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◆市場の一物一価と要素価格の均等化

「経済学」講義コンテンツ1

Commoditization



市場で取引が進展して、商品の品質や価格の情報が共有されるようになれば、一物一価の原則が成り立つようになる。需要者は低価格の商品を求め、供給者は高価格で商品を売ろうとする。市場によって同じ商品に価格差があれば、市場間を転売することで供給者は利益を得る。同一商品について、需要者は安い価格の市場で購入し、高い価格の市場では購入しない。これが、裁定取引で、市場ごとに同一商品の価格が異なっていれば、その価格格差を利用して裁定取引が進展する。そして、裁定取引が行き渡る結果として、一物一価となる。これは、資本、労働といった生産要素価格でも同じで、裁定取引によって、要素価格も均等化する。資本が特別安く手に入り市場や労働を特別高く提供できる市場は、裁定取引によって消滅し、市場は統合され、一物一価となる。

この一物一価が成り立つ条件は、

第一に、市場に参加する需要者も供給者も競争をベースに取引をしていて、それを妨げる経済外的規制はないという完全競争の仮定である。換言すれば自由な取引が保証されている事である。

第二に、需要者も供給者も商品の質、価格、数量について十分な知識を保有していて、情報を完全に共有しているという完全情報の仮定である。価格や室に無知な消費者がいたり、商品の価格差に無知な供給者がいて、不当に安く売っている、といった状況はあり得ないということである。
 
しかし、現実では、国ごとに様々な法律、税金、規制が存在し、各国の労働市場には、能力によらず国による賃金格差が存在する。開発途上国と先進工業国という南北格差も、その根幹には所得格差、賃金格差が存在している。これが、貧困につながっているともいえる。また、同時に、国際的な労働力移動、たとえば日本が受け入れている外国人労働者、外国人技能実習生も、国ごとの賃金格差を前提とした、低賃金労働活用術ともみなすことができる。
 
テキストの拙著『開発と環境の経済学―人間開発論の視点から』東海大学出版部「第4章 工業化戦略」から、要素価格均等化裁定取引を理論的に考察してもらいたい。そして、現実には、同労力の自由移動を妨げるような規制、鉄のカーテンが張られていて、世界の賃金には大きな格差が生じていることも理解してもらいたい。

鳥飼行博担当「経済学」の課題

Report writing

講義コンテンツと教科書拙著テキストの拙著『開発と環境の経済学―人間開発論の視点から』東海大学出版部「第4章 工業化戦略」から、要素価格均等化が、裁定取引によって、理論的に導かれることを理解してもらいたい。

東海大学HK社会環境課程

TorikaiLab, Tokai University

大学での講義 「ミクロ経済学」「マクロ経済学」「環境協力論」「開発経済学」は、持続可能な開発を、開発途上国、地域コミュニティの視点も含めて、経済学的に分析する授業です。俗説とは異なる議論を展開し、批判的検討能力を身につけます。

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東海大学教養学部HK社会環境課程
鳥飼 行博 TORIKAI Yukihiro
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