富裕な農家よりも大きい。筆者撮影。

カブ(ロウポウ)の収穫のような作業は、家事労働に依拠する農作業として、年配者も参加している。現代日本では「働く」という意味を、サラリーマンという外仕事、雇用の意味で使用するが、このような範囲に「仕事」限定すれば、老人は、労働力を提供しない「老齢従属人口」として、扶養対象としてのみ認識されてしまう。そこで、老人は社会保障の問題を引き起こす「厄介者」として厚生労働者は扱うのである。つまり、日本での「高齢者への認識」は、開発途上国も含まれるグローバルな少子高齢化問題には応用できない。

貧困者は、節約、もったいないの意識が高い貧困者は、少ないエネルギー利用で調理を済ませたい。これがエネルギー利用効率の向上である。山村、農村では、バイオマス・エネルギーが利用がとても盛んである。これは、日本の農村とは大違いである。環境意識がなくては環境保全できないという人は、グローバルな視点で、節約の意味する「意図せざる環境保全」の重要性に気付くべきであろう。この点は、拙著『開発と環境の経済学―人間開発論の視点から』東海大学出版部、での指摘したグローバルでかつローカルな視点である。



写真(右)2001年、タイ東北地方(イーサン)のチャイヤプーン県における除草作業に雇われた農業労働者。タイの東北地方は、2010年人口2130万人、面積12万平方キロ(日本の30%)、域内一人当たり生産額は全国平均の半分程度の国内最貧困地域。労働者は、お昼近く11:45ごろになる時間を気にし始めた。12時前に各自が持参した昼食を食べる。雇い主も,ご飯やおかずを労働者に振舞う。

 タイ東北地方に位置するチャイヤプーン県では、田植えをする水田の持ち主(自作農家)は1人のみで、残りは,田植え作業に雇われた農民(農業労働者)だった。具体的には、雇用農業労働者とは、農村に住む土地なし労働者や零細農家の家族員のこと。日当は当時100バーツ(350円)だった。 農村の共同作業ではなるが、賃金労働に近いので,このような農民を農業労働者あるいは土地なし労働者という。

◆「開発経済学」授業は、テキスト拙著『開発と環境の経済学―人間開発論の視点から』東海大学出版部が手元にあることが前提です。課題レポート作成に当たっても、他サイト引き写しはぺけです。テキストを参考に引用してください。

Virtual Lecture Series鳥飼行博研究室アジア写真集やVirtual Classバーチャルクラス掲示もご覧ください。

地球温暖化の原因と被害

Global Warming/Climate Change

開発途上国の農業は、貧困の源泉といってもよいが、これは「技術が遅れている」ためであるというのは、誤解である。耕地1ヘクタール当たりの穀物採算量は、開発途上国も先進工業国も大差はない。大きな格差があるのは、農業就業者1人当たりの穀物生産量、労働生産性である。開発途上国では狭い耕地にたくさんの人々が働いている。農業に従事する人々を農民といってしまうと、その中には、自分の耕地を所有する自作農、借りた耕地を保有する小作農、耕地を保有しない土地なし労働者に三分類できる。

この土地なり労働者は、農家(自作農あるいは小作農)に雇用されて、農作業の一部を担当して、日当をもらっている。雇用主が、大地主や農園主の場合は、「プランテーション」で働く農業労働者もいるが、開発途上国の農村では、それ以上に、小規模な自営農家(多くは自作農だが、小作農のこともある)が、土地なし労働者を雇用しているのである。

「開発経済学」課題レポートサンプル

Report writing

<課題サンプル1>

テキスト『開発と環境の経済学―人間開発論の視点から』「第3章 農業の雇用吸収力」を参照しながら、下記のサイトを引用して、土地なし労働者など農村における農業雇用労働の利用の実態を述べなさい。

但し、鳥飼研究室左バナーボタン「アジア写真集」(http://torikai.starfree.jp/photo/photos.html)所蔵
(左段)中国 貴州省の持続可能な農業 Sustainable Agriculture
(中段)タイの米作農村 Thai Ricefarmer
(右段)フィリピン 早乙女による田植え Rice Transplanting 2013
の3本を閲覧して、開発途上国の地域コミュニティ(農村)にあって、自営農業・農業労働・土地なし労働者がどのようものか、どのような仕事をしているか、について掲載写真のディテール(詳細な事情)を具体事例として引用し記述しなさい。

1)「まとめレポート」をワード(word)で作成、ふさわしい題名,学番,学生氏名を明記。
2)まとめレポートの文字数は、1000文字以上、2400文字以下。他サイトの引用は不可。
3)このレポート課題はサンプルなので提出には及びません。実際の課題レポートは、授業支援システム(OpenLMS)に掲載。


<課題準備サンプル2>
鳥飼研究室左バナー「研究業績」(http://torikai.starfree.jp/link/paper.html)所収>『アジア経済』ほか>
「フィリピン漁村の経済構造」 Economic Structure of Fishing Villages in the Philippines 『東南アジア研究』27巻4号
「フィリピン米作農村における危険分散とワーク・シェアリング」 Risk Spreading and Work Sharing in Philippine Rice-farming Communities 『東南アジア研究』27巻3号
の2本の論文をダウンロードして読んでください。次回の課題レポート作成の前提となります。

東海大学教養学部人間環境学科社会環境課程

TorikaiLab, Tokai University

大学での講義「ミクロ経済学」「開発経済学」「環境協力論」は、持続可能な開発を、開発途上国、地域コミュニティの視点も含めて、経済学的に分析する授業です。俗説とは異なる議論を展開し、批判的検討能力を身につけます。

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