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◆世界の少子高齢化:成長・ジェンダー平等化・女性の社会進出

保健省診療所
写真(上)2013年8月上旬、フィリピン、鳥飼ゼミ外国研修の一環として、マニラ首都圏ケソン市パヤタスの保健省ヘルスセンター、リサイクル施設、廃棄物最終処分場、NGO設置の子供図書館、給水所を訪問し聞き取り調査を行った。筆者撮影。

マニラ首都圏ケソン市

Recycle


 

ケソン市パヤタス診療所

 Health Center, Payatas 2013


ジープと診療所
写真1(右)2013年8月上旬、フィリピン、メトロマニラケソン市Quezon City)は人口200万人以上。

大規模な廃棄物最終処分場とスラム街のあるパヤタスもケソン市の一角であるが、このような保健省の管轄になる診療所(ヘルスケアケンター)がある。パヤタス通りには、トタン板に囲まれたジャンクショップ(屑屋)が並んでいる。

医師
写真2(右)マニラ首都圏ケソン市パヤタスの保健省診療所で、医師にお話を伺った鳥飼行博ゼミの学生たち。

ここには、ごみを回収するスカベンジャーやごみを分別収集する屑屋の家族も診療にやってくる。ケソン市リテックでは、カリトン(三輪荷車)物を運ぶ仕事をして駄賃を稼ぐお年寄りを見かけた。

赤ちゃん診断
写真(右)2013年8月上旬、フィリピン、マニラ首都圏Metro Manila)ケソン市パヤタスの診療所で、赤ちゃんの体重を計測中。

日本の厚生省の定めた男の子の平均体重と身長の基準は次の通り。
新生児 2.98kg 48.7?
生後1ヶ月〜2ヶ月未満 4.78kg 55.5?
生後2ヶ月〜3ヶ月 5.83kg 59.0?
生後3ヶ月〜4ヶ月 6.63kg 61.9?
生後4ヶ月〜5ヶ月 7.22kg 64.3?
生後5ヶ月〜6ヶ月 7.67kg 66.2?

赤ちゃん hspace=10
写真(右)2013年8月上旬、フィリピン、マニラ首都圏Metro Manila)東部、ケソン市パヤタスの保健省診療所で赤ちゃんの身長を計測中。

日本の厚生省の定めた男の子の平均体重と身長の基準は次の通り。
生後8ヶ月〜9ヶ月 8.53kg 70.6?
生後6ヶ月〜7ヶ月 8.01kg 67.9?
生後7ヶ月〜8ヶ月 8.30kg 69.3?
生後9ヶ月〜10ヶ月 8.73kg 71.8?
生後10ヶ月〜11ヶ月 8.91kg 72.9?
生後11ヶ月〜12ヶ月 9.09kg 73.9?


診療所
写真(右)2013年8月上旬、フィリピン、マニラ首都圏のケソン市Quezon City)パヤタスの診療所。

赤ちゃんは1年間で体重が約6kg増え、身長が約25cm伸びるなど成長が早いために、個人差も大きい。そこで、日本の厚生省の定めた女の子の平均体重と身長の平均基準よりも体重がちょっと多くても少なくても、大きな問題ではない。しかし、身長は平均値なのに体重が平均値を大幅に上回っている、逆に体重が少なすぎるという場合は、対策を考えることが必要となる。安心して受けられのが体重・身長の計測である。

身長計
写真(右)フィリピン Philippinesマニラ首都圏に位置するケソン市Quezon Cityの保健省診療所。児童の身長を計測。

日本の厚生省の定めた女の子の平均体重と身長の基準は次の通り。
新生児 2.91kg 48.3?
生後1ヶ月〜2ヶ月未満 4.46kg 54.5?
生後2ヶ月〜3ヶ月 5.42kg 57.8?
生後3ヶ月〜4ヶ月 6.16kg 60.6?
生後4ヶ月〜5ヶ月 6.73kg 62.9?
生後6ヶ月〜7ヶ月 7.52kg 66.4?
生後7ヶ月〜8ヶ月 7.79kg 67.9?
生後8ヶ月〜9ヶ月 8.01kg 69.1?
生後9ヶ月〜10ヶ月 8.20kg 70.3?
生後10ヶ月〜11ヶ月 8.37kg 71.3?
生後11ヶ月〜12ヶ月 8.54kg 72.3?

生後3ヵ月までの赤ちゃんは、1日に25〜30gずつ体重が増加していくのが目安とされている。1日の体重増加量が20gを下回るようであれば、赤ちゃんの成長に問題がある可能性もあるものの、赤ちゃんの体重管理に神経質になり過ぎなのは、逆効果であり誤りである。週1回程度、体重をチェックすることができれば、赤ちゃんの成長度合いを知ることができるので、便利である。

身長
写真(右)2013年8月上旬、フィリピン、マニラ首都圏ケソン市パヤタス(Payatas)の診療所で、児童の身長を計測している家族。 平成15年度 政府開発援助が採択した草の根技術協力事業

I. 提案事業の概要
1.国名 フィリピン
2.事業名 パヤタス地区での医療および収入向上支援事業
3.事業の背景と必要性
ケソン市パヤタス地区のゴミ集積場の周辺には、約1万人の低所得者層が居住しており、多くの住民はリサイクルできるゴミを換金することで生計を立てている。地域住民の生活環境は劣悪で栄養状態も悪いために、結核や破傷風などの感染症や、気管支炎、慢性的な下痢や高熱など様々な病気に苦しんでおり、乳幼児の栄養不良率も深刻である。こうした状況から、住民の最低限の健康を確保するとともに、生きることへの希望や意識を改善することが必要である。

4.事業の目的 フィリピン国ケソン市パヤタス地区においてコミュニティケアセンター(CCC)を新設し、地域内の医療活動の拠点として機能させ、併せ住民自助グループを育成する。

5.対象地域 フィリピン共和国マニラ首都圏ケソン市パヤタス地区第2地区

診療所待合室
写真(右)2013年8月上旬、フィリピン、マニラ首都圏ケソン市パヤタス診療所を訪問、聞き取りをした鳥飼ゼミの学生たち。待合室は清潔で、スラムを回って、診療所で医師・看護師に聞き取りをした後、学生たちが休むこともできる。

Lupang Pangako (The Promised Land)とは約束の地の意味であるが、Lupang Pangako Health Center、Lupang Pangako Elementary School(小学校)、Lupang Pangako Parish (PYM:教会)など、将来に希望を託す意味で固有名詞として使用されている。

6.受益者層 地域住民約4000人

7.活動及び期待される成果 •コミュニティケアセンター(CCC)の開設(現共同作業所を改装し、医療スタッフを常駐させ、無料診療、乳幼児栄養改善、集団検診・予防接種等を行う)

•コミュニティヘルスワーカーの育成(住民の中から育成、巡回し健康相談や生活改善に取り組む)
•持続的な活動を担う住民グループの強化(ハンディクラフト作業所の運営を向上させ、収入向上と生活向上を図る)

8.実施期間 2003年11月〜2005年03月(1年5ヶ月)

9.事業費 第一年次契約金額:3,458千円(精算金額:3,053千円)

第二年次契約金額:6,945千円(精算金額:6,384千円)

10.事業の実施体制
•現地実施体制:プロジェクトマネージャー及び現地調整員を配置し、自助グループの組織化を指導し、医療スタッフとともに事業を推進する。職業訓練の受講者から派生した自助グループが共同作業所を運営。
•国内支援体制:国内調整員を配置し、現地との連絡調整、広報(ホームページ、メーリングリスト、会報、学校訪問)、報告書作成、経理等を行う。

パヤタス待合室
写真(右)2013年8月上旬、フィリピン、マニラ首都圏ケソン市パヤタスヘルスセンター待合室。

このパヤタスにあるフィリピン保健省(フィリヘルス)の設置した診療所。ここでは、平日は毎日、看護婦・看護師による簡単な医療相談や処方を受けることができる。また1週間に2日ほど巡回してくる医師による診療が行われる。

ケソン市リテックのジープニーJeepney)から、ここからパヤタス(Payatas)の診療所の近くまでジプニーが出る。これは、たくさんの住民が暮らしているため。

 政府による社会保障給付費も受け取れず、生活保護支給もない状況で、スラムバラックが拡大する。

ヘルス
写真(右)2013年8月上旬、フィリピン、マニラ首都圏ケソン市地域医療センター(コミュニティ・ヘルスセンター。

マニラ首都圏ケソン市パヤタスにつくと、たくさんのジャンクショップが運営している。政府による社会保障も生活保護も不十分なため、自ら仕事を生み出す「起業」が当たり前で、これが草の根民活といわれる所以である。 Community Health Centre)では、婦人、子供が多い。これは、妊産婦検診が主要な仕事のためである。



パヤタス最終処分場隣のヘルスセンター待合室。鳥飼とゼミ学生たち。

低所得層住宅地。政府による社会保障生活保護も不十分であれば、貧しい住民の中には、やむを得ず不法占拠者となる場合もある。しかし、不法は、悪者・犯罪者とは言えない。住む土地がなく、ごみ処分場の周りや空き地に、つましく貧しい生活を続けている「インフォーマルセトラー」とする見方が有力となった。

Virtual Lecture Series鳥飼行博研究室アジア写真集やVirtual Classバーチャルクラス掲示もご覧ください。


「環境政策II」講義コンテンツ

Virtual lecture onLine

2017年の年間CO2排出量(フロー)は、世界第1位の中国92.5億トン(世界の28.2%)、第2位のアメリカ 47.6億トン(14.5%)、第3位インド 21.6億トン(6.6%)、第4位 ロシア 15.4億トン(4.7%)、第5位 日本 11.3億トン(3.4%)、第6位 ドイツ 0.7億トン(2.2%)と続いている。
大気中の温室効果ガスの濃度(ストック)二酸化炭素排出削減は、不可能である。そこで、次善の策として、フローの国民一人当たり排出量削減の方法を考察した。
 
テキストの拙著『開発と環境の経済学―人間開発論の視点から』東海大学出版部「第9章 地球環境問題」から、一人当たり二酸化炭素排出量(CO2/人)の要因を考えてみよう。二酸化炭素排出(CO2)は、化石燃料などエネルギー消費(Energy)によるので(CO2/Energy)となる。エネルギー消費は所得(GDP)に応じて増加するので(Energy/GDP)となる。

そして、一般的に一人当たり所得(GDP/人)が高いほど、 ベーシックニューマンニーズ(Basic Human Needs)の充足には有利である反面、エネルギー消費は増加するので、二酸化炭素排出量も増加する。これらの相関関係を式で表せば次のようになる。

(CO2/人)=(Energy/GDP)✖(CO2/Energy)✖(GDP/人)

この式を書換て、一人当たり二酸化炭素排出量(CO2/人)=z、(Energy/GDP)=α、(CO2/Energy)=β、一人当たり所得(GDP/人)=y、と置き換えて簡単化すると、次式が得られる。ここで、αは、1単位の所得を生み出す商品生産に必要なエネルギー消費量であり、エネルギー原単位と呼ばれるものである。エネルギー原単位のαは、エネルギー効率の逆数、エネルギー非効率の指数でもある。

z=α・β・y

温室効果の大きさは、フローである毎年のCO2排出量が決めるものではなく、(ストックである大気中の温室効果ガス濃度が決める。しかし、CO2ストック削減には、CO2の貯蔵・吸収のための森林の炭素貯蔵機能(光合成を利用したCO2吸収)や、岩盤の炭素貯留などの方策しかないため、ここでは、フローの一人当たりの二酸化炭素排出量(z)を削減することを考えた。

この場合、人当たりの二酸化炭素排出量(z)の手段には、 (1)エネルギー原単位(α)引下げ
(2)エネルギー消費当たりの二酸化炭素排出(CO2/Energy)引下げ
(3)一人当たり所得(GDP/人)=y(y)の引下げ
の三つの手段しかない。

しかし、一人当たりの二酸化炭素排出ではなく、世界のグローバルな二酸化炭素排出が問題であるなら、一人当たりの二酸化炭素排出が変化しなくとも、世界人口が減少すれば、世界の二酸化炭素総排出量は減少することになる。これが、世界の少子化・長寿化・ジェンダー平等化が、持続可能な社会と調和的な理由である。

テキストの拙著『開発と環境の経済学―人間開発論の視点から』東海大学出版部「第2章 開発途上国の人口増加」から、環境調和型の持続可能な社会を形成するためには、成熟社会・先進工業国の人口安定化・減少が有益であることを理解してもらいたい。
そのうえで、鳥飼行博研究室左バナーボタンの公開論文、国立情報学研究所 鳥飼行博 掲載論文一覧「 少子高齢化と持続可能な開発との関連 : 出生率回復への批判 」を熟読して、経済成長や成熟化する世界における少子高齢化とジェンダー平等化を促進し、人口安定化・現象の傾向を持つことを認識してもらいたい。

Virtual Lecture Series鳥飼行博研究室アジア写真集やVirtual Classバーチャルクラス掲示もご覧ください。

「開発経済学」レポートサンプル

Report writing

今回の課題は、次の4点。テキスト『開発と環境の経済学』「第2章 人口問題」を熟読し、鳥飼行博研究室左バナー公開論文>紀要論文「少子高齢化と持続可能な開発との関連 : 出生率回復への批判」を引用しながら、授業支援システム(LMS)で開示した課題(レポート)を作成、LMSで鵜指定された受付時間に提出しなさい。論文は「機関リポジトリ」>「本文を見る」をクリックしてダウンロード。

1)環境への人口圧力、すなわち一人当たりの環境負荷(資源消費・廃棄、温室効果ガス排出量)の大きさからみて、人口増加が環境悪化を悪化させることを簡単に説明しなさい。ただし、同じ一人の与える環境負荷は、一人当たり所得によって異なってくることも考察しなさい。

2)マクロの人口増加を決める出生率とは、個人・家族のレベルの出産・育児を含む出生の意思決定の問題であり、決して、国家レベルの適正人口、国家や経済を維持するなど為政者や一部学者の恣意的な課題ではない。そこで、出生率が、どのような要因で決まるかについて、テキストに示された家族・カップルの意思決定モデルに依拠して、子供の可愛さ、子供の持つ経済的意味、子供にかかる経済的負担に注目して、説明しなさい。

3)ジェンダー不平等とジェンダー平等を比較して、その出生率に与える影響を、女性の高学歴化・社会進出に注目して、考察しなさい。

4)日本が、市場、社会保障、地域経済を維持してゆくためには、「出生率の回復」が必要であるとする誤謬(ごびゅう)が広まっている。これが人権保護、持続可能な開発の視点からは誤りであることを、論理的に説明しなさい。

1)「まとめレポート」をワード(word)で作成、ふさわしい題名,学番,学生氏名を明記。
2)まとめレポートの文字数は、1000文字以上、2400文字以下。他サイトの引用は不可。
3)このレポート課題はサンプルなので提出には及びません。実際の課題レポートは、授業支援システム(OpenLMS)に掲載。

東海大学教養学部人間環境学科社会環境課程

TorikaiLab, Tokai University

大学での講義「開発経済学」「環境協力論」は、持続可能な開発を、開発途上国、地域コミュニティの視点も含めて、経済学的に分析する授業です。俗説とは異なる議論を展開し、批判的検討能力を身につけます。

当研究室へのご訪問ありがとうございます。論文,データ,写真等を引用する際は,URLなど出所を記載してください。ご意見,ご質問をお寄せ下さる時には,ご氏名,ご所属,ご連絡先を明記してくださいますようお願い申し上げます。 連絡先: torikai@tokai-u.jp
〒259-1292 神奈川県平塚市北金目4-1-1 
東海大学教養学部人間環境学科社会環境課程
鳥飼 行博 TORIKAI Yukihiro
HK,Toka University,4-1-1 Kitakaname,Hiratuka
Kanagawa,Japan259-1292
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