マニラ国家首都圏(NCR:National Capital Region)のマニラ市トンド地区にある大規模なスラム街を訪問し、スカベンジャー(ゴミ拾い)世帯に聞き取り調査を行った。ここはバラック住宅が密集し、インファーマルセトラー(不正規居住者)が多数居住している。捨てられたトタン、ベニヤ、ビニールシート、釘、針金、ベットのスプリング、柵、鉄格子など廃材を材料として、バラックを建てて住んでいる最貧困層である。
テキストの拙著『開発と環境の経済学―人間開発論の視点から』東海大学出版部「第9章 地球環境問題」から、気候変動、すなわち化石燃料消費などに起因する温室効果ガスの排出増加による地球温暖化の被害が、農業の不振による貧困者のベーシックニューマンニーズ(Basic Human Needs)の欠乏という大きな人権侵害を引き起こすことを学んだが、これは開発途上国でも将来利益のために、応益原則にのっとって環境協力に参加すべきであることを示している。
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